蒼の光 外伝3
蒼の再生
4
※ここでの『』の言葉は日本語です
愛しい相手にねだられて、それでももう少し待つようにと言えるはずが無い。
最初に蒼に与える痛みのことを思うと抑制が効きそうになるが、目の前で息づく蕾を見るとシエンの我慢も限界だった。
出来るだけ痛まぬよう・・・・・そう思いながら蒼の背を寝台に預け、すんなりとした足を左右に広げる。
「・・・・・シ、シエンッ」
「ソウ?」
「は、早く・・・・・っ、はずかしーよっ!」
恥じらいの言葉も蒼らしく、シエンは口元を綻ばせた。
「私はもっと、可愛らしいあなたを堪能したいのに?」
「か、かわいーってっ?」
「私の目の前にいる、愛らしい伴侶のことですよ」
身を屈め、その耳元で囁けば、しなやかな蒼の身体が震えるのが分かる。
しばらく触れていなかった身体は、どんな風に自分を受け入れてくれるだろうか。それを考えながらシエンは蒼の片足を肩に担ぐと、
自身の滾ったペニスを押し当てた。
香油はもちろん、蒼のペニスから零れた液や、シエン自身のペニスから滲む液も、十分挿入の手助けをしてくれるだろう。
チュク
水音をたてながら先端を少し押し込めば、直ぐにきつく締め付けられた。
それでも、熱い内壁の感触はペニスにダイレクトに伝わってきて、シエンは思わず小さく息をのんでしまう。
「う・・・・・くぅ・・・・・っ」
だが、直ぐに快感を感じたシエンとは反対に、蒼は先ず痛みを拾ってしまったらしい。喘ぎとは言えない、呻くような声に、シエンは
一瞬動きを止める。
まだ先端部分の半分も行かないが、痛みの方をより強く感じているようだ。
それでも、止めようと言うつもりはなかった。自分の都合がいいように考えているのかもしれないが、蒼も止めて欲しいとは思ってい
ないと感じたからだ。
「ソウ」
その代わり、腰を掴んでいた手をずらし、強く手を握り締める。すると、直ぐに蒼も手に力を込めてきた。それと同時に、何度も呼
吸を繰り返し、徐々に身体から力を抜いて行く。
「い・・・・・よっ」
「・・・・・」
まだ、ペニスを締め付ける蕾の力は強かったが、それでも前に進めないと言うほどでもない。
シエンは蒼の言葉に微笑み、勢いよく腰を突き入れた。
グチュッ
「ふっ・・・・・!」
(く、るし・・・・・っ)
存在感のあるシエンのペニスが、少しずつ身体の中に押し入ってくる。
自分の中にまったく別の息づく存在が入ってくるのには何時まで経っても慣れないが、それでも自分を抱いているのが大好きなシエ
ンだというのは潤んだ視界の中ではっきりしていた。
大好きな相手のものなら、何でも受け入れることが出来る。男である自分はただ抱かれるのではなく、相手を抱きしめ返すこと
が出来るのだと思いながら、蒼は圧し掛かってくるシエンの肩を強く抱き寄せた。
たぶん、それは自分で思っている以上に力は入っていないだろうが、目の前のシエンの顔は嬉しそうに綻んで、それだけで蒼の胸は
締め付けられるように嬉しくなる。
「・・・・・っ」
「シ、エン?」
不意に、シエンの眉が顰められた。
「ソウ、少し力を抜いて」
「ちか、ら・・・・・?」
「ここの、ですよ」
そう言って揺さぶられたのは、既に半分ほどペニスが埋まっている自身の・・・・・。
「!そ、そん、なっ、で、できない、よっ」
自分では力を入れているつもりは無いし、身体の奥で波打つ脈動をどうすればいいのか分からないくらいなのにと、蒼は反論し
ようと一度呼吸を整える。
その拍子に、
「うあっ!」
中のペニスがドクンと更に大きくなったように感じた。
「シ、エンッ」
「すみません、ソウ・・・・・ッ」
「え、ひゃあっ!」
どうして謝ったのかを訊ねる前に、ペニスがズッと外に引き出され、次の瞬間には先程よりも奥へと侵入してくる。
その動きは次第に早くなり、ジュクジュクという音が更に大きくなってきた。
「ふぁっ、あっ、まっ、待って・・・・・っ」
まだ身体がペニスの大きさに慣れていないのに、こんなにも強引に侵されてしまうとどんどん頭の中が真っ白になってくる。
(お、おかしくなる、よっ!)
久し振りのセックスに、気持ちだけでなく心までたちまち蕩けていく。
蒼はただ、置いていかれないようにシエンにしがみつくことしか出来なかった。
「あっ、はっ、あぅっ・・・・・!」
シエンは閉じきらない口から喘ぎ声を漏らす蒼をじっと見下ろしていた。
健康的に日焼けした滑らかな肌に汗が滲み、身体を揺らす姿はとても美しい。周りからはその容姿と性格で幼く見られがちな
蒼だが、シエンの目には魅力的な大人の伴侶だ。
「ソウ・・・・・ッ」
名前を呼んで口付けると、直ぐに小さな舌が絡み付いてくる。
ぎこちなく、それでもシエンが教えた通りの技巧で返してくる様が愛おしく、さらに感じさせたくて互いの腹の間で擦られている小振
りなペニスに手を伸ばした。
「あぁっ!」
さすがに、直接的な刺激を受けて高い声が漏れる。
手の中でピクピクと反応を返すそれに更に笑みを深くして、愛液を塗りこめるように手を動かした。本当は口で愛したかったが、ペ
ニスを挿入しているこの体勢ではとても無理だ。
それに、蒼を喜ばせたいという思いと同じくらい、シエン自身も一刻も早く快感に溺れたくて、腰を揺すりながら手を動かすことし
か出来ない。
「あっ、あっ、あっ」
「・・・・・っ、ソウッ」
「はっ、シ、シエンッ」
蒼のペニスから零れ出る愛液がシエンの手を濡らすたびに、ペニスを受け入れている蕾も切なげに蠢く。
久し振りの情交ではあったが、どうやら蒼も快感を拾い集めているようだ。
【必ずや、ソウ殿と来国願いたい】
エルネストからの招待状に、まるで念を押すように繰り返し書かれていた蒼の名前。
彼がどんな気持ちで蒼のことを思っているのか、シエンも同じ思いを持つ男として予想つかないわけではないが、もちろん最愛の妃
を誰かに渡すことも奪われることも考えられない。
エルネストだけでなく、セルジュに対しても同じ気持ちだ。大国の王でも、未開の地の部族長でも、それは変わらない。
「・・・・・我が光は、本当に誰もが欲してしまう・・・・・っ」
呟きは、どうやら蒼の耳には届かなかったようだ。
「ふあっ!」
一際奥を突くと、肩に回った手に力が込められる。
欲して、欲しがられて。お互いの想いが向き合っている自分たちこそ、唯一の一対だと思えた。
「ふっ、うぁっ、あぁっ」
(あ、熱いっ)
シエンの力強い律動に身体が揺れる。もう、恥ずかしいという感覚もなくなってしまい、痛みもとうに遠のいた。
今は貪欲に快感を求めて自分からも腰を振っているのが分かるものの、それを止めることはとても出来ない。
「ソウ・・・・・ッ」
「・・・・・!」
何時もは穏やかに、甘く自分の名前を呼ぶシエンの声が、明らかに欲情した響きで名前を呼んできた。
(ど・・・・しよっ)
気持ちが良くて、目が眩みそうだ。
身体の中を貫くシエンの欲望をもっともっと味わうために腰に足を回し、蒼はシエンの腰に自分の腰を押し当てる。
「んあっ!」
すると、気持ちよい場所にペニスが当たって蒼は一際高い声を上げた。
「・・・・・っ」
「あぁ、んあっ」
そこからはもう、何も考えられなかった。
自分も、そしてきっとシエンも、お互いを貪るように求め合い、静かな部屋の中には喘ぎ声と艶かしい粘膜の擦りあう音しか聞こえ
ない。
ジュク グチュッ
「あっ、あっ、あ・・・・・くぅっ」
「ソ、ウッ」
「・・・・・!!」
グチッとシエンの手がペニスの先端を擦った瞬間、蒼はそのまま精を迸らせてしまった。
気が遠くなるほどに気持ちが良くて腰が震えていると、その内壁の蠢きに感じたのか頭上で熱い吐息が漏れる。
「やだぁっ!」
突然、腰をがっしりと掴まれ、今まで以上に激しく内壁を抉られた。
そして、
「・・・・・っ」
最奥をいっぱいに支配されたと思った瞬間に、熱い精液で濡らされる。
気持ちが良くて、熱くて・・・・・。
「・・・・・ソウ」
そんな風に思った蒼の気持ちが通じたのか、シエンのほっそりとした、それでも自分よりも大きな手が火照った頬を撫でてくれ、そ
の後にしっとりとした口付けをくれた。
(・・・・・気持ち、いい・・・・・)
身体を合わせることもそうだが、こんなふうに唇を合わせるだけでも気持ちが通うような気がする。いや、シエンと触れ合うことで、
自分が愛されていると強く信じることが出来た。
「シ、エン」
「乱暴にしてすみませんでした」
「・・・・・ばか」
「ソウ?」
「俺、怒って、ない」
少し息が上がっているし、まだ繋がっている下半身は痺れたようなだるさを感じているが、それでも痛みなんてまったく感じていな
い。それよりも、穏やかな気持ちになっている自分が不思議だ。
「・・・・・ソウ」
どんな時も、先ず蒼のことを考えてくれるシエンの気持ちは嬉しいが、これは蒼も、いや、2人で望んでした行為だ。
(は、恥ずかしいこと言わせるなよなっ)
蒼の気持ちを分かってくれたのか、シエンは苦笑のような笑みを漏らした後ゆっくりとペニスを引き抜く。まだ身体の奥に欲情が残っ
ていたが、蒼もここで止めないと旅立ちに影響することは分かっていた。
「・・・・んっ」
「・・・・・ソウ、そんなふうな色っぽい声を出さないで」
「だ、だって・・・・・っ」
「しばらく、抱きしめていていいですか」
「・・・・・っ」
(また、そんな言い方!)
優しい彼も大好きだが、少々強引にしてくれたっていいのだ。
そんな思いを込めて、蒼は自分からシエンに抱きついた。もっと、ギュウッと力を入れたかったが、抱かれたばかりの身体では力が入
らない。悔しいと思う間もなく、先ほどまでよりも強い力で抱き込まれ、耳元に唇が触れる。
「もう少し、このままで・・・・・」
なんだか、シエンが可愛く感じた。蒼は笑いながら、自分からもシエンの胸に寄り添った。
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