ACCIDENT
28
何もかもいきなり過ぎて、太朗は抵抗さえ出来なかった。
「んっつ、ん〜!!」
キスをする時、鼻で息をすることを教えてくれたのは上杉だが、その教えられた通りの息継ぎさえも出来ないほどの激しい口付け
に、太朗は頭の中が真っ白になってしまった。
「・・・・・ふぁっ、はぁ、はぁ」
ようやく、太朗の状態に気付いたのか、上杉が口付けを解く。
途端に空気を吸おうと荒く息をする太郎の身体を抱き上げたまま、上杉は脱衣所を出て寝室へと足を向けた。
「ジ、ジローさ、どう、し・・・・・っ」
「お前が悪い」
「へ・・・・・?」
「お前が可愛い過ぎるから悪い。俺が何とか余裕を持って抱こうとしたのに・・・・・なんでそんなことをするんだ」
「な、なに?」
「覚悟しろよ、タロ。明日は絶対足腰立たないようにしてやるからな」
「ジ・・・・・」
一方的に宣言されても、太朗は何が何だか全く分からなかった。
とにかく上杉が自分を悪いと言い、可愛いなどと恥ずかしいことを言う言葉だけは聞き取れるものの、それがなぜいきなりのこの行
動になってしまったのかは全くの謎だ。
(お、大人のクセに、急ぎ過ぎなんだってば〜!!)
太朗の叫び声は、再び重なってきた上杉の口の中へと消えてしまった。
自分のシャツを着た太朗の姿に、情けないほど・・・・・キテしまった。
そんなものに興奮するほどに自分は若くはないと思っていたのだが・・・・・明らかに自分よりも細く小さな身体が、自分が着ていた
シャツの中で泳いでいる恰好はかなり刺激的で、自分の匂いに嬉しそうに包まれている太朗を本当ならその場で押し倒してしま
おうかとも思ってしまったくらいだった。
「・・・・・なんだ、準備いいな」
「え?な、なに?」
シャツの下は、下着も着けていない素っ裸だ。
夏よりは遥かに白くなってしまった、それでも健康的な色の太朗の肌に、上杉は無言のまま唇を寄せる。
「・・・・・ひゃっ」
いきなり小さな乳首を唇で挟んで軽く噛んでやると、それだけで太朗の腰がビクッと跳ねてしまった。
敏感で可愛がり甲斐がある身体に思わず笑みを漏らしてしまった上杉は、指先でもう片方の乳首を摘んだ。本当にささやかな、
小さなそれが、精一杯立ち上がってくる。
「そ、そこばっか、触んなよっ」
「ん〜?でも、お前、気持ちいいだろう?」
「き、気持ち、よくなんかっ」
「嘘付いたら、もっと苛めるぞ」
口から出まかせの嘘などに上杉が誤魔化されるわけが無かった。
それは太朗の性格からももちろんだが、それ以上に素直な身体が教えてくれていた。圧し掛かっている自分の腹に、勃ち上がった
太朗のペニスが当たっているのだ。
既に自分も上半身にシャツを羽織っただけの上杉の腹には、太朗のペニスの先端から溢れる液まで感じるが、もちろん太朗が感
じている証なので嬉しいばかりだ。
(こいつ以外の野郎のなんか、見るのもごめんだけどな)
「ほら、タロ、これは何だ?」
上杉は自分の片手にすっぽりと納まる、まだ綺麗な色の太朗のペニスをすっと擦り上げてやった。
ペニスの勢いは僅かなその愛撫でも更に勢いづき、上杉の手の平を跳ね返してくる。
「んっ」
上杉の愛撫には少しも逆らわない太朗の従順な身体は、ビクビクと上杉の手の動きに反応し、そのたびに快感の液で上杉の手
を濡らしていった。
「・・・・・気持ちいいか?」
耳元で囁いてやると、声も出ないのか太朗はコクコクと首を上下に動かすことしか出来ない。
「タロ・・・・・」
「・・・・・あっ、ジ、ジロ、さ・・・・・っ」
「まだ、今からだぞ」
こんなものは、まだ愛撫とも言えない触れ合いの段階だった。
上杉の手が、指先が、巧妙に太朗の快感を高めていく。
男を抱くのは太朗が初めてだと言ったくせに、手馴れたその動きには太朗は翻弄されてばかりだった。
(く、苦し・・・・・っ)
少しも休ませてくれない上杉の手を何とか自分のペニスから離したいのに、太朗の身体は少しも太朗の言う通りに動いてくれな
い。
何時もは上杉が苦笑するくらい自由なはずの自分は、こんな時は・・・・・この時だけは、心も身体も上杉の意のままにしか動くこ
とが出来なかった。
(ず・・・・・るいっ)
経験値の差というのも大きな問題だろうが、それ以上に愛情の大きさも関係があるのかもしれない。
自分が上杉を大好きだと思う以上に、上杉はより大きい愛で太朗を包み込んでしまうので・・・・・結局、太朗は上杉のすること
を何一つ拒むことが出来ないのだ。
「ああっ!」
そして。
堪え性の無い太朗のペニスは、最初の快楽の証を上杉の手の中で吐き出してしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ」
小刻みに胸を上下させる太朗に向かい、上杉は自分の手を濡らした太朗の精液をその目前でペロッと舐めてみせる。
「・・・・・っ」
そんなものを舐めるなと大声で言いたいが、今の息の下では太朗はとても声を出せそうになかった。
(まあ、美味くはないが・・・・・不味くもない、か)
幾ら太朗の出したものとはいえ、甘露のようにとは言えない精液の味だが、舐めても不快になることは絶対に無い。
「・・・・・」
「・・・・・っ」
(なんか、追い詰めてる感じなんだがな)
じっと自分を見上げてくる太朗の頼りない表情を見ると、可哀想というよりはゾクゾクするほどに楽しく思えて、上杉はそのまま身
体を起こすとバッとシャツを脱ぎ捨てた。
「・・・・・っ」
「じっくり見てもいいんだぞ、お前のもんだ」
自分の視線も、キスも。
この手も足も、ペニスも・・・・・そして心も。
全ては太朗のもので、もう上杉が自分で自由にすることなど出来ない。
それと同時に、太朗の頭のてっぺんから足の爪先まで、その真っ白な心ごと全ては自分のものだ。
お互いがお互いのものなんて最高だと、上杉は口元ににやっと笑みを浮かべた。
ゆっくりと、まるで太朗に見せ付けるように上杉はベルトを外し、下半身を露出していく。
ピッタリとしたボクサータイプの下着は、既に勃ち上がり掛けたペニスで押し上げられていて、そのあからさまな欲望の形に太朗は
慌てたように目を逸らしている。
「・・・・・」
その仕草に、上杉は笑みを更に淫蕩なものに変えた。
「お前を欲しがって勃ってんだ、よく見ろ」
「や、やだよっ」
「本当に?」
下着をずらすと、上杉の欲望が現れた。
太朗の可愛らしいそれとはまるで違う、大人の男の生々しい欲望だ。
早くこれを太朗の身体の奥深くに突き刺したくて、上杉はそのまま太朗の身体の上に覆いかぶさっていった。
広いベッドの上で、大きな身体と小さな身体が絡まっている。
鍛え上げた上杉の身体の前では太朗の身体はあまりにも幼過ぎて、傍から見ればこのセックスはアンバランスで一方的なものに
見えるだろう。
しかし、やり方はともかく、太朗も上杉を求めているのは本当で、このセックスも立派に合意の上だった。
「あっ、ふぁっんっ!」
2つのペニスが、2人の身体の間で、ニチャニチャと水音をたてながら擦り合っている。
無意識の内に刺激を求める太朗が必死で上杉の肩に爪をたてて、自分とはまるで違う大人のペニスに自分のペニスを擦り付け
た。
ペニスを濡らす粘ついた白い液はいったいどちらのものなのか・・・・・それさえも分からないほどに全てが混ざり合って、
「・・・・・あ・・・・・んっ!」
「・・・・・っ」
太朗は二度目の、そして、上杉も今夜初めての精液を、2人の腹の間で吐き出してしまった。
(・・・・・ちっ、もう少し持つと思ったんだがな)
思っていた以上に太朗に飢えていた自分に、上杉は情けなさと照れを同時に感じて、そのまま太朗の口腔内を強引に犯した。
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