光の国の恋物語





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 自分のものとはあまりにも違うそれに手加減が出来ていなかったのか。
洸莱は眉を顰めながらサランの顔を覗き込んだが、どうやらその表情の中に苦痛の色は見当たらなかった。
(でも、確かに身体が・・・・・)
 「サラン、痛かったか?」
 「・・・・・・い、いえ、痛みは・・・・・」
 か細い声ながら否定してくれたその言葉に安堵した洸莱は、しかし、これからどうしようかと考えた。また同じように触れて、サラン
に痛みを感じさせるという可能性はあるし、かといってこのまま触らないでいるということも出来ない。
想像以上に美しいサランの身体に触れたいという湧き上がる欲望を抑えるには洸莱はまだ若く、ただ、相手を気遣うという気持ち
は歳以上のものがあった。
(サランを傷付けないように・・・・・あ)
 手だから、力が出るのかもしれない。洸莱は細い足をもう少し広げると、
 「あぁ!」
いきなり、サランのペニスを口で銜えた。



 クチュッ

 「あぁ!」
 いきなり生暖かく湿ったものにペニスが包まれ、サランは思わず声を上げた。
洸莱が手を触れて・・・・・そこを、自分以外の手が触れることは初めてで、どうしようもなく身体が反応してしまったのだ。
そんな顔を洸莱に見せたくなくて顔を背けたままでいると、いきなり下半身に感じたその感触。いったい何が起こったのか分からなく
て少しだけ顔を上げたサランは、自分の下半身に顔を埋める洸莱の姿を目にしてしまった。
 「な、何をっ!放してっ、放してください!」
 「・・・・・」
 「あなたが汚れてしまう!」
 これまで、排泄でしか使ったことの無い場所に洸莱が口をつけるなど、恥ずかしさ以上に申し訳なくて思わず叫んでしまい、サラ
ンは洸莱の顔をそこから離そうと必死で肩を押し返した。
 しかし、自分よりも6歳も年下の青年はびくとも動かず、そのままサランのペニスを口で愛撫し続けた。
舌で舐め、歯で甘噛みし、窄めた口全体で竿の部分を刺激してくる。情けないほどに幼い自分のペニスは初めての愛撫に浅ま
しくも直ぐに反応してしまい、本人の意志を無視して勃ち上がった。
 「あっ、あっ」
 息が苦しくて口を開けると、耳を塞ぎたくなる嬌声が聞こえてくる。
(わ、私の・・・・・声っ?)
普段の自分からは信じられないような甘ったるい声にサランの体温は急上昇し、更に感覚が研ぎ澄まされてしまって大きな声に
なる。
声を止めようと必死で自分の口に手のひらを当てようとしたサランは、その手さえも洸莱によって阻まれてしまった。
 「サランのその声が聞きたい」
 ペニスを銜えたまま話したので、吐息さえ愛撫になって腰が震える。
 「だ、駄目、駄目です、放してっ」
(何かがこみ上げてくる・・・・・!)
そう思った瞬間、洸莱の歯が先端部分を掠り、
 「!」
サランはそのまま洸莱の口の中に精液を吐き出してしまった。



 「はあ、はあ、はあ」
 「・・・・・」
 荒い呼吸をしているサランのペニスをようやく口から解放した洸莱は、コクンとその精液を飲んでしまった。
(・・・・・こんな味がするのか)
まさか自分が男の精液を口にするとは思っていなかったので、想像外の味がした。確かに甘いものとはいえないが、それでもサラン
の吐き出したものなら口に出来る。
 「・・・・・」
 そして、洸莱は自分の身体の変化も自覚した。
サランの身体を見た時から下半身が熱くなったような気がしていたが、今は確かに自分の夜着を押し上げるほどに大きくなってい
る。
 「こ・・・・・らい、様・・・・・」
 なんとか落ち着いたらしいサランは、申し訳ありませんと震える声で謝罪してきた。どうやら洸莱の口の中に吐精してしまったこと
を後悔しているようだが、洸莱とすればそれはサランが自分の愛撫に感じてくれたことなので嬉しいと思うだけだ。
 「サランが気持ち良かったのならいい」
 「洸莱様・・・・・」
 「・・・・・続き、してもいいだろうか」
 今の行為で痛みを感じていないのならば、洸莱は先に進みたかった。好きな人の身体をもっと深く知りたいと思うのは自然な感
情のはずだ。
 黙ったまま返事を待っている洸莱に、サランは少しだけ身を捩ると、寝台の上に座っている洸莱の膝へと手を乗せてきた。
 「サラン?」
 「洸莱様のものも・・・・・こんなに」
細い指が夜着の上から洸莱のペニスをなぞる。その瞬間、洸莱は眉間に皺を寄せて、今にもそのままサランを押し倒しそうになる
のを我慢する。
そんな洸莱の表情を下から見上げていたサランは、一瞬迷うような眼差しをした後、洸莱の夜着を肌蹴て、既に半分勃ち上がっ
ているペニスを手で掴みながら言った。
 「今度は、私がご奉仕をする番です」
 「・・・・・」
(順番ということでもないと思うけど・・・・・)
それでも、サランの指に一撫でされた洸莱のペニスは、更にぐんっと勢いを増した。



(・・・・・大きい・・・・・)
 男のペニスなど、こんなに間近で見たことは無かった。
もちろん、悠羽の背中を流す為に一緒に湯に入ることは多かったが、自分のものはもちろん、悠羽のものも大きいと自慢出来る
ものではなく、そもそも、快感を感じて勃ち上がったところなど見るのは初めてだ。
 女と交わったことは無いといっていたが、洸莱のペニスは立派に大人の形をしているし、色は多少色素が濃いが、綺麗だといっ
てもいい色だと思う。
 「・・・・・はむ・・・・・ぐっ」
 とても、全部は口の中に入らなかった。喉の奥まで入れようと思ってもコツが分からないので苦しいだけだし、少しでも油断してし
まったら歯で噛んでしまいそうだ。
先端と、竿の部分が少しだけ。とにかくそれだけは口に含むと、サランはぎこちなく愛撫を開始した。愛撫といっても、洸莱が先程
自分にしてくれたことを返すだけしか出来ない。自分の身体を忌むせいか、性的なことに関してはほとんど耳に入れないようにして
きたので、こういう時に具体的に何をすればいいのか全く分からないのだ。
 それでも、洸莱が少しでも気持ちが良くなって欲しいと、唇を動かした。
含みきれない竿の部分は、両手で握って擦ってみる。すると、
 「・・・・・っ」
 頭上で、息を殺すような気配を感じ、口の中に含んでいるペニスがピクピクと震えるのが分かった。
(少しは、気持ちがいいのだろうか・・・・・?)
洸莱に快感を与えているのかもしれないと思うと嬉しくて、サランは更に頭を動かした。
 「サ・・・・・ランッ」
 「ふん、んんっ」
 大きなペニスは銜えているだけでも顎が疲れるし、無意識なのか洸莱自身も腰を動かし始めたので時折喉を突かれる様で息
苦しい。それでも、サランは愛撫を止めようとは思わなかった。
 「サランッ、もう・・・・・っ」
 それから間もなく、洸莱はそう言ってサランの頭を引き離そうとしたが、自分の精液を飲んでもらったお返しに・・・・・というわけで
はないが、サランも洸莱の精液を自分の口で受け止めたかった。
しかし、サランよりも洸莱の力は強く、サランの頭は半ば強引に上げさせられてしまう。
 「・・・・・あっ!」
 「・・・・・うっ」
 サランの口から出されたペニスは、もう我慢の限界だったのか勢いよく精を吐き出す。白いそれは、間近にあったサランの顔に掛
かってしまった。
一瞬の出来事に驚いてしまったサランは目を見張ったが、珍しく洸莱も慌てて、自分の夜着で精液で汚れてしまったサランの顔
を拭う。その手が僅かに震えているのにサランは気付いた。
 「・・・・・すまない」
 「いいえ、だって・・・・・これは、洸莱様の快感の証でしょう?」
 サランは顎に残っていた精液を指先で拭うと、躊躇い無く口に運んだ。
(・・・・・不思議な味)
美味しくはないが、これが洸莱の味だ。忘れることなく覚えていようとサランはもう一度指先を舐め・・・・・やがて、じっと自分を見
下ろす洸莱を見上げた。
 「この続き・・・・・洸莱様はご存知なのですか?」