磨く牙
5
「っ!」
日本家屋だが、楓の部屋は今時の子らしく洋風で、伊崎はまるで投げるように楓の身体をベットの上に放ると、黙った
まま鍵を閉めた。
「な、何だよ」
強かる言葉を言おうとしても、声が震えてしまうのは止められない。それが悔しくて、楓はきつく伊崎を睨んだ。
「このまま部屋を出て行け」
「そうはいきません。楓さんのしつけは私の役目ですから」
「!若頭となったお前には、俺に使う時間なんかないだろう!」
「お静かに。周りが迷惑します」
「俺に命令するな!」
「・・・・・仕方ありませんね」
淡々と言った伊崎の行動は早かった。
ベットに尻餅を付いたままの楓の口を、綺麗にたたんで置いてあったパジャマで塞ぐと、片手で自分のネクタイを外し、楓の
細い両腕を後ろ手に縛った。
驚きとショックでなすがままだった楓は、自分がとらされた屈辱的な格好に顔を紅潮させ、次の瞬間足をバタつかせて猛
烈に暴れた。
しかし、細身とはいえ男である楓の抵抗を簡単に封じ、伊崎はそのまま楓の身体の上に乗り上げる。
そして、脱がす手間も惜しいといった感じに、楓の服を左右に引き開いた。
千切れたボタンが床に散らばるのを、楓は信じられない思いで見つめる。
「・・・・・ああ、やっぱり。虫が付いたんですね」
色白の滑らかな肌の上に、桜の花びらのように散っている痕。それは紛れもなく情交の痕だ。
「こんなに綺麗な身体を・・・・・あんな虫けら同然の男にくれてやったのですか・・・・・っ」
「んん~っ、むう~!」
いきなり、伊崎はその痕に歯をたてた。痛みに顔が歪む楓にはいっさい構わず、伊崎は他の男の痕跡を塗り返すように一
つ一つ歯をたてる。
薄い肌は直ぐに傷付き、歯形の痕には血が滲んだ。
「ん~!!ん~!」
「男を知ったばかりの身体は、直ぐに疼いて仕方がないでしょう?私がお相手しますよ」
「!」
(止めて!助けて!恭祐!!)
言葉も手も自由にならない楓は、ボロボロ涙を流しながら伊崎を見つめる。何時もなら優しく触れてくれるその手が、こん
なにも恐ろしいものになるとは思わなかった。
「んっ?!」
大好きだった大きな手が、緊張と寒さで尖っている乳首を摘む。痛みを感じる程こねられ、次の瞬間には口に含まれ歯を
たてられた。
もう片方も同じようにされ、楓の肌はさざめく様に震える。
(これっ、これって、徹と同じ・・・・・違う!こんなに怖くて、痛くなかった・・・・・!)
徹との戯れは、まるで大型の犬に全身を舐められているような、くすぐったくて気持ちのいいことしかされなかった。
しかし、伊崎のこれはまるで違う。
(恭祐!恭祐!!)
必死で叫ぶが、くぐもった声は呻き声にしかならない。
そして、恭祐はそんな楓の声や視線を一切無視し、下着まで乱暴に脱がせて下半身を露出させると、初めて性的に触れ
る肌に意識を向けていた。
「楓さん、まだ全部剥けてないんですね」
楓の容貌に相応しい、細身の薄紅色のペニスは、今だ大人になりきれていないままだ。
伊崎は愛おしそうに何度も手で撫で擦り、やがて躊躇いなく口に含んだ。
(や・・・・・だ・・・・・)
今夜口淫での気持ちよさを知ったばかりの楓の身体は、たちまち快感を拾い上げ、猥らに身体をくねらせる。
体中に歯形をつけ、乳首を赤く腫れさせ、しっとりと汗を滲ませる・・・・・楓の身体は快感に素直で、たちまちのうちに上り
詰め、そのまま伊崎の口の中で欲望を吐き出してしまった。
伊崎は最後の一滴まで零す事もなく嚥下し、更に残滓も全て搾り出そうとするように強く吸う。
(恭祐・・・・・俺の、飲んでる・・・・・)
初めて伊崎と会った時、まだ20代前半だった伊崎を、楓はまるで王子様みたいだと思った。陽に透けると綺麗な栗色に
なる髪も、涼しげな瞳も、柔らかい笑みを浮かべる唇も、全てが綺麗で清廉だった。
歳を重ねてその雰囲気は落ち着いたが、その容姿は少しも損なうことはなく、ヤクザという裏の世界にいる人間とは思えな
いほど、楓にとっては王子様のままだった。
その伊崎の唇が、猥らに楓のペニスを愛撫している。
唇の端を汚す白いものが自分の精液だと思うと死にたいくらい恥ずかしいが、その反面凄まじいほどの快感が身体中を駆
け巡った。
「・・・・・美味しかったですよ」
残滓も残らず飲んだ伊崎は、満足したようにペニスの先に軽くキスをして言う。
猥らなお仕置きがやっと終わったと思った楓の耳に、伊崎は笑みを含んだ声で囁いた。
「でも、楓さんはまだ満足してないでしょう?」
「ん~っ」
「その唇も楽しみたいんですが、噛みつかれそうですからね。こちらで私を楽しませて下さい」
そう言って伊崎の指が触れたのは、ペニスよりももっと奥、楓自身も見た事のない場所・・・・・。
「!!」
(嘘?!)
自分の零した精液と、伊崎の唾液で既にいやらしく濡れている場所・・・・・伊崎はいきなり人差し指を、楓の尻の窄まり
に差し入れた。
「!!!」
「忘れないで下さい、これはお仕置きなんですよ」
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