重なる縁
3
夕食まで自由にしていいと言われ、海藤は真琴を連れて自分達にあてがわれたゲストルームに入った。
まるでホテルのように広く、シンプルながら豪奢な造りに、ここでも真琴はただ圧倒されたように視線を動かしていた。
「驚いたか?」
海藤がからかうように言うと、真琴はハッと我に返って海藤を睨んだ。
「全然想像と違ってましたよ!海藤さん、意地悪だ!」
「嘘は言ってないだろう?」
「そ、それは、嘘は言ってないけど、でも・・・・・」
会うなり罵倒されることも覚悟していた真琴は、予想外の菱沼のテンションに高まっていた緊張の糸がプツンと切れてしまっ
たのだろう。
ヤクザの元親分といった先入観を持っていれば、あの菱沼は確かに想像さえも出来ないに違いない。
同業者も騙されてしまうあの第一印象とは正反対に、菱沼はかなりやり手で、容赦の無い恐れられた存在だった。
それは引退した今も変わらないのだが、それを真琴にわざわざ教える必要も無い。
「真琴」
海藤は口を尖らせる真琴を背中から抱きこみ、宥めるようにそっと頬に唇を寄せる。
「お前の反応が楽しみで秘密にしてたんだ。悪かった」
「・・・・・怒ってません」
「優しいな、真琴は」
そう言いながら、自分の腕の中で真琴の身体の向きを変えると、海藤は今度は唇を重ねた。
そっと触れるだけのキスの後、海藤は軽く真琴の唇を舐める。それが合図かのように真琴は素直に口を開いた。
遠慮も無くその口中に舌を入れ、海藤は我が物顔に真琴の舌を吸い口腔を蹂躙した。
「・・・・・」
海藤が教えた通りの、素直で可愛い反応だ。
「ん・・・・・っ」
そのキスを徐々に激しいものに変えていくと、真琴は僅かに眉を顰め、息苦しそうに声を洩らした。
やがて、パンパンと海藤の肩を叩き始めたので、ここが潮時かと唇を離すと、真琴の顔は真っ赤になっていた。
愛しくてたまらない・・・・・そんな気持ちを抑えきれず、海藤はそのまま真琴の身体を抱き上げてベットまで運ぶ。
「か、海藤さん」
「ん?」
「す、するの?」
「したいな」
「だ、駄目ですよっ」
「なぜだ?」
「だ、だって、ここ、人の家だし、この後ご飯一緒に食べるんですよ?・・・・・バ、バレたら恥ずかしいから」
「痕は付けないようにする」
「そうじゃなくて・・・・・顔を見られたら、きっと・・・・・バレます」
「顔を?」
「・・・・・幸せだって顔・・・・・しちゃうから・・・・・」
最後は消え入りそうな小さな声だったが、海藤の耳にははっきりと届いた。
そんなことを言われて、止められる男などいないだろう。
海藤は無言のまま掛けていた眼鏡を外してベットサイドに置くと、そのまま先程よりも激しいキスを仕掛けた。
「ふ、ん、んん・・・・・っ、や、やめ・・・・・」
「お前が誘うのが悪い」
「お、俺、誘ってなんか・・・・・っ」
否定の言葉は、キスの波に埋もれてしまった。
まだ明るい日差しの中で、行為をするのは初めてだった。
それに、ここは2人だけの空間であるマンションではなく他人の、それも海藤の伯父が住んでいる家だ。
同じ部屋にいなくても、この屋根の下には確かに彼はいるし、他にも大勢の人間がいるはずだ。
「か、かいど・・・・・さ・・・・・」
既にシャツははだけられ、白い肌が海藤の目に晒されている。口では嫌だと否定しているのに、震えてツンと立ち上がって
いる小さな乳首は、先程からの海藤の愛撫でいやらしく濡れ光って、淡いピンク色は既に鮮やかに赤く染まっていた。
「い、痛い・・・・・っ」
唇で挟んだり、軽く歯で噛んだり、真琴がここで感じると知っている海藤は愛撫の手を休めない。
乳首に与えられる快感は、時間を置かずに真琴の下半身をも襲った。
「ひっ?」
7分丈の綿パンのボタンを外され、そのまま下着の中に手を入れられる。
海藤の大きな、しかし細く長い綺麗な指が、既に勃ち上がり掛けて震えている真琴のペニスに絡みついた。
「い、いやっ」
誤魔化そうとしても、既に濡れていることは直ぐに分かったはずで、耳元で海藤が僅かに笑ったのが分かる。
「若いな」
「か、海藤さん!」
「安心しろ、最後まではしない」
腰が立たなくなるだろう?
鼓膜さえも愛撫するような、艶やかで色気のある海藤の声に、真琴の欲情は一気に膨れ上がった。
縋るように海藤の首に両手を回すと、泣きそうな小さな声で先をねだる。
「ああ、分かってる」
そのまま下着ごと下を脱がされ、真琴はシャツを腕に引っ掛けただけの恥ずかしい姿になった。
もう、勃ち上がったペニスを隠そうと思う余裕など無く、早くこの疼くような欲望を治めて欲しくて、真琴は無意識のうちに海
藤の手を自分のペニスに導いていた。
「・・・・・どっちがいい?」
耳元で囁かれる。
「・・・・・」
「分かった」
海藤は笑いながら、そのまま震えて勃ち上がっている真琴のペニスを口に含んだ。
「!」
痺れるような快感に、真琴の身体が跳ね上がる。
「か、かいど・・・・・さ・・・・・もち・・・・い・・・・・きもち・・・・・い、よう・・・・・っ」
舌で、唇で、手で、海藤は休む間も与えずに真琴を愛撫し続ける。
若く未熟な身体は、たちまち上り詰めてしまった。
「はっ、離し・・・・・!」
せめて海藤の口には出したくないと、真琴は力の入らない手で海藤の頭を引き離そうとする。
しかし、海藤はそのまま構わず、強く吸い上げて刺激を与えた。
「!!」
声にならない声をあげ、真琴はそのまま海藤の口の中で欲望を開放してしまった。
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