有希ちゃんと蒼君の井戸端会議











蒼   「俺、思ったんだけどさ、有希ってすり込みされたんだよ」
有希 「すり込み?」
蒼   「だってさ、初めてこの世界に来て会ったのがあれだろ?ほら、雛は卵からかえった時、一番初めに見たものを母親だと思
    うっていうじゃんか?有希はきっとそれだって!」
有希 「で、でも、それだったら蒼さんだって・・・・・」
蒼   「あ、俺はい〜の。シエンはすっごく優しくてカッコイイし、あのデカブツとはま〜ったく違うから」
有希 「ア、アルティウスも・・・・・」
蒼   「それに、あいつ5人の子持ちだって!あいつ、確かシエンと同い年だろ?いくら王様だからってさ、ちょっと作り過ぎってこ
    とない?」
有希 「みんな、いい子達なんですよ?僕にも懐いてくれてるし」
蒼   「あいつに似てる?」
有希 「顔は・・・・・似てるかもしれないけど、性格はちょっと違うかも。王子達はどの子も大人ですよ」
蒼   「あ〜、それなら良かった!まあ、男は母親に似るっていうからな」
アル  「また、私の悪口を言っているのだろうっ?ユキ、こやつと話すな!」
蒼   「やだなあ、大人気ない男って!もっと、心をひろ〜く持てよな、アル!」
アル  「私の名前はアルティウスだ!きちんと呼べっ」
蒼   「いいじゃん、長たらしいし」
有希 「アルティウス、蒼さんは親しみを込めて呼んでくれてるんだよ?」
アル  「そうは思えぬっ」
蒼   「単に面倒だから」
有希 「蒼さんも、あんまりアルティウスを刺激しないで下さい!」
シエン 「ソウ、ユキ殿を困らせては気の毒ですよ」
蒼   「シエンが言うなら・・・・・じゃあ、アルティウス」
アル  「バカにされているような気がするのだが・・・・・」
蒼   「(あ〜、そんなに鈍感じゃないんだ)なあ、あんた5人も子供いるって聞いたけど、一番上は何歳?」
アル  「エディエスは・・・・・」
有希 「エディエス王子は10歳です」
蒼   「なんだよ、あんた自分の子供の年も分かんないの?・・・・・ったく、あ〜、でも、それじゃあ、その王子の方が有希と年
    が近いってことだよな?」
有希 「あ、うん、そうですね」
蒼   「乗り換えちゃった方が良くない?」
有希 「蒼さん!」
アル  「何を言うのだ!」
蒼   「だってさあ、有希はこんなに可愛くて優しいのに、アルみたいな男じゃ可哀想だよ」
アル  「きちんと名前を呼べ!」
蒼   「・・・・・」
アル  「シエン王子、このような生意気な子供を正妃にしたなど、そなた一生の不覚だな。まだ遅くは無い、たおやかで美しい
    女を妾妃にした方が利口だ」
蒼   「アルティウス、言い過ぎっ」
アル  「正しいことを言って何が悪い」
蒼   「う〜・・・・・」
シエン 「アルティウス王、妾妃のことならばあなたの方が可能性があるでしょう?そうでなくともつい最近も娼館に通ったとの噂
    も聞きましたし」
有希 「ア、アルティウス、それ、本当?」
アル  「違う!い、いや、確かに行きはしたが、それには理由があって・・・・・っ」
蒼   「スケベ!有希っ、あっち行こう!」
アル  「ユキ!」
有希 「アルティウス、ごめんね。今、ちょっと顔見たくないから・・・・・」
アル  「ユキ!・・・・・っ、シエン王子!貴様ユキに何を言うのだ!」
シエン 「間違いない情報ですよ。潔白ならば、そのように慌てることはないでしょう」
蒼   「シエン!早くこっちに!」
シエン 「今行きますよ。それでは、アルティウス王、私はこれで」
アル  「おい!シエン王子!・・・・・くそっ、誰かおらぬのか!」



                                                                     続く






本当にアルティウスは苛め甲斐のあるキャラです。
蒼君もだんだん楽しんできているような・・・・・。