光の国の恋物語
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漏らしてしまったのだと、黎は半泣きになって洸竣に謝罪した。
「も、申し訳、ありませ・・・・・」
「構わないよ」
「ぼ、僕、あの、あの・・・・・」
「快感が深ければ、男はここから精を吐き出す。これは、黎が私の手で気持ちが良くなったという証だ。それに・・・・・」
洸竣は服の中から濡れた手を引き出すと、黎に見せ付けるようにして舐める。自分の排泄物を洸竣が口にしたということに、黎は
卒倒しそうになってしまった。
「ふふ、黎のこれはとても甘い。私にとっては甘露だな」
「こ、洸竣様・・・・・」
「黎、私は言っただろう?身体を合わせるということは綺麗事ではない。それでも構わないと思うほどの深い愛情がなければ、こ
うして自分の恥部に触れさすことも、見せることも出来ない・・・・・そうは思わないか?」
そう言うと、洸竣は黎から身を離し、膝立ちのまま自分の下穿きの紐を解いた。
「!」
(お・・・・・大きい・・・・・)
同じ男の性器をマジマジと見たことは無かったし、その上勃起した様子など・・・・・想像も出来なかったが、今目の前に見える洸
竣のそれは、自分も同じ物を持っているとは申し訳なくて言えないくらいに大きく、黎は驚きと同時に恐怖感も感じてしまう。
(こ、これを、どうするんだろう・・・・・?)
女の身体とは違う自分に、洸竣のこれを受け入れる場所などあるのだろうか?
洸竣がしてくれたように、手で慰めれば・・・・・いや、口で・・・・・。
「!」
戸惑う黎の気持ちが追いつかないまま、全ての衣を脱ぎ捨てた逞しい洸竣の身体が、再び自分の身体の上へと重なってくる。
優しい口付けを目を閉じて受け入れながら、黎は腿に当たる生暖かな硬い存在に、意識を向けないわけにはいられなかった。
射精させただけで泣きそうになっている黎に、自分を受け入れさせることは出来るのかと思ったが、洸竣もここで止めるという選
択肢を選べなかった。
二度、同じように黎を拒めば、それがたとえ黎のためを思ってしても、その心に傷を負わせかねない。
(出来るだけ痛みを感じさせないように・・・・・)
洸竣は手を伸ばし、寝台の枕もとにあった傷薬を手に取った。背中の傷の化膿止めにもなるこれならば、何とか・・・・・。
「黎」
「・・・・・」
黎は、声も出せずに洸竣を見上げてきた。
「力を抜いているんだよ」
出来るだけ優しく言うと、洸竣は指先にたっぷりの傷薬をつけて、それを黎の尻の蕾へと触れさせた。
「ひっ!」
「お前のここに、私のペニスを入れるんだ。黎、怖いか?」
「こ、こわ・・・・・く、な、い・・・・・」
「黎」
「だい、じょ、ぶ・・・・・だいじょ、ぶ・・・・・です」
顔色は真っ青を通り越して真っ白になっているものの、黎は嫌だと言わない。その健気さが嬉しくて、可哀想で、洸竣は一瞬手
を止めてしまった。
自分の身体の一番汚い場所に、綺麗な洸竣の指が触れている。
申し訳なくて、怖くて、それでも止めてくれとは言えなかった。こんな貧弱な自分の身体でもいいと言ってくれるのならば、喜んで差
し出したいと思う。それに痛みが伴うとしても、きっと幸せだと思えるはずだ。
(で・・・・・も、入るの・・・・・?)
目で見た限りでもあんなにも大きなものが、自分のあそこに入るとはとても思えない。多分・・・・・いや、きっと、そこは洸竣のペニ
スの形に裂けてしまうのだろう。
(・・・・・それでも・・・・・いい)
洸竣のすべてを受け入れたいと思ったのは自分で、洸竣はそんな自分の気持ちを受け入れてくれた。彼の欲望が自分の身体
に対しても反応してくれるのなら、身体が傷付くことは構わなかった。
「黎、深く息を吸って・・・・・ここに、力を入れないで」
洸竣が今まで夜の相手としてきたのは女ばかりだろうが、どうして男の抱き方を知っているのだろう?そんな素朴な疑問を抱きな
がらも、黎は洸竣の言う通りに深い深呼吸を繰り返す。
始めは指1本さえ入らないと思っていたそこには今では2本も入っていて・・・・・洸竣はじっと観察するように顔を見ながら、中の指
を淫らに動かしていた。
「・・・・・んっ」
あんな場所に指を入れられても、絶対に気持ちが悪いだけだと思っていたのに、指先が中を擦るたびに、ピクピクと身体が反応
してしまう。指は入り込んでいる入口は痛いくらいきついのに、中はそれとは正反対のように蠢いていて・・・・・黎はそのたびに縋る
ように掴んでいる洸竣の腕を握る指先に力を込めてしまう。
それでも、中に入り込む指の数は増えてしまって・・・・・3本になった時だった。
「ひゃあっ!」
ある場所を爪で引っ掻かれたと思ったと同時に、物凄い快感が下半身だけでなく全身を襲った。
「・・・・・ここ?ここが、いいのか?」
「よ・・・・・く、な・・・・・っ、や、やめ・・・・・っ」
「止めない。ここが黎のいい場所か」
洸竣はそう言うと、今黎が反応した場所を更に強く刺激してきた。
「はっ、やっ、もっ、もうっ!」
感じる場所ばかり攻めていると、黎の身体からはすっかり力が抜けてしまったようだ。気付くと、数回精も吐き出していたようで、
黎の下半身はすっかりと濡れそぼっていた。
(そろそろいいか・・・・・?)
意識が朦朧としている間に挿入してしまった方がいいと思った洸竣は、黎が一番負担がない格好・・・・・後ろ向きに膝立ちを
させようとしたが、
「・・・・・っ」
妙な身体の動かし方をしたのか、背中の傷が痛んでしまい、思わす眉を顰めてしまう。
「こ・・・・・しゅ、さ、ま?」
すると、それまで洸竣の与える快感に溺れていたはずの黎が、敏感にその呻き声に反応して、濡れた眼差しを向けてきた。
「き・・・・・ず?」
「大丈夫だ」
「だ・・・・・め」
黎の頭の中には、いくら消し去ろうとしても洸竣が自分の仕える主だという事実が消えないらしい。自分がどうにかしなければと
思ったのか、黎は少しだけ身体を起こした。
「ぼ・・・・・く、します」
「黎」
「こ・・・・・しゅ、様は、動かな・・・・・で」
洸竣の背中の傷がまだ完全に癒えていないことにようやく意識が向いた黎は、自分ばかり奉仕されているということがいたたまれ
なかった。いくら何も知らないとしても、洸竣に一番負担が少ないように動かなければ・・・・・そう、思った。
「黎、気にしなくてもいいんだ。これくらいの傷は・・・・・」
「ぼ、僕が、したい、です」
寝台の頭部分に背を預けるように座った洸竣の腰を跨いだ格好で、黎は首を横に振る。そして・・・・・。
「ふ・・・・・むっ」
クニュ
勃ち上がった洸竣のペニスの上に、ゆっくりと腰を下ろした黎は、その先端部分がメリメリと音を立てるように身体の中に入り込ん
でくるのを感じた。その大きさと熱さが鮮明に感じられる。
(く・・・・・るしっ)
膝立ちのまま、こうしていても恐怖と痛みを想像して動けない。同じ痛みを感じるならば一瞬の方がいいかもしれない・・・・・そ
う思った黎は、ぎゅうっと目を閉じると、一気にペニスの上に自分の体重を乗せて腰を下ろした。
「!!」
「れ・・・・・いっ!」
あまりの痛みに、黎の身体は強張り、蕾はギュウッと洸竣のペニスを締め付けている。
(いた・・・・・い!)
痛みから逃れるように無意識に腰を揺すった黎に、洸竣はその腰を強く掴んだまま自分の腰に押し付けた。
「・・・・・っ」
その瞬間、洸竣の熱い吐息を胸元に感じ、同時に、身体の中に熱い何かが一杯に溢れてくるのを感じる。
「快感が深ければ、男はここから精を吐き出す。これは、黎が私の手で気持ちが良くなったという証だ」
(洸竣様・・・・・感じてくださったんだ・・・・・)
洸竣の言葉を思い出した黎は、これが洸竣の感じた証なのだと分かると、自然に頬に笑みを浮かべて・・・・・そのままふっと意
識を手放してしまった。
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