光の国の恋物語
85
初めての時の暴力的な経験が、悠羽の心にも身体にも確かに残っていたはずだった。
今も、いずれ襲ってくるだろう痛みを考えてじっと構えているというのに、襲ってくるのは今まで感じたことも無いような快感ばかりだっ
た。
(こ、んなの・・・・・っ、おかし・・・・・!)
洸聖も、自分も男で、痛み以外に感じるはずが無い。いくら大丈夫だと言葉で言われたとしても、そんなことは無いと頭から否
定していた。
しかし・・・・・。
「あ・・・・・っ、んっ、はっ!」
自分の口から洩れる言葉が、どれ程に甘いか・・・・・考えるだけで顔が燃えるほどに恥ずかしくてたまらない。
それでも、悠羽は、洸聖を受け入れると決めた悠羽は、嫌だとは言うことが出来なかった。
小さな乳首を弄ぶことがこれほどに楽しいとは思わなかった。
どちらかといえば、こういう行為に慣れた大人の女との関係が多かった洸聖にとって、これほどに無い胸(もちろん男だから当たり
前なのだが)が愛おしく感じるとは・・・・・。
「ふぁっ、んあっ」
小さいといいながらも、ずっと愛撫を続けていると小さな乳首はぴんと張り詰め、赤く熟れた小さな木の芽のように膨らんできた。
悠羽の身体が徐々に自分の為に変わってきていることが目に見えて分かり、洸聖は嬉しくなった。
そうなると、洸聖の愛撫はどんどんと積極的なものになっていく。
可哀想なほどに痩せた胸から腰までをゆっくりと手の平で確かめるように撫で摩り、薄い内股に触れた時は思わず足を閉じた悠
羽の両足の間に手が挟まった形になってしまった。
「悠羽」
「あ、あの・・・・・っ」
悠羽も反射的にそうしてしまったようで、自分でもどうしたらいいのか分からないようだ。
ソバカスの多い顔を真っ赤にしてクシャッと歪んだ表情は本当に幼く、自分の方が悪いことをしている気分になってしまうが、もちろ
ん悠羽は20歳を超えた大人で、洸聖の許婚だ。
(いや、もう間もなく、私の妻となる者だ)
男とか女とか関係なく、自分の隣に立つ相手なのだ。
(ど、どうしよう、洸聖様の手・・・・・)
両足の間に挟んでしまった形になってしまった洸聖の手をどうすればいいのか、悠羽は泣きたいくらいに困ってしまっていた。
もちろん、このままの状態でいることは出来ないし、かといって足の力を緩めてしまえば、洸聖の手の動きを許してしまう意思表示
になるような気がする。
自分が快感を求めている淫乱な人間だと思われたくなくて、悠羽はただじっと洸聖の手を両足で締め付けていた。
「・・・・・っ!」
不意に、ざわっとした感覚が背中を走った。
「こ、洸聖、様?」
「お前が足を緩めないからな」
挟んだはずだった洸聖の手が、いや、指先が、悠羽の敏感な内股を擽るように愛撫し始めたのだ。
恥ずかしくて更に足に力を入れたはずなのに、徐々に足が開いていくのが分かる。
そうなると洸聖の手はどんどんと大胆になってきて、やがてまだ完全には脱げていなかった服を割って、悠羽の男の象徴・・・・・既
に緩く勃ち上がっている陰茎に触れた。
「ひゃ!!」
自分以外に触れることが無い場所、しかも、排泄する時以外、性的には淡白で無知な為か、自分で慰めるということもほとん
ど無い悠羽にとって、他人に・・・・・恋する人に触れられるのは嫌だった。
「は、離し、て!」
「どうして」
「そ、そのような場所は、触れないで下さい!早くっ、早く、洸聖様が気持ちがいいように・・・・・っ」
自分の快感など考えてもらわなくていい。
洸聖にとって一番簡単で、一番快感を得られる方法で抱いてくれればいいのだ。
(男の私の身体を愛さないで下さい・・・・・っ)
頑なな悠羽の心をどうしたら溶かすことが出来るのか、真理を追究することを得意とする洸聖もさすがにそれは分からなかった。
ただ、ここで止めてしまう方が、更に悠羽を追い詰めるような気がする。
(多少強引にでも、私が悠羽を欲しいと思う気持ちを伝えた方がいい・・・・・か)
「・・・・・」
「!こ、洸聖様!」
洸聖は悠羽の制止の声も、止めようとする手も無視して、強引に悠羽の陰茎を嬲り始めた。
「ひゃっ、やっ、やだあ!」
「悠羽」
「止めて、止めて、くださ・・・・・っ」
「私を拒否するな、悠羽、私はお前の身体を愛したいんだ。男とか、女とか、そんなことなど今の私には全く関係ないっ!愛し
いお前を抱きたいだけだ!」
「・・・・・こ・・・・・せ・・・・・さ、ま・・・・・」
「大丈夫、今宵はきちんと準備はしてある。男の抱き方も習ったし、それに必要なものも揃えた」
「・・・・・・だき、かた・・・・・」
洸聖のその言葉に、悠羽の泣き顔が少し怒った風に変化する。洸聖が自分以外の誰かをその手に抱いたかもしれないと疑った
のだろう。
その小さな嫉妬が愛されているという気持ちにしてくれ、洸聖は思わず笑みを漏らしてしまった。
「心配いたすな。抱き方は洸竣の知り合いから聞いただけだ。お前以外をこの手に抱こうという気は起こらなかった」
「わ、私は・・・・・」
「悠羽、確かに私達は男同士で、子を生すことは無理だ。それでも、私はお前となら子供以上の大切なものを生み育てること
が出来ると信じている。お前はどうだ、悠羽。私はその相手として、お前には相応しくないだろうか?」
嬉しいという気持ちを言葉以外でどう表現したらいいのだろうか。
普段は自分の思ったことや考えたことをきちんと言葉で伝えてきたつもりの悠羽だが、こんなに大切な時に何も言葉が出てこない
ことが悔しくて仕方が無かった。
「・・・・・っ」
せめて、自分の気持ちが伝わるように、悠羽は精一杯の勇気を出して、強張っていた足から力を抜いた。洸聖を受け入れると
いう、言葉以上の合図のつもりで・・・・・。
「悠羽・・・・・」
洸聖は悠羽の顔を見て嬉しそうに笑うと、そのまま唇を重ねてきた。
我が物顔に侵入してきた洸聖の舌を反射的に噛まないように何とか受け止め、自分からは積極的に動けはしなかったものの深
いキスを受け入れた。
クチュ ピチャ
艶かしい水音を耳元で聞いていると、ほぼ同時に自分の陰茎を掴んでいる洸聖の手が再び動き始めた。
洸聖の片手なら軽く握ってしまえそうなほどの成長不足な男の証を、心得たように指先で、腹で、手の平で愛撫を続けてくれる
洸聖。
時折先端の部分を爪で擦られるのがたまらなく気持ちが良かった。
「はあぁ・・・・・んっ」
もう、とうに女の身体を知ってもいい歳だったが、対外的に王女だとされている自分にはそんな機会は無いだろうと思っていた。
そんな気持ちが、悠羽の性を臆病にしている一因かもしれない。
だが、今・・・・・自分の身体は、この、貧弱な男の身体は、愛されるという立場になった。
(受け入れて・・・・・いいの、か・・・・・?)
洸聖の唇が悠羽の唇から離れ、味わうように首筋を舐めあげる。
「ふっ・・・・・んんっ」
悠羽は、自分の陰茎から、どんどんと何かが溢れてくるのを感じた。
まるでお漏らしをしたような羞恥が襲ってくるが、そんな悠羽の途惑いを直ぐに察した洸聖が、喘ぐ悠羽の耳元で熱い言葉を囁
いた。
「これはお前が感じている証だ。もっと、私の手がしとどになるほどに・・・・・溢れさせるんだ」
「お、かしく・・・・・な・・・・・?」
「ああ」
「ほ、んと?」
「お前が可愛くて・・・・・泣きそうだ」
「・・・・・・は、い」
素直に返事をする悠羽に洸聖は笑い、いったん身体を起こすと自分の服を脱ぎ捨てた。
あの夜、自分とはまるで違う大人の男の身体に抱いたのは恐れだけだったが、今は・・・・・自分を求めて雄々しく勃ち上がってい
る洸聖の陰茎を視線に捉えてしまった悠羽は恥ずかしくてたまらなく、反射的にギュッと目を閉じてしまった。
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