あやかし奇談
第一章 物の怪の花嫁御寮
5
「なっ?」
(ど、どこ触ってるんだよ!)
キスをしていいとは言っていない。
胸だって、女ではないのだ、尖ってしまうほどに執拗な愛撫は止めて欲しい。
ペニスは・・・・・悔しいが、ここを触れられたら感じてしまうのが男で、射精してしまったのは慧の愛撫の為ではない、はずだ。
しかし・・・・・尻の奥の、その場所に触れられるのはどうしても嫌悪感が先にたってしまい、巴はイッタばかりで力の出ない身体
を何とか動かし、そこを男達の視線から隠そうとしたが、そうした仕草は返って男達の劣情を煽ったらしい。
「我に見せたくないというのか」
少し低くなってしまった八玖叉の声に、巴はビクッと身体を震わせた。
この3人の中では、一番自分に対して優しい態度をとってくれていた彼の不機嫌な様子に、巴はどうしたらいいのか分からず、
ごめんなさいと謝るしか出来ない。
「何を謝る」
「だ、だって、怒ってる・・・・・」
「怒りを覚えているのはお前の態度ではない。巴、我は、お前を思って手をこまねいていた我自身に憤っておるのだ」
そう言うと、八玖叉の手が伸び、するっと尻の奥に指が触れ、少しだけ強く押してくる。
「ん・・・・・っ」
「ほら、ここに触れるだけで、お前は直ぐに甘い声を出すというのに・・・・・」
「ち・・・・・っ」
それは違うと言いたかった。この声はけして快感の声ではなく、止めてくれという拒絶の声だ。それなのに、八玖叉は嬉しそうに
目を細めて巴の顔を覗き込んでくる。
「我の指に感じているのだな」
「・・・・・や、だっ」
「愛い奴」
囁くように言ったかと思うと、八玖叉は唇を重ねてきた。
(八玖叉め・・・・・1人だけで暴走して・・・・・)
慧だけにいい目を見せたくないと思ってした提案に、まんまと八玖叉が乗ってくれたのは良かったが・・・・・なんだか今度は八玖
叉が美味しいところをとっているような気がして、益荒雄は眉間に皺を寄せた。
もちろん、身体に与えられる愛撫の数々に甘い声を上げている巴を見ているのは楽しいが、それを与えている中に自分がい
ないのはつまらない。
(私だって・・・・・)
益荒雄は、巴のペニスを手にしている慧と、そのさらに奥に手を伸ばしている八玖叉を交互に見て、自分だけが置いていかれ
た気分になってしまった。
「・・・・・」
このままでは、自分の印象が巴に残らない気がする。それでは、面白くない。夫という立場(後2人いるが)としては、自分にも
技巧があることを見せ付けなければと、益荒雄は八玖叉が触れている尻の蕾に同じ様に手を伸ばした。
「益荒雄」
何をすると、八玖叉が睨んでくる。
「別に、私達のペニスを同時に入れるわけじゃないんだし」
「・・・・・」
「一緒に可愛がろう」
そう言うと、半ば強引に、いきなり指を一本肛孔に突き入れた。
「ひっ!」
ペニスから零れた精液や先走りの液で多少は濡れていたとはいえ、まだそこは異物が入ってもいいほどに緩んではいなかった。
だからではないだろうが、ほんの爪先程しか入り込んでいない指先は痛いほどにきつく締め付けられて、その感覚が、自分のペ
ニスを突き入れた時の感覚に通じるような気がして、益荒雄は自分の下半身が反応したことに気付く。
(・・・・・なんだ、私も若いな)
たったこれだけで欲望を刺激されたことが何だか面白く、そして、そう思わせる巴のさらなる魅力を引き出したくなってしまった。
益荒雄は、じっと自分の指が入り込んでいる場所を見ながら、もう少しと指を奥に進める。
「痛っ!」
「益荒雄、巴が苦痛を訴えている」
「始めは仕方ない。だが、ここを解しておかなければ、何時まで経っても私達のものは受け入れられないだろう」
益荒雄はペロッと舌で唇を舐めると、ぐいっと中に入れた指で蠢く内壁を抉った。
果てたばかりだったペニスを手の中で弄りながら、慧は面白くない思いのまま白い尻の狭間で蠢く指先を見ていた。
(全く、益荒雄の奴・・・・・っ)
今ここで巴を花嫁にするとは思わないが、そこはやがて自分達の一番素直な欲望を埋める場所で、そこに真っ先に別の男が
触れるというのは面白くない。
「益荒雄」
「お前は、巴の可愛らしいそれを弄っていたらいいだろう」
「でもなあ」
「巴の甘露を味わえるなんて羨ましいよ」
「・・・・・」
なんだか、口の上手い益荒雄にごまかされたような気がするものの、確かに挿入をしないのであればそこを愛撫する手も認め
なければならないだろう。
口の中で舌を打った慧は、そのままもう一度巴のペニスを口に含んだ。ここは、他の誰にも譲るつもりは無い。
「んんっ」
肛孔に指を入れられた衝撃で、巴のペニスはしんなりと萎んだままだったが、慧がねっとりと舌を絡め、歯で甘噛みして刺激す
ると、僅かだが力を持ってくる。
「いいぞ、慧、中が柔らかくなった」
「・・・・・」
(お前達のためにしているわけじゃない)
そう言い返したいが、口の中からこれを出すつもりも無いので、慧はじろっと眼差しで睨んでから、舌先で先端の窪みを刺激
した。
「・・・・・っ」
まだ、完全な大人の姿ではなかったので、慧が巴のペニスに被さっている皮を引き下ろし(それでも完全に剥けないが)て愛撫
を加えるが、柔らかな先端にその刺激は強烈だったらしく、巴は何とか逃げ出そうと暴れ始めた。
それでも、慧はその足を手で軽く押さえ、そのままペニスを口から出すと、今度は爪で先端を刺激する。
「やっ、やだよ、怖いよ・・・・・っ」
ヒクヒクと、泣きながら巴が訴えてくるが、慧はもちろんこの手を止めようとは思わない。1日でも早くこの身体を自分のものにする
ためには、硬い蕾のようなこの身体を愛撫に慣らさなくてはならないのだ。
(俺の手だけを覚えさせてやるっ)
他の2人など、単なる自分の付属品だと巴に知らしめるためにも、慧はこの身体をどんどん溶かしていくつもりだった。
ペニスを愛撫する慧の唾液が竿を伝い、双球からさらにその奥を濡らしてくる。
八玖叉は、自分よりも先に巴の内部を味わう益荒雄の抜け目の無さに眉間に皺を寄せながら、自分も全く隙間の無いそこへ
と同じように指を入れた。
「・・・・・っ」
押さえている細い腰が揺れ、眼下の幼い顔が苦痛に歪む。
それでも、どこか艶かしい色気を感じてしまい、八玖叉は半ば強引に指の根元まで中に突き入れた。
「うあぁ・・・・・っ!」
「八玖叉」
急ぎ過ぎだと益荒雄が言うが、先に動いたのは益荒雄の方だ。
巴に苦痛を与えたいわけではなく、少しでも快感を与えたいと思っている自分がそこに確かにいて、八玖叉は今更この手を止め
ることは出来なかった。
「全く・・・・・」
「・・・・・」
(煩い)
「・・・・・これだから、経験が少ない奴は・・・・・」
グダグダと文句を言っている益荒雄も、指を引き抜こうとはしない。結局、この身体を味わいたいと思っているのは一緒なのだ
とそれだけでも分かり、八玖叉は隙間の無い中で巴の快感の場所を指を動かしながら探し続けた。
(必ずあるはずだ、巴の気持ちのよい場所が・・・・・)
そう思いながら、益荒雄の指を避けてグリッとペニスの裏側部分を指の腹で押した時だった。
「ひゃあっ!」
驚くほどに大きな声を上げた巴が腰を跳ねさせた。
(な、何っ?怖い・・・・・!)
尻の奥に激しい衝撃が走り、まるで漏らしたかのような感覚がした。
「はっ、はっ、はっ」
荒い息のまま、涙で潤む視線を動かせば、赤い髪の慧が顔を上げるところだった。その唇の端には白い液体がつっと零れてい
る。いったいそれが何なのか、考えるだけで怖い。
「巴」
ペロッと唇を舐めた慧は、面白くないとふてくされた表情で巴を見つめてきた。
「何、八玖叉などに気をやられている」
「え・・・・・」
「お前の快感の場所、まさか八玖叉に見つけられるとはな」
「か・・・・・かん?」
(何、それ・・・・・?)
いったい、何を指して言っているのか分からないでいると、今度は音を立てて耳たぶを舐めてきた益荒雄が苦笑混じりに言う。
「ほんと、八玖叉がその場所を探し当てるとはねえ」
2人の言葉からすると、八玖叉がこのおかしな感覚を呼び起こしたようだ。いったいどういうことなのかと視線を向ければ、思っ
た以上に近くにその顔があった。
「気をやったか」
「な・・・・・にを?」
「男にはこの中に感じる箇所があるという。我が一番最初にそれに気づいたことを誇りに思うぞ」
「か・・・・・んっ」
いったいどういうことなのだと聞き返そうとするものの、その前に八玖叉が口付けてきて、入り込んできた舌に自分の舌を絡め
取られると同時に、再び下半身の・・・・・尻の中に入っていたままだった指が蠢き始める。
「八玖叉だけに自慢させるのは面白くないな」
なぜか、益荒雄がそう言ったと同時に、中で動く指の数は増えたような気がして・・・・・。
「お前ら・・・・・後で覚えていろよ」
唸るように言った慧が顔を伏せ、またペニスが生暖かな粘膜に包まれてしまう。
「もっ、やだよ!」
一度に様々な刺激を与えられ、巴は息継ぎもままならなかった。
(ど・・・・・してっ、俺が!)
自分がどうして・・・・・自分と同じ男にこんなことをされるのかと、朦朧としてきた意識の中で考えてしまう。
(花嫁とか、鍵とかっ!俺には関係ないことなのに・・・・・!)
勝手にそう言われて、勝手に身体を弄られて、誰に何を、どう訴えていいのかも分からなかった。
「う・・・・・、う・・・・・あっ」
まだ高校に入学した、まだ16の誕生日だって迎えていないのだ。そんな自分が、こんないやらしいことをされているなんて・・・・・
とても信じられない。
(・・・・・なの、に・・・・・っ)
それなのに、身体のどこかで・・・・・奥の、奥の方で、熱く蠢く感覚がある。
それがいったい何なのか分からなくて、認めたくも無くて、巴はただ、自分の身体を弄る三匹の獣達に、中から、外から、愛撫を
受け続けるしかなかった。
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