磨く牙










 「今時のホテルは男同士でも入れるんだな」
 「知らなかった?」
 「しっ、知ってた!」
 護衛を巻いた二人は、その20分後にはホテルの一室にいた。
部屋の中に入る時、楓は一瞬躊躇ったように足を止めた。しかし、伊崎への反抗心は思ったより強く、再度徹に手を引か
れると、そのまま部屋まで付いてきてしまった。
 初めて見るホテルの部屋は、思ったよりもケバケバしいものではなく、どちらかといえばシンプルだったが、部屋の真ん中に
あるダブルベットがここが何が目的の部屋かを如実に示していた。
(回るのか?これ・・・・・)
パンパンとベットを叩いている楓に、徹が少しトーンを落とした声で言った。
 「シャワー浴びる?」
 「そうだな」
 いったん度胸を決めれば強いのか、楓は徹が見ているのも構わずにポンポンと服を脱いでいく。
露わになっていく白い肢体を徹の方が真っ直ぐに見れなくて目を逸らした。
 「お前、恥じらいってもんを・・・・・」
せっかくムードをと口の中で言っている徹を呆れたように見つめ、楓は綺麗と評される身体を隠すことなく言った。
 「何言ってる?男同士に恥じらいもないだろう」
 大勢の組員達と共に暮らしていたせいか、楓は人前で肌を晒すことを恥ずかしいとは思っていなかった。
ただ、中学に上がる頃からなぜか伊崎は楓が組員達と一緒に風呂に入ることを禁止してしまい、それからはずっと1人だっ
たが。
 「服、たたんでおけよ」
基本的に世話をされる立場の楓は、命令もし慣れている。
我がままな女王様の命令に、徹もただ頷くだけだった。



 交互に風呂に入った二人は、腰にタオルを巻いた格好のままで、ダブルベットの真ん中で向かい合って座っている。
 「で、気持ちいいことってなんだ」
 「ムードないなあ」
ブツブツ言いながらも、徹は楓の真横まで近付くと、その肩を抱いた。
 「おいっ?」
 「キスはOK?」
 「キスは好きな奴とするものだぞ。俺はお前を好きじゃない」
 「・・・・・はいはい、じゃあ、キスは無しね」
徹はそのまま楓を押し倒すと、いきなり小ぶりなペニスを口に含んだ。
 「!」
(食べられるっ?)
 「止めろ!」
 突然の行為に楓はパニックになり、バタバタと足を動かして抵抗した。
しかし、徹はその反応を予想していたのか、強引に足を割り開き、更にペニスを喉の奥まで咥え込んだ。
 「ひいっ、あっ、はっ、や、やめ・・・・・っ」
 薄い叢の中から立ち上がっているペニスは、まだ幼く淡い色をしている。とても自分と同じものとは思えないそれを、徹は
唇と舌で丁寧に愛撫した。
何も知らない身体は直ぐにその快感を受け入れ、楓は無意識のうちに、自分の股間に顔を埋めている徹の頭を引き寄せ
た。
 「も・・・・・と・・・・・っ」
 「いいぜ、可愛く啼けよ」
 「あっ・・・・・ん!」
 白い肌はたちまち薄いピンク色に染まり、細い身体は艶かしく揺れる。
徹の手は押さえていた足から離れ、直接の愛撫が無いままピンと立ち上がっていた乳首を攻める。
淡い色の乳首は直ぐに濃い色へと変化し、もっとというふうに楓は胸を突き出した。
(たまんないな・・・・・こんなに色っぽくなるなんて想像以上・・・・・)
 徹も興奮し、愛撫は更に激しいものとなった。
ペニスの奥の窄まりが、まるで誘うようにチラチラと垣間見えるが、これ以上先に進んでしまうと伊崎に殺されかねない。
(美味しいものはほどほど食べるのが一番)
そう心の中で言い聞かせ、徹は可愛く啼き続ける楓に更なる愛撫を与えた。