KIDS TYPHOON
5
夕食が済むと、次は風呂だった。
別荘には2つの風呂があり、1つは少し大きめながらも普通の家族タイプの風呂だが、もう1つは大人が4、5人くらいは入れそう
な大きなものだ。
「おれ!みんなとはいる!」
は〜いと元気に手を上げた太朗に続き、真琴、楓、静、友春も次々とそれに同意する。
仲の良い友達とのお風呂はきっと楽しいと思ったからだ。
しかし。
「却下」
「きゃっか?」
食後のジンジャエールの瓶をラッパ飲みしていた上杉が(伊崎の判断で酒は買ってこなかったらしい)即座に言った。
どういう意味だと丸い目を自分に向けてくる太朗に、上杉は口元に笑みを浮かべながらその反応を楽しむように言い聞かせる。
「まさかガキだけで風呂に入れらんないだろ。せめて・・・・・そうだな。1対3か?」
「あー!それ、おーぼーっていうんだぞ!」
「・・・・・」
(どこで習ったんだ、そんな言葉・・・・・)
「じゃあ、じゃあ、おれ、ジローいがいがいー!」
「・・・・・」
何時の間にか名前を呼び捨てにされているが、それを怒る気はしない。
(それを許すと思うのか?)
笑みを浮かべたまま、上杉は突然軽々と太朗の小さな身体を肩に担ぎ上げた。
「わわっ、くちからはんばーぐでちゃう!」
「海藤、そこのチビと一緒に来い」
「会長?」
「一番風呂もらうぞ」
「ひろい!ひろいおふろだね〜、すごいね〜」
風呂を見て楽しそうに叫ぶ真琴に、それまで容赦なく上杉の背中を叩いていた太朗が振り返った。
「そうだろ?おれたちごにんだったらはいれたんだけどな〜」
「まだあしたもあるよ。きょうはふたりでがまんしよ」
考えれば、この大男と2人きりで無いだけましなのかもしれないと、太朗は直ぐに意識を切り替えた。
そして、子供らしく全く躊躇もしないままパンツまで脱ぎ捨てて素っ裸になると、まだもぞもぞと服を脱いでいる真琴を振り返ってそ
わそわと急かす。
「まこちゃん、はやく!」
「まって」
陽に良く焼けた太朗の肌とは違い、色白の真琴もやっと服を脱いで慌てて太朗の後を追い掛けた。
「すご〜い、タロくん、い〜ね、こんなおっきなおふろがあって!」
「おれもときどきしかこられないもん。でも、おっきーふろはいーよな」
声が響くとはしゃいでいた2人は、
「おい、ちゃんと洗ってから中に入れよ」
「もう!おれたちあかちゃんじゃないってば!」
聞き慣れてしまった大男の声に文句を言おうと振り返った太朗は、目の前の姿に目を丸くして叫んでしまった。
「でっけー!!」
太朗が何を見て叫んだのかはその視線で良く分かる。
(せめてタオルで隠せばいいのに)
幾ら男同士、それも子供相手とはいえ、下半身を隠すことも無く堂々と振舞う上杉に、後から付いていく海藤は溜め息しか零せ
ない。
多分・・・・・これも太朗をからかう為なのだろう。
「ん〜、なんだ?」
「ジロー、ちんちんでっかいな!とーちゃんよりでっかいかも!」
「そうか」
「・・・・・」
(喜んでどうするんだ・・・・・)
海藤が呆れているのも気付いているはずだが、上杉はそのまま太朗の前に屈んだ。
「なんだ、お前のはちっせーな。ウインナーか?」
「ち、ちっさくないもん!こどもだからいいんだもん!」
「へ〜」
笑いながら手を伸ばした上杉は、そのまままだ自分の人差し指ほども無い小さな太朗のペニスを指先で摘んだ。
「なんだ、まだフニャフニャじゃん」
「会長っ」
さすがに子供相手にやり過ぎだと海藤が諌めようとするが、海藤が思っていた以上に太朗の負けん気は強かったらしい。
一瞬唇を噛み締めた後、なぜか海藤の傍に駈け寄ってくると、いきなり海藤が腰に巻いていたタオルを取った。
「こっちのおにいちゃんのほうがちんちんでかい!」
「・・・・・」
「・・・・・」
男としては屈辱的な言葉に、上杉はさすがに二の句が告げなかった。
太朗の言葉にショックを受けたのか、それとも毒気を抜かれたのか、上杉は大人しく太朗の身体や髪を洗ってやっている。
子供の太朗はもう自分が言ったことも忘れているだろうが、大人の・・・・・いや、高校生の彼らにすれば耳に残った言葉はなかな
か消えることが出来ない。
「ねえ、かいどーさん」
「ん?どうした?」
なぜかこの呼び方を気に入ってしまった真琴は、湯船の中で海藤の膝に乗り上げてきた。
「ちょ・・・・・」
子供特有の柔らかな肌が直接海藤の肌に触れる。
そのまま身を乗り上げた真琴は、片手で掴めそうなほど小さな尻を海藤の下半身・・・・・もっとはっきり言えばペニスの上にちんま
りと座って言った。
「まこのちんちんもおっきくなるかな〜?」
「・・・・・え?」
「かいどーさんや、あっちのおにいちゃんみたいにおっきくなれる?」
「・・・・・」
丁度自分の身体に興味を持ち始める頃なのか、海藤の目から見れば本当に自分と同じものなのかと思える程小さなペニスを
自分で引っ張りながら言っている。
海藤自身、何時の間にか身体が成長したとしか記憶が無いので、こんな風に可愛らしく素朴な疑問を持っただろうか・・・・・返
答も迷ってしまった。
「・・・・・身体が成長すれば、そこも自然と大きくなると思うが・・・・・」
「ほんとかなあ」
「女にでもいっぱい揉んでもらえばでっかくなれるぜ」
「会長!」
どこから聞いていたのか、自分の髪を洗いながら言う上杉に海藤は強く制止した。純粋な子供の疑問に、生々しいことを言わ
ないで欲しい。
「ま〜、男同士でもいいかもな」
「か・・・・・っ」
「おれもでっかくなりたい!まこ!もみっこしよ!」
「駄目だ!会長っ、子供相手に冗談は言わないように!」
海藤はそう言うと、真琴の身体を抱いたまま浴槽から立ち上がった。
続いてはアレッシオと江坂、そして友春と静が風呂に入った。
アレッシオも江坂も他人と風呂には入ったことが無かったが、自分の身体を隠すほど自信が無いというわけでもないので、堂々と
裸体を晒して浴室に入った。
「広いな」
「元はペンション・・・・・客商売をしていたようですから」
「・・・・・トモ、どうした、入ってきなさい」
「・・・・・」
アレッシオは、入口で固まっている友春を振り向いた。既に服は脱いでいて裸になっているのに、なかなか中に入って来ようとしな
いのだ。
「ともくん、はいろ」
すると、ようやく服を脱いだ静が友春の手を握り締めて中に入る。
大柄な2人に対して小柄な2人の子供は、全く比べ物にならないほど小さい。
「・・・・・」
(怖がっているのか・・・・・?)
元々、高校生というだけで幼稚園児からすればはるかに大人だろうが、それに加えて外国人(正確にはハーフだが)のアレッシオ
は格別に大きく見えるのだろう。
それは服を脱げばさらに顕著で、友春は無意識に怖いという思いを抱いてしまっているに違いなかった。
「トモ」
怖がらせないように、優しくその名を呼んでみる。他の子供達とは違い、かなり大人しい友春には、とにかく優しく接しなければ
ならないような気がした。
(この私が子供に・・・・・)
自分の方こそかしずかれるはずの立場なのにと思うが、それも悪い気がしないのだから面白かった。
「・・・・・」
おずおずと、それでもゆっくりと自分に手を差し出してくる友春が可愛い。
アレッシオはそのまま小さな手を引き、柔らかな身体を腕の中に入れる。今まで抱いてきた女達とは違うさらっとした温かな子供の
肌の感触に、アレッシオは自然と頬に笑みを浮かべた。
(まさか・・・・・な)
どんな女も、そして男でさえも思い通りに出来るだろうアレッシオが、幼い子供相手にこれほど穏やかな顔をするとは・・・・・まさか
子供相手に・・・・・そう思った江坂は、自分の脇を通り抜けていく静を見下ろした。
(・・・・・欲情することはないな)
自分は違うと江坂は思う。
「あっ、おにいちゃん、熱いよ?」
「少し待ちなさい」
湯に手を入れた静が小さく叫ぶと、江坂は手早く水を入れながら、赤くなってしまった手を取って水に掛けてやった。
「つめた・・・・・」
「痕に残らないようにしているんだ、大人しくしてなさい」
「うん」
「・・・・・」
「おにいちゃん、ありがとう」
「・・・・・」
(こんな気持ち・・・・・なのか?)
肉欲や利権などとは全く関係ない、誰かに優しくしてやりたい、信頼される視線を向けられたい・・・・・アレッシオも友春に対してそ
う思っているのだろうか。
「ほら、もう大丈夫」
今度は水で冷たくなってしまった手を温めてやるように、江坂は静と一緒に湯船に入る。
大人しく江坂の前で口元まで湯につかった静は、じっと自分を見ている江坂ににっこりと笑いかけた。
「おにいちゃん、めがねなくてもかっこいいね」
身体に湯を掛けてやりながら、アレッシオは友春がチラチラと自分の下半身を見ているのに気付いた。
明らかにペニスを気にしている素振りが分かる。
(トモが・・・・・?)
とてもそんな風には思えないので、アレッシオはわざと意地悪く友春に言った。
「トモ、私のペニスはおかしいか?」
「ぺ、にす?」
聞いたことがない単語に首を傾げる友春に、アレッシオは友春の小さな薔薇の蕾のようなペニスに触れた。
「このことだ」
「!ち、ちがうよ!」
珍しく焦ったように叫んで身体を引いた友春は、ギュッと目を閉じて言った。
「タ、タロくんがたしかめてっていったから!」
「確かめ?」
「お、おにいちゃんはがいじんさんだから、あしのもじゃもじゃはくろじゃないだろって!たしかめてっていわれたんだもん!」
「・・・・・」
(あの子供か・・・・・)
子供達の中ではリーダー格というか、一番元気なあの悪戯小僧が言いそうなことだと思いながら、それをこの大人しい友春にさせ
なくてもいいだろうにとも思う。
「・・・・・それで、分かったか?」
あの子供には後で言い聞かせようと思いながら友春に言うと、友春は小さくコクンと頷いた。
「かみのけとおなじくろいろ。タロくんにもちゃんと教えなきゃ」
「・・・・・」
無邪気といえば無邪気な返事に、アレッシオも苦笑を零すしか出来なかった。
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高校生達×幼稚園児達、第5話です。
やはりお風呂では欠かせない話題がチラホラと。
次回は今回出てこなかった伊崎&楓と、綾辻と倉橋、そして小田切のお風呂場面と続きます。