磨く牙
３０
一番太い部分がめり込めば、後はズズッと根元まで一気に押し込んだ。
瞬間強張った楓の身体のせいで、中もギュッと伊崎のペニスを締め付けるようにきつく絞まる。
「・・・・・っ」
しかし、直ぐに身体の緊張は解け、その部分はしっとりと絡みつくように伸縮を始めた。
「きょっ、きょーすけっ」
「楓さんっ」
「き・・・・・もち、いいっ？」
一生懸命伊崎の快感を高めようと、慣れない動きで腰を揺さぶる楓。
伊崎はフッと笑って口付けた。
「とても、気持ちいいですよ、あなたの中は」
「おれ・・・・・が、１・・・・・番？」
「あなた以上の人間なんているはずがない」
伊崎の気持ちを何度も何度も確かめるように聞く楓は、何時もの傲慢さはすっかり消えて、どこか儚げで不安そうだ。
その度に伊崎は根気強く、自分の気持ちを楓に伝えた。
始まりがイレギュラーな感じだった為に、楓は言葉だけではどうしても伊崎の気持ちをどこかで疑ってしまうのだろう。
全て年長者である自分が悪いのだ。
「楓」
「！」
『さん』付けでなく呼び捨てにすると、楓の中がビクッと震えた。その振動に高まる欲望を堪え、伊崎は真っ直ぐに楓の目
を見つめて言った。
「あなただけです」
「・・・・・きょーすけ」
「愛してる、楓」
「・・・・・！」
伊崎の首に回っていた手が、痛いほど締め付けてきた。
「お・・・・・れも、俺も、恭祐、お前だけが好き・・・・・っ」
そこから先は、言葉など要らなかった。
伊崎のペニスをこの上も無く心地よく締め付けうねる内壁が、楓の気持ちそのままだと感じることが出来たし、伊崎も楓の
奥の奥までペニスを突き刺し、自分の思いを全てぶつけるように愛撫を続けた。
真正面を向き合い、苦しい体勢ながら深いキスを与えると、楓は嬉しそうに笑って答える。
愛しくて愛しくて、どうにかなりそうだ。
内壁をペニスで擦られ、甘く高い声が漏れる。
自分の上で動く伊崎の端正な顔にも汗が滲み、それが一滴、二滴と落ちるだけでも、楓の身体はそれを快感として拾い
上げた。
（こんなカッコ・・・・・恭祐じゃなくちゃ見せられない・・・・・っ）
大きく足を開き、結合部分がはっきりと伊崎の目に見えるほど腰を持ち上げられて、楓の全身は綺麗なピンク色に染まっ
ている。
慣れない格好に身体は軋むし、何より長く太いペニスで狭い内壁を掻き回され突き上げられるのは相当な衝撃だが、お
互いの身体と身体が溶け合って１つになっているようで、楓はもっとという風に自分から腰を振った。
やがて、ムズムズとゾワゾワが合わさったような感覚がせり上がってくる。
自分１人では嫌だと、楓は伊崎に言った。
「きょ、きょーすけっ、おれっ、もうっ」
「え、え、一緒にっ」
伊崎も絶頂が近かったのだろう。
腰の動きが早くなり、ググッと中のペニスが膨らんできたのを感じた。
「きょーすけ！」
「楓・・・・・っ」
楓のペニスが弾け、伊崎の腹と包帯を白く汚す。
それと間をおかず、楓の最奥で伊崎も吐精した。
「・・・・・んっ」
熱く勢いのあるそれは、楓の中を隅々まで濡らしていく。
伊崎は更にそれを塗り込めるように、一度の射精くらいでは大きいままのペニスで、いやらしく何度も楓の中を抜き差しし
続けている。
そうしているうちに、射精し終えたはずの伊崎のペニスは、楓の中に入ったままで再び硬度を持ち始めた。
「きょ、恭祐？」
「一度くらいでは足りない」
「え？え？」
「もう少し、付き合って」
「で、でも、俺、もう・・・・・っ」
「楓」
甘えるように名を呼ぶと、伊崎は再びゆっくりと動き始める。
「あ！あん！」
一度達してしまった身体は感じやすく、数度中を擦られただけで、楓のペニスも力を取り戻していく。
楓が感じ始めたのを悟った伊崎は、
「うわっ！」
不意に体勢を入れ替え、楓が伊崎の腰を跨いで座る格好にした。
「はあぁ・・・・っつう！」
先程よりも更に深くペニスが入り込んできた気がして、楓はハアハアと口を開けたまま荒く息をつく。
伊崎は休む間も与えず、下から腰を突き上げた。
「ふぁっ、あっ、あうっ」
「ほら、もっと自分でも動いて」
懇願している言葉でも、その響きは命令だ。
従うものかと思うのに、楓の身体は伊崎の思い通りに動いてしまう。
「きょ・・・・・すけっ」
身体を支える為に手を付いている伊崎の腹に傷があることなど、楓の頭の中からはすっかりと抜け落ちてしまった。
伊崎も、痛む傷に顔を歪めながらも、楓を貪るのを止めない。
「楓っ」
揺れる身体を止めることが出来ず、楓は再び快楽の波に溺れていった。
