爆ぜる感情
17
こういう時にだけ、感情をむき出しにしてくる伊崎は卑怯だと思う。
常に伊崎の愛情を感じていたい楓は、我儘かもしれないが常に言葉や態度を与えていて欲しいのだ。
(それが・・・・・恭祐らしいってことかもしれないけど・・・・・)
楓のことだけではなく、組のことも考えている伊崎が憎らしい。
ただ、それが楓のことを考えた上でのことだということも分かるだけに、楓はどんどん心の中に不満を溜めていって・・・・・時
折思ってもみない時に爆発してしまうのだ。
今回のことも、自分の気持ちを無視して手を出してきたウォンが憎らしかったことは事実だが、こんな時にまで組を第一
に考えて逃げ腰になっていた伊崎に対抗したいという気持ちもあったかもしれない。
「・・・・・楓さん、何を考えているんですか?」
「・・・・・お前のこと」
「私の?」
「もっと、我儘に、強引になって欲しい」
思わず零れてしまった楓の言葉に、伊崎は楓の肌の上で苦笑した。
「それは・・・・・無理ですね」
「どうして?」
「私がそうする前に、何時もあなたが素直な感情を見せてくれる。私までそうなってしまったら、誰も止めるものがいない
でしょう?」
「・・・・・」
「本当は、あなたにはもっと慎重になって欲しい。日向組の息子というだけでなく、あなた自身に価値があるという事を
皆知っていますから」
「恭祐」
「それでも・・・・・どんな時にでも鮮烈な光を見せてくれるあなたに・・・・・変わっては欲しくないとも思ってる」
「・・・・・っ」
楓は自分の肌に口付ける伊崎の頭をギュッと抱きしめる。
零れそうになる愛情が勿体無くて、全て伊崎の心に流れ込めばいいのにと思った。
何度味わっても飽きない。
どれ程貪っても足りない。
初めて楓を抱いた日から、数えられないほど身体を重ねてきたが、伊崎にとっては楓の身体は抱くたびに変化していた。
貪欲に伊崎を飲み込もうとする時があれば、初めての時のように硬くどこまでも拒む時がある。
硬ければ溶かす楽しみがあり、貪欲であればより淫らにしたい・・・・・楓は常に伊崎の欲望を刺激し続けた。
「あっ、んっつう」
「楓さん・・・・・」
今日の楓の身体は始めから熱い。
伊崎はゆっくりとシャツのボタンを外し、露わになった胸に口付けた。
白い肌は少し強く吸えば直ぐに赤い痕がつき、それがまるで所有の証のように思えて伊崎は笑った。
形ある鎖も、形の無い言葉も、けして楓を縛れないのだと自嘲する。
(それでも、私はあなたの全てを欲しがってるんですよ)
昂ぶった伊崎のペニスに手を触れると、楓はそのままゆっくりと擦りあげた。
楓の手では、片手ではとても掴みきれない伊崎のそれは、既に先走りの液を流して濡れている。
「楓さん、あまり強くしないで下さい」
少しだけ息が上がっている伊崎が可愛くて、楓はクスクスと笑った。
まだお互いがやっと服を脱いだばかりなのに、既に伊崎がこうして勃っているのは自分に欲情してくれているからだ。もちろ
ん楓も、伊崎にキスをされた時からもう感じている。
「こら」
「ん、恭祐・・・・・」
「今日は気持ちよくなるだけじゃいけませんよ。これはお仕置きなんですから」
そう言った伊崎は、いきなり楓のペニスを口に含んだ。
「やあっ!!」
いきなりの刺激に楓は反射的に腰を引こうとしたが、伊崎の力強い腕は楓の腰を離さなかった。
そのまま震えて立ち上がっているペニスを丁寧に舐め上げられ、唇で扱かれ、歯で甘噛みされ、楓はたちまちの内に上り
詰めてしまう。
「きょっ・・・・・、で、ちゃ・・・・・っ」
咥えている伊崎も楓の変化には気が付いただろうに、伊崎はそのまま根元辺りをギュウッと片手で握り締めてしまった。
「・・・・・たいっ!」
「今日は簡単に解放させませんよ」
「恭祐っ!」
何時もなら楓のイキたいだけ精を吐かせてくれるのに、今日の伊崎は無情にもそれをせき止めてしまう。
出したいのに出せない・・・・・楓はその苦痛にブワッと涙を溢れさせた。
「手・・・・・はな、せっ」
「離したら、あなたは気持ちよくなってしまうでしょう?」
「きょ・・・・・」
「これは罰なんです。組長の言う事も、私の言う事も聞かず、自分から危険の中に飛び込んでいったあなたへの罰です
よ。本当は縛ってもいいんですが、初めてのあなたにはすこしきついかもしれませんし」
「・・・・・っ」
「あなたの甘い蜜を私も飲みたいですが、今日はもうしばらく我慢しますから」
白く細い腰をくねらせ、楓は何度も伊崎に射精させてくれるようにねだった。
しかし、今日は簡単に許すつもりは無い。どんなに泣いて懇願されても、今日は少し苛めてしまいたい気分だった。
「んんっ、や、だぁっ!」
「・・・・・っ」
綺麗な楓は、こんなところまでも綺麗だ。
色素も薄く、形も綺麗で、とても自分と同じものだとは思えなかった。
いや、ここだけではない。
「ひっ!」
伊崎は自分を受け入れてくれる楓の尻の奥の蕾に、空いている手を滑らせた。
ただの排泄する器官のはずなのに、周りの肌よりも少しだけ濃い色のそこは、まるで慎ましやかな花の蕾とよく似て可憐
で綺麗だ。
「はっ、やっ、んっ、ん!」
ペニスの根元を指で締め付けたまま、伊崎は楓の蕾を舐め濡らした。
既に楓のペニスから零れている先走りの液がそこまで濡らしていたが、伊崎は更に自分の唾液でそこを開かせようと愛撫
を続ける。
ピチャピチャと響く水音と。
ヌプヌプと指を差し入れるたびに粘膜が擦れる音。
「・・・・・っ」
恥ずかしいのだろう、楓は全身を真っ赤に染めて耳を塞ごうと両手を動かすが、伊崎が与える快感に耐える為にその手
はシーツを握り締めてしまう。
「く・・・・・るし・・・・・」
「楓・・・・・」
「いき、た・・・・・」
我慢も限界なのか、楓の声は泣いて震えている。
(もう限界か・・・・・)
伊崎は締め付けていた指をそのまま滑らすと、射精を促すようにペニスを擦り上げてやった。
「いいですよ、イキなさい」
「・・・・・!」
伊崎が耳元で囁いたのと同時に、楓はせき止められていた精を吐き出す。
「ん・・・・・っ」
ピクピクと震える腰。
楓の吐き出された精液は伊崎の腹に掛かった。
「・・・・・こんなに漏らして・・・・・いけない子ですね」
腹を濡らす愛しい人の精液を指ですくった伊崎は、更に楓を辱めるように面前でそれを口に含んで見せた。
「美味しい・・・・・あなたは何もかも、とても甘くて・・・・・美味しい」
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