海上の絶対君主
第一章 支配者の弱点
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※ここでの『』の言葉は日本語です
どこもかしこも甘い珠生の身体を、丹念に優しく愛撫する。
珠生が途惑っている間に次々と服を脱がし、ラディスラスは自分も服を脱ぎ捨てた。
「感じてるのか?お前の可愛いものは勃ってるぞ」
珠生の身体を慣らす夜の行為は、まだ3回しかしていない。
そのどれもが当然最後まですることは無く、珠生の狭い尻の蕾に指を差し入れ、精を吐き出させるまでだった。
そこに触れられるという事が気持ちがいいことだと記憶し始めている珠生のペニスは震えて勃ち上がり、無意識の内にラディスラ
スの逞しい腹筋に擦り付けてくる。
ヌルつくペニスを手で掴んで擦りあげてやると、喉を鳴らしながら珠生は目を細めた。
可愛いと思う。
(タマキ・・・・・)
ラディスラスは、その名前を大切に口の中で繰り返した。
からかうように呼ぶ《タマ》という呼び名も可愛いが、珠生の本来の名前はそれ以上に大切に思っている。
だからこそあまり人前でその名を呼びたくなかった。
「・・・・・っ」
珠生のペニスを愛撫しているだけで、ラディスラスは自分のものも勃ち上がってきていることが分かった。
珠生とは比べ物にならないような大きさのものが、珠生の内股を突き上げる。
「・・・・・っそ」
そんなに酒を飲んだという気はしないが、身体の中から湧き上がってきている熱が欲情からくるだけのものとは思いたくなかった。
(手が震えてるなんて・・・・・知られたら恥だな)
こういった行為に慣れている自分の方が緊張しているとは恥ずかしくて見せられない。
「タマ・・・・・」
珠生はギュッと目を閉じたまま、今は寝台に敷いている白い布を握り締めている。
あの小さな指先は、先ほどまではずっと自分の服を掴んでいたのだと思うと、ラディスラスは少し物足りなく思って珠生の手をグッ
と引っ張った。
「・・・・・っ」
「掴まるのはそこじゃないだろう?」
「ラ、ラディ」
「怖いなら、俺の身体にしがみ付いてろ」
その言葉が聞こえたのかどうか、珠生の腕がラディスラスの首に回る。
その様子は子供がしがみ付いたような形だが、ラディスラスには十分に抱擁だと思えた。
気持ちが良くて、怖い。
珠生は頭に中で何度も繰り返した。
(け、蹴らないと、突き飛ばさないと・・・・・俺!)
あんなに大きな手は、予想外に細やかに動いて珠生の快感を高めていく。
ささやかに立ち上がっている乳首を引っ張られても、浅ましく勃ち上がってしまったペニスに触れられても、怖いとは・・・・・嫌だと
は思えなかった。
「は・・・・・っ、んっ」
「タマ・・・・・」
(や・・・・・そんな風に・・・・・呼ぶ、なっ)
「愛してる・・・・・」
(あ・・・・・?)
よく、聞き取れなかった。
何か、大切なことを言われている気がするが、珠生が覚えている言葉の中には無い気がする。
「・・・・・可愛い」
これは、分かる。
(女じゃ、ないっ)
「愛してる」
これは、やっぱり分からない。
「お前の全部を俺のものにしたい」
これは・・・・・。
「欲しい・・・・・っ」
(ほ、しい?欲しいって、言ってる?)
こんな状態で、何が欲しいと言っているのだろう?
「・・・・・」
珠生はゆっくりと目を開けてみた。言葉だけではやはり分からないのだ。
「・・・・・ラディ・・・・・」
目の前に見えたのは、少し苦しそうに眉を顰めたラディスラスの顔。こんな真剣な顔は初めて見る気がして、珠生はなぜか可笑
しくなって笑ってしまった。
「・・・・・っ」
その珠生の笑顔に、ラディスラスの顔が更に歪む。
綺麗で不思議な色の紫の瞳が、とても綺麗だと珠生は思った。
「・・・・・っ」
あどけなく笑う珠生の笑顔が可愛らしくて仕方がなかった。
「ん・・・・・ぐっ」
ラディスラスはいきなり深く珠生の唇を奪うと、そのまま強引に舌を差し入れた。
いきなりの事になすがまま受け入れる珠生のペニスの先走りの液を指ですくうと、そのまま尻の狭間に指を這わしていく。
「!」
ビクッと震えるその反応が恐怖や怯えからではないと既に分かっているので、ラディスラスはそのまま指を1本蕾に差し入れた。
「ひゃっ!」
すんなりと指を飲み込んだそこは、心地良くラディスラスの指を締め付ける。
熱いくらいのその感触は、自分のものを埋め込んだ時の快感をラディスラスに想像させた。
(早く・・・・・っ)
ラディスラスはゆっくりと身を起こす。
投げ出された珠生の両足を広げても、既に抵抗することはなかった。
「・・・・・可愛いな」
明るい光の下で見る珠生の蕾は、薄紅色で濡れ光っている。
指を差し入れて慣らしたといっても、とても指と自分のものでは質量が違い過ぎだ。
「・・・・・タマ」
「・・・・・」
既に勃ち上がっている自分のものが、こんな小さな場所に入れられるとはとても思えない。
一番最初に、慣らす間もなく突き入れようとした時も、先端の途中で珠生は激痛に泣き叫んでいた。
(今回は少しは違うと思うんだが・・・・・)
本当は、もっともっと慣らしてからゆっくりと抱きたいと思っていた。出来れば、珠生の同意も得て、2人で快感を分かち合うことが
出来ればと考えていた。
しかし、予想外に自分の我慢は効かず、今回のようにまた誰かが横から珠生を奪おうとしてくるかもしれない。
(お前の最初の男は俺だ・・・・・っ)
誰にも、珠生を奪われたくない。
ラシェルにも。
アズハルにも。
他の、誰にもだ。
ラディスラスはゆっくりと珠生の身体の間に入り込むと、既に手で支えなくても十分な自分のペニスをその蕾に押し当てた。
「んっ」
「・・・・・っ」
それだけで、ペニスに珠生の身体の熱さが伝わってくる。
早く、早くこの中に自身を埋め込みたいと思い、ラディスラスはゆっくりと体重を掛けて身体を重ねていった。
「んん・・・・・ぐぅ・・・・・っ」
先端の、半分が埋まった。
きつく、搾り取られるような痛みがペニスを襲い、ラディスラスは唇を噛み締めてそれに耐える。
きっと、この中は更に熱く、狭いのだろうと想像するだけで、ラディスラスの下半身は快感に震えた。
「・・・・・っつ」
ゆっくり・・・・・ゆっくり・・・・・。
急く心と身体を精神力で押さえながらゆっくりと珠生の身体の中にペニスを押し込んでいき・・・・・その半分ほどが蕾の中に飲
み込まれた時。
「・・・・・」
「・・・・・タマ?」
ラディスラスの身体の下から、珠生が涙を零しながら視線を向けていた。
『こ・・・・・わい・・・・・ラディ・・・・・気持ち・・・・・よく・・・・・て、こわ・・・・・よ・・・・・』
ラディスラスが分からない、異国の国の言葉で、珠生は小さくそう、呟いた。
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