異国の癒す存在









                                                          
『』は中国語です。





 先入観のない一般人の洞察力というのはなかなかに侮りがたい。
自分達は相手が中国マフィアの人間だということを知って身構えてしまうので、まっさらの状態で相手を見ることがなかな
か出来ないのだ。
 それに、この古河という男は意外に神経が太い。
こうやってヤクザの自分と普通に(多少は緊張しているのかもしれないが)話せること自体、海藤が古河を買っている理
由の一つでもあった。
 それにしても・・・・・と、海藤は改めてロンタウの行動を考えた。
普通に考えれば、日本人のごく普通の大学生である真琴が、裏社会の中枢の一角である人物の琴線に触れるという
事は考えにくい。それも、すれ違うほどの一瞬の出会いならば尚更だ。
彼の今回の来日に別の意味があったとしても、そこに真琴との再会を組み込ませるとは・・・・・。
(それほど、真琴が気に入ったということか?)
嬉しくはないその事実に、海藤は溜め息を漏らしたくなってしまった。
 「・・・・・あの」
 「なんだ」
 海藤が思案中は黙っていた古河は、チラッと車の方へ視線を向けながら言った。
 「何かあったら、連絡してもいいんですか?もしかしたらくだらない心配でってことになるかもしれないですけど」
 「ああ、頼む」
 「分かりました。じゃあ、俺はこれで」
 「すまなかったな」
海藤がそう言うと、古河は一瞬驚いたように目を見張り、次の瞬間困ったように眉を下げた。
 「あなたに礼を言われるのって、なんか怖い気がしますよ」



 「古河さんに何の話だったんですか?」
 時間としては5分も掛からなかったかもしれないが、海藤が古河にというのがどうもピンとこなかった真琴はその理由を訊
ねた。
 「たいした話じゃない」
 「え?」
 「客の中に、お前にちょっかいを掛けている奴がいないかどうかを聞いただけだ」
 「・・・・・っ」
途端に真琴の顔が赤くなった。
 「お、俺なんか、海藤さんがそんな心配するほどモテませんよ?話しやすいからって声は掛かるけど、女の子は俺は対
象外だってはっきり言うしっ」
 「それなら安心だが」
 「・・・・・」
(心配なのは、俺の方なんだけど・・・・・)
 真琴が改めて思うまでも無く、海藤はとてもカッコいいと思う。
外見だけではなく、性格だって優しいし(それが自分限定だとは真琴は気付いていない)、地位だって財力だってある。
今時縄張りというのも可笑しいらしいが、開成会が支配下に置いてある飲み屋の中には、海藤に思いを寄せている美
人な女の人もたくさんいるらしい・・・・・と、綾辻から聞いたこともある。
 今更男同士だからとか言う理由は考えることも少なくなったが、自分のような平凡な人間が何時まで海藤の愛情を一
人占め出来るか、真琴はその方が心配だった。
 「真琴?」
 顔を真っ赤にして俯いた真琴に、海藤は声を掛けてくる。
 「え、えっと」
 「・・・・・」
 「心配は、しなくていい、です」
何とかそう応えた真琴の頭上で、海藤が笑う気配を感じた。



 マンションに着くなり、海藤は真琴を攫うようにして寝室に連れて行った。
 「か、海藤さん?」
焦ってはいないと自分では思っていたはずだったが、自覚している以上にロンタウのことを気にしている自分がいる。
 「んっ」
深く唇を重ね、そのまま服を脱がせていく海藤の手に基本的に逆らわないものの、さすがに直接下着の中に手を入れら
れ、ペニスを触られた時には真琴は身を捩った。
 「お、お風呂、あのっ」
 今だにセックスの前には身体を綺麗にしておきたいという真琴の初々しい気持ちには笑みを誘われるが、海藤からすれ
ば真琴の身体は少しも汚れてなどはおらず、少し汗をかいた体臭も全く気にするほども無い。
海藤は真琴をベッドに寝かせると、そのまま自分も服を脱ぎ捨てた。



 何時もと同じようにキスは甘くて。
触れる手も優しくて心地良いのに、少しだけ性急な気がするのは・・・・・思い違いなのだろうか。
(お、怒って・・・・・る?)
 「ぐ・・・・・っ」
 そして・・・・・何時もより早く感じた慣らしの時間の後、双丘の奥の蕾に海藤のペニスが挿入された時、さすがに真琴
は少しだけ痛みを感じて思わず眉を潜めてしまった。
 「・・・・・すまない」
直ぐに真琴のその状態に気付いたらしい海藤はそう言ったが、ペニスを引き抜こうとはしない。
真琴の額に滲んだ汗を指先で拭い、宥めるように頬にキスを落とす海藤の仕草に何とか落ち着いた真琴は、まだジンジ
ンと痛むペニスを受け入れた蕾から何とか力を抜こうと浅い息を繰り返した。
 「真琴」
 「だ・・・・・じょぶ」
 海藤を受け入れること自体は嫌でもなんでもない。
むしろ今では自分の身体が喜んでいるのも自覚しているし、自分の身体で海藤が気持ちが良くなってくれるのであれば
こんなに嬉しいことは無かった。
その真琴の気持ちに呼応する様に、海藤のペニスを受け入れている真琴の内壁は、キュウッと柔らかく、強く、ペニスを包
み込んでいる。
 「な・・・・・に?」
 「ん?」
 「お、こって、る?」
 一番最初の強姦まがいのセックス以来、絶対に真琴に対して力で言うことを聞かせる事は無かった海藤らしくない身
体の繋ぎ方に、真琴は自分が気付かなかった何かがあったのかと、下から海藤の目をじっと見返して言った。



 海藤はじっと真琴を見下ろす。
自分の顔が情けない表情になっているのは自覚するが、こんな風な自分をけして追い詰めない真琴に愛しさが募った。
(情けない・・・・・)
表向きには平常を装っていたつもりが、真琴を求めた時には見えない不安を払拭する為に荒々しい行動になってしまっ
たのだろう。
 海藤にとって、中国マフィアの存在は大きい。通常ならば、勝負をする前に逃げた方がいいと判断するところだが、もし
もそれが真琴に関することだったならば・・・・・引くことなど到底出来ない。
 「怒ってない」
どんな相手であっても、真琴を渡すわけにはいかなかった。
 「お前が欲しくてたまらなかっただけだ・・・・・許してくれ」
 その言葉をどう取ったのかは分からないが、真琴は頷いて海藤の肩に手を回してきた。
華奢な足が腰に回ったのを合図のように、海藤は止まっていた腰を動かし始めた。その頃には真琴の身体もかなり柔ら
かくなってきていて、海藤のペニスの動きもスムーズになってくる。
男の、しかも尻の中が濡れてくるというのは信じられないことかもしれないが、それも真琴の身体が自分の為に変化してく
れた証だと思えた。
 「ふぁっ、んっ、んっ」
 肩に、爪が食い込んでくる。
自分のペニスが真琴の奥へ奥へと入り込むと同時に、真琴の快感も深くなってきているのだ。
既に痛みは消えたようだと判断した海藤は、真琴の腰を抱えなおすと、更に身体を深く密着させるようにして、重ねた口
腔内でも息までも奪うように舌を絡めた。
 「んっ・・・・・ぁっ!、はっ、はっ」

 グチュッ クチュッ

 ペニスの勢いが激しくなり、真琴の身体はただ揺さぶられるだけになってくる。
 「!」
そして、根元まで真琴の中にペニスを押し込んだ海藤はその最奥で熱い精液を吐き出すと、今だ煽動する真琴の内壁
の感覚を味わうように、その身体を抱きしめたまま離さなかった。






                                      






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