CHANGE
28
何度経験しても慣れない、身体の内側を触られる感触。
慣らさなくてはとても上杉のペニスを受け入れることが出来ないというのは分かりきっていたが、今日はジェルやローションなどを使っ
ていないので余計に中がきつく、上杉の指を締め付けていた。
痛みと、快感。こんなものに慣れてしまってはマゾになってしまうと思うものの、これをしているのが上杉だから何とか受け入れるこ
とが出来る。他の相手なら、このまま足で蹴り上げて、男にとって大事なそこに致命傷を与えているはずだ。
「・・・・・っ」
「タロ」
「な・・・・・にっ」
「お前、変なこと考えてただろ?」
「え?」
(ど、どうして分かるんだっ?)
思ったことが分かりやすいと言われる顔に出てしまっているのかと焦ったが、上杉は笑ったままその理由を話してくれない。
教えてとねだっても、
「この先の楽しみが減るから、嫌だ」
子供のような答えに呆れ、太朗は上がる息の中上杉を見上げた。
「も、い・・・・・よ」
中を弄っているのは、多分3本の指。今でもいっぱいいっぱいなのに、上杉のペニスを入れるとなるとかなりきついし、多分・・・・・
痛い。それでも、もう我慢出来なかった。
「ね・・・・・っ」
「俺が欲しいのか?」
「・・・・・っ」
意地悪な言い方に、太朗は顔を顰める。しかし、そんな僅かな表情の動きだけでも中の上杉の指を締め付けて余計に笑われ
てしまい、ここで誤魔化しても無駄だと開き直った。
「ほし・・・・・っ」
「タロ」
「ジローさん、だって、ほし、だろっ!」
自分だけじゃないと視線を向ければ、上杉は目を瞬かせ、ふっと笑みを零す。
違うなんて言わせないと思った。上杉のペニスはヌルヌルと濡れたまま、硬く勃ち上がって自分の腿に当たっている。言葉よりも身
体が、上杉の余裕もないのだと教えてくれた。
「ち、がうっ?」
「違わない」
「ふむっ」
上杉はそのまま太朗の唇を奪い、舌を絡めてくる。
その勢いに圧倒されるように太朗が目を強く瞑ると、身体の中から指が抜かれ、
グチュッ
鈍い水音と共に、上杉のペニスが狭い内壁を押し広げるように突き刺さってきた。
「・・・・・っ」
(きつ・・・・・っ)
その手のものでたっぷりと濡らしていない太朗の中はとてもきつく、上杉はペニスの先端部分を入れただけでも痛いほど締められ
て眉を顰めた。
「ふ・・・・・ぐっ」
しかし、当然のように受け入れる側の太朗の苦痛はもっと大きく、上杉の肩にしがみ付いている指先が食い込んでくる。女では
ないので長い爪ではないはずなのに、肉に食い込みそうなほどに強い力・・・・・。
「・・・・・タロッ、力を抜け」
「ぬ・・・・・て、るっ」
「・・・・・っ」
確かに、気持ち的にはそうなのかもしれないが、このままでは入れるも引くも出来ない。
上杉は直ぐに太朗のペニスに手を伸ばした。挿入の衝撃に萎えてしまったペニスを擦り、指先で刺激していく。若い身体は僅かな
刺激にも敏感で、上杉の手の中でそれはすぐに頭をもたげてきた。
「・・・・・あっ」
漏れる声にも、艶が出てくる。
上杉はそのまま太朗の腰を抱え直すと、上から一気に根元までペニスを押し込んだ。
「ひあっ!」
「・・・・・っ」
ペニスへの快感で力が抜けてきたとはいえ、ギシギシと音が鳴るほどに狭いその中を強引に押し広げられ、太朗は悲鳴を上げて
身体を強張らせる。
しかし、一度根元まで入れてしまえば、後はゆっくりと快感を湧きあがらせてやればいい。
上杉は片手でペニスを弄り、片手で小さな尻を掴んで意味深に揉みしだき始めた。唇を頬から首筋に移動し、軽く耳たぶを食む
と、内壁が強くペニスを締め付けてくる。
ペニスを弄っても、ペニスを含んだ蕾の周りを指で謎っても、そのたびに太朗の中は上杉のペニスを刺激してきた。
始めは痛いほどの締め付けだったが、それは次第に蠢く、心地良いものに変化して・・・・・。
「ふ・・・・・っ」
「タロ」
チュッと軽く唇にキスしてから名前を呼べば、閉じていた目が開かれた。
目尻に涙が滲んでいて、額には汗が浮かんでいたが、青白かった顔は赤みを取り戻し、どうやら痛みだけではなくなってきたようだ
と上杉に教えてくれた。
「動くぞ」
「ゆ・・・・・く、り」
「ああ、直ぐに解放する気はねえから」
じっくり、ねっとり、可愛がってやると耳元で囁いた途端、素直な身体はもうその快感を予期したのか、上杉のペニスを心地良く
締め付けた。
「じっくり、ねっとり、可愛がってやる」
自分とは違い、何時も響きのよい上杉の声だが、こういう場合は特に官能的になって、太朗は反射的に気持ちが切り替わって
しまう。元々、大好きな上杉に抱きしめられ、身体を重ねることに異存はないのだ、身体の痛みも強引に快感へとすり替え、太
朗はぎこちなく上杉の動きに合わせて自分も腰を揺らし始めた。
気持ちの良い場所はもう知っている。早く痛みを失くすために、太朗は強いてそこにペニスが当たるように動いた。
「んっ、はっ、はっ」
自分が下になり、上杉に覆いかぶさられるこの体勢が太朗は好きだ。キスが出来て、身体の全部が合わさって、全部が溶け合
うように感じる。
「ジ、ジロ、さっ」
「タロ」
こみ上げてくる感情と快感に振り回されている自分とは違い、上杉はこんな時にも余裕綽々で、太朗を翻弄し、意地悪く快感
を高めるように仕掛けてきた。
負けたくなくて、太朗も一生懸命上杉を翻弄しようとするものの、もともとのテクニック(悔しいが)や体力に差がありすぎて、何時
もねじ伏せられてしまうのが悔しい。
それでも、上杉の額に汗が滲み、身体が汗で滑るようになって・・・・・男らしい表情が色っぽく変わる時、自分も彼を感じさせて
いるのだと思えた。
(何時までもっ、されるだけじゃない、からなっ)
若さと瞬発力は負けないぞと、太朗はゆらゆらと腰を動かし続けた。
「もっ、もう、だ、めっ」
「なんだ、降参か?」
下から腰を突き上げると、上杉の腰に跨った状態の太朗は首を横に振る。
感じすぎて辛いのだと訴えてくるもの、上杉のペニスを包み込む内壁は中に数度吐き出した精液のせいで滑りがよくなり、それで
いて蠢く内壁がペニスを刺激する心地良さは変わらなくて、とにかく気持ちいい。
上杉は自分の腹の上に吐き出された太朗の精液を指先で掬い取り、それをペロッと舌で舐めて・・・・・笑った。
「確かに、だいぶ薄くなってきたな」
「!」
太朗の顔が真っ赤になったと同時に、中が強くペニスを締め付ける。
「ヘッ、ヘンタイ!」
「お前限定だからいいだろ?」
グリュッ
笑いながら突き上げれば、腰の上の身体が大きく跳ねる。
まだ小柄な方だが、しなやかに伸びた手足は青年のものに変化してきて、上杉の目を楽しませてくれた。
「・・・・・!あっ、あたり、まえ!他でも、し、てたらっ、ぶんなぐるっ!」
しかし、やはり一番楽しくて心地良いのはこの気持ちだ。出会った時から全く変わらない、真っ直ぐで綺麗な太朗の心に、上杉
は自身まで浄化される思いがしながら、それでも口だけは太朗をからかうのを止めなかった。
「許してくれるのか?」
「だっ、だって、俺が、見張って、な、いとっ、もっとっ、変な奴、なっ、だろっ!」
「じゃあ、もっと付き合え」
「だっ、ダメ!あ、あした、がっこ・・・・・っ」
「セックスのし過ぎで休むなんて大人じゃねえか」
「!」
太朗が文句を言うより先に上杉は上半身を起こして細い身体を下に組み敷くと、再び上から太朗を揺さぶる。
ぐちゅぐちゅと淫らな音を響かせながらペニスを動かし、文句の言葉をキスで封じて、上杉は自分だけの甘い身体を存分に貪り続
けた。
「んぐっ、んんっ」
内壁に残っている精液をペニスでかき回し、太朗の感じるポイントを突き上げる。
「・・・・・っ」
(・・・・・ったく、食っちまいたい・・・・・っ!)
頭からバリバリと、食べてしまいたいほどの可愛らしさ。この太朗の良さを分かるのが自分だけならばいいが、妙に男を引っ掛ける
才能もあるので油断がならない。
「引っ掛けてない!」
そう言えば絶対に反論してくるだろうが、それに言い返す材料は十二分にある。ただし、どんな相手にもこの可愛い存在を渡す
気のない上杉には、一々教えてやるのも忌々しい。
「タロ・・・・・愛してる」
キスの合間に囁けば、一瞬驚いた顔が幼いままだ。
その目に笑いかけてやれば、俺もと声なき声で返事をもらえ、上杉の気持ちはさらに高まって・・・・・もう、少しの加減もしてやれな
いぞと、足を抱え上げ、さらに濃厚に愛撫を与えながら細い身体を味わい続けた。
上杉は太朗を抱いて湯船に沈んだ。
もう、どのくらいその身体を貪ったのかは分からないが、明日の朝、学校に行く時間に起きないことは確実だろう。
(どんな嫌味を言われるだろうな)
ある程度、このことを予期しているだろう太朗の母親が、いったいどんな口撃を自分に仕掛けてくるか、憂鬱というよりも楽しみな
気がして笑みを漏らすと、その気配を首筋に感じたのか太朗が身じろいだ。
「そのまま寝てろ」
意識のない身体を風呂に入れるのはさすがに一苦労だが、愛しい相手の為ならば手間に思うことはない。
身体中、汗や精液や唾液で汚したまま寝かせるのも可哀想だし、中で何度も吐き出してしまった自分の精液の始末もしてやら
なければならないし、そんな世話を上杉は嬉々として焼いている最中だ。
「・・・・・急いで大人になるなよ」
まだ、この腕の中で守られている存在であって欲しい。
それでも、日々成長していく背中を見つめているのも楽しいんだがと相反することを思いながら、上杉は目覚めた太朗をどうやって
宥めるか、今から考えることにした。
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