重なる縁



18






 真正面から真琴を抱きしめると、まるで溺れかけの人間が助けを求めるようにギュッとしがみついてくる。
まるで真琴に求められているようで、海藤は下からすくい上げるようにキスをし、そのままゆっくり真琴の身体を上下に揺
らした。
 「んっ、あ・・・・・はぁ・・・・・っ」
浮力のせいで何時もよりずっと身体は軽いが、その分動きも制約されてしまう。
しかし、こうしてゆっくりと出し入れするだけでも十分感じることは出来るし、真琴の方は激しいキスに息も絶え絶えになっ
ていた。
 「ほら、動かないと終わらないぞ」
 「だ、だって・・・・・っ」
 「お前が上になってるんだ、お前の好きなように動けばいい」
 「・・・・・っ」
 わざと動かないでいても、ペニスを飲み込んだ真琴の内部は息をするごとに蠢き、海藤に絶え間ない快感を与え続け
る。
その感覚に海藤が眉を顰めた次の瞬間、真琴の身体が僅かに動いた。
 海藤の肩に両手をつき、震える足で身体を持ち上げる。
ズルッとペニスが内壁を擦る感触に身体を震わせていたが、真琴は海藤の言う通り拙く動き始めた。
 「あっ、あっ、あんんっ」
まだ、少し、酔いが残っているのだろうか。
正気だったらまず考えられなかった。
 「・・・・・っ」
 微かな湯気の中、白い身体が上下する様子は淫らで、一生懸命海藤に快感を与えようとする姿は健気だ。
 「動くぞ」
 「え?ええっ、あ!」
その姿を見て、我慢など出来なかった。
海藤は真琴の腰を掴んで身体を上下に動かし、自分も下から腰を突き上げだ。
いきなり響くバシャバシャというお湯の音に、真琴はここがどこだったか改めて思い知る。
 「み・・・・・られちゃ・・・・・っ」
 「俺達以外はだれもいない・・・・・っ」
 「で、でもっ」
 「このまま出すぞっ」
一際強く腰を引きつけると、その衝撃で真琴は再びイッてしまった。
構わず腰を突き刺す海藤も、間をおくことなく真琴の内部に熱い精液を吐き出す。
 「・・・・・真琴」
 激しいセックスのせいと湯あたりなのか、くったりと肩に顔を埋めてくる真琴を抱きしめ、海藤はいまだペニスを突き刺し
たまま湯の中から立ち上がった。
 「ふぁ!」
 新たな衝撃に、真琴は甘い声を放つ。
 「な、ぬ、抜いてくださ・・・・・」
 「このまま終わりだと思うのか?」
 「え・・・・・あ・・・・・うっ」
甘いこの身体を、まだ離すつもりはなかった。



 手を伸ばせば、ベットとは違う硬い畳の感触が手に触れる。
真琴は快感で朦朧としながらも、自分を支配する男を下から見つめていた。
 「あっ、あっ、はっ・・・・・っ」
 風呂から上がり、濡れた体のまま敷かれていた布団の上に押し倒された。
中に埋め込まれたままの海藤のペニスは硬いままで、真琴は再び快感の真っ只中に引きずり込まれていく。
 「か、かい・・・・・ど・・・・・っ」
 「真琴・・・・・」
 露天風呂の時とは違い、海藤が上に覆いかぶさってキスを仕掛けてきた。
舌を絡め、口腔内をくまなく愛撫されながら、力強く巧みな腰の動きで身体の奥までペニスで刺激される。
これだけ抱かれているというのに、いっこうに見えない底が怖いくらいだ。
痛さや怖さはもうほとんど無いといっていい。多少の痛みは、男の身体で受け入れる為には仕方がないものだとも理解
している。
しかし、抱かれるたびに前以上の快感が襲ってくるのは簡単には覚悟が出来なくて、真琴は何時も最後には海藤のな
すがままになってしまうのだ。
 「愛してる、真琴」
 「お・・・・・れも・・・・・っ」
 言葉を返すと、海藤は普段は見せない深い微笑を浮かべてくれる。自分だけの特権のようで、真琴は何度も何度も
言葉を返す。
 「す、好き・・・・・っ」
 「真琴・・・・・」
 「大す・・・・・き!」
 身体が激しく揺さぶられる。
これでもかというほど奥に海藤のペニスが入り込む。
嬉しくて嬉しくて、涙が流れてきた。



 ざわめく竹の音が聞こえる。
海藤は隣で深い眠りにつく真琴を見つめた。

 「あ・・・・・した、もいちど・・・・・おふろ・・・・・」

 それだけ言うと、まるで気を失うようにあっという間に眠りに落ちた。
 「・・・・・」
 何度真琴の最奥に吐き出したか分からないが、その度に全てを受け止めようとする気持ちが嬉しかった。
可愛く酔った姿を見れたし、野外で(露天には目隠しはされていたが)抱くことも出来た。旅行という開放的な気分が
真琴に大胆な行動をさせたのかもしれない。
 身体は熱いタオルで拭き、新しい浴衣を着せてやった。明日は早めに起こして、帰る前にもう一度風呂に入れてや
らなければと思う。
 「今度はどこにするか・・・・・」
 また、真琴の喜ぶ顔が見たい。贅沢するなと叱られるかもしれないが、、叱られるのもまた楽しいものだった。
海藤は真琴の身体を片手で抱き寄せる。
すると、無意識なのか真琴は海藤の胸に顔を埋めてきた。
 「・・・・・子供だな」
幸せな気分のまま、海藤はゆっくりと目を閉じた。