あやかし奇談
第一章 物の怪の花嫁御寮
14
肌の色よりも少しだけ濃い色の巴の陰茎。
本当に男としての機能を果たせるのかと人事ながら思ってしまうが、考えれば巴は自分達の花嫁になるので、これを女に入れ
ることはこの先無いだろう。
そう考えれば、自分達が可愛がるには最適の姿形だと思いながら、八玖叉はそのまま陰茎を口に含んだ。
「ひゃあっ!」
愛らしい叫び声が頭上から聞こえるが、八玖叉はそのまま口の中の陰茎に舌を絡める。既に自分の吐き出した精液で濡れて
いるそれは、たちまち健気に勃ち上がってきた。
(本当に・・・・・美味)
巴の身体から出るものは、それが涙でも、汗でも、唾液でも、全てが甘く、美味しく感じるが、特に欲情の証であるこの白い
液は、それらとは比べられないほどに甘い。
「んっ、や、めて・・・・・っ」
手を伸ばし、何とか八玖叉の顔を引き離そうと足掻いているようだが、そのせいで腰が揺れて、返って口のもっと奥へと陰茎を
押し入れる形になってしまった。
ここぞとばかり、八玖叉は歯で竿を甘噛みし、先端部分を舌先で刺激し、時折口からそれを出して、今度は張り詰めた竿の
根元の双玉を口の中で舐めしゃぶった。
ピチャ クチュ
「・・・・・っ」
直ぐに、抵抗の声は甘い喘ぎへと変わり、押し返していた両手は髪を掴んでくる。
「あっ、あっ、あっ」
何ともいえない芳香が更に濃密になった。
(もう、か?)
既に、次の放出は間近のようだ。その呆気なささえ巴の身体が物慣れない証拠のようで、八玖叉は再び喉の奥まで陰茎を銜
え込むと、そのまま強引に吸い上げた。
「!!」
華奢な背中が反らされ、ピクピクと身体が震えている。
巴が気をやったことに気付いた慧は、その全てを飲み干した八玖叉の身体を押し退けた。
「・・・・・慧」
責めるように言う八玖叉の唇が白く濡れているのを見るだけで腹立たしい。まだこの身体の最奥に入り込めない今、巴の吐き
出す精液を飲み干すことこそが快感であるのだ。
「何1人で味わっている」
「・・・・・お前は、巴の唇を愛撫しただろう」
「それだけじゃ足りない」
「何を我が儘なことを」
溜め息のように言う八玖叉は放っておいて、慧は今度は自分が巴の下半身の前に陣取った。
快感を放出したばかりでしんなりと萎えた陰茎を手にすると、目を閉じて快感を耐えていた巴の怯えた眼差しが向けられる。
「け、慧さ・・・・・、も・・・・・」
「嫌だと言うのか?」
訊ねれば、何度か首が縦に振られる。
「八玖叉には飲ませて、俺には駄目だと言うのか?」
「ち、違う、俺・・・・・っ」
「巴、俺達三人の夫は、お前にとっては同列だ。一人に飲ませ、一人に飲ませないというのは理に適っていない。お前はその
まま、快感を味わっているだけでいい」
そう言い捨てた慧は、まだ小さいままの陰茎を口にした。
精液は全て八玖叉が飲んだかと思ったが、吸い込めば中から少しだけ出てくる。
(・・・・・美味い)
陰茎を銜えたまま笑った慧は、そのままほっそりとした太股を撫で、まろやかながら小ぶりな尻を摩って・・・・・。
「慧」
既に、小さな蕾の中に指を差し入れていた益荒雄が怪訝そうに声を掛けてくるが、そんなことは全く構わなかった。
数度射精している巴の陰茎から甘い蜜が零れるのは少し先で、それならば、いずれ自分の猛る欲望を鎮める熱い場所を味
わいたい。
ここは、益荒雄だけの場所ではないのだ。
「・・・・・痛っ」
多少益荒雄が中を愛撫していたようだが、やはりいきなり二本目を差し入れるとかなりの痛みを感じるようだ。
「慧、巴が痛がっている」
クチュ
益荒雄の非難するような言葉に、口から陰茎を出した慧は言い捨てた。
「それなら、お前が引き抜け」
「あのねえ」
「巴は俺のものだ」
「お前のものでもある、だけだ」
そんな言葉は耳に入らない。
それよりも、慧は差し入れた途端に指に絡み付いてきた内壁の蠢きと熱さに、ここに自分の陰茎を突き入れた時の快感を共
鳴する。
(早く・・・・・早く、抱きたい・・・・・っ)
出来ればその華奢な首筋に歯を立てて、生命の源である血さえ啜りたいほどだ。
グリッ クチャ
欲望のままに荒々しく指を動かせば、艶かしい水音が更に大きくなってくる。一緒に差し入れられている益荒雄の指のせいでこ
れ以上の大きな動きは出来ないが、それでも・・・・・。
(あ・・・・・)
肛孔の中を刺激することに夢中になっていた慧は、何時の間にか巴の陰茎が再び勃ち上がってきたことに今ようやく気付き、
今まで抱いてきた誰よりも敏感な身体の持ち主が花嫁であることが嬉しかった。
(全く・・・・・)
直情な性格の慧はまだしも、自分達の中で一番冷静沈着であるはずの八玖叉が、花嫁である巴の身体の前ではただの雄
になるのが面白い。
(いや、私も一緒だけれどね)
達観したように言うものの、益荒雄も同じ思いだ。どんなに冷静にいようと思っても、巴の誘うような匂いの前では、制御出来
る思いなど無い。
「・・・・・」
(こうなったら、一緒に楽しむしかないか)
まだまだ、肛孔の愛撫は少ないので、巴が感じるのは引き連れるような痛みと、酷い圧迫感だけかもしれない。だが、いずれ
はこの指二本を遥かに凌ぐ大きさのものを入れるのだ、慣れてもらわなくては困る。
「巴」
益荒雄は巴の耳元に唇を寄せた。途端に、ビクッと震える様が愛らしい。
「少し、辛いかもしれないが、私達はお前を傷付けるようなことはしないから」
「やっ、やっ!」
「ほら、大人しく」
上気した頬に舌を這わせながら、益荒雄は入れたまま動かしていなかった指で内壁を刺激し始めた。
中に入り込んだ自分と慧の指が別々の動きをして、巴はかなりの苦痛を感じているのかもしれない。その表情は眉根を寄せて
苦しそうで、額には脂汗が滲んでいる。
(可哀想に・・・・・)
そうは思っても、この苦痛を与えているのは自分だ。手を触れることも出来なかった以前のことを考えれば、どんなにか今は幸
福だろう。
クチ グボ ピチュ
「あ・・・・・や、だ・・・・・ぁ・・・・・」
心なしか、巴の声が甘くなった気がする。
身体の中を動かす指も、あれ程締め付けられていたのに、今では多少は余裕が出てきた。もちろん、蕾の入口も中も狭いとい
うことは変わらないが、何だか自分を受け入れてもらっているような気分になった。
「巴・・・・・」
空いている方の手で顎を掴み、強引に唇を重ねた。嫌々と、巴はそれを外そうと首を振ろうとしているが、掴んでいる手の力
を少し強くすると、痛みは嫌なのか大人しくなった。
「んっ」
指で内壁を擦りながら、舌で口腔内を弄る。
零れ落ちる唾液が顎を伝う。
涙が、目尻を伝って流れ落ちる。
憐れで、愛らしい、花嫁。益荒雄はもっともっとと、貪るように舌を絡ませ・・・・・蕾の中を蹂躙した。
気がつくと、巴は八玖叉の胸に頬を寄せていた。
腰には、慧が抱きつくように両手を回していて、益荒雄は足元に胡坐をかいて、足先を撫でていた。
「・・・・・目覚めたか」
巴が目を開いたことに気付いた八玖叉が声を掛けてくる。それに合わせるように慧と益荒雄の視線も向けられて、巴は一瞬、
何て言っていいのか分からなかった。
「身体がきつか?」
「・・・・・」
(当たり前、だろ)
そうは思っても、頷いていいのかどうかも分からず、巴は何もリアクションを返せずに三人の顔を順番に見つめる。
(・・・・・優しい、顔、だ)
あれだけ我が物顔に身体を弄ってきたくせに(最後まではしなかったが)、今自分を見つめる眼差しの中には愛情と気遣いを感
じてしまう。こんな優しい顔が出来るのに、どうしてあんなに酷いことが出来るのだと、巴は三人から離れようと身を捩った。
「動くな」
「・・・・・っ」
「もう少し、巴の気を味あわせてよ」
「そ・・・・・」
「頼む、巴」
「・・・・・」
逃げ出したくても、三人がそれぞれ自分の身体を拘束しているので逃げられない。
巴はこの六つの腕の中から逃げることは諦めて、八玖叉の胸に再び頬を寄せると、目を閉じて・・・・・ほっと息を零した。
「・・・・・身体」
「ん?」
「・・・・・綺麗に、してくれたんだ」
何度も吐き出した自身の精液や、三人の唾液や涙で汚れてしまっていた身体や顔は、何時の間にか綺麗に拭われ、身体
にも浴衣のようなものが掛けられている。
(服を着せてくれたら良かったのに・・・・・)
制服を着ていれば、少し休んだらそのまま帰ることが出来たのに、こんな格好ではもう一度着替えなければならない。なかなか
自由にならない疲れ切った手足を動かすのは面倒だし、裸を見られてしまうのも・・・・・なんか、嫌だ。
「今日の巴は美味かった」
「え?」
不意に、ぼんやりとしていた巴の耳に、とても聞きたくないような言葉が入ってきた。
「本当に、どこもかしこも、ね」
「ちょ、ちょっとっ」
「当たり前だ、巴は我らの花嫁なのだからな」
「あ、あのねえっ」
いったい何を言うのだと思うものの、先程の濃密な前戯で、ここ数日間の鬱憤は一応払拭出来たらしい三人は、どうやら上機
嫌のようだ
「・・・・・はぁ」
(本当に・・・・・これからどうするんだよ~)
この三人だけでも大変なのに、友人が狐なのだ。
この三人と、弥炬の間で、自分はどうなってしまうのだろう・・・・・巴はとても想像することなど出来なかった。
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