海上の絶対君主
第五章 忘却の地の宝探し
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※ここでの『』の言葉は日本語です
(あ、熱い・・・・・)
熱い湯と、急激な運動のせいで、珠生はもう息も絶え絶えになっていた。
海での生活でかなり体力が付いたと思っていたが、どうやらこういう行為では使う体力が違うというか・・・・・そもそもラディスラスの
体力と比べること自体が無謀なのかもしれない。
「ラ、ラディ、ま・・・・・て」
とにかく一度休憩を取らせて欲しいと思ったが、ラディスラスは駄目と直ぐに却下してきた。
「ど、して・・・・・」
何時もは珠生の気持ちを優先してくれるというのに、こういう時に限ってその気遣いは発揮されないらしい。
「俺も、もう我慢出来ないから」
「が、我慢って、ラディッ」
「力を入れるなよ?」
えっと、訊ね返す間に、ラディスラスの手は後ろから珠生の尻の狭間を撫でてきた。
「ひゃっ!」
ゾワゾワとした感覚に身体を震わせ、珠生はラディスラスの肩にしがみ付いてキュッと尻に力を入れてしまう。すると、ラディスラス
は珠生の耳元で笑みを零した。
「力を抜いてくれ」
「だ、だってっ」
「ここを解さないと俺が入らないぞ」
「・・・・・っ」
(や、やっぱり、入れるつもりなんだ・・・・・っ)
お互いがお互いの快感の証を吐き出して終わり・・・・・とは、いかないらしい。
一度はここで繋がって、その痛みと、苦しさはまだ忘れてはいないし、それと同時に感じてしまった快感も覚えている。
怖いのに、それに伴う気持ち良さも知っている珠生の身体は、自分の戸惑いとは裏腹に少しずつだがラディスラスの指を身体
の中に受け入れようとしていた。
「・・・・・っ」
珠生の息をのむような気配を感じ、ラディスラスは蕾の中に侵入させた指の動きをいったん止めた。
湯の力を利用して、まだ締め付けがきついものの蕾の中に指を1本差し入れることが出来たが、珠生にはこれだけでも苦しいよ
うだった。
いや、そう感じていると頭の中だけで思っているのかもしれないが、ラディスラスは珠生が感じているであろう恐怖を少しでも和ら
げる為に、ゆっくりと珠生の背を撫でながら、俯く頬や首筋に唇を寄せて宥める。
「・・・・・んっ」
しばらくそのまま動かずにいると、少しだけ珠生の腰が揺れた。
その動きは焦れた様子で、ラディスラスは注意深く表情の変化を見つめながら中に差し入れた指を動かしてみる。
クニュ
「うわっ!」
突然の刺激に珠生の腰が跳ね、お湯が波立った。
「ラ・・・・・ッ」
「痛いか?」
「い、痛く、ない、けど・・・・・」
「それなら、そのまま力を入れるなよ?」
ラディスラスはそろっと内壁を指の腹で押し、僅かに曲げて引っ掻いてみる。
珠生は唇を噛み締めて声を出すのを耐えているらしいが、ピクピクとラディスラスの指を締め付けてくる内壁は蠢いて、もっと刺激
が欲しいと訴えてきているようだった。
(もう少し、いいか)
何の準備もしていないので、とにかく出来る限り自分の指で珠生の蕾を解さなければならない。
「んっ」
ズリュ
「・・・・・はっ、あっ」
何度も抜き差ししていると、次第に中は柔らかくなってきた。
そのままラディスラスはもう1本の指を添えると、ニュルッと湯の力を借りて2本同時に中に差し込む。さすがに苦しかったのか、珠
生はひっと声を上げたが、自分のペニスの大きさまでまだまだだ。
「タマ・・・・・」
珠生の中を慣らしながら、ラディスラスのペニスも硬く勃ち上がっていて、早くこの狭い中に入り込みたいと滾ってはいるが、もちろ
んまだこの状態では無理だということも分かっているので、ラディスラスは珠生の尻を我慢できないというように突く自分のペニスに
苦笑しながらも、身体の中に入れた指をゆっくりと動かしていた。
(な・・・・・んか、変・・・・・)
珠生は下半身から湧き上がってくる快感に流されまいと、頭の中で別のことを考えようとしていた。
しかし、珠生の身体を気遣ってくれてか、身体の中の指の動きはあまりに緩慢で、かえってその大きさや感触を珠生にリアルに伝
えてくる。
「どうした?」
「・・・・・え?」
「物足りないか?」
指を痛いほど締め付けてくるぞと言うラディスラスの言葉は絶対嘘だ。
気持ち悪いし、違和感有りまくりで、この指を早く中から抜き出して欲しいと思っているだけだと答えたいのに、いざ、ラディスラス
の指が半ばまで引かれてしまうと、まるで引き止めるかのように自分のそこが窄まってくるのが分かってしまう。
(な、なんだよっ、俺の身体・・・・・!)
まだ、たった一度だ。一度しかラディスラスを受け入れたことがないというのに、自分の身体はラディスラスの身体の感触をしっか
りと覚えているらしい。
恥ずかしくて全身が熱くなる。
いや、これは多分、湯の熱さのせいだ。
「んっ、んあっ、はっ」
もう、声を押し殺すことが出来ず、息を吐くだけしか出来ない珠生は、ラディスラスの肩に顔を埋め、ゆらゆらと浮力に助けられ
て腰を動かして。
身体の中を自在に動き回る指の感触を心地良いと理性が溶けかけた時、
ズッ
更なる圧迫感が珠生を襲った。ようやく身体の中がラディスラスの指に慣れたというのに、これ以上いったい何があったのだろうか
と、珠生の唇からは情けないが弱音が漏れてしまった。
「く・・・・・る、し・・・・・っ」
「3本目だ。もう少し、頑張れ」
「が・・・・・」
(頑張る、もんなのか・・・・・っ?)
「ほら、しっかり飲み込んでるぞ」
「う・・・・・そだっ」
強く目を閉じていても、目の前に容易に浮かびあがるラディスラスの手。何時も自分を抱きしめ、助けてくれるあの力強い手の指
が3本も身体の中に入っているなんて、今この時点でも信じられなかった。
「もう、いいか」
「・・・・・」
(え?)
指で突き上げられるたびに腰が跳ね、珠生はもう自分がどんな状態になっているのかわけが分からなくなっている状態で、何時
の間にか自分の腰を抱え上げられたことも、身体の中の指を引き抜かれたことも、その空虚になってしまった場所に更に大きく熱
い凶器が押し当てられたことも・・・・・よく分からないままだった。
指を3本飲み込んだ珠生の蕾は柔らかく解れ、そろそろ自分のペニスを入れても大丈夫かと思ったラディスラスは、指を引き抜
き、その場所に自分のペニスを押し当てた。
「・・・・・え・・・・・?」
とろんとした眼差しに赤く紅潮した頬。珠生は身体に与えられる快感だけではなく、湯の熱さにもやられたのだろうが、今はその
体調を気遣ってやる余裕はさすがになかった。
それよりも、こうして半分意識が飛んでいる方がいいかもしれないと、ラディスラスは少しだけ蕾の中にめり込んだペニスの先端を
しっかりと固定させ、一気に腰を掴んで自分の膝の上に引き寄せた。
「ああっ!!」
さすがにその衝撃と痛さに我に返った珠生は、半開きになった唇を震わせている。痛みはあっただろうが、あれだけ自分の欲望
を後回しにして慣らしたのだ、傷付いてはいないはずだろう。
「タマ」
「ひ・・・・・ど・・・・・」
「全部、上手に飲み込んでるな、偉いぞ」
こんなことを褒めるのはおかしいかもしれないが、ラディスラスはそう言って睨んでくる珠生の唇に口付けをする。さすがに舌を絡
める濃厚なものは出来なかったが、ラディスラスはペロッとその唇を舐めると、そのままゆっくりと腰を揺らしてみた。
「・・・・・っ、う、うご、くなっ」
「じっとしているだけでいいのか?」
「・・・・・っ」
ペニスを根元まで飲み込ませたまま、そのまま湯の力を借りてゆっくりと腰を動かす。狭い珠生の蕾の中は、熱い内壁がペニス
に絡みつくように蠢き、それだけでも気持ちがいいのだが、男としては愛する相手に快楽を与えたいし、突き上げるという本能の
まま動きたいとも思う。
「タマ・・・・・このまま、俺がイクまで付き合ってくれるのか?」
(イ、イクまでって、どのくらい?)
酷い圧迫感と、挿入時の痛みはかなり薄れ、今珠生が感じているのは飢餓感だ。身体の中一杯に満たされているというのに
緩やかな刺激しか与えられなくて、信じられないが身体はそれ以上の快感を求めている。
「ほら、どうするんだ?」
そんな珠生の気持ちなどお見通しかのように、ラディスラスの口調は腹が立つほど楽しそうで、身体の奥深くに入り込んでいる
ペニスもピクピクと脈打っている感じだ。
「タ~マ」
「ひゃあっ!」
ラディスラスはしっかりと腰を掴み、根元まで入れていたペニスを先端部分を残して引き抜いた。
「ほら、どうする?」
「・・・・・っ」
悔しくてたまらない。この男は自分が何と言うか、その答えをもう知っているはずだった。
それなのに珠生本人の口から言わせようとしている・・・・・珠生は、これ以上ラディスラスの優位にさせることが面白くなくて、よしと
決めた。そして、一度大きく深呼吸をすると、
バシャッ!
「んあっ!」
「タマッ?」
いきなり、大きく水飛沫を上げながら、珠生は自分からラディスラスの腰の上に座った。
(苦し・・・・・っ)
当然、ペニスも勢い良く根元まで身体の中に全て入ってきたが、珠生はその衝撃に歯を食いしばって耐え、直ぐにヨロヨロと腰を
上げてもう一度腰を下ろした。
「あ・・・・・んっ」
初めてのことなので加減など分からないし、ラディスラスが気持ちいいのかどうかも分からないが、男の肩に爪をたててしがみ付い
たまま腰をゆっくりと動かし続けていた珠生は、目の前の端整な眉が顰められていることに気付いた。
「お、れだ、って、でき、る・・・・・っ」
一方的に感じさせられるのではなく、自分からもラディスラスを気持ちよくさせることは出来る。
目尻に涙を溜めながらも、じっとその顔を見つめていると、
「・・・・・降参」
「ラ・・・・・」
「お前、男だな」
目を細めて笑いながら言ってくれたラディスラスに、珠生はなんだか嬉しくなって笑ってしまう。
「へへ・・・・・」
「じゃあ、俺もお返しをしなければな」
「・・・・・え?うあっ、はぅっ!」
しかし、次の瞬間、ラディスラスはいきなり体勢を変えると、岩に胸を預けた珠生の後ろから激しく腰を突き入れ始めた。
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