子犬と闘犬2











 自分の緊張感が楢崎に知られるのは怖い。
もしかして、やっぱり止めようということになってしまった時、次に自分から誘うことは絶対に出来ないと思っているからだ。
(さ、先に気持ちよくなってもらわないと・・・・・っ)
 心臓の鼓動を誤魔化すために、楢崎に抱きつくのは止めた。身体が密着してしまうと嫌でも分かってしまうので、それよりも先に
楢崎を感じさせようと、暁生は手を伸ばして楢崎の浴衣の裾を掴んだ。
 「暁生?」
 「お、俺、出来るから」
そのまま、手を動かして楢崎のペニスに触れる。
 「・・・・・っ」
 大きくて熱いそれはまだ勃ち上がってはおらず、今から自分がしなければと思うと緊張してしまい、思った以上に強い力でペニス
を握り締めてしまった。
 「・・・・・っ」
 「ご、ごめんなさいっ」
 頭上で息をのむ気配がし、慌てて手を引くと、今度は何をしていいのか全く分からなくなる。再びペニスを触るのも怖いし・・・・・
それならばと、暁生はそっと楢崎の胸を押し返して布団の上に立つと、自ら浴衣の帯を外した。
 「暁生・・・・・」
 少しだけ、驚いた楢崎の声。きっと、下着を着けていないとは思ってもいなかったのだろう。
それでも、脱がされることも脱ぐことも恥ずかしいと思ってしまい、それならば始めから穿いていない方がいいかと思った。
 「な、楢崎さん」
 きっと、自分のペニスはいやらしく勃ち上がっているはずだ。楢崎に触れてもらうことを期待し、ゆらゆらと物欲しげに揺れているは
ず。
手でそこを隠したい思いを懸命に抑えて、暁生は視線を逸らしながら小さな声で言った。
 「お、俺・・・・・何したらいいですか?」




 まさか下着を着けていないとは思わず、楢崎はさすがに驚いてしまった。
(全く・・・・・分かってやっていないのが性質悪い)
先程ペニスに触れてきた時も、手が緊張して震えているのが分かった。自分が上杉のように言葉が滑らかならば、からかって暁生
の緊張を解すことも出来たかもしれない。
 小田切のように経験豊富ならば、こちらがさりげなくリードすることも出来たかもしれないが、それなりの経験はあるとはいえ、自
分はあくまでも無骨な男だった。
目の前の青年よりも遥かに年上で、本当は若い彼と身体を合わせるために肌を晒すことは少し恥ずかしい。それでも・・・・・。
 「あ・・・・・っ」
 楢崎は暁生の腕を掴み、そのまま自分の胸に抱き込んだ。
 「な、楢崎さ・・・・・っ」
 「黙っていていい」
自分が話すことが恥ずかしいのに、わざと暁生のせいにした。そのくらいの見栄は許して欲しい。

 暁生の素肌は熱かった。
温泉の効能からか、肌は滑らかで石鹸の香りがする。
 「暁生」
 「んっ」
 名前を呼び、一度軽く唇を寄せた楢崎は、唇をゆっくりと胸元へとずらしていった。微かに肌に触れるたび、ぴくぴくと反応する
幼さに笑みを誘われるが、もちろんそれを面倒だとは思わない。
相手が暁生だからこそ、今まで最後まで手を出さなかったのだし、一度全てを手に入れると決めたからにはそこから引き返すこと
は考えていなかった。

 チュク

 ささやかな乳首を口に含めば、
 「はんっ」
暁生は甘い声を上げる。既にここは何度も可愛がっていて、暁生も嫌悪感や戸惑いではなく、直ぐに快感を拾うようだ。
楢崎は暁生の表情を注意深く見つめながら、片方の手を半勃ちのペニスへと滑らせた。
 「!」
 さすがに直接的な刺激を感じて、強く目を閉じていた暁生はパッと目を開き、縋るように楢崎を見つめて来る。
 「や・・・・・」
 「大丈夫だ」
 「・・・・・ぅ・・・・・」
 「声も我慢するな」
暁生の声を聞くだけで、楢崎自身も昂ってくる。勃ち上がってきたペニスを隠すことも変だと、楢崎は暁生の素肌にすり付けた。




 濡れた感触。
熱くて、硬いそれが何なのか、暁生は見ないようにしても分かっていた。
 今までだって、セックスまがいのことをしてきたので、楢崎の肌の熱さも、ペニスの大きさも全く知らないということは無い。
ただ、やはり今夜はまるで初めてのように緊張して、シーツを握り締めて快感を耐えるしか出来なかった。
(な、楢崎さんも、感じてくれてる、けど)
 その気になっていないのならば、ペニスが勃ち上がるはずが無い。
いや、男は感情ではなく、生理的な欲求でもそこを勃起させることがあるが、楢崎ほどの理性的な男が流されるということは無い
と思う。

 クチュ クチュ

 大きく、少しかさついた手がペニスを包み込み、親指の腹で先端を意味深に擦ってくる。腰が痺れて、中から何かがせり上がっ
て来て、それを誤魔化すように下半身を捩ろうとするものの、楢崎の大きな身体がのしかかっているのでそれも出来なかった。
 反対に、自分のペニスをさらに楢崎の手に擦りつけてしまう結果になってしまい、彼の手を自分の零す先走りの液で汚してしま
うのが申し訳ない。
 「ご、ごめんなさ・・・・・」
 「暁生」
 「ごめんな・・・・・さ・・・・・」
 今回誘った自分の方が楢崎を喜ばせたいのに、こうして彼に奉仕を強いてしまっている。それが情けなくて、暁生は半泣きにな
りながら謝った。
 「・・・・・」
 不意に、ペニスを弄っていた手が止まり、耳元で馬鹿だなと苦笑交じりの声がする。
 「謝ることなんて何もないだろう?」
 「だ、だって・・・・・っ」
ただ受け入れることしか出来ない自分に呆れることはないのだろうか?
 「セックスは対等なものだ。お前が俺を欲しがってくれているように、俺だってお前を欲しいと思っているんだ。お前のどんな顔だっ
て可愛いと思ってるし、むしろ、見せて欲しい」
 「楢崎、さ・・・・・」
(本当に・・・・・呆れない?)
 どんなに変な顔を見せても。感じ過ぎて泣いてしまったり、痛さに喚いたりしても、最後までちゃんと抱いてくれるのだろうか。
それを訊ねようと、必死で顔を上げた暁生に、楢崎の顔が近付き、深いキスをされた。
 「んっ」

 チュク

 舌を絡め、お互いの唾液さえも飲み込んでしまう大人のキス。
その熱いキスに意識がもうろうとしてきた時、
 「!」
尻の奥を、そっと指の腹で撫でられてしまった。




 自分がなかなか手を出さなかったせいで、暁生は随分卑屈な考えを持っているらしい。
(これ以上、俺を煽るな)
暁生のどんな表情も、今の楢崎の劣情を煽るものにしかならない。
そんな、暴発しそうになる自分の感情を辛うじて押さえながら、楢崎は浴衣の帯に挟んでいたローションを手にした。
本当は自分を受け入れるそこを舐め濡らしたかったが、一番最初からそれをしたら暁生は羞恥のあまり気を失ってしまうかもしれ
ない。この先、何度でも抱く機会はあると、今日は出来るだけ痛みを感じさせないようにすることを第一に考えた。
 「・・・・・」
 自分の用意していた物をと最初は考えていたが、上杉の手渡してくれたものを使うことにした。それは、上杉が恋人にも使って
いるということを聞いたからだ。
 「んっ」
暁生よりも年少の少年に使っても大丈夫なら、暁生にも良いかもしれない。楢崎は暁生にキスをしたまま片手で器用にボトルの
蓋を開けると、手の平にそれを零してそっと尻の狭間を指で撫で擦った。
 「!」
 冷たさに、ビクッと、それこそ飛び上がらんばかりに反応する暁生。
楢崎はそのまま何度も尻の奥・・・・・まだ固く閉ざされた尻の蕾を濡れた指で擦り、やがて重なった唇の端から吐息のような喘ぎ
声が漏れ始めた時、

 ヌチュ

楢崎は指一本を蕾の中に押し込んだ。
 「ひゃあっ!」
 「力を入れるな」
 嫌々と首を横に振ったため、キスは解けてしまった。楢崎はそんな暁生の耳たぶを甘噛みしながら、身体の力を抜けと、何度も
言うが、まだ第一関節も入っていない人差し指はぎっちりとくわえ込まれたまま、引くことも奥へ差し入れることも出来ない。
 「暁生」
 力を抜けと、何度も声を掛ける。
 「んぁっ、はっ」
 「暁生」
 「んんっ」
暁生自身もそれを分かっているようだが、どうしても緊張は解けない。
 「暁生」
 何度も名前を囁きながら、楢崎はもう片方の手でペニスを再び擦り始めた。
少し力を失ってしまったようだったペニスは、ぬるぬると指先を動かしているとたちまち力を取り戻し、それと同時に身体の強張りは
溶けて行って、

 ニュル

指先は根元まで入った。
(熱い・・・・・)
今までも何度も慣らしたここは、楢崎の指をキュウキュウと強く締め付けて来る。指がたった1本でこれだけきついとは、本当に自
分のペニスを入れることが出来るのだろうかと心配にもなった。
 指を3本入れるまで慣らしたとしても、それは自分のペニスの大きさからすればまだまだ細く、どれだけ慣れさばいいのだろうと考
えてしまうが、先ずはもう少し身体を柔らかくしてもらわなくてはならない。

 グチュ

 ローションで濡らした指は、少しずつだが動くようになった。もっとローションを足した方がいいだろうと、楢崎は体勢を変えるために
身体を起こした。




 大きく足を広げたみっともない格好を、楢崎が上からじっと見ている。
自分は既に全裸になっているが、楢崎はまだ浴衣の前を少し乱しただけの状態だ。ただ、下半身のその場所・・・・・欲情を示す
ペニスが勃ち上がっているのは浴衣越しにも分かって、暁生はそれだけでもこの行為がどちらかの一方的な行為なのではないと
確信出来て嬉しかった。
(で、でも、このカッコ・・・・・)
 楢崎のペニスを受け入れる準備を、楢崎本人がしてくれるのも申し訳ないが、とても自分でそこを解すことは出来ないので任せ
るしかない。
だから、この恰好も仕方が無いと理解出来るのだが・・・・・。

 クチュ グチュ チュク

 狭い場所を掻き混ぜるいやらしい水音。何時の間にか、自分の中を解す指は2本に増えていた。
きついだけだったそこが、貪欲に指を絡め取るのが自分でも分かって、暁生は羞恥に真っ赤になりながらも何とか足を閉ざすのだ
けは我慢する。
(こんな、とこ、触らせるだけでも、申し訳ないのに・・・・・っ)
 楢崎が使った何らかの液のせいか、それとも自身のペニスが零した先走りの液のせいか、尻の下にあるシーツまで濡れてしまっ
ているのが、少しひんやりと濡れたそれの感触で分かる。
これを明日、掃除する時になんて思われるだろうかと、何とか意識を別の方向へ向けようとしたものの、どうしても自分の中にある
指先の動きが気になってしまって仕方が無かった。
 「痛いか?」
 暁生は首を横に振る。口を開けば変な声が出てきそうで、行動だけで意思を伝えた。
 「痛かったら言うんだぞ」
 「・・・・・っ」
それにも頷いた暁生だったが、もしも痛みを感じてもけしてそれを言うつもりは無い。痛さなど、身体が繋がる嬉しさで綺麗に相殺
してしまえるはずだ。

 ニュル

 「ひっ」
 さらに1本が中に入ってきた。全部で3本、結構苦しい。
(で、でもっ、楢崎さんの・・・・・これより、おっきいはずだよなっ)

 チュク グリュ

 「!」
(く・・・・・る、しっ)
さすがに、慣れるまではしばらく動かされなかった指が、次第に我が物顔に内壁を刺激してきた。身体の中をバラバラにかき乱し、
暁生は喘ぎ続け、開けたまま閉じられない唇の端から、飲み込めない唾液を滴らせてしまった。






                           







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