廉+壮&大輝編
「こっち、おいで、大輝」
さりげなく伸ばされた手に腕を引っ張られ、風呂上りの温かな小さな身体がポスンと長い腕の中に収まる。
「ちょ、ちょっと、廉ちゃん!」
慌てたように身動ぎをしようとすると、反対側から別の手が伸びてきた。
「おい、ダイはお前だけのものじゃないだろ」
「もうっ、暑いよっ、壮ちゃん!」
必死で叫んでも、絡む4本の手はいっこうに離れることはなかった。
高校2年生の浅野大輝(あさの だいき)には、つい最近恋人らしきものが出来た。
それは昔隣に住んでいた幼馴染で、10歳も年上の高校教師、高槻廉(たかつき れん)・・・・・と、もう1人、同じく10
歳年上の建築設計士の高槻壮(たかつき そう)。
名前でも分かるように廉と壮は一卵性の双子で、大輝はその両方と関係を持ってしまった、いわゆる正三角形のような
関係だった。
「廉ちゃんも壮ちゃんも、ひっ付いたら暑いんだって!俺、風呂から上がったばかりなんだよ!」
今日、大輝は初めて2人が住んでいるマンションにやって来た。
廉と壮は別々の部屋に住んでいるのだが、どうやらあらかじめ2人で話し合って決めていたらしく、大輝は今回廉の部屋
に泊まることになった。
「大輝」
「何?廉ちゃん」
「ダイ」
「ん〜?壮ちゃん、何?」
廉と壮が高校に上がった頃からあまり遊ばなくなり、幼いながら大輝はそれも仕方が無いのかと思っていた。
しかし、2人の大輝に対する想いは全く薄れることなく育っていたらしく、先日大輝が16歳の誕生日を迎えて一気に溢
れ出てしまったようだ。
16歳になったばかりの自分にとって、セックス・・・・・それも3人でのセックスというものはかなり衝撃的なものだった。
まさかこの歳で経験するとは思わず、しかもその相手が幼馴染の双子だとはなんだかなと今でも思うが、それでも大事に
されているというのは凄く感じる。
「ほら、ここに座って」
ソファの前のラグの上に座らせられ、そのまま廉は濡れた大輝の髪を乾かし始めた。
自分ですると言っても結局は言いくるめられることが分かっているので、大輝はそのまま大人しく目を閉じる。
優しく髪を撫でてくれる廉の手が気持ちよくて眠たくなってしまうが、ツンと頬を突かれて大輝は顔を上げた。
「ダイ、口開けろ」
「ん〜」
素直に口を開けると、不意に口の中に甘い果汁が広がる。
大輝の大好きな桃だ。
「どうだ」
「おいしー」
「そうか。ほら、あ〜んは」
「あ〜ん」
10歳の歳の差があるせいか、2人は本当に大輝を甘やかしてくれる。
それが年下の幼馴染に対するものか、それとも恋人に対するものか、その違いは大輝にはよく分からないが、触れてくる
指先や唇には以前とは違う意味が含まれているのはさすがに分かっていた。
「・・・・・」
「ダイ」
チュッと、大輝の濡れた唇にキスしてくる壮。
「大輝」
優しく指で髪を梳きながら、細いうなじに唇を寄せる廉。
「・・・・・くすぐったいよ」
これが恋人同士というものなのか、大輝はこれほど大事にされてどうしていいのか分からなくなる。
それでも、廉と壮からすれば全然物足りないらしいのだ。
「・・・・・っ」
後ろからそっと廉が大輝のパジャマの胸元に手を入れてきた。
幾らセックスをしたことがある仲だといっても、ベット以外でこんな風に直接素肌に触れられると困る。
「ちょ、ちょっと、廉ちゃ・・・・・」
「ダイ、こっちもだ」
廉の手を止めようとした大輝の腕を掴み、そのまま真正面から深いキスを仕掛けてくる壮。
「んんっ」
泊まるということは、そういう行為をするのを了承したことでもあるということを大輝はようやく思い知る。
「ま、待って・・・・・っ」
「「待てない」」
焦ったように言う大輝に2人は笑いながら答え、そのまま壮が大輝の身体を抱き上げた。
「早く俺達の身体を欲しがるようになってもらわないとな」
「今日は週末だし、たっぷり可愛がってあげるよ」
「・・・・・っ」
構えなかった10年分の想いは、大輝の想像以上に熱く激しいものらしい。
2人分の愛がどれ程のものか、大輝はこれから自分の身をもって知ることになるようだ。
end