愛情の標










 チラチラと海藤を見ながらパジャマを脱いでいく真琴は、緊張しているのかなかなかボタンを外せずにいる。
しかし、海藤は手伝ってやることはせずに、自分の腰にまたがっている真琴を下から見つめていた。 
下半身は既に裸で、つい先程まで尻の窄まりに海藤の愛撫を受けていた。全て自分がすると言っても、さすがに穴を解す
という行為は自分では出来ない。
出来るだけ日を置かずに抱くようにしたせいで、真琴の身体は随分柔らかく海藤を受け入れるようになったが、羞恥心の
方はなかなかとれない様だ。
しかし、そんな何度抱いても初々しいままの真琴が、海藤は可愛くて仕方がない。
 「よ、よし、行きますよ?」
 寝ている海藤の上にまたがって、自分から受け入れる体位・・・・・騎乗位は初めてだ。
真琴は恐る恐る海藤のペニスを手で支えながら腰を下ろすが、太い先端はなかなか真琴の中に入らない。
 「・・・・・っ」
既に真琴の尻の窄まりは、海藤の愛撫によって指が三本含めるほど広がっている。しかし、海藤のペニスはもちろん指より
太いので、簡単に飲み込むことなど出来なかった。
 「・・・・・海藤さん」
 「どうした?出来ないか?」
 「う・・・・・出来ます」
 真琴は羞恥で首筋まで真っ赤に染めながら、片方の手を自分の窄まりに押し当て、思い切ったように指を入れて穴を
広げた。
 「!」
自分の身体の中を自分の指で触れるという事実に一瞬息を呑んだが、真琴は震える足を踏ん張りながら再び海藤のペ
ニスを支えると、少しだけ開いた穴に差し入れた。
 「ひっ、あっ、はっはっ、ああ!」
 メリメリと音が鳴るような衝撃が襲い、真琴の腰は止まってしまった。
 「真琴」
 「で、できな・・・・・っ」
 「ご褒美だ」
海藤はそう言って、いきなり真琴の腰を掴むと自分の腰の上に落とした。
 「!!」
海藤の力と自分の体重で、真琴は一瞬の内に根元までペニスを受け入れる。
その一突きで真琴はイッてしまい、海藤の腹に白い精液を撒き散らしてしまった。
 「動くぞ」
 「ま、待って・・・・・」
 「お前の姿を見てたら、我慢出来なくなった」
 「ああっ!」
 下から激しく腰を動かしながら、海藤は自分の上で喘いでいる真琴を見た。
ツンと尖った乳首に手を伸ばして摘んでやると、気持ちいいのか自分から胸を突き出してくる。
細身のピンク色をしたペニスからもとめどなく精液を流し続け、二人の結合した部分からは液体の擦れ合ういやらしい音
が響いた。
 「あっ、あんっ、か、かいど・・・・・さ・・・・・」
 「どうした?」
 さすがに荒い息の海藤に、真琴は涙を溜めた目を向ける。
 「き、きもち・・・・・い・・・・・い?」
その言葉に、さすがに驚いた海藤だったが、直ぐに目を細めて真琴の涙を指で拭った。
 「ああ、気持ちいい」
 「うれ・・・・・し・・・・・」
 真琴のその言葉に、とうとう海藤の理性も切れてしまった。
 「あ!」
海藤は腹筋を使って起き上がると、今度は反対に真琴の身体の上に覆いかぶさり、激しくペニスを出し入れする。
ギュッとしがみついてくる真琴の身体を強く抱きしめ返すと、海藤は真琴の身体の最奥に熱い精液を吐き出した。



 「何人目だ?」
 「今回で4人目です。微罪とはいえ一応罪ではありますが、気になるのはどうして都合よくその場に警察がいたかというこ
とです」
 宇佐見との対面から一週間経った。
海藤は目の前の倉橋の報告に眉を顰める。
 「何らかの意図があるのか?」
 「はっきりはしませんが、あまりにも偶然が重なりますので」
 ここ数日で、組員が続けて逮捕された。それはスピード違反や、車の違法改造、酔った上での喧嘩など、確かに犯罪
は犯罪だが、かなりの微罪だった。
喧嘩などは、たまたま相手から喧嘩を吹っかけられ、一発手が出た途端警官が駆けつけた。相手がサラリーマンというだけ
で、相手は放免、組員だけが拘留されたのだ。
組の弁護士からその話を聞いた倉橋は、重なる逮捕に懸念を抱いた。
 「今うちはやばいことはしていませんが、どこから付け込まれるか分かりませんから」
 「あいつか?」
 海藤の言葉に含まれている意味を正確に把握し、倉橋は念の為と前置きして言った。
 「あの方も随分出世されましたから。周りで何かあるかもしれませんし、一応綾辻に調べてもらっています。彼は面が割
れていないので大丈夫でしょう」
 「・・・・・」
 数年前会った時とは違い、宇佐見はかなりの権力を持つようになっている。
海藤ほどの大物は簡単に捕まえることは出来ないだろうが、外堀から攻めて何かを掴もうとしているのかもしれない。
 「全く・・・・・困った奴だ」
 「・・・・・」
倉橋は何も言えず、ただ海藤の横顔を見つめていた。