爆ぜる感情



18







 実際に拘束されているわけではなかったが、楓は身体中が雁字搦めになって動けないような錯覚に陥っていた。
伊崎に触れられるどこもかしこも、快感に悲鳴を上げている。
 「はっ、あっ、も・・・・・うっ」
 何度もペニスを扱かれて射精を促され、楓はもう自分が一体何度イッのかさえ分からない。
ただ、始めの頃に感じていた快感は薄れ、次第に苦痛になってきているのは確かだった。
(恭祐・・・・・飛ばし過ぎ・・・・・!)
こんなにいっぺんに爆発するぐらいなら、毎日少しずつでもこの感情を見せてくれればいいのにと思うが、今の楓にそれを
伊崎に伝える余裕は無かった。
 「きょ・・・・・すけっ」
 「どうしました?」
 ペニスを舐め上げながら、指は楓の尻の蕾に差し入れられている。
既にその数は1本ではなく、2本か3本、楓の中を焦らすように刺激していた。
 「きょう、のも、した、い」
 「俺のを?あなたの愛らしい唇と小さな手で愛撫してくれるんですか?」
 「・・・・・っ、愛撫って、言うな!」
 「やろうとしていることは大胆なのに、あなたはとても恥ずかしがり屋ですよね。でも、せっかくのあなたからの申し出を断る
ことはしませんよ」
伊崎はにっこりと綺麗に笑った。



 男の膝の間に座り、その股間に顔を鎮めている綺麗な少年。
伊崎はどこか倒錯的なその光景を、快感の声を耐えながら見下ろしていた。
 「んっ、んぐっ」
 「無理をしなくていいですよ」
 「ん〜っ」
そっと頬に手を当ててそう言えは、意地っ張りな楓は更に深く伊崎のペニスを飲み込もうとする。
しかし、楓の口では伊崎のペニスは大き過ぎて、先端部分を含むのが精一杯なのだろう。
 「・・・・・っ」
 何回かしたこの行為でそのことを知っている楓は、両手を使い、その唇と合わせて伊崎に奉仕する。
(こんなセックスをしても・・・・・この人は変わらない・・・・・)
どんなに淫らな言葉を言っても、男に奉仕をしても、楓の美しさには少しの陰りも見えない。
どんな時も楓は綺麗で、そして・・・・・眩しい。
 「楓さん、もういいですよ」
 「んんっ」
 顔を両手で掴んで上げさせようとするが、楓は嫌々とますますペニスに吸い付いてくる。
それに苦笑を零すと、伊崎は楓の髪を優しく撫でながら言った。
 「もうそろそろ、あなたの中に入りたいんですが」
 「・・・・・っ」
 「口の中で出すなんて勿体無いでしょう」
 「・・・・・」
 そろそろと顔を上げた楓の目元はほのかに染まり、唇も濡れて光っている。
 「楓・・・・・」
 「・・・・・俺が、する」
 「え?」
座っている伊崎の両肩に手を置き、腰を跨ぐようにすると、楓は先程まで自分が唇で愛撫していた伊崎のペニスの上に
そっと腰を落としていった。
 「・・・・・っ」
その体位は今までも何度かした事があるが、それはいずれも何回か抱いた後の蕾も濡れて綻んだ後で、最初からしたこ
とは無かった。
楓の足は緊張して震え、ペニスの先端まで腰は落とすものの、その先の衝撃を考えてかなかなかグッと腰を落とすことが
出来ないようだ。
 「怖い?」
 伊崎がからかうように言うと、楓は反射的に首を横に振る。しかし、やはりその先はなかなか先に進まない。
伊崎は苦笑して、楓の腰を両手で掴む。
 「きょ、すけ?」
 「手伝ってあげます」
 「ま、まって、俺、自分で・・・・・っ」
 「あなたの覚悟を待っていられるほど、私の方も我慢が出来ないんです。ほら、力を抜いて」
 「で、出来な・・・・・」
 「キスをしましょう」
伊崎は涙を溜めている楓に宥めるようにそう言うと、下から救い上げるように唇を重ねる。
 「んっ」
舌を絡め、お互いの口腔内を貪る激しいキスに楓が夢中になっていることを確認し、伊崎は勢いよくその腰を自分のペ
ニスの上に引き落とした。



 「うあっ!!!」
 脳を突き破るほどの衝撃を感じ、楓は一瞬息を止めてしまった。
伊崎の肩に爪が食い込むほど強くしがみ付いたが、伊崎は僅かに眉を顰めただけで苦痛の声も漏らさず、下からじっと
楓の顔を見つめている。
 「楓」
 「・・・・・っ」
 「楓、息を、呼吸をゆっくりして、ほら、吸って・・・・・吐いて・・・・・」
 遠くから聞こえる伊崎の言葉の通りに、楓は浅くだが呼吸を繰り返した。
やがて・・・・・下半身の熱く痺れるような痛みは、ジンジンとした疼きにすり替わってくる。
 「楓・・・・・」
 「きょう、すけ・・・・・」
 名前を呼び返すと、伊崎の目が嬉しそうに細められた。
綺麗なその顔にもしっとりと汗が浮かび、整ったその容貌が人間らしく変化していく。
(きれ・・・・・)
伊崎の変貌が自分によってもたらされていると思うと、楓は嬉しくて泣きそうになった。
 「だい、す、き」
 「楓」
 「大好き・・・・・っ」
 「・・・・・愛してますよ」
 「・・・・・っ」
 楓のそこが馴染むまでじっとしていてくれた伊崎が、ゆっくりと下から突き上げ始めた。それに合わせる様に、楓もそろりと
腰を上下し始める。
大好きな伊崎と感じ合えるように、こうして積極的に動くのは恥ずかしくなかった。
 「す、き?」
 「ええ」
 「おれ、も・・・・・」
 「知ってますよ」
 ぎゅっと伊崎の頭を抱きしめ、突き上げられる動きに身体を揺らす。
最初に感じた苦痛はまだ少し残っているが、それ以上に伊崎に与えられる快感が心地良い。
 「ふぁっ、あっ、あっ」
 「・・・・・っ」
 「!」
 前触れ無く、伊崎の欲望が楓の最奥で弾けた。
ジワジワと襞に浸透していく熱さに身体を震わせたが、伊崎はそのまま突き上げを続ける。
 「やっ・・・・・んっ」
(あ・・・・・つ、いっ)
グチュグチュといやらしい音をたてながら、伊崎のペニスは楓の蕾の中を出入りしていた。
結合している部分からは、ペニスが出入りするたびに僅かずつだが伊崎の吐き出した精液が滲み出てくる。
(勿体無い・・・・・恭祐が、零れちゃう・・・・・)
少しも萎えることがない伊崎のペニスは硬いまま楓の中を自在に蹂躙し、楓はただ伊崎が満足してその身体を解放する
まで、快感の喘ぎ声を上げ続けるしかなかった。