「本当にごめんなさいっ」
「・・・・・まあ、お前が謝ることでもねえがな」
「そうだね、悪いのはどう考えても莉子(りこ)さんだし」
「でもっ、でも・・・・・本当に俺・・・・・」
(どうしてこんなことになっちゃったんだろう・・・・・)
聖(ひじり)は泣きそうになりながらも、今自分が泣いてしまったら悪いのは目の前の男達になってしまうので、何とか必死に唇を
噛み締めて俯く。
若草色の綺麗なスーツがますます自分から浮き上がっているように感じてここから逃げ出したくなってしまうが、助けてくれるはずの
たった1人の肉親はここにはいないのだ。
(母さん、どうしてこんな日に・・・・・っ)
新しい家族が出来るという門出の日に居なくなってしまった母の名を心の中で何度も呼ぶが、もちろん返事が返ってくる事は無
かった。
芳野聖(よしの ひじり)は今年の春高校に入学する中学3年生の少年だ。
母1人子1人で育ってきた聖は物静かで大人しい少年だが、母親に似た色白の肌と柔らかな面差し、そして片頬に出来るエク
ボのせいで、昔はよく女の子に間違われ、今も年より若く見られがちであった。
母は恋多き人で、実を言えば聖の父親も誰だかは分からないらしかった。
それでも聖の事をとても可愛がってくれたし、幾度も変わった恋人達は時期を重ねる事はなくて、それなりに恋愛には誠実だった
と思う。
そんな母が、結婚すると言い出したのは去年のクリスマスだった。
母が勤めていた会社の取引相手の社長という、本当ならとてもつり合いそうに無い感じだが、相手は妻を5年前に亡くした再婚
で大学生の息子もいるし、かなりのワンマン社長らしく反対意見もあっさり無視して、2人は出会ってたった1ヶ月で結婚を決め
てしまったらしい。
話はトントン拍子に進み、内部進学の聖の進学がはっきりと決定した一月末に結婚式を挙げることになり、聖も式の一週間
前に初めて母の結婚相手である男とその息子に会った。
高須賀圭史(たかすが けいし)、まだ42歳の若さで、20代後半に立ち上げたIT関係の事業が当たり、そこから飲食店など
にも手を広げて、今や年収は数十億をくだらないほどのトップ企業だ。
その高須賀が20歳の時に出来た子供が、今年大学4年生になる亘(わたる)。日本の最高学府に通っている亘は、いずれは
高須賀の事業を引き継ぐ身なのだが、自分でも大学に入ってから友人達とコンピューターソフト会社を作って、今やそれなりの
稼ぎがある。
親子共々、商才があり、頭もいいのだろう。
それに加え、それぞれが別方向のいい男だった。
高須賀は年を重ねた大人の男の渋みと、いまだツーリングをしたり女と遊んだりするほどのやんちゃな面を残した、不思議に魅
力的な男だ。顎髭を蓄え、がっしりとした体付きの、ちょい悪オヤジといったとこだろう。
反対に亘は、切れ長の目の、甘い顔立ちの男だった。母親に似たらしい天然の栗色の髪に、薄茶色の瞳は本当に王子様と
いった感じで、言葉遣いも丁寧で優しい。
そんな2人に会った時、聖はガチガチに緊張してしまったが、そんな聖を高須賀は笑わせ、亘は優しく話し相手になってくれた。
この高須賀ならば、奔放で子供っぽい母を上手くコントロールしてくれるのではないかと思ったし、亘のような優しい義兄が出来
れば嬉しいと思った。
この結婚は自分達親子にとっても、幸せへの第一歩だと、聖はそう思ったのだが・・・・・。
結婚式当日、先に家から出て教会に向かった母。
聖は手早く何時もしている家事を済ませ、自分も結婚式に出る為に教会に向かった。
(来週は引越しなのかあ〜)
今聖達親子は2LDKのマンションに暮らしていたが、母が高須賀と結婚する事によって彼の暮らしている一軒家へと引越しす
る事になっている。田園調布にある家には行ったことが無いが、何度か訪れた事がある母はお城みたいよと言って笑っていた。
自分達には身分不相応だと思うが、いつかは慣れるのだろうか・・・・・そう思いながら教会に着いた聖が聞かされたのは、今日
の主役の1人でもある母の不在だった。
母が教会に来ていないと聞いた時、聖が一番に思ったのは事故に遭ったのではないかということだった。
心配で直ぐに飛び出して行きそうな聖に、高須賀が苦笑を零しながら携帯を差し出してくる。
「な、何ですか?」
「莉子さんからのメッセージが入っている」
「えっ?」
慌てて留守電のメッセージを聞いた聖は、その母の言葉に愕然とした。
「好きな人がいるの」
母は高須賀と婚約して式の準備をしている頃に、1人の男と出会ったらしい。母よりも5歳も若いその相手こそが本当に自分
の運命の相手だと思い、ギリギリまで迷ったがこの結婚は無かったことにして欲しい・・・・・信じられない事に、母は結婚式をドタ
キャンしてしまったのだ。
何も聞かされておらず、取り残された形になってしまった聖は泣くに泣けなかった。聖自身まだ庇護が必要な年で、母に捨てら
れた今この瞬間から路頭に迷ってしまう。
しかし、聖は自分のことよりもまず、高須賀親子に何と詫びていいのか分からなかった。
いくら恋多き女とはいえ、同時に2人と付き合ったことの無い母。結婚すると決まっていたのに、他の男のもとへと走るだろうか?
それも、息子である自分を置いて・・・・・そう思うとますます聖は混乱してしまい、花嫁控室で壁に掛かったままのウエディングド
レスをただ見つめる事しか出来なかった。
「困ったな」
既に花婿の衣装を身に纏った高須賀が呟いた。
少し淡い紫色のタキシードは、ワイルドな高須賀をよりセクシーに見せている。
「もう式まで30分も無い」
「・・・・・っ」
(そうだよ、俺なんかの事よりも、先ず高須賀さんのこと考えないと・・・・・っ)
形式ばったことが嫌いらしい高須賀は、親族や取引先の相手などを呼ばず、あれだけの大きな企業の社長ながら招待客は親
しい人間だけの30数人だけしか呼んでいないらしい。
それでも、花嫁に逃げられた男だと、知られるのは申し訳ない。
「ご、ごめっ・・・・・」
「聖君は気にしなくていいよ」
フォーマルスーツをモデルのように着こなした亘が、クシャッと聖の頭を撫でてくれた。
「・・・・・亘さん、俺・・・・・」
「父さん、とりあえず式だけは挙げないと」
「でもなあ。どうするか・・・・・」
聖の見た感じでは、高須賀はとても花嫁に逃げられた情けない男だとは見えず、慌てた様子も焦った様子も全く感じられな
かった。
それどころか、こんな突然のハプニングを楽しんでいるような表情で何かを考えていたが、不意に聖の姿を振り返るとじっと顔を
近付けてくる。何を言われるのか身構えてしまった聖に、高須賀はにやっと笑みを浮かべた。
「いたな、ここに」
「え?」
「身代わり」
「父さん」
「好都合な事に背格好も似ているし、顔だって化粧とベールで隠れるだろ。客の前には極力出させないようにすりゃ、なんとか
式くらいはいけるんじゃないか?」
「聖君が可哀想じゃないか」
「母親の尻拭いだ。多少協力してもらってもいいだろ」
聖は、高須賀が何を言おうとしているのか全く分からなかった。しかし、言葉の中の《母親の尻拭い》という言葉に胸がドキッと
してしまった。
「お、俺に出来ることだったら何でもします!」
思わず、聖はそう叫んでいた。
とにかくここに母がいないことは確かで、息子の自分が何とかしなければ・・・・・聖はそんな悲壮感に包まれていた。
鏡に映っているのは誰だろうか。
聖は呆然と鏡を見つめていた。
「うん、可愛いね」
ずっと付いていてくれた亘が笑いながらそう言うが、聖にとってはこの顔のどこが可愛いのかなんて分からない。
確かに、男らしい顔ではなかった自分は化粧をすればある程度少女っぽい顔になった。その上、母にしては珍しく清楚なデザイ
ンに選んだウエディングドレスを着、ベールを頭から被ると、とても少年には見えない。
もちろん、近くで顔を見られれば母と違う事は直ぐに分かるだろうが、花嫁の顔を知らない客が見れば少し幼い花嫁だなと思うぐ
らいで、不審には思われない・・・・・そう、メイクと着付けを手伝ってくれた世話係の女性が言ってくれた。
・・・・・嬉しくは無い。
「あ、あの、亘さん」
「うん?」
「本当に・・・・・これでいいんですか?」
母の尻拭いをしなければならないとは思ったが、まさか自分が花嫁の代わりになるとは思わなかった。
この女装をした自分を見れば、母の知り合い達は何と言うだろう。あいつは偽物だと騒ぎ立てたりはしないだろうか?
「それは大丈夫。莉子さんは会社の上司しか招待しなかったみたいだから、彼らには父さんが上手く口裏を合わせたよ」
「母さん、他に誰も呼んでいないんですか?」
「玉の輿を狙って、僕にモーション掛ける人がいたら困るって言ってね」
「・・・・・」
「それよりも、こんなに可愛い花嫁さんになるんなら、父さんの代役で僕が花婿になりたいくらいだよ」
聖の緊張を解す為に軽口を言ってくれる亘の優しさは嬉しいが、聖は何と反応していいのかも分からない。
俯きかけた聖の顔を、亘が手を伸ばして顔を仰向かせた。
「聖君、とにかく式が終わったらちゃんと話をするから、少しだけ我慢して、ね?」
「は、はい」
「じゃあ、これはおまじない」
「え?」
顔にかかっていたベールが上げられ、綺麗な亘の顔が目の前に現れた。聖よりも20センチ近く背の高い亘と目線が合うという
ことは、彼が腰を屈めているということなのだろうか。
「亘さん?」
(おまじないって・・・・・)
どういうことなのだろうかとじっと亘を見つめていると、亘はくすっと笑って顔を近付けてきて、
「!」
ちゅっと、聖の唇にキスをした。
「ああ、可愛く出来たな」
教会の扉の前にやってきた聖は、そこで待っていた高須賀にいきなりそう言われて面食らった。
「た、高須賀さん、あの」
「莉子さんに似ているから可愛くはなると思ったが想像以上だ。・・・・・ん?」
じっと聖を見下ろしていた高須賀が腰を屈めて更に顔を近づけてくる。思わす、聖は少し身を逸らしてしまった。
身長は亘と変わらないが、よりがっしりとした身体は妙に男くささを感じて、ずっと母親と2人で暮らしてきた聖にとっては大人の
高須賀の存在感は未だ慣れないものだった。
そんな聖の途惑いなど全く構わないように更に顔を近づけてきた高須賀は、やがて何に気付いたのかふっと笑みを浮かべた。
「亘がずっと付いていたな?」
「え?」
「そうだろ?」
「あ、はい、そうですけど・・・・・」
「なるほど。あいつも目をつけたのか?」
「?あの、何を・・・・・」
高須賀が何を言いたいのか分からなくて聖が問い掛けようとした時、
「登場です」
いきなり係りの人間が言ってきた。聖の気持ちがまだ落ち着かない状態で、いよいよ式は始まってしまうらしい。
(ど、どうしよ、絶対偽物だってばれるよ・・・・・っ)
こんな格好までして覚悟を決めたつもりでも、いよいよ本番だと思うと胸がキュウッと締め付けられるように痛くなった。出来れば
このまま逃げ出してしまいたかったが、何時の間にか高須賀がしっかりと聖の肩を抱いている。
「俺に任せろ」
「高須賀さん」
「行くぞ」
扉が開き、入場の音楽が聞こえてくると、中の視線がいっせいに自分に向けられてくるのを感じて聖は一瞬目を閉じた。
式のリハーサルなんか見ておらず、聖はどう一歩踏み出してよいのかも分からなかった。
そんな聖を励ますように組んだ腕の上からポンッと手を叩いてくれた高須賀は、ゆっくと祭壇へと歩いていく。その歩みに必死で
合わせ、聖は出来るだけ誰にも顔を見られないようにと俯いた。
(俺が男だって事・・・・・どれだけの人が知ってるんだろう)
母の会社の人間と、式の手伝いをしてくれるスタッフ達と。数は限られているがやはり恥ずかしくてたまらなかった。
招待客は両家合わせて30人ほどしかいないが、母の招待客はいいとしても、高須賀側の方はどんな財産狙いの女が出てく
るだろうかと想像していて、それがこんなに少女めいた人物だとは思っておらず驚いている・・・・・などということは、聖はとても想
像出来ていなかった。
やがて、祭壇の前に立った2人に向かって、厳かに神父が口を開いた。
彼も今回のハプニングは報告を受けていて、出来るだけ聖には負担が掛からないように式自体も短くしてくれている。
誓いの言葉を交わし、指輪の交換もして(偶然サイズも合った)、最後に誓いのキスになった。
「誓いのキスを」
「・・・・・」
高須賀はベールを上げながら、聖に向かって囁くように言った。
「口紅」
「え?」
「誰かにキスされただろう?少し色が取れてる」
「!」
(く、口紅がって、キスってっ?)
いきなりの言葉に何と言っていいのか分からなかった聖だが、ぱっと頭の中に浮かんだのは控室で亘にされた事だ。
突然のキスに(それもファーストキスだ)どう反応してもいいのか分からないまま式へと流れ込んでしまったが、改めて事実を突きつ
けられると顔から火が出そうなほどに恥ずかしい。
(お、男の人にキスなんかされて、俺っ)
「花婿とキスをする前に他の男と浮気なんてな・・・・・お仕置き」
「高・・・・・んぐっ」
合わさってきた唇。
少し肉厚で煙草臭い感じのキスは、亘のようにただ重ねるだけではなくて無防備な口腔内に舌まで差し入れてくる濃厚なもの
だった。
結婚式の誓いのキスで、唾液の絡まる生々しい音が響くようなキスをする花婿などいるのだろうか・・・・・?聖は朦朧とする意識
の中でそんな事を漠然と考えていた。
花婿の常識破りの濃厚なキスの後、会場内はかなりざわめいたものの式は無事に終わった。
披露宴は別の日にかなり盛大にやる予定だったので、今日はこれで終わりだ。控室に戻った聖は、半分泣きながらウエディング
ドレスのまま椅子に座って俯いていた。
(もう・・・・・どうしよう・・・・・)
高須賀の大人のキスで腰が抜けてしまった聖は、あの後立っていられずにずっと高須賀に腰を抱きかかえられていた。退場す
る時などはお姫様抱っこをされて、ライスシャワーの中を歩いてしまったくらいだ。
ドアがノックされ、中に高須賀と亘親子が入ってきた時も、聖は恥ずかしくて顔を上げられなかった。
「よく頑張ったね、聖君。最後の父さんの暴走は褒められたものじゃないけど」
「それはお前が悪いんだろ。俺が客に根回しをしている間にさっさと唾付けやがって」
「欲しい物は早い者勝ちだって、父さんがよく言っていることだよ」
「ふんっ」
親子は聖の前でよく分からない事を言っていたが、聖は恥ずかしさを何とか我慢して、とにかく今日の詫びを言うことにした。
自分がこんな恥ずかしい思いをしたのも、結局は母のせいなのだ。
(母さん・・・・・絶対文句言ってやるからっ)
今現在どこにいるのかは分からないが、あの母のことだ、絶対に連絡はくれると思っている。その時は今日の文句を言ってやろう
と心中で思いながら、聖は椅子から立ち上がると絨毯の上に膝をついて頭を下げた。
「今日は本当にすみませんでしたっ。母から連絡がありましたら、絶対に謝りに行きますからっ!」
「聖君、そんなことはいいんだよ、今回の事は君のせいじゃないしね。それよりもこれからどうするんだい?莉子さんから直ぐに連
絡があればいいけど、もしも長引くような事があったら、君は未成年だし色々困るんじゃない?」
母の事を罵倒せず、それよりも自分の事を心配してくれる亘の気持ちが嬉しかった。確かに母がいないと不安だが、それでも
それが長い間ではないとは言える気がした。
「大丈夫です、俺、家事なら一通り出来るので、家で母さんからの連絡を・・・・・」
「駄目だな」
「た、高須賀さん?」
言下にそう言った高須賀の真意が何なのか、聖は直ぐに分からなかった。
そんな聖の前に片膝を着いた高須賀は、手を伸ばして聖の頬をそっと撫でた。
「お前は神の前で愛を誓い合った俺の花嫁だろう?このまま家に連れて帰るぞ」
「は、花嫁って、俺は単に代理でっ」
「神の前で嘘は言わないと誓ったじゃないか。お前は俺の嫁さん」
「な・・・・・」
「ちょっと待ってよ、父さん。父さんは莉子さんが本命だろ?聖君のことは僕がずっと可愛いと思っていたんだ、この子は僕のも
のだよ」
「亘さんっ?」
(2人共、何言ってるんだ?)
聖をからかうつもりなのか、高須賀だけではなく亘まで妙な事を言い出したと聖は慌てた。母の事を怒っているのは分かるが、
こんな冗談は性質が悪い。
「俺は男です!」
「男でもかわいがる事は出来るって、なあ」
「ええ。むしろ快感は深いと思うよ」
たった今まで対立していた親子は、聖の説得には共同で望むようだ。直ぐに言葉を打ち消してきて、高須賀はそのまま聖の唇
に再びキスをしてきた。
やはり煙草臭い苦いキス。さすがにここには他に人目は無いので直ぐに聖も抵抗したが、全く身体の作りが違う大人の身体は
華奢な聖の腕ではとても押し返す事は出来ない。
「ふ・・・・・っんんっ」
思う様口腔内を貪られ、やがてくったりと高須賀の胸の中に身体を預けてしまった聖の身体を、そっと起こして仰向けにさせたの
は亘だった。亘は何時もの優しい笑みを浮かべたまま、戸惑いと怖さと快感に、涙で潤んだ瞳を向ける聖に向かって言った。
「父さんだけ味わうのはずるいからね」
いったいどういう理屈なのかは分からないが、亘は当然というように聖の唇を奪った。最初にした軽い合わせるだけのキスとは違
い、高須賀と同じ濃厚に舌を絡めてくるキスだ。
(どうなってるんだ・・・・・これ、俺はいったい・・・・・)
散々口腔内を犯された聖は、ハアハアと荒い息を付きながら高須賀と亘を交互に見つめる。口を開いて何か言うのが怖かっ
た。
「さあ、家に帰って初夜を迎えるか」
「だから、父さん、聖君は僕が先に気に入ったんだって」
「仕方ねえな。じゃあ、初めはお前に譲ってやるが、楽しむのは3人でだ、それならいいか?」
「不本意だけどね」
「聖、帰るぞ」
「聖君、帰ろうか」
どう決着をつけたのか、2人は笑いながら両方から聖の腕を取る。
「ま、待って、俺はっ」
これからいったい自分がどうなってしまうのか、余りに怖くて想像も出来なかった。しかし、今着ているウエディングドレスが、仮では
なく本当の意味を持ちそうになっているのではないかという不安が消えない。
(どうしてこうなるんだよ〜!!)
仮の花嫁が本物の花嫁になる・・・・・聖は自分の運命がどんな風に変わってしまうのか、ただもう一度今朝の、花嫁代理の話
をされた時に時間を戻して欲しいと痛烈に願った。
「俺は花嫁なんかじゃないってば!」
end
ワイルド系オヤジ+クールハンザム息子×再婚相手の息子です。
こうしてみると、私は今複数攻がブームなんでしょうか(笑)。多分これ、もう一回は書くと思います。