赤い鎖










 前立腺の場所を探し当てた綾辻の器用な指は、敏感な倉橋の襞を休むことなく刺激し続ける。
 「あっ、あっ、はぁ・・・・・っ」
薄い唇の端から零れる唾液がシーツを濡らしていくのも気付かず、倉橋はただ綾辻の腕の中で身悶えている。
尻の蕾に根元まで入れられた綾辻の指は、今は2本になっていた。



せめて、指が3本以上入るまで解さなければ流血沙汰だろう。
自分のペニスの大きさを正確に把握している綾辻は、欲望のまま突っ走りかねない自分を必死で抑えていた。
(克己が色っぽいのが悪い)
 正直、ここまで倉橋の印象が変わるとは思ってもみなかった。
確かに綺麗な顔立ちはしているし、あのストイックな雰囲気を壊したらかなり変化するとは思っていた。
しかし、それがここまでとは・・・・・綾辻は倉橋の滑らかな肌に舌を這わせながら、この艶やかで臆病な存在をどうやって最後ま
で手に入れるか、ずっと考えている。
 「克己・・・・・」
 「あ、あやつ・・・・・」
 「ん?なんだ?」
 「く、くるし・・・・・っ」
 そもそも受け入れる場所ではないところを開かれようとしているのだ。キュウッと指を締め付けられている綾辻以上の痛みが倉
橋を襲っているだろう。
 少し考えた綾辻は身を起こし、倉橋の足の間に座って胡坐をかいた。
 「な・・・・・に・・・・・ああ!」
綾辻が何をしようとしているのか確かめる前に、倉橋はグイッ腰を持ち上げられた。
自分の下半身の恥ずかしい場所を、余すところ無く綾辻の面前に晒す様に腰を高く上げている自分の格好に、倉橋は息を
つめてしまった。
無意識の内に足に力が入って、そのまま閉じようとしたが、綾辻は強引にすんなりとした足を掴んで広げさせたまま、先程まで
自分の指を咥え込んでいた尻の蕾に口をつけた。
 「!!やめっ、止めてください!」
 許容範囲以上の行為に、倉橋は羞恥と驚愕に肌を染めて身体を捻って抵抗しようとする。
しかし、綾辻の力は予想以上に強く、蕾を舐められるという信じられない行為もなし崩しに受け入れるしかなかった。
 「克己は、こんなとこまで綺麗だな」
 「っ!」
 「毛だって無いし、ほんのりピンク色で・・・・・ほんと、なんかの蕾みたいだ」
 「しゃ、喋らないで下さいっ」
 「はいはい」
(こんな時でも怒られるのか)
綾辻は思わず笑ってしまった。



 硬く閉ざされた綺麗な蕾を、綾辻は丁寧に舐め濡らしていく。
皺の一本一本まで唾液で濡らし、指を差し入れた隙間から唾液を流し込んだ。
本来、初めての相手に対してはせめてローションや、他に滑りやすいものを使ってやるのがいいのだろうが、倉橋に関してだけは
綾辻は全て自分で下準備をしたかったし、今日ここまで出来るとは正直思っていなかったので、倉橋が嫌がってもこの方法し
か考え付かなかった。
 「ふ・・・・・っ、・・・・・んっ」
 押し殺した声と、綾辻が舐めるペチャペチャという音が部屋の中に響く。
頑なだった蕾もしだいに綻んでいき、やがて指は3本入るようになった。
 「克己、きついか?」
 「い・・・・・いから、もうっ」
倉橋としては、この恥ずかしさを長引かせるよりも、痛みを感じる方がましだと思ったのだろう。
綾辻もそろそろ我慢出来なくなっていた。
 「そのまま力抜いてろよ」
 「・・・・・っ」
 既に綾辻のペニスは限界まで硬くなり、先走りの液で濡れ光っていた。
その先端を唾液で濡らした蕾に押し当てると、ヒクンと倉橋の内股が揺れる。
 「入れるぞ」
 「・・・・・!」
ペニスの先端がヌプッと中にめり込んだ。
 「克己・・・・・っつ」
しかし、一番太い先端部分の半分が挿入された時点で、蕾にはキュウッと力が入ってしまい、そこで綾辻は奥に進むことも引
くことも出来なくなってしまった。
(きつ・・・・・っ)
まるでギュッとペニスを握り締められているようで綾辻の眉間にも皺が寄るが、倉橋の身体にはそれ以上の衝撃が襲っている
のだろう。
 いっそのこと一気に押し入ってしまおうと、綾辻は倉橋の腰をしっかり掴み、ペニスの角度を変えて更に中に抉り込むように
進入しようとした。
しかし・・・・・。
 「い、いた、痛い、、綾辻さ・・・・・いた・・・・・っ」
 痛さに我慢出来なくなったのか、とうとう倉橋の目から涙が零れた。
墨を入れる激痛には耐えられた倉橋の身体も、この、男を受け入れるという行為は身体以上に心に衝撃が走っているのだろ
う。
一筋零れ落ちた涙は、次から次へと頬を伝う。
それを見た綾辻は、
 「・・・・・っそ・・・・・っ」
 一度小さく舌打ちをして、まだ先端の途中しか挿入していなかったペニスを引き出した。
 「あ・・・・・っ」
その衝撃に甘い声を上げる倉橋を強く抱きしめ、綾辻は自分と倉橋のペニスを擦り合わせた。
 「克己っ、俺をイかせてくれよっ」
 「で、出来ませ・・・・・」
 「お前のは俺が可愛がってやるから・・・・・っ」
 どうしても、倉橋の涙には勝てなかった。
今この瞬間でも強引にペニスを押し込み、思いのまま揺さぶりたいという欲求は強くあるが、それでも倉橋を泣かせて、痛みを
与えてまで自分の欲望を叶えようとは思わない。
今日のことも、まだ精神的に成熟していなかった倉橋を言葉で丸め込んでここまで来たようなものだ。
とりあえず、自分と身体を重ねるという行為を受け入れることが出来るのだということが分かっただけでもよしとしようと、綾辻は
淫らに倉橋のペニスを愛撫し続ける。
 やがて、おずおずといったように、倉橋の細い指が綾辻の猛ったペニスを掴んだ。
 「・・・・・っつ」
それだけでイキそうになるが、倉橋よりも先に出してしまうという情けない姿は見せられない。
早く倉橋をイカせようと、ペニスの先端から竿の裏筋まで巧みに指先と掌で愛撫する綾辻に倉橋が勝てるはずもまく、
 「・・・・・ああっ」
艶っぽい声を上げて、倉橋が精液を吐き出す。
 「・・・・・!」
そして、綾辻もほとんど握ったままだという倉橋の手の中で、間をおかずにイッてしまった。
 「・・・・・克己」
 お互いの腹を濡らす、お互いの熱い精液。
綾辻は高まった感情のまま倉橋の唇を奪う。
 「ふぅ・・・・・んっ」
甘いこの唇はもう自分のものだと、綾辻はいまだ快感に震え続ける倉橋の身体を強く抱きしめた。







                                                  







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