elite
10
江坂の疲れを少しでも解すためにマッサージしようと思っていたのに、何時の間にこんな体勢になってしまったのだろうか。
静は真上から眼鏡を掛けていない江坂に見下ろされ、居たたまれない思いで目を伏せた。
もちろん、嫌ではない。大好きな人に触れられるのは嬉しくて、その先の快感だって身体や心にしっかりと刻み付けられているも
のの、それでも健全な雰囲気からガラッと変わってしまうと自分がどう反応していいのか分からなかった。
「静さん」
愛おしそうに自分の名前を呼んだ唇がゆっくりと下りてきた。
静はそのままキスを受ける。軽く啄ばむようなキスを何度もされ、口を開けるようにと舌で唇を舐められても、静は素直に江坂の意
思に従った。
気持ちは誤魔化せない。静も、江坂を求めているのだ。
「・・・・・っ」
舌を絡ませる深いキスをしながら江坂の背中に手を回すと、彼の笑う気配がする。仕方ないと、子供のようだと思われているのか
もしれないが、今この瞬間自分のものである江坂という存在をしっかりと感じたかった。
(あの場所は・・・・・俺の知らない凌二さんがいた・・・・・)
静のことを気遣ってくれていても、優しい眼差しを向けてくれていても、ふとした瞬間に凍えそうな冷たい目をして、周りの男の人
達を見る江坂がいた。それが、この世界で生きていく彼の姿なのだと分かったが、普段見ることの出来ない外での江坂の顔が少
しだけ・・・・・怖かった。
生きる場所が違うのだと、改めて思い知らされてしまい・・・・・今日、静はよく自分が逃げ出さなかったと思う。
クチュ
一番偉い組長という人に会ったことで、どうやら静は江坂の特別な存在であることが広く知れ渡ったらしい。
面倒なことが減りますとこっそり教えてくれた橘の言葉の裏を、静もちゃんと読み取れたと思う。江坂と同じ世界に住む誰かが彼
の隣に立つことを防ぐためならば、人前に出るくらいなんでもない。
「ん・・・・・っ」
だが、優しい江坂は、静がヤクザの世界に顔を知られるのを良しとしないのだ。
確かに、ヤクザの世界というものは一般的には世間に反する集団だろうが、少なくとも静にとっての江坂は違うし、他にも知ってい
る友人達の恋人は、一般人よりも優しい人が多い。
(でも・・・・・教えない)
江坂がそんなにも良い男だなんて、自分だけが知っていればいい。
江坂はよく静を独占したいと言ってくれるが、静だって江坂を独占したいと思っていた。
目を閉じ、しっかりと自分の背中に手を回して、口腔に侵入した舌に積極的に舌を絡ませてくれる静は、どうやらこのまま抱く
ことを許してくれるらしい。
自分よりも一回り以上も年下だというのに、こんなふうな度量の大きさには何時も助けられる。江坂が唯一甘えることが出来る
相手、それが静なのだ。
チュク
深く絡み合った舌を解く時、名残惜しげに小さな舌が追ってくるのが微笑ましく、江坂はそれにもう一度宥めるように舌を絡ま
せると、そのまま唇を首筋に当てた。
石鹸の良い香りがする白い喉元にまで舌を這わせながら、パジャマのボタンを外していく。少し暖かくなってきたせいか中には何
も身に着けておらず、江坂は手を滑らせてぷつんと立っている乳首を指先で摘んだ。
「・・・・・っ」
コクンと、喉元が揺れた。
それを舌で確認した後、江坂はどんどん頭を下に移動する。
「りょ、じ、さ・・・・・っ」
やがて、空いたもう一方の乳首に辿り着くと、そのまま口に含み、舌で転がした。
小さく、まだ柔らかかった突起が、舌で舐め、歯で軽く噛むとすぐさま育ってくる。
「んっ」
「・・・・・」
「は・・・・・くっ」
身体の下で、静が体勢を変えようと動くがままならないようだ。だが、その動きで江坂は静の下半身の変化に気が付いた。
「ここが、気持ちいい?」
顔を上げ、乳首を捏ねると、腹に当たっている静のペニスがさらに勢いづく。
口以上に身体が素直な静に思わず笑みを漏らした江坂は、そのままパジャマの下を下着ごとずり下ろし、自分の膝を使ってさら
に下にやった。
プルンと外に飛び出てきた綺麗なペニスは、既に快感の度合いを示すように勃ち上がっていて、明るい光の下、江坂は遠慮す
ることなく存分に見つめる。
その視線に羞恥を感じたのか、静は両膝を合わせてペニスを隠そうとしたのだが。
「駄目ですよ」
「で、でもっ」
「あなたの綺麗なペニスをちゃんと見せてください」
「じゃ、じゃあ、明かりをっ」
「・・・・・」
初めからセックスをする気だった江坂とは違い、静は今日はマッサージだけで終わらせようと思ったのか、部屋の明かりは煌々と照
らされていた。
今になってそれを後悔し、落とすように言ってくるが、江坂は静の綺麗な身体を見るのが好きだった。自分のペニスが静の中に
入り込んでいく様子を見るのも、背中がゾクゾクするほどの興奮を覚える。
「駄目です」
だから、消さない。
「・・・・・っ」
「可愛いあなたがよく見えないでしょう?」
「な、なにを・・・・・っ」
本当のことを言ったのに、静は動揺したようだ。
慌てて江坂の視線から逃れるように顔を横に向けたが、それと同時に身体も動いてしまい、その結果ペニスが江坂の腹を擦って
しまった。
「濡れていますね」
「!」
「今度は、私の手も濡らしてください」
そう言うなり、江坂は静のペニスを握った。ピクピクと手の中で動くペニスをゆっくりと扱き始め、先端からはたちまち先走りの液が
零れ始める。
その滑りを先端から、ペニスの下の双珠まで塗りつけるとクチュクチュという水音が響いた。
「ここも、可愛がってあげましょうか」
「ふ・・・・・ぅっ」
濡れた指先を双球からつっと蕾に伸ばしても、まだ硬く閉ざされているそこは当然ながら簡単には江坂の指を受け入れない。
この硬い場所をゆっくりと解すのが楽しいと、江坂は目を細めて再び静の唇にキスをした。
グチュ クチュ
「・・・・・っ」
今、自分の中に入っている指は2本、だ。それが分かるほどに中は敏感になっていて、静はとにかく身体から力を抜くためにずっ
と浅い呼吸を繰り返していた。
どんなに抱かれ慣れていても、江坂を受け入れるためにはどうしてもここを解さなければならない。そしてそれは江坂の役割なの
だと、初めから自然と決まっていた。いくら静でも、自分のそこに指を入れるのはかなりの勇気がいることだ。
だが、今日は何時もとは少し違う。
静の身体の負担を減らすために、江坂はかなりの頻度で滑りを良くするローションを使ってくれるのだが、今日はずっと指を中に入
れて動かすだけだ。
女とは違い、なかなか濡れないそこが解れるには、まだ少し時間が掛かるはずだった。
ヌプ
音から気を逸らすためにそんなことを考えていた静は、不意に身体の中から指が引き抜かれるのが分かった。
「え・・・・・?」
(もう、入れる?)
比べる相手が自分しかいないので良く分からないが、江坂のペニスは大きくて、指2本で解したくらいでは受け入れることは難し
い。無理をすれば可能かもしれないが、江坂がそこが裂けてまでペニスを強引に押し入れることは考えられなかった。
「あ・・・・・」
そんなことを考えている間に江坂は静を抱き起こし、目を合わせて笑みを浮かべる。
「今日は、私の身体だけで慣らしますから」
「か、らだ?」
「そう」
江坂が、自身の薄い唇を舌で一度舐めた。普段ストイックな姿の彼からはとても信じられないほどに滴るような色気を感じてしま
い、静は勃ちっぱなしのペニスに熱がこもるのが分かる。
「これで、あなたを可愛がりますから、あなたもここで」
チュ
「私を愛してください」
唇が離れた瞬間に囁かれた声に、静は何時の間にかコクッと頷いていた。
チュプ ピチャ
自分の身体の上にいる静のペニスは、彼が顔を動かすたびに揺れている。
その絶景をしばらく堪能した江坂は、細い腰を引き寄せ、うす赤く熟れ始めた静の蕾に舌を這わした。
「!」
その瞬間、静の歯がペニスを掠ったが、そんなものは痛みも感じない。それよりも、静がこうして自分のペニスを口で愛撫してく
れていることが重要だった。
「んっ、ふぐっ、ふぅっ」
懸命に唇で竿を扱き、舌で先端をつついてくれるが、まるで子猫がじゃれているかのようにくすぐったい思いの方が強い。
もっと慣れたのならば、喉の奥の方まで飲み込み、ざらついた上顎で擦るということも出来るだろうが、静にそこまで要求するつも
りはなかった。
「・・・・・」
そして、今は江坂も目の前の蕾を可愛がってやらなければならない。十分解さなければ自身もこの奥に入り込むことが出来な
いので、江坂は先ほど指で少しだけ綻んだそこに舌をさし入れた。
「ひゃっ」
入口付近をクチュクチュと舌で慣らすと、さすがに静が悲鳴を上げる。
しかし、その中に拒絶の色が無いのは直ぐに分かった。
(まだ狭いな)
江坂はもう一度指を肛孔に入れると、それに沿わせるように舌を入れ、唾液を塗りつけていく。
クチュ ジュク
その唾液のせいか、指の滑りも次第に滑らかになってきた。
「んっ・・・・むぅっ」
同時に、静の口の動きが散漫になってくる。辛うじて手で擦り、先端を口に含んでくれてはいるものの、それはもう愛撫と呼べるも
のではなかった。
(そろそろ、いいか)
「静さん、こっちを向いて」
小振りな尻にキスをしてそう促すと、少し顔を上げた静がこちらを振り向いた。
頬は紅潮し、瞳は欲情で潤んでいる。自分しか見ない、静の別の顔がそこにあった。
「乗ってくれますか?」
「あ・・・・・」
「出来ない?」
最初にこちらが逃げ場を作ってやると、たよやかな外見に見えて頑固な静は必ずこう答える。
「で・・・・・き、ます」
「私も支えますから」
「・・・・・」
ノロノロとした動きで体勢を変えた静は、江坂の視線を感じると一瞬ふわりと笑みを浮かべた。
生々しい行為をしているとはとても思えないその表情に一瞬虚をつかれた江坂は、静が己のペニスを掴み、自分の肛孔にピッタ
リと宛がったことに一瞬遅れて気がついた。
「静さん、ゆっくり」
「ん・・・・・くっ」
ヌプ
先端の半分が蕾にめり込む。
静の眉間に、痛みのためか皺が寄った。
「静さん」
「へ、き」
「・・・・・っ」
ズルズルと、自分の体重でペニスを飲み込んでいく静が感じている痛みを何とか逃してやろうと、江坂は目の前で少し勢いをな
くしていた静のペニスに手を伸ばしてやった。
「!」
その瞬間、身体の強張りが一瞬解けてしまったのか、一気に先端部分を飲み込んだ蕾は、
ズチュッ
竿の部分も含め、全てが静の中に収まってしまった。
一気に飲み込んだせいか静のペニスからはその刺激のため精が迸ってしまい、江坂の手と腹を白く汚したが、その熱さは江坂の
中の獣を呼び起こす餌となった。
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