LOVE TRAP











                                                                                    
『』の中はイタリア語です。





(ケイ・・・・・どうするんだろ)
 食事が終わり、車にエスコートされても、アレッシオは今からどうするかは何も言ってくれなかった。
未成年の友春がこれから一緒に飲みに行けるはずも無く、第一、今回アレッシオがどういう目的で来日したのかよく分からない友
春は、今から彼が用があると言ってもそうとしか言うことが出来ない。
(変なこと、考えてるのって・・・・・僕、だけかも)
 来日するごとに、必ず濃厚な夜を過ごすので、友春の身体は知らずに暴走しているだけかもしれないが・・・・・。
 「・・・・・」
 「・・・・・」
何も言わず、ただ見つめられているだけが十分に苦痛だと、友春は目を伏せてしまった。



 隣のシートに腰を下ろす友春の気配が落ち着かない。
アレッシオが腰を抱いているので、大きく身体を離すことは出来ないだろうが、それでも車の揺れに乗じて少しずつ身体を離そうと
しているのが可愛い。
(身体は私を欲しているようだが・・・・・)
 アレッシオしか知らない、アレッシオ好みの身体は、主人の匂いを感じて発情をしているようだ。このまま焦れる姿を見ているのも
一興だが、あまりに焦らしてしまうと、自分の身体の変化に戸惑うあまり、友春の心の方が萎縮してしまう可能性がある。
今はまだ、アレッシオが無理矢理・・・・・その理由が必要なのかもしれなかった。
 「トモ」
 「・・・・・っ」
 腰を抱いていた手を意味深に動かし、服の上から小さな双丘をゆっくりと撫でる。
 「・・・・・ぁ・・・・・」
 「どうやら、お前の身体は私を忘れていないようだ」
 「ケ、ケイ」
 「久し振りのお前を楽しませてもらうか」
そう言うと、アレッシオはそのまま友春の唇を奪った。







 自分では余裕があるつもりでも、アレッシオ自身かなり友春に飢えていた。
性欲処理のためだけでも友春以外の人間を抱く気の無いアレッシオにとって、これは久し振りの甘い獲物だ。柔らかく、白い肉を
食み、その最奥で自身の全てを解放するまで、自分の渇きは消えないことを悟っていた。
 「トモ」
 江坂が選んだホテルの部屋は、広さも装飾も全て満足がいくほどで、大人が数人楽に寝られるほどのキングベッドのスプリング
も心地良い。
レースのカーテンだけを閉め、寝室の明かりは点けたままで、アレッシオは自分の身体の下でもだえる華奢な身体を目を細めて見
下ろした。
 「・・・・・」
 「・・・・・っ」
 相変わらず、我を忘れるまでは羞恥心が強い友春は、アレッシオの愛撫に強く唇を噛み締めている。
今日新しく買い与えたスーツを脱がせ、ネクタイを解き、シャツのボタンを外しても、唇を噛み締めて小さな呻き声しか聞かせてく
れない。
 「・・・・・強情な子だ」
 しかし、それが楽しいと、アレッシオは露になった胸元に唇を寄せた。

 白い肌に面白いように付いていく薄紅の痕。
ピクピクと震える箇所に唇を押し当てていくと、友春のぺニスは下着の下から勃ち上がってきた。心以上に素直なそれを見て笑っ
たアレッシオは、そのまま一気に下着を脱がせると、友春の腰を抱えるようにしてペニスを口に含む。
 「ああ!」
 さすがに直接的な刺激に声を上げてしまった友春は、それからは声を抑えることが出来なくなったようだった。
 「あっ、やっ、ま、待っ・・・・・!」
淫乱で、素直な身体は、アレッシオの与える愛撫を貪欲に受け止め、自分の中で更なる快感に変えていく。
口では嫌だと言いながら、アレッシオの口腔の中に自分のペニスを深く押し込んでくる友春。アレッシオは喉の奥まで咥え込み、
震えるペニスをさらに愛撫してやった。
 「ふぁっ、あっ、あっ」
 「・・・・・」
 口の中に広がっていく甘美な味が、もう爆発しそうに高まっていることを教えてくれる。
 「あっ、あっ、あ・・・・・っ!」
先端を強く吸った瞬間、友春はアレッシオの口の中で吐精してしまった。



 一方的に感じさせられ、友春は恥ずかしくて顔を上げられないほどだった。
(僕・・・・・っ)
気持ちが定まっていないくせに、与えられた愛撫には浅ましいほどに感じてしまった身体。嫌だと思っても、アレッシオの指が肌に触
れるだけで、吐息が掠めるだけで高まってしまう。
 これが、もしもアレッシオ以外の男にも同じように感じてしまうのならば自分はただの淫乱な人間だと思ってしまうが、友春は今ま
で、大学でも、それ以外でも、今のように身体が蕩けてしまいそうな感覚に襲われたことは無かった。
アレッシオ限定の、感じる身体。これはどういうことなのか、友春は自分でも考えなければならない時が来てしまったのかもしれな
いと思った。
 「トモ」
 「・・・・・」
 「次は、私の番じゃないか」
 そう言ったアレッシオは、ベッドに膝をついた格好で自分の服を脱ぎ始めた。
 「・・・・・」
(ケイ、まだ・・・・・)
自分はもう裸で、精も吐き出してしまったというのに、アレッシオはネクタイを緩めただけの格好だということに初めて気付いた友春
は焦ってしまい、シーツで自分の身体を隠そうとした。
しかし、そのシーツはアレッシオの膝で押さえられていて、友春はそれをすることも出来ない。
 「隠すことは無い」
 「・・・・・っ」
 「お前の綺麗な身体で、私の目も楽しませてくれ」
 シャツを脱ぐと、逞しい裸身が光の下に現れた。
友春の視線が自分に向けられていることを十分承知しているようなアレッシオは、そのままベルトを外し、ファスナーを下ろす。
ビキニタイプのセクシーな下着から既にペニスがはみ出している姿に、友春の頬には紅が差した。
 「トモ」
 まるで、魔法のようなアレッシオの声。
友春は恐る恐る手を伸ばす自分を止めることが出来なかった。



 友春の小さな口には、とても入りきらない自分のペニス。
コツが分かっているはずの友春はかなりの部分までは含めると思ったが、久し振りのセックスに自身の欲情も高まっていたアレッシ
オは、あまり口での愛撫をさせなかった。友春の口の中に出すよりも、身体の最奥に吐き出す方がいいと思っているからだ。
 「ふっ、んっ、んっ」
 ベッドヘッドに背を預けて腰を下ろしているアレッシオの下半身で、小さな声と共に動いている黒い髪。
子猫のような小さな舌は相変わらず気持ちいいというよりはくすぐったいが、アレッシオが教えた愛撫の方法は全く忘れてはいない
ようだ。
 「・・・・・」
(可愛い、トモ・・・・・)
 口と舌を、手を使い、自分に快感を与えようと懸命に奉仕してくれる友春の姿は、淫らというよりはいたいけな子供を苛めてい
るような気分になってしまう。
だが、その被虐的な様子さえ、友春の雰囲気には似合っているような気がした。
 「もう、いい」
 「んっ」

 チュポッ

 音を立てて友春の口からペニスを取り出したアレッシオは、そのまま顎まで濡らしてしまった友春の口元を親指で拭ってやると、
身体を入れ替えて友春の背をシーツに預ける。
 「あ・・・・・」
 「力を抜きなさい」
 「・・・・・っ」
 友春の唾液と先走りの液で濡れている自分のペニスの先端を、まだ解しが足りないそこに押し当てた。
 「・・・・・」
 ベッドヘッドには用意万端にローションもあったが(多分江坂が用意させたのだろうが)、アレッシオはそれを友春に使おうとは思
わなかった。
もちろん、友春を気持ちよくさせてやりたいという思いは強いものの、多少の苦痛を感じさせたとしても、今、この瞬間の自分の熱
を、どれ程友春を欲しているかを思い知らせたかった。
(お前と共にいることを私がどれ程願っているか・・・・・)
 「・・・・・」
 友春の足の膝裏を抱え上げ、ほとんど真上からその顔を見下ろしながら、
 「ふぅ!!」

 グチュッ

生々しい粘液の音と共に、アレッシオのペニスの先端が友春の肛孔をぐっと広げながら押し入る。その瞬間に自身のペニスも強
烈に締め付けられて、アレッシオは眉を潜めてその痛みに耐えた。



 ヌルッ グリュッ ヌルッ

 目を閉じていても、本来なら許容量以上のものが自分の尻の穴を出入りしているのが分かる。
張り出したペニスの先端部分で浅い場所を刺激され、奥深くまで押し入る時は内壁自体を擦られ、友春は力無く喘ぎ続ける
しかなかった。
 「あっ、はっ、はっ」
中が濡れてきたのが、ペニスが粘液をかき混ぜる淫靡な音で分かる。
 「あっつ!」
 一瞬だけ、帰らない自分を両親がどう思うのだろうと思ってしまったが、アレッシオは友春が自分以外のことを考えるのを許さな
いかのように激しく身体を犯し続けた。
 「トモ・・・・・」
 「はっ・・・・・んっ」
 「トモ・・・・・ッ」
 ペニスが自分の身体の中を行き来するたび、熱く名前を呼ばれるたび、友春は自分の身体中がアレッシオの熱で支配されて
いるような気がしてくる。抵抗したいのに出来なくて、それでも・・・・・受け入れたいとも思っていて、友春はただ、アレッシオの肩
にしがみ付いて一緒に身体を動かして・・・・・いた。
 「ト・・・・・モッ」
 始めは余裕があったアレッシオの息も、次第に弾んできている。
もう、そろそろ彼もイクのだろうというのを身体で感じた友春は、無意識のうちに中のペニスを強く締め付けてしまった。
 「・・・・・っ」
 直ぐ耳元で、アレッシオが息を詰める。
次の瞬間、激しく動いていたペニスが中で膨らんだかと思うと、
 「!」
友春は自分の身体の最奥が熱い精液で濡らされたことが分かった。







 幾度、友春の身体を貪ったのかは分からない。
アレッシオが友春の身体を離した頃にはとっくに日付は変わっていて、友春はすっかり意識を飛ばしてしまっていた。
 「・・・・・」
 目を覚まさない友春の身体を抱き上げてバスルームへ向かい、身体を清め、セックスした部屋とは違うベッドルーム(この部屋
には3部屋ある)にその身体を横たえてやる。
甲斐甲斐しく世話をやくのは友春限定で、アレッシオは妙に楽しい気分を味わっていた。
 「・・・・・」
 濡れた髪をタオルで拭ってやり、露になった額に唇を落とす。
まるで恋人同士のようだと思ったが、そう思っているのはきっと自分だけなのだろう。
(トモの気持ちも、少しは変わってくれるといいんだが・・・・・)
 今度は、少しだけ開いている唇にキスしようとしたアレッシオだったが・・・・・。
 「・・・・・」
遠くで何かが鳴る音が聞こえる。
どうやらそれは、先程のベッドルームで脱ぎ捨てた自分のスーツに入れていた携帯の音だ。
(誰だ?)
普段ならば考えるまでも無く無視をするところだが、こんな時間にわざわざ鳴るその音が妙に気になってしまった。
 「・・・・・」
 アレッシオは一瞬友春を振り返ったが、その目が開かないのを確認すると、そのまま携帯を確認するために足を向ける。スーツ
から取り出したそれに出ていた番号に目をやったアレッシオは、いったいというように眉を潜めた。
(こんな時間に・・・・・)
 躊躇ったのは本当に一瞬だけだった。アレッシオはそのまま鳴り続ける携帯の通話ボタンを押して電話に出る。
 「私だ」
口から出た言葉は日本語だった。