アレッシオ&友春編





 オートロックの扉が閉まった瞬間、友春はいきなり身体を抱き上げられた。
 「ケ、ケイッ」
部屋のドアを開けるまで、アレッシオの雰囲気に変わった様子はなかった。確かに当初は憮然とした様子でいたものの、パーティ
ーが終わる頃にはかなり態度は軟化したように思えた。
だからこそ、友春も少し気を許してしまっていたのだが・・・・・。
 「ま、待って、僕・・・・・っ」
 「私は言ったはずだ。お前を抱きに来たと」
 「・・・・・っ」
わざわざイタリアから日本まで、ただ自分を抱きに来たのだというアレッシオの言葉に自分に対する強い執着を感じて、友春は何
と言っていいのか分からない。
嫌だと言って、このままアレッシオの腕の中から逃げられるとは到底思えず。
かといって、素直に身体を開くには、自分の感情が邪魔をしている。
こんな複雑な自分の思いをアレッシオは分かってくれているのか・・・・・友春は唇を噛み締めた。



 思い掛けなかったクリスマスパーティーは、当初よりはアレッシオにとって苦痛でも退屈な時間でもなかった。
同世代の友人達と一緒にいる友春はかなりリラックスしていて、アレッシオの前でも柔らかな笑顔を惜しげもなく見せてくれた。
着ていたサンタの衣装も可愛らしく、このままイタリアの屋敷に連れ帰りたいと思ったほどだった。
 「ケ、ケイ、僕、あの」
 「私は、他人とお前を分け合おうとは思っていない」
 「・・・・・」
 「お前が彼らと一緒にいる時間を大切に思っていることは分かるが、私にとってはお前と2人でいる時間の方が大切だ。お前も
分かっているな、トモ」
 どう答えていいのか困っている様子が分かるものの、アレッシオはこれ以上待てなかった。
 「抱く」
 「ケイ!」
 「私はお前に飢えている。イタリアではお前のいない毎日を過ごすことが苦痛でたまらない。今夜は当分お前に会えなくてもい
い様に十分補充するつもりだ。覚悟しろ、トモ」
 さすがに海藤の選んだ一流ホテルらしく、スイートルームはかなりレベルが高いように思うが、今アレッシオが一番必要だと思っ
ているのはベッドぐらいだ。
(全てお膳立てされているのも面白くはないがな)
ホテルのカードキーを渡され、さあそこでセックスをしろと言われているような形だが、実際・・・・・やることはそうなのだ。
 「トモ、嫌とは言わないな?」
 「・・・・・」
 「お前は以前よりも私を受け入れているはずだ」
そう言いながら口付けを落としてくるアレッシオに、友春はどう抵抗すればいいのかさえ分からなかった。



 服を脱がされ、アレッシオも全裸になって、素肌同士が冷たいシーツの上で触れ合った。
この間抱かれたのは何時だったか・・・・・少し間が開いたと確かに思うのに、友春の身体はしっかりとアレッシオのことを覚えてい
た。
いや、既にアレッシオの手で身体を作り変えられたのか、あの手に触れられるだけで、身体がたちまち蕩けていくのが分かる。
恥ずかしくて、困惑して、友春の心の中ではその現実を受け止められないでいるのに、身体だけはまるで欠けていたピースを埋
めるかのように、従順にアレッシオを受け入れていった。
 「うあっ!」
 「トモ・・・・・」
 「ああぁぁ・・・・・っ!」
 身体を深く折り曲げられ、大きく広げられた足の間に入ったアレッシオは、そのまま友春の固い蕾に唇をつけてきた。
 「ひいっつ!」
何時まで経っても慣れない、口によるその部分の愛撫。
男の自分の身体がアレッシオを受け入れる場所はそこしかないことは分かっていたが、舌で舐め濡らされることはどうしても恥ず
かしい。
まだ薬や他の濡らすものを使われた方がましだと思ってしまうくらいには・・・・・だ。
 「ひゃあ!やっ、やだ!」
 身体の中に異物が入ってくる感覚。
排泄にしか使わない場所に口を付けられ、舌を中にまで挿入される羞恥。
しかし、それと同時に背筋を走る快感に、友春は自分の身体をコントロール出来なくなっていく。

 クチャッ プチュ

生々しい水の音。
蕾の襞の一つ一つを舐められて広げられる違和感。
そして。
 「!」
いきなり最奥に入り込んできた指に身体の中の一番感じる場所を擦られ、友春はその瞬間に射精してしまった。



 赤いサンタの衣装を着て、はにかみながら笑っている友春の姿を見たのはつい数十分前だ。
しかし今、あの可愛らしいサンタは自分の身体の下で喘いでいる。
 「く、くるし・・・・・っ」
 「・・・・・」
赤く濡れた唇が悲鳴のような声を上げるのを、アレッシオは激しい口付けで飲み込んだ。友春の漏らす吐息さえ、全て奪ってし
まいたかった。
 「ふ・・・・・んっ」
 「・・・・・」
 「んぅ〜」
 友春の目尻に涙が浮かんでいる。快感なのか、苦痛なのか、今のアレッシオに推し量ってやれる心の余裕など今は無く、その
まま蕾に差し入れていた指を引き抜いて、硬くそそり立った自分のペニスの先端を押し付けた。
 「ん〜っ!」
きっと、まだ早いというのだろうが、最低限は慣らしたつもりであったし、もう・・・・・この硬く熱く張り詰めたペニスを、一刻も早く友
春の身体の内部に突き刺したかった。
(熱が、鎮まらない・・・・・っつ)
 「トモッ」
 「!!」
アレッシオは友春の腰を両手で掴むと、一気に先走りの液で濡れた太い先端を友春の蕾の中へと押し入れた。



 その瞬間に感じたのは、熱いということだった。
次に、身体の中を圧迫するあまりにも大きな存在で、その圧迫感に慣れる前に、それは友春の身体の中の内壁を抉るように動
き出した。
 「い、た、痛、い・・・・・っ」
 「トモッ」
 「ケ、ケイ、もっとゆ、ゆっくり、お願・・・・・っ」
自分が慣れるまで、もっとゆっくり抱いて欲しいのに、アレッシオは会えない時間分の情熱を一気に友春へと注ぎ込む。
アレッシオのセックスに慣れた身体とはいえ、その性急な求めに身体はもちろん心さえもついていけなくて、友春はただアレッシオの
背中に必死でしがみつくことしか出来なかった。





 どの位友春の身体を貪ったか・・・・・アレッシオは自分の腰の上で泣きながら揺れている友春の姿を、自分はベッドに寝た姿
で下から見つめていた。
 「あっ、あっ、んっ、」
 「・・・・・この姿が、今夜のプレゼントだな」
クリスマスという特別な夜。この日は恋人や家族と過ごすことが普通のようだが、自分と友春はいったいどんな関係なのだろうか。
家族ではもちろんないが、恋人というのにも少し・・・・・違う気がする。
(それでも、一番一緒にいたいのは・・・・・トモだけなんだ・・・・・)
 お互いの身体の一部はしっかりと繋がっているのに、心にはまだ隔たりを感じる。それは、自分と友春の想いの温度差だ。
この差が縮まるのに、後どのくらいの時間・・・・・何回のクリスマスを過ごせばいいのだろう。
(・・・・・いや、来年はきっと、友春から求めさせてみせる)
友春に会いにアレッシオが日本に来るのではなく、アレッシオに会いに友春がイタリアまで飛んでくるように・・・・・。
アレッシオは必ず、友春の愛を勝ち得るつもりだ。
 「ケ、ケイ、も・・・・・っ」
 何度もイッて感じ過ぎている友春は、涙で潤んだ瞳でアレッシオを見下ろしている。
 「ああ、分かった」
アレッシオは微笑んで、下から激しく友春の身体を突き上げ始めた。



(まだだ、トモ・・・・・)
まだ、夜が明けるには時間がある。
今は友春の身体だけでも手中に収める為に、アレッシオの甘く激しい責めはまだ終わりそうにはなかった。





                                                                     end