今日は、2人共帰りが遅い。
そのことに嬉しくなってしまいそうな自分の気持ちを叱咤し、芳野聖(よしの ひじり)は、作った料理にラップを掛けた。
今日は久し振りに和食にして、カボチャもホクホクに炊けた。
新鮮なアジはそのまま塩焼きにして、具たくさんの味噌汁に、新タマネギのサラダと、常には油っぽい洋食が多い2人の為にと
腕によりを掛けたのだが、1人は会議が長引いて、1人はコンパに捕まったらしい。
この家に来てから初めてかもしれない1人きりの夜。聖はこの長い時間をどうやって潰そうか、エプロンを外しながら首を傾げ
てしまった。
この春、高校に進学した聖が、込み入った事情で同居をしている高須賀(たかすが)家。
家長であるトップ企業家の42歳の高須賀圭史(たかすが けいし)と、その長男で、今年大学4年生という立場と、自分でた
ちあげたコンピューターソフト会社の役員という立場の亘(わたる)。
ごくごく、平凡・・・・・と、いうよりは物静かで大人しく、母親に似た色白の肌と柔らかな面差し、そして片頬に出来るエクボの
せいで幼く見える聖は、自分とは違う生活力が旺盛で男らしい2人にいまだひけ目があり、三ヶ月以上一緒にいたとしても慣
れないことが多かった。
逃げた母の代わりに、なぜか花嫁の立場でいて欲しいと言われているので、家事全般を任せられているのは当然のことと思っ
ていたし、世話になっている恩返しだからとは思うものの、ピンクのエプロンを着たり、おかえりなさいのキスをしたりと、納得がいか
ないことも多々あって・・・・・それでも、聖は何とか自分なりのペースを掴もうとしていた。
「さてと」
聖はキッチンを片付けてはあと溜め息を付いた。
「先にお風呂に入らせてもらおうかな」
時計を見上げればそろそろ8時になる。何時帰るか分らない2人を待っていてもしかたないかとエプロンを外した時、
「あ」
インターホンが鳴った。
「おかえりなさい、亘さん」
「ただいま、聖君」
帰ってきたのは亘の方だった。
今夜はコンパに行くと聞いたのでもっと遅くなるかと思っていたが、意外に早い帰宅に少し驚いてしまった。
「早かったですね」
「人数合わせだからね。乾杯して、少しして抜けてきたよ。どうせ僕がいなくても構わないだろうし」
「・・・・・」
(そんなこと、ないと思うけど・・・・・)
王子様のような柔らかな美貌に、学生ながらも会社の役員になっているほどに金も持っている。コンパに参加した女の人の多く
はきっと亘が目的なんではないかと思ったが、それを口にしてはいけないような気がした。
「あ、あの、夕食は?」
「済ませてきたんだ・・・・・あ〜、美味しそうだなあ。やっぱり何も食べないで帰ってくれば良かった。これ、明日の朝食で食べさ
せてもらうよ」
「・・・・・」
(・・・・・優しいんだよな、亘さん)
何時も聖を気遣ってくれて、本当の兄のように接してくれる亘。
こんなお兄さんがいたらなあと思うことも多いが、その反面・・・・・、
「聖君、おかえりなさいのキスがまだだよ?」
「あ、はい、おかえりなさい」
男同士でのキス。
少し譲って、頬や額にならばまだ分るものの、唇にするというのは外国の挨拶でもないような気がするのだが、亘がにっこり笑って
言えばそんなこともあるのかと思えてしまうのが怖い。
「んっ」
今日も舌の絡まる濃厚なキスをされ、唇が解放された時には息絶え絶えになりながら、聖は力が抜け切ってしまった身体を亘
に支えてもらわなければならなかった。
「風呂は?入った?」
「い・・・・・え、今からそうしようかと思ってたんですけど、亘さんからどうぞ」
誰もいないから一番に入ろうと思っていただけで、亘が帰ってくれば当然譲るつもりだった。
しかし、少し考えていた亘は、やがてにやっと笑うとそのまま聖の身体を抱き上げてしまう。
「わ、亘さんっ?」
「ねえ、聖君、背中流してもらえない?」
おかえりなさいや、その他の場面でも、こちらが戸惑うほどにされてしまっているキス。
しかし、今までは風呂は当然別々に入っていた。先日キッチンでペニスを弄られてしまったが、それからは特に気をつけていた。
それは分かっているだろうに、どうしていきなり背中を流すという方向になるのだろうか?
(背中、背中って、えっと・・・・・)
バスルームの脱衣所で身体を下ろされてしまった聖は、目の前で躊躇うことなく服を脱いでいく亘から慌てて目を逸らした。
(ほ、本当に、背中を流せばいいってこと?)
当然自分は服を着たまま、亘の身体を洗ってやればいいのだろうか。
「わ、亘さん、あの」
「聖君も脱いで」
「えっ?お、俺も?」
「風呂に入る時は当然でしょ?」
「そ、そうですけど・・・・・」
「それに、うちの風呂は広い方だから。2人でだって全然狭くないと思うけど」
確かに、高須賀の意向でバスルームはかなり広く設計されており、夫婦と子供も一緒に入れるほどに大きいことは聖も分かっ
ている。ただ、そこに男同士で、それも血の繋がりも無い2人が一緒に入ることには多少・・・・・以上の抵抗感があった。
(ど、どうしよう・・・・・)
学校のプールや体操服に着替える時だって、同級生と比べて小柄で色白な自分の身体が恥ずかしくてたまらないのに、大
人の亘の前に無頓着に晒すのはもっと恥ずかしい。
だが、そんな聖の羞恥や躊躇いをどう思っているのか、亘は素早く服を脱いで言った。
「ほら、聖君。・・・・・焦らしていると、僕が脱がせちゃうよ」
「じ、自分で脱ぎますからっ」
脱がされるなどとんでもない。聖が慌ててそう言うと、亘は笑いながら待っていると言い残して先にバスルームへと入って行った。
何時もより時間を掛けて服を脱いでも、いつかは全裸になってしまう。
「・・・・・」
本当ならば女の子のように身体の大部分を大きなバスタオルで隠してしまいたかったが、そうすると返って意識していると思われ
るかもしれないと、聖は腰をしっかりとタオルで隠し、一度はあ〜っと深呼吸をしてからドを開けた。
「わ、亘さん」
「遅いよ、聖君」
亘は洗い場の椅子に腰掛けている。
聖は慌ててその背後に立った。
「ご、ごめんなさいっ、寒かったですよねっ」
自分が変に迷って待たせていたせいで、亘が風邪をひいたら大変だ。聖は直ぐに湯をすくうと亘の背中に掛けた。
「洗ってもいいんですか?」
「うん」
スポンジにボディーソープをたっぷりと含ませた聖は、そのまま亘の背中を擦り始めた。
(こうして見ると、亘さんって結構・・・・・)
柔らかな面差しや態度から、もっと細身の身体を想像していたが、こうして裸になってみると意外にもしっかりとした筋肉を持つ
男の身体だった。
(俺も、何時かこんな身体になれるのかな・・・・・)
「ん・・・・・気持ちいいな」
「そうですか?」
褒められればやっぱり嬉しく、聖は更に手に力を入れようとする。すると、
「え?」
いきなり手が伸びてきたかと思うと、聖は腕を取られて引っ張られ、なぜか・・・・・亘の膝の上に座るという格好になってしまった。
「わ、亘さん?」
「今度は僕が、聖君の身体を洗ってあげようと思って」
「い、いいです!俺っ、自分で!」
「遠慮しなくていいから」
「ちょっ、どこ触ってっ」
「聖君のここ・・・・・可愛いね」
「!」
いったいどこを触ってそんなことを言うのか、聖は瞬時に顔が燃えるように赤くなってしまった。
「さ、触らないで下さい!」
「でも、ここもちゃんと洗わないと。清潔にしておかないとモテないよ?」
楽しそうに言いながら亘が触っているのは、タオル越しに僅かに反応し始めた聖のペニスだ。
まだ15歳の聖は当然セックスの経験はなく、性欲が希薄なのか自慰さえもほとんどすることは無かった。だからなのか、初めて
感じる他人の手は、それがたとえ自分と同じ男の手だとしてもかなり衝撃的で刺激的で、タオル越しに柔らかく揉まれただけで
感じて勃ち上がってきてしまう。
恥ずかしくて恥ずかしくて、必死で亘の手を払おうとするものの、時折キュッキュッとペニスを握り締められる感覚に腰が跳ね、
持ち上げた手は縋るように亘の腕を掴む結果になってしまっていた。
「ふっ」
「気持ちいい?」
「ち、ちが・・・・・」
「でも、タオルは濡れてきてるよ?これって、お湯じゃないよね?」
「!」
何と聞かれても、答えることなどとても出来ない。
聖はどうにかして体をずらそうとしたが、
「・・・・・っ」
いきなり、耳元で、亘が色っぽい吐息を漏らした。
「聖君、動かないで」
「わ、亘さ・・・・・」
「君の小さくて柔らかいお尻に擦られたら・・・・・勃っちゃうよ」
「・・・・・っ」
(た、勃つって・・・・・ええっ?)
言われて、ようやく聖は自分が亘の膝に座っていることを思い出した。この態勢では、当然自分の尻の下には・・・・・。
(こ、この、柔らかいのに・・・・・硬いのって・・・・・)
ザワッとする亘の下生えの感触と共に感じるものの正体が何なのかようやく思い当たり、聖はとにかく足をバタつかせ、身体を捩っ
て亘の腕の中から逃れた。
「おっ、俺っ、出ますから!」
「聖君!」
お互い裸のまま、こんな密室にいたらどんなことになるのか怖くて想像したくない。
聖はそのままバスルームから出ようとしたが、
「何楽しそうなことしてんだよ」
「!」
聖が開ける前に外からドアは開かれ、その身体は逞しい身体に抱きこまれてしまった。
「なんだ、意外に早かったね」
「お前と聖の2人きりにさせて、抜け駆けされたらたまったもんじゃねえからな」
「失礼だなあ、僕は父さんと違って約束は守るよ」
「お前は俺に似てチャンスは逃さない狡猾な奴だよ」
そう言うと、裸の聖を抱きしめた男・・・・・高須賀は、頬を上気させて目を丸くしている聖を見下ろしながら、
「ただいま、奥さん」
その言葉と同時に、濃厚なキスを仕掛けてきた。
「ふぁ・・・・・んっ」
胸の乳首が激しく吸われ、それが痛いと同時に、顎鬚のチクチクとした感触が快感を高まらせていく。
「しっかり立ってろ」
洗い場の椅子に腰掛け、傲慢にそう言いながら、高須賀は遅れてきた分を取り戻すかのように聖の身体を弄び始めた。
快感に慣れない身体は僅かの刺激でも敏感に反応するが、高須賀親子が聖に与える刺激は僅かというにはあまりにも濃厚で
執拗だった。
「あっ、やっ、やめ、てっ」
聖の身体の前の部分は、高須賀が愛撫を施していた。
小さいながらも勃ち上がった乳首を舌や唇で苛め、もう片方は指先で引っ張ったり捏ねたりと刺激を与えてくる。
空いたもう一つの手は既に完全に勃ち上がったペニスを握り締め、先端や竿をくまなく擦ったり、引っ掻いたりと、絶え間なく苛め
てきた。
「ううっ」
「聖君、僕のことも忘れないでくれる?」
高須賀の愛撫に喘ぎ続ける聖の耳元で囁いたのは亘だ。
うなじから肩甲骨、そして細い腰へと唇を這わせ、今は跪いて小さな丸い尻を撫で擦っている。
「やっ、やっ」
「大丈夫、まだ最後まではしないから、少し慣れておこうね」
「・・・・・っ」
(ま、まだ・・・・・って?)
その言葉の意味を考える前に、いきなり尻を左右に割られると、その中心に湿った感触を感じた。
「なっ、何っ?」
ニュル
その柔らかいものが、何度も自分の尻の間、普段なら自分自身も見ることの無い後肛を行き来しているようだ。
「聖、それは亘の舌だ」
「・・・・・え?」
「お前の尻の穴を舐めて慣らしてんだよ」
「!」
高須賀のからかうような口調に、聖はもう羞恥で憤死してしまいそうだった。
「そっ、そんな、とこっ、やめっ、やめて下さいっ」
「何言ってんだ、俺達がお前を抱く時に使うのはここしかないだろ」
「やっ、やだあ!」
「嘘付け、お前、漏らしてるぞ」
「う、嘘っ」
「粘ついてるこれ、湯じゃねえだろ」
「・・・・・っ」
(嘘っ、嘘だ!)
こんなに嫌だと思っているのに感じているはずが無い。それも、男の手でということが、聖はとても信じられない。
とにかく、2人の手から逃れようともがくのだが、それは返って愛撫をねだるように腰や尻を振ってしまうような格好になってしまい、
やがて、柔らかなものが後肛に潜り込んだ次の瞬間、
「!!」
聖は高須賀の手の中に精を吐き出してしまった。
「可愛いな、聖」
立ち上がった高須賀が身体を抱きしめてくる。
朦朧としていた聖は、自分の腰の辺りにゴリッとした感触に気付いた。
(な・・・・・に?)
そのままそれに手を触れてみると、耳元でくくっと笑う声がする。
「触るんじゃねえって・・・・・漏れるだろ」
「!」
それが高須賀のペニスだとその言葉で分かり、聖は反射的に手を離してしまう。
すると、高須賀にばかり意識が向いていることが面白くないのか、背中から前に腕が回ってきたかと思うと、柔らかな尻がぐっと何
かで押された。
「聖君、僕もこんなだけど」
「・・・・・っ」
それが何かは考えたくはない。
前後から違う大人のペニスが自分の身体に擦り付けられて、ぬるぬるとしたものが身体に纏わりついてくるが、聖はそれを目で確
かめたくは無かった。
(も・・・・・っ、やだあ!)
目の前の高須賀の身体は、亘よりも筋肉質でガッシリとしている。色も浅黒く日焼けしていて、とても40歳を越しているとは
思えない。
高須賀も亘も、聖とは全く違う大人の身体で、父や男兄弟のいなかった聖にとっては、初めて見る男の裸体と、勃起している
大人のペニス。
肌の色とまだ変わらない自分のものとは違い、色も濃く、先端の嵩も大きく張り出した、多分普通よりも大きいものだろう。
着痩せする亘までこんなに大きいなんて詐欺としか思えず、普段は性欲など感じさせない王子様のような亘がこんなにもいや
らしく、普段からワイルドで男の色気を滴らせている高須賀が、繊細な愛撫を施してくるとは・・・・・。
「あっ、はっ、ああっ、んっ!」
バスルームの中に、自分の喘ぎ声が淫らに響く。
耳を塞ぎたいのに、聖は高須賀の肩にしがみ付いている手を離すことが出来ない。
「・・・・・っ」
「・・・・・!」
聖の身体を使って、まるで自慰をしているように身体を擦り付けてきていた2人。
そして、
「!!」
「!」
「・・・・・っ」
それだけで上り詰めてしまった聖が高須賀の腹に精を吐き出してしまった後、高須賀と亘の2人も聖の身体に熱い精液を放っ
た。
「・・・・・はあ」
「大丈夫か、聖」
「聖君、はい、水」
リビングの大きなソファの上に、ダブダブのバスローブに身体を包まれて寝かせられている聖は全く身体が動かない。
その様子に、亘はペットボトルの水を自分の口に含むと、そのまま口移しで水を飲ませてきた。
「・・・・・ん」
自分でしますと言いたいのに、何だか身体が疲れきって動かない。
高須賀はそんな聖の唇にちゅっと唇を重ねてきた。
「可愛かったぞ、聖。お前があんなに色っぽくなるなんて、入れた時のことを考えると楽しみだな」
次に、亘がペロッと唇を舐めてくる。
「僕達の手に感じてくれて嬉しいよ。早く、聖君の全部を手に入れたいな」
「・・・・・」
何と言っていいのか、聖はもう口を開くのも億劫だ。
(こんなの・・・・・もう、やだから・・・・・)
いくら、奥さん、恋人のように振舞って欲しいと言われても、キス以上の行為を受け入れることはやはり身体が受け付けないと
思う。
こんなに感じてしまったのは2人がセックスに慣れ、上手いからで、けして自分が許容したわけではないはずだ。
(俺は・・・・・男、なんだから・・・・・)
「寝ていいぞ」
「ベッドには連れて行ってあげるから」
うつらうつらとしている意識の中で、2人の声が遠くに感じている。
聖は眠りの中に意識を引きこまれながらも、絶対に2人に引きづられまいと心に誓っていた。
end