海上の絶対君主
第四章 愚図な勝者 〜無法者の大逆転〜
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※ここでの『』の言葉は日本語です
ただ単に、負けたくないと思っているだけかもしれないが、それでも珠生が自分から口付けをしてきてくれたことが嬉しくて仕方が
無かった。
ラディスラスはまだ息が整わないままの珠生の身体と入れ替わるかのように自分の方が上に来ると、そのまま寝台に仰向けになっ
た珠生の頬に唇を寄せる。
「ラ、ラディ」
戸惑ったような珠生の声。それでも、これくらいではまだ嫌だとは思わないようだ。
(もう少し・・・・・いいのか?)
最近、珠生の身体に触れていない。口付けはしたものの、それは緊迫した緊張感の中でのことで、今の甘やかな雰囲気とは全
く事情は違っていた。
「タマ・・・・・」
意識して声を落として耳元で名前を呼ぶ。いや、こういう時はきちんとした名前を呼ぶものだろう。
「・・・・・タマキ」
「・・・・・っ」
ピクッと自分の下の身体が震え、細い指が腕を掴んできた。どうやらどんな愛撫をするよりも、こうして耳元で名前を呼んでやる方
が珠生には感じるのかもしれない。
「だ、ダメだよ、俺、だって、ここ、人の家だしっ」
「別に構わないだろう。声が聞こえるほどにボロイ小屋でもないし」
「気、気にならないのっ?」
「全く。それよりも、こんなに綺麗で寝心地のいい場所でお前を抱けるかと思うと嬉しいくらいだな」
「ラディッ」
声など、今更気にすることなどあるだろうか。もちろん、この寝台の傍に誰かが立っているとするのなら別だが、そうでなかったら城の
寝台で珠生を抱けるのならばこんな名誉なことは無い。
(ここなら、寝台から落ちることも、声が聞こえることも気にしなくて済むしな)
ラディスラスは悪戯っぽく笑うと、そのまま珠生の服の裾から片手を差し入れた。
「ひゃ!」
(つ、冷たいっ)
少しだけ冷えた手が、そっとかするように腹を撫でてきた。触れるか触れないかの気配に背中が震え、珠生は思わず声を上げて
しまう。
くくっと、笑われる気配を感じるのだが、それを怒る前に、今度は胸元にまで手が入り込んできた。
「・・・・・っ」
「たってる」
それが何を指しているのか一瞬分からなかったが、ラディスラスの指がささやかな乳首を摘んできたことで、珠生は何時の間にかそ
こが立ち上がっていたことに気がついてしまった。
「つ、冷たいからだよっ。ラディの手、冷たいから、そうなっちゃっただけっ」
「ふ〜ん・・・・・じゃあ」
「・・・・・あっ」
乳首を摘んだ指先が、引っ張ったり捏ねたりと、まるで愛撫を加えるように動き出して、珠生は噛み殺しきれない声を上げてし
まう。
「この声も、反射的に出ちゃうのか」
「そ、そう!」
けして、気持ちが良いからなわけではない。くすぐったくて、少し痛くて、男の乳首なんかを嬉しそうに弄るラディスラスの顔が恥ずか
しくて、それで少しだけ、声が出てしまうだけなのだ。
「強情」
そんな珠生の言葉をどう取ったのか、ラディスラスはいきなり乳首から手を放して服の中から手を引き出すと、
「あ!」
寝巻き代わりの珠生のズボンを下着ごと一気に引き下ろしてしまった。
「な、何するんだよ!」
どこまで許されるのかなと思った。
一度はその最奥を暴き、猛った自分のペニスを突き差したこともある身体。しかし、半ば強引にしてしまったことを後悔してから、
ラディスラスは珠生の心と身体が熟すまでは手を出さないとは決めていたものの・・・・・今は、少しは許されているのだろうか。
「タマ・・・・・」
「や、やだ!」
拒絶の言葉を聞きながら、ラディスラスは剥き出しになった珠生のペニスを握りこむと、そのままゆっくりと扱き始めた。自分自身
を慰める時とは全く違い、優しく、気遣うようにと指を動かす。
自分のものとはあまりにも違う、まだ成長し切れていない珠生のペニスを乱暴に扱うことはとても出来なくて、ただ、今は快感だけ
を感じさせてやりたいと、ラディスラスは少しだけ勃ち上がりかけたそれを口に含んだ。
「!」
その瞬間に、珠生の腰が跳ねた。
押し退けようと伸ばされた手は頭を押してくるが、構わずに舐めしゃぶっていると、次第に指先から力が抜けてきたのが分かった。
(・・・・・甘い)
ペニスの先端から、甘い液が滲み出てくる。感じ始めているのだと分かると、いっそう口淫に力が入った。
ジュプ クチュ
「あっ、あっ、や、だ、だめっ」
掴んでいる細い腰が、自分から微かに揺れ始める。そして、
「・・・・・あぁ!」
口淫を始めてからそう時間が経つことも無く、ラディスラスの口の中には珠生の快感の証が吐き出されてしまった。
(出、出ちゃった・・・・・)
人の口の中のあまりの気持ちよさに我慢も効かず、珠生は呆気なくラディスラスの口の中に精を吐き出してしまった。
しかし、ラディスラスはペニスを口から出さず、そのまま喉が動いているのを見れば、自分が吐き出してしまったものを飲んでしまって
いることが分かってしまう。
(や・・・・・だ・・・・・)
自分が情けなくて、みっともないと思っているのに、射精した後の身体は重くてなかなか動かせない。
ペチャ ペチャ
そのまま、ペニスの中に残った残滓までも吸われてしまうまで、珠生はただ呆然と天井を見つめているしか出来なかった。
濡れた唇をペロッと舐めたラディスラスは、そのまま珠生の足を抱え上げた。
「ラ、ラディ・・・・・」
それまで、上気した頬で射精後の虚脱感を感じていたらしい珠生は、そのままペニスを挿入されるのかと途端に怯えた表情にな
る。なんだか理不尽な気がしないまでもないが、ラディスラスもここで珠生を最後まで抱くことは考えていなかった。
「心配するな、入れたりしないから・・・・・少しだけ協力してくれ」
ここは、自分達の生きていく世界ではない。
本当に珠生を手に入れて、その身体を抱くのならば、やはり自分の生きる場所、海の上がいいと思った。
しかし、やはり目の前でこんなに美味しそうな身体を見てしまうと、少しだけ味見もしたいと思ってしまう。
「・・・・・え?」
ラディスラスは珠生の両足を一まとめにして抱え上げると、既に猛っていた自分のペニスをその股の間へと割り込ませた。
「!や、やだ!ヘンタイ!」
「これなら、痛くないだろうっ?」
先走りの液で濡れている自分のペニスが、ニチャニチャという水音を立てながら珠生の閉じた股の間を行き来する。
「・・・・・っ」
(柔らかい・・・・・っ)
自分のペニスと珠生のペニスが擦り合う感覚は初めて感じるものだが、今射精したばかりの珠生のペニスが次第に硬さを取り戻
していくのも直に感じ取れた。
あくまでも擬似の性交だが、今はこれでも快感を感じる。
もちろん、1日でも早く、以前味わったあの熱くて狭い場所に、自分の分身を埋めたいが・・・・・。
「あっ、やっ、もっ、ねっ」
「・・・・・タ、タマ、キッ」
かなり乱暴に腰を突き動かしていると、快感が極まったのかギュッと足に力を込めた珠生が再び精を吐き出してしまった。
「・・・・・くっ」
その白濁した液が白い肌をトロリと伝わる様を見たラディスラスも一気に快感を高め、そのまま、珠生の腹へと精を吐き出す。
「あ・・・・・」
2人の精液が混ざり合って、珠生の身体を淫猥に濡れ光らせる。
「偉かったな、タマ」
「・・・・・ぁ・・・・・」
ラディスラスは珠生の頬にまで飛んでしまった自分の精液を指先で拭ってやった。
(怒るだろうな、きっと)
恋人同士が愛を確認しあう当たり前の行為なのに理不尽だとは思うものの、珠生がどんな風な態度(きっと、怒り狂うのだろう
が)を取るのか早く見たいとも思う。
その前にと、ラディスラスはそのままゆっくりと顔を近づけて唇を重ねて、思う存分その熱い口腔内を味わった。
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