虎と6匹目の子ウサギ
「僕を楽しませてくれたら、これ以上なく気持ちよくしてあげる。カッコいい虎さん、僕の言葉、聞き取れた?」
「・・・・・本当に兎族って奴は淫乱なんだな」
「ふふ、そうかもね。僕達は気持ちいいことが大好きだから。でも、みんなそんな僕達を抱いて楽しんでいるんだ。どうする?僕
を抱く?それとも、逃げる?」
目の前の、華奢で幼い容姿のウサギに、コードは一瞬言葉に詰まってしまった。
このまま逃げるのも面白くないし、かといって言われるまま手を出すのも悔しい。
(本当に、こいつはあのキアの兄弟なのか?)
内心疑問に思いながらも、どこかキアに良く似た面差しの子ウサギ・・・・・ルカを、コードはじっと見下ろしながら考えた。
同族の雌や、それ以外の肉食動物の雌も、数々抱いて快感に落としていった虎族のコード。
遊び慣れた彼は、噂で最高の快楽を与えてくれる種族の事を耳にした。
どんな相手にも足を開くウサギがいるという村にやってきたコードは、種族の繁栄以外の目的なら、雄同士の交尾の方が気持ち
いいと、兎族の雄を捜して歩いていた。
そんな中、偶然出会ったのはまだ子ウサギのキアで、しかも彼は雄だった。
子供子供したキアは、とても淫乱な兎族の一員とは思えなかったが、彼と一緒にいる狼族の男を見た時、このまま彼を見逃す
のが惜しくなってしまった。
幼い彼を口先で言いくるめるのはとても簡単で、誤解したらしい狼族の男は姿を消してしまった。
その後、キアと話をし、実際にその肌に触れた瞬間、快感へと躊躇い無く落ちていく幼い身体に、噂というのは嘘ではないのだと
いうことがはっきりと分かった。
初めて会ったのに、愛しいという気持ちに近い想いを抱いて愛撫を続けたのだが・・・・・肉欲を知らない幼い子ウサギは、既に
恋心というものを知っていた。
いざペニスを挿入しようとして、拒絶をされた時、そして、立ち去ったはずの狼族の男が再び戻ってきた時、コードはそれ以上深
入りするのを止めた。
軽い身体だけの関係を好んできた自分が変わってしまうのが・・・・・怖かった。
あっさりと立ち去ったのは自分の捨てきれない矜持の為で、それなのに再びキアのいるこの村に来てしまったのは誤魔化し切れ
ない未練のせいで・・・・・。
その時、コードは一匹の子ウサギと出会った。
キアよりは大人びた表情の、それでもまだ子供だといえる年頃のその子ウサギは、コードを見て驚いたように目を見張った。
しかし、それは肉食獣の虎に出会ったという恐怖というよりは、思い掛けない場所で思い掛けない相手に出会ったというような
表情だった。
「こんにちは」
直ぐに、その子ウサギは笑いながらコードに近付いてきた。
「この村の住人じゃないよね?」
「・・・・・ああ」
「何しに来たの?」
「・・・・・兎族と交尾をする為だ」
誤魔化す必要も無いとそう言うと、子ウサギは年に似合わない笑みを浮かべる。
「やっぱり・・・・・あなた、コードさんでしょ?」
「・・・・・」
(どうして俺の名前を?)
訝しげなコードの表情に、子ウサギは楽しそうに言った。
「僕は、キアの直ぐ上の兄弟なんだ。キアから、あなたのことは聞いているんだよ?金色の瞳と毛を持つ、とっても優しい虎族と
会ったって」
「キアの・・・・・兄弟?」
「キア、あなたと交尾しなかったでしょ?」
「・・・・・」
「あの子はレンだけをずっと好きだったから。幾ら淫乱な兎族の一員だといってもね、一途な想いを抱くことが出来る子もいるん
だよ?心と身体は違うかもしれないけど」
(この子ウサギがキアの?)
キアの言葉から、兄弟がいることは知っていたが、キアとあまり変わらない年頃の兄弟だとは思わなかった。いや、あの言葉から
は、もっと他にも兄弟がいるようなことも言っていたが。
そんな事を思いながらも、コードは自分がキアに振られたんだろうということを言われているような気がして面白くは無かった。
この村に今来ていること自体、キアに未練があるのだろうと思われているような気がして嫌だ。
「・・・・・」
コードは何も言わないまま、早くこの場から立ち去ろうと子ウサギの横を通り抜けようとする。
すると・・・・・。
「ねえ、僕と交尾しない?」
「・・・・・何?」
「兎族と交尾がしてみたかったんでしょう?それなら僕でも構わないんじゃない?」
「お前・・・・・」
「ルカ」
「ル、カ?」
「僕の名前だよ。最中にキアの名前を言われたらやっぱり嫌だもんね」
あっけらかんと言い放つルカに、コードは何と言っていいのか分からなかった。
「僕達は気持ちいいことが大好きだから。でも、みんなそんな僕達を抱いて楽しんでいるんだ。どうする?僕を抱く?それとも、
逃げる?」
「本当にいいのか?」
「うん、気持ちよくしてあげるよ」
見知らぬ村の中に宿を取るのも気が進まず、ましてやルカの家にも行けないので(キアと会ったりしたら何と言っていいのか分か
らない)、2匹はそのまま近くの森の中へと向かった。
コードにしても、ルカにしても、外での交尾には慣れていたが、それでもコードはもう一度ルカに聞いてみた。
キアのように、いざという時にやっぱり嫌だと言う可能性があると思ったからだ。
しかし、ルカは笑いながら、自分で着ている服を脱いでいった。
「ここまできて、やっぱり嫌だなんて言わないよ?」
「・・・・・」
「一応僕は慣れているから、きっと気持ち良くしてあげることは出来ると思うけど」
そう言うと、ルカはいきなりコードの身体を草の上に押し倒した。
「ふぁっ、んっ、あっ!」
甘やかな高い声が響く。
子供のような、それでいて成熟した大人のような、どちらともに聞こえる声はやはりキアとは違い、コードは自分の腕の中にいるの
は明らかに別のウサギだと思い知った。
(兎族って言うのは、みんなこんな身体をしているのか?)
ルカの身体を見下ろして、コードは感嘆するように唸った。
キアの、柔らかく甘く、真っ白い身体も不思議に手に馴染んだが、ルカの身体もそれに負けず劣らず素晴らしく綺麗だった。
キアがまだ誰にも触れられたことが無い、どこか硬い果実のような感じがしたのに対し、ルカの身体は柔らかく蕩けて、少し触れた
だけでも上がる声は、コードの欲望を確かに刺激した。
「本当に淫乱だな」
「そ、れが、僕達、兎族の、特性だ、もんっ」
荒い息の下、ルカは素直に答える。
そして・・・・。
「コードさん、してくれるばかりじゃ、なくて、僕が、してあげる」
そう言ったかと思うと、ルカは自分の胸元を舐めているコードの肩を少し押し返し、そのまま上半身を屈めていきなりコードのペニ
スを口に含んだ。
「!」
柔らかな粘膜に包まれたかと思うと、まるで生き物のように小さな舌が自分のペニスに絡み付いてきた。
雌を相手にした時はもちろんしてくれた相手もいるが、そんな雌達の愛撫が子供じみて思えるほどに、ルカの愛撫は濃厚で官
能的だった。
長大なコードのペニスをかなり喉の奥深くまで咥え込み、喉のザラザラとした部分でペニスの先端部分を擦られるのは何ともいえ
ない感覚だ。
全てを絡めとるほどに長くは無い舌も器用に動き、唇自体や歯も使って、ペニス全体を愛撫してくれている。
「・・・・・っ」
(こ・・・・・んなのっ、初めてだ・・・・・っ)
クチュッ
口からペニスを出したルカは、小さな手でペニスを擦りながら笑った。
「気持ちいい?」
「あ・・・・・あ」
「素直だね、コードさんは」
「そこを握られたら、嘘なんてつけないだろーが」
「ふふ、そうだね」
既に先走りの液をたっぷりと零しているコードのペニスをクチュクチュと粘液の音をさせて擦りながら、ルカはチュッと先端に軽く口
付けた。
たわいの無いそんな仕草が舐められる事自体よりも感じて、コードは今にも精を吐き出しそうになっているのを必死で我慢しよう
とする。
「出したい?」
しかし、そんなコードの気持ちさえ全て分かっているかのように言ったルカは、片手でコードのペニスを愛撫したまま、その腰の上
に自分が乗り上げた。
小さなルカのペニスも既に勃ち上がっていて、それをコードのペニスに擦り付けてきたのだ。
「うっ!」
手とも、口とも全く違うペニス同士を合わせる感触に、コードはとうとう我慢していた精を勢いよく吐き出してしまい、ルカの腹と
ペニスを白く汚してしまった。
一度精を吐き出したら、本来は少し落ち着くはずだった。
しかし、コードは自分の精液で下半身を白く汚して、その精を指ですくって舐めるルカを見て、そのペニスは萎えることなく更に勢
いづいている。
今更隠すことは無いと開き直ったコードは、ペニスを持ってルカに言った。
「これを入れさせてくれるんだろうな?」
「もちろん」
ルカはそのまま腰を持ち上げた。
そして、下半身に滴っているコードの精液で自分の手を濡らすと、それを見せ付けるように自分の尻の狭間へと滑らせる。
自分を受け入れる場所をルカ自らが慣らしているのだと思うと、コードは胸がまたドクンと高鳴った。
「ルカ」
「・・・・・」
名前を呼ぶと、ルカは嬉しそうに目を細め、そのままゆっくりとコードのペニスを手で持つ。
「大丈夫か?」
「うん」
普通よりも大きいと言われる自分のペニスが、ゆっくりとルカのきつい孔へと入り込んだ。
「うあっつ、はっ、あんっ、あ!」
「くっ」
自分の腹の上で、ルカは踊っていた。間違いなくこの白い尻の孔に、自分のペニスが入り込んでいるのだ。
(す・・・・・ごいっ、狭くて、熱い!)
雄の中がこんなに気持ちがいいものとは実際思わなかった。いや、これは最初から快感だけを与えてくれる兎族の雄だからかもし
れない。
雌でさえ、大きなコードのペニスが中に馴染むまで少し時間が掛かるというのに、ルカは直ぐにコードの腹に両手を置くと、自分
から卑猥に尻を動かしていた。
絞られるようにきつく締め付けられたかと思うと、まるで蠢くような様々な刺激がペニスに与えられる。
こんなに気持ちのよい身体は初めてだった。
「も・・・・・とっ、動いて!」
ルカの言葉に、このままでは主導権を取られたままだと思ったコードは、ぐっと腹に力を入れて起き上がると、そのままルカの身
体を押し倒して自分が覆い被さった。
「きゃあ!!」
細く白い足を掴んで大きく開かせ、自分のペニスがルカの狭い尻の孔に出入するのをじっと見る。
(あんな小さいところに・・・・・っ?)
その光景はとても淫猥で、コードの腰の動きは全く止まらなかった。
やがて。
「・・・・・!」
「ああ!」
最奥を突くように腰を突き入れ、そのままコードは中に精を吐き出した。
ルカの身体の中に自分の精を塗りこむようにそのままペニスを動かし続ける。
「あっ、あっ、あっ!」
一向に萎えないコードのペニスは、更に激しくルカの身体を味わい続けた。
どの位精を吐き出したのか、コード自身も分らなかった。
ただ、ルカと出会ったのは太陽が真上にあった頃だというのに、今はもう空が赤く染まっている。
「・・・・・」
コードは、寝転がったまま視線を移した。そこには小さな泉があり、ルカが全身をドロドロに汚している精を綺麗に洗い流してい
た。
(あれほど抱いたのに動けるなんて・・・・・これが、淫乱な兎族ということか?)
実際にルカを抱き、兎族の身体の素晴らしさを直に知った。
だが、多分それはこのルカだったから・・・・・そう思った。
(俺は・・・・・)
「コードさん」
不意に、名前を呼ばれた。
慌てて起き上がると、そこには既に服を着終えたルカが、にっこりと笑って立っていた。
たった今まで自分の腕の中であんなに可愛らしく喘いでいたのに、今のルカにはそんな淫猥な雰囲気は無い。濡れている髪と、
少し赤い目元に余韻が残っているものの、それでも今のルカは愛らしいという表現が一番似合っていた。
「これで、満足したでしょ?」
「え?」
「兎族が抱きたかったって言ってたじゃない。これでもう、キアに手を出すことは無いよね?」
今までキアのことなど忘れていたコードは、いきなりその名前を呼ばれてドキッと顔を上げてルカを見つめる。
その時ルカは・・・・・頬には笑みを浮かべていたものの、瞳には強い決意の光が宿っていた。
「キアはあなたの事を言っていた。優しく触れてくれたのに、やっぱりレン以外は駄目だったって。でも、これでキアの罪悪感も薄
れるよ。コードさんはキア以外のウサギを抱いて満足したよって」
「・・・・・お前、まさかキアの為に、俺と?」
「・・・・・ただ、交尾したかっただけ。じゃあ、僕帰るから」
「おいっ、ルカ!」
「さよなら、コードさん。あなたのペニスはとっても気持ち良かったよ」
そのまま、振り返らずに歩いていくルカの後ろ姿を、コードは何も言えずに見送っていた。
あの時、キアと狼族の男を置いて立ち去ったのは自分の方だったが、あの2匹は今の自分のように取り残されたという気持ちで
はなかっただろう。
「・・・・・」
抱いている間、気持ちいいとは言っても、一度も好きだとも愛しているとも言わなかったルカ。
彼にとっては自分との交尾も、数ある中の一度でしかなかったのかもしれない。
(このまま・・・・・?・・・・・いや)
「このまま、逃がしてたまるか」
あの淫乱で可愛くて、弟思いの子ウサギを、自分以外の雄に渡してたまるかと思った。他の雄と共有するつもりもないし、指を
触れさすことも許せない。
「覚悟しろ、ルカ」
淫乱で、快感に弱い、この世の最高の快楽を与えてくれるという兎族。
誇り高い虎族の自分が掴まってしまったとは思いたくは無いが、欲しいと思ったのだから仕方が無い。
気持ちは、既に固まった。
あの可愛いく計算高いウサギを狩りに行く・・・・・コードは立ち上がると、今日初めてと言ってもいい笑みを口元に浮かべた。
end