未来への胎動




22







 愛しい楓が自分のペニスを口に頬張るだけでも、伊崎は腰から震えるような快感を感じていた。
プライドが高く、信じられないほど綺麗で、自分の仕えている組の子息。歳も、下手をすれば自分の子供ほどに離れて
いるというのに、楓を求める欲望は、高校生くらいの子供のように熱くて真っ直ぐだと思う。
 「ふっ、んっ、むっ」
 全てを口の中に含めない様子で、先端部分だけが滑った熱い口の中に、竿の部分は手で擦ってくれている。付け根
の双玉にまで指先が触れるのは・・・・・どこでそんな勉強をしたのだと眉を顰めたくなるものの、考えれば楓は初めから
セックスには積極的だった。
 しかし、それはセックスが好きだということではなく、自分とこうなることを熱望してくれていたからだと自負している。
そうでなければ今頃、楓の周りには数え切れないほどの男達がいるはずだ。
 「・・・・・っ」
 そこまで考えて、伊崎は頭の中が沸騰しそうになった。
この綺麗な身体を抱く男が自分以外にいると想像するだけでも気が狂いそうになる・・・・・それは、楓が女を抱くことを想
像しても、だ。
 「んあっ、きょ、すけ?」
 強引に楓の肩を押して、彼の綺麗な唇から自分のグロテスクなペニスを引き出した伊崎は、そのまま楓にキスをする。
自分の先走りの液に濡れた唇から口腔の中までを、舌で清めるように舐め取り、右手を尻の狭間へと差し入れた。
 「!ま、まだっ」
 「何?」
 「ま、まだ、早、いっ」
 「いいえ、あなたの身体は準備が出来ているはずでしょう?」
 先ほどの自分の唾液と、楓自身が零した液によって、楓のそこは少しだけ濡れていた。
本当ならばローションを使ってゆっくりと解してやりたいのだが、楓の部屋にそんなものがあるはずもなく、今夜はセックスす
るつもりがなかった伊崎も持参していない。
 結局、楓が吐き出したものか、自分の唾液で濡らしてやるしかないのだが、もちろん伊崎は自分が楽しいと思う方を選
択した。




 ピチャ

 「!」
 濡れた音と共に、自分の下半身・・・・・尻の奥に濡れた感触を感じて、楓は思わず身体を硬直させてしまった。
 「ちょっ、ま、待って!」

 クチュ

 「ひゃあ!」
滑るそれは・・・・・伊崎の舌だ。彼が、自分の下半身を、自分が唯一伊崎を受け入れることが出来る場所を舐め濡ら
しているのだと思うと、楓の羞恥は最高潮に達する。
 それでも、嫌だとは言えなかった。
自分が伊崎を求めているのは本当だし、濡らすものが何もない今、出来る手段は限られていた。
 ここを舐められるのは初めてではないが、風呂に入った直後ではないということがやはり恥ずかしい。ただ、声を出すの
は負けた気がするので、楓は強くシーツを握り締めて、湧き上がる感情を必死で抑えた。

 「ふ・・・・・んっ、んっ」
(い、いったい、何時まで舐める気だよっ)
 中に唾液を押し込めると同時に、舌まで入れてくる伊崎に、腰を揺らすことで止めてくれという意志を伝えるものの、そ
れはきちんと伝わってはいないようだ。感じているのだと思っているのか、中に入り込んだ舌が、身体の内側をさらに愛撫
してくる。
 慣らすということと同時に、まるで楓のそこを味わうように、ねっとりと舌を這わせている伊崎。いい加減、ふやけてしまう
ぞと思っていると、

 クニュ

 「・・・・・っ」
 尻の中に、指が押し込まれた。
十分舐め濡らされていたせいか、引き攣れるような痛みは感じず、違和感を感じるだけだ。
 中に入ってきた指は、既に分かっている楓の感じるポイントをわざとずらして刺激してくる。快感の有りかを掠られるだけ
でそれ以上の刺激を加えられなくて、楓は焦れたように声を出した。
 「きょ、きょ、けっ」
 「・・・・・」
 「ちが・・・・・ば、しょっ」
 自分の声が聞こえているくせに、伊崎は意地悪く舌と指を動かし続ける。
 「ふぐっ」
中に入ってきた指がもう1本増えた時、楓は不意に増してしまった圧迫感に腰を震わせてしまい、そのまま精を吐き出し
てしまった。
 「・・・・・そっ」
なんだか、自分だけが一方的に感じさせられているようでたまらなかった。




 「・・・・・っ」
 増やした指が快感のポイントを掠めたのか、それとも我慢の限界だったのか、楓は再び精を吐き出した。それは伊崎の
頬を掠め、まだ羽織っていたままのシャツを濡らす。
 「・・・・・そっ」
 悔しそうに唸る楓の気配が頭上からして、伊崎は思わず笑みを漏らしてしまった。気の強い楓は、一方的に愛撫を加
えられることが悔しかったのだろう。

 クチュ

 唾液の糸を引きながら伊崎が顔を上げると、下を見ていた楓と目が合った。目元を赤く染めた楓は唇を噛み締めてい
たが、やがて片足で伊崎の肩を弱々しく押すと、自ら下肢を開いてみせる。
 「楓さ・・・・・」
 吐き出した精でペニスは白く濡れている様が、壮絶なほどに色っぽい。思わず息をのんだ伊崎に向かい、楓は自らの細
い指でペニスを持ち上げ、その奥の、今の伊崎の愛撫でほの赤くなった蕾を曝け出した。
 「さっさと、入れろ」
 「で、すが、まだ・・・・・」
 「痛みを感じるのは、お前も一緒だろ。これ以上待たされる方が嫌だっ」
 「楓さん・・・・・」
 「それとも、お前の目の前で・・・・・自分で慰めてやろう、か?」
そう言うと、楓はもう片方の手を伸ばし、伊崎の目の前で人差し指のほんの先端だけ、蕾の中に差し入れて見せた。




(痛っ)
 先ほどまで伊崎の指を2本入れられていたのに、いや、何時もそれ以上の太さのものを受け入れているというのに、自
分の指は爪の先を入れただけでも痛く感じてしまった。
(俺に、ここまでさせて!)
 目の前に抱いてくれる男がいるのに、わざわざ自慰などするなんて馬鹿馬鹿しい。
(早く、動けっ)
 「・・・・・どうする、そのままそこで、見て・・・・・!」
最後まで言う前に、楓はそのまま仰向けに押し倒された。
真上から綺麗な伊崎の顔が自分の顔を見つめている。その目は、明らかに欲情していて・・・・・楓は思わず笑ってしまっ
た。
 「お前・・・・・動物みたい」
 「楓さんの前に立てば、誰だって獣になりますよ」
 「・・・・・食べたい?」
 「喰らいたい」
 そう言った伊崎は楓の足の間に腰を入れ、片足を持って大きく広げる。少し乱暴なのは、伊崎も急いているのだと思え
ば返って嬉しい。
(あ・・・・・服)
 改めて目の前にいる伊崎を見れば、シャツはボタンは外しているものの羽織ったままであるし、下半身はベルトを外して
前の部分を寛がせたままの格好だ。
 「恭祐、服・・・・・・」
 「少し痛みを与えると思いますが」
 「・・・・・いい」
 楓の返答に目を細めた伊崎は、そのまま自分のペニスを楓の蕾に宛がう。
熱さと硬さを感じ、一瞬息をつめた楓だったが、伊崎に頬を撫でられて直ぐに何度も呼吸を繰り返し、身体から力を抜く
ようにした。
痛みを和らげる方法は、これまでのセックスでちゃんと身体が覚えている。
 「・・・・・っ」

 グリュ

 ペニスの先端が押し付けられ、ゆっくりと中に押し入ってきた。少しずつ、楓の身体を驚かさないようにしてくれる慎重さ
は伊崎らしいが、いっそ一気に突き入れてくれた方が痛みも一瞬だ。
 「・・・・・っ」
そう思った楓は、伊崎の背中を抱きしめ、腰に足を絡めて、そのまま自分の方へと抱き寄せる。
(痛い・・・・・!)
 メリメリとした勢いで身体の奥の奥に大きなペニスが突き入れてきて、楓の蕾は痛みに悲鳴を上げていた。それを誤魔
化すように、楓は硬く目を閉じたまま、必死に伊崎の背にしがみ付いていた。




 楓が苦痛を感じているのが分かるが、伊崎は腰を突き入れるのを止めなかった。
止められなかった。
 「きょ・・・・・す、けっ」
 「・・・・・っ」
 「きょうす、け!」
 楓は苦痛を訴える代わりのように自分の名前を呼んでいる。それに答えるように伊崎は赤い唇にキスをしながら、ゆっく
りと蕾の中を侵略していった。
(あ・・・・・つい)
 楓の内壁は搾り取るように伊崎のペニスを締め付け、快感を与えるように蠢いている。もう、何度もこの中を味わってい
るというのに、何時でも初めてのようなきつさを感じさせてくれる。
 「ん・・・・・あっ」
 「楓さん」
 「んあっ、はっ、はっ」

 ズッ

 「・・・・・ふっ」
 「あっ、きょっ、はっ、きょ、す、けっ」

グチュ ズリュ

 パンと、楓の尻に腰が当たった。
 「・・・・・全て、入りましたよ」
ようやく最奥を突いたと伝えれば、汗の滲む顔を綺麗に綻ばせ、楓は気持ちがいいと言ってくれた。
 「お前のが・・・・・いい」
 「・・・・・っ」
その言葉に、伊崎は自分のペニスがドクッと脈打ったのが分かった。