光の国の恋物語





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 恋しいという自分の思いを自覚する前に稀羅の身体を受け入れてしまった莉洸。
それでも今は確かに稀羅への愛情を感じているし、自分もまた愛されているのだと日々伝えられている気がしていた。
自分よりも遥かに大柄な身体に抱きしめられても、それが父や兄達の抱擁と同じ意味だとはもう思わない。そこには確かにお互
いを想うという感情が存在しているのだ。
 「んっ」
 寝台にゆっくりと下ろされながら重なってくる唇。唇を舐められたら、莉洸は反射的に口を開けて稀羅の舌を受け入れた。
全て、稀羅が教えてくれた通りにする。
 「ふ・・・・・っ」
深い口付けを交わす時の呼吸の仕方も、舌の絡め方も、全て稀羅の好みのやり方を教えてもらった。
こういったことに全く免疫が無く、また、少しは知識として知っていた男女の関係からも逸脱している自分達に合うやり方というのは
莉洸には全く想像も出来なくて、申し訳ないと思いながらも一から稀羅に教えを乞うた。
何も知らなかった自分に一々教えるのは稀羅にとっても大変なことだったとは思うが、身体を重ねるごとに互いに想う気持ちが大
きくなっていくのは嬉しかった。
自分でも見ることのない秘部を晒すことも、排泄に使う器官を口で愛されることも、莉洸にとってはこの上もなく恥ずかしいことだっ
たが、それを稀羅も望んでいるのだと思えば我慢も出来る。
 いや・・・・・。
(僕は・・・・・愛されたいと思っている・・・・・)
莉洸は舌を絡め合う濃厚な口付けに何とかついていきながら、稀羅の背中に回した手にギュウッと強く力を込めた。



 小さな莉洸の身体を抱くのは今でも怖いが、それでも稀羅は手を伸ばすことを止められなかった。
男の身で男を受け入れるという、莉洸の身体には多大な負担が掛かることも分かっていて、それでも最低限の日を空けるだけで
気付けば自分の身体の下に組み敷いていた。
 「莉洸」
 「稀羅様」
 恥ずかしそうに頬を染めながら自分の名前を言ってくれる唇を奪い、そのまま夜着の紐を解いていく。直ぐに真っ白な肌と、淡い
胸の飾りが面前に現れた。
 「愛らしい」
 「あっ」
胸の飾りを口に含みながら、稀羅は手を下半身に伸ばす。快楽に弱い莉洸のペニスは、既に今の時点でジワリと甘い蜜を零し
始めていた。
 「ん、まっ、待って、くだ・・・・・っ」
 快感を感じていても、まだ理性は残っている。自分のペニスを愛撫される恥ずかしさで口では拒絶の言葉を吐く莉洸だが、自
分でも無意識に細い腰が僅かに揺れ始め、勃ち上がったペニスを握り締めている稀羅の手に擦り付けていた。
 「あっ、あっ」
見下ろせば、かなり淫らな光景だ。普段は全く世の汚らわしい欲とは無縁に見える莉洸だからこそ、無意識の内に愛撫をねだる
姿を稀羅は何時も楽しんでいた。莉洸が望めば望むほど、自分が欲しがられていると思えるからだ。
 「莉洸、どこが心地良い?」
 「そ、そんなっ・・・・・ことっ」
 「言葉で言わねば何時までもこのままだぞ」
 稀羅の片手の中にすっぽりと入ってしまう小振りなペニスの先端を爪で引っ掻き、震える感触が分かっても射精を促す愛撫を
与えない。しっかりと快感を塞き止められてしまった莉洸は、ますます身体を揺らした。
 「稀、稀羅様ぁ・・・・・っ」
 「どこが良いのだ」
 「・・・・・」
 「・・・・・」
 「・・・・・稀、稀羅様の・・・・・お手が、触れて・・・・る、ところが・・・・・」
 「熱い蜜を零しておるここか?」
そう言うと、稀羅はいきなりペニスを強く擦る。
 「はっ・・・・・いっ」
 「よく言えた、莉洸。直ぐに・・・・・」
指先や手の腹を使い、稀羅は莉洸のペニスを愛撫し始める。快感の途中で止められていた莉洸の気はたちまち高ぶり、
 「あぁぁ!」
やがて、稀羅の手の中に白濁した快感の証を吐き出してしまった。



 荒い息を吐きながら、莉洸は自分の目の前で稀羅が指を舐めているのを見ていた。
白く汚れているのは自分の吐き出したもので、本来ならこんな汚いものを稀羅に舐めさせたくはないのだが・・・・・快楽に弱い自
分の身体は何時も稀羅の思うように射精してしまい、結果、稀羅は莉洸の吐き出したものを口にするのだ。
 「稀羅様・・・・・」
 「どうした」
 「は、早く、稀羅様も気持ちよく・・・・・」
 自分だけが快感を感じるのは申し訳なかった。
莉洸はほとんど力の入らない足をどうにかして僅かながらも動かし、ここに差し入れて欲しいとそっと手を伸ばした。
 「ここに・・・・・」
少しだけ指先が触れてしまったそこは、自分が吐き出したもので既に濡れていた。しかし、このままではまだ稀羅を受け入れること
が出来ないという事も今ではよく分かっている。自分のものとは比べ物にならないほどに長大な稀羅のペニスは、勃ち上がった状
態ではほとんど子供の腕ほどの大きさになってしまうのだ。
解さないままでは当然自分の小さ過ぎる穴は切れてしまうだろうし、何よりも稀羅に快感を与えることが出来ない。
 「稀羅様・・・・・お願い・・・・・」
 ここを、稀羅のペニスが受け入れられるほどに解すのは稀羅の役目だ。こういった行為は入れる側がするのだと教えられた莉洸
は、早くして欲しいと稀羅に願うことしか出来ない。
 「お願い・・・・・っ」
再度願うと、じっと見下ろしていた赤い瞳が欲情に濡れたように光るのが分かった。



 莉洸が尻の蕾に触れながら自分を誘う様は淫らなのに初々しい。
ここに触れていいのは自分だけだと教えているので、莉洸はどんなにそこが・・・・・身体の内側から疼きがこみ上げても、自分でそ
こをいじることが出来ない。
そのじれったさに身体を揺らし、ただ自分に懇願するしか出来ない莉洸が可愛かった。
 「分かった、直ぐに可愛がってやる」
 「は・・・・・い」
 「身体の力を抜くように」
 言葉で言わなくても、既に莉洸の身体からはすっかり力が抜けていて、稀羅は軽々とその腰を抱き寄せて足を大きく開かせた。
精を吐き出したばかりのペニスは小さく萎んでしまっているが、そのもっと奥・・・・・自分を受け入れるその蕾は、まるで稀羅を誘う
ように小さく震えていた。
 「・・・・・」
 「ひゃあっ」
 莉洸の吐き出したものはあらかた舐めてしまったが、まだ濡れている手と、莉洸自身のペニスから零れてしまった液を利用して、
稀羅は蕾にそっと触れた。どんなに気が急いていても、この準備を丹念に、それこそ莉洸が泣いて止めてくれと言い出すほどに濃
厚に愛撫を加えなければ、愛しい莉洸の身体が傷付いてしまう。
(最初のようなことにはしたくない・・・・・)
 あの時は稀羅自身も急いて、結局は莉洸の身体を傷付けてしまった。莉洸自身男をそこで受け入れることが初めてな上(当
然だ)、稀羅のペニスはかなり大きい。
今ではかなり念入りな愛撫を施せば傷付くことは無くなったが、それでも莉洸には受け入れるだけで負担を与えてしまうのだ、どん
なに本人が嫌がっても、ここの手間を惜しむことは出来なかった。



 熱く濡れたものを尻の奥に感じる。
それが稀羅の舌だという事はもう分かっているが、莉洸は目を開けることなどとても出来なかった。嫌などではない、そんな場所を
舐めさせる稀羅に申し訳ないと思ってしまうのだ。
稀羅の大きなペニスを受け入れる為の必要な準備ではあるが、それを稀羅自身にさせることは本当はしたくない。出来ればそれ
は自分がしたいとは思うのだが、莉洸は自分のそこに触れるのさえも怖くて恥ずかしくて出来ないのだ。
 「はっ、あっ、あっ」

 クチ クチュ

生々しい水音が耳に響き、同時に確かに感じるその部分への愛撫に身体が震えてしまう。
 「稀、稀羅様っ、もっつ・・・・・」
もう、ここまででいいと莉洸は半泣きになりながら訴えたが、稀羅のそこを弄る舌の動きは止まらない。

 ニュルッ

やがて、その部分に何かが入り込んできた時・・・・・それが稀羅の舌だと思った瞬間、思わず身体に力が入ってしまった莉洸は稀
羅の舌を締め付けてしまった。