MY SHINING STAR



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 『で、結局入ったんですか?』
 「まあ、なんとかな」
 『それは良かったですね。まあ、私はあなたのものがどれ程の大きさなのかは知りませんが、初めての太朗君が咥え込めるな
ら案外・・・・・』
 「ちょっと待て。俺はお前の犬より小さいつもりはないぞ」
 『口では何とでも言えますよね』
 「・・・・・お前、俺をちゃんと上司として見てるのか?」
 『太朗君は寝てるんですよね?今日は1日休暇を差し上げたんですから、明日からはバリバリ働いてくださいよ』



 衝撃的な初体験の後の、風呂場での濃厚な後戯。
すっかり体力を消耗してしまった太朗は、そのまま・・・・・午後5時を過ぎた今でも眠り続けている。
そろそろ腹が空いて目を覚ますと思うので、上杉は何を食べさせてやろうかとワクワクしていた。
(やっと・・・・・だよなあ)
 本当に、上杉としてはかなりの時間と労力を掛けて太朗を口説いた。それは、もしかすると以前結婚した相手に対するより
も大きな想いかも知れない。
いや、まだ20歳そこそこの頃と、30も半ばの今とでは、思いの比重はまるで違う。情熱だけで押した昔と比べ、多少は分別
の付いた今ではより想いは深くなっているはずだった。
 「タロ・・・・・」
 上杉はベットに腰掛け、眠る太朗の頬を指でくすぐった。
可愛い寝顔をじっと見ているのも楽しいが、やはり太朗は生き生きと動いて話している方が楽しい。
 「・・・・・ん・・・・・」
 「タロ?」
 起こすつもりはなかったが、上杉の触れた指が離れると同時に、太朗の伏せられたまつげが微かに揺らめいた。
そして、次第に瞼が開かれていく。
 「・・・・・ジロ・・・・・さ・・・・・?」
 「起きたか」
寝起きでまだちゃんと目が覚めていないのだろう。
不思議そうな顔で自分を見上げる太朗に、上杉は笑いながらキスをした。



 
「うわあああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 太朗は慌てて布団にくるまった。
いや、上杉には布団という言葉は似合わないが、太朗はフワフワの掛け布団を頭からかぶり、今自分がどういう状況になって
いるのかパニックになりながらも考えた。
(あ、朝、ジローさんの会社に行って、ジローさんと小田切さんの変な場面見て、それで、ここ来て・・・・・あ、あれ・・・・・?)
 「なんだ、隠れることないだろ」
 「ばか!ばか!」
 すっかり目が覚めてしまった太朗の頭の中には、先程までの出来事が津波のように押し寄せてきた。
けして無理矢理というわけではなく、太朗も同意の上でしたセックス。
(や、やる前は必死だったけど・・・・・やった後こんなに恥ずかしいなんて〜っ)
 「タロ」
 「ジローさんの嘘つき!お風呂でだって、あ、あんなことっ」
 「ん?綺麗にしてやっただけだろ?」
 「き、綺麗って・・・・・!・」
(あ、あんなとこに指入れるか〜?ふつーっ!)
確かに上杉は後始末と言っていたが、まさかセックス前の前戯に似た事をされるとは思わなかった。
身体の中に指を入れられ、まるで太朗の感じる場所を探すかのようにしつこく、いやらしく指を動かしていた。
初心者の太朗はその快感に耐えることが出来ずに、風呂場で2回もイッてしまったのだ。
 「痛かったか?」
 「痛かった!」
 「嫌だった?」
 「・・・・・」
(そんなの、見てれば分かるだろっ)
 「タロ、嫌だったか?」
重ねて聞いてくる上杉に、太朗は自棄になって叫んだ。
 「嫌じゃない!そんなの、分かってるくせに!」



 ますますしっかりと羽根布団にくるまった太朗を見て、上杉の頬には隠せない笑みが浮かんでいた。
(そーいうとこが、男らしいよ、お前は)
全てを上杉の責任にすることはない太朗は、自分が快感を感じたことも暗に認めていた。
 「俺は最高だった」
こんもりと盛り上がった羽根布団ごと抱きしめて、上杉は笑いながら言う。
息苦しくなった太朗がもぞもぞ動いてもその拘束を解こうとはせずにそのままでいると、やがてガバッと布団を跳ね除けるように
して真っ赤な顔の太朗が姿を現わせた。
 「苦しい!」
 わざとムッとした顔を作っているのが丸分かりの可愛い太朗を、上杉はギュッと抱きしめた。
 「やっと俺のもんになったな」
 「・・・・・じゃ、じゃあ、ジローさんは俺のものだよな?」
 「ああ、そうだ」
少し不安そうな、それでも強気な発言をする太朗に、当たり前だと笑いながら肯定する。
こんなやり取りが面白くて、上杉はもっと太朗をからかおうと口を開きかけたが、
 「あ!!」
突然、太朗は上杉の耳元で叫んだ。
 「なんだ?」
 「がっこ・・・・・サボっちゃった・・・・・」
 「それがどうした」
自分が学生の頃は頻繁に自主休校と称してサボっていたので、上杉は今回のことをさほど大きなこととは捉えてはいなかった。
しかし、太朗の心配は別の方にあったようだ。
 「母ちゃんに・・・・・怒られる・・・・・」
 「・・・・・あ」
(その問題があったな)
 さすがの上杉の眉も潜まった。

 「自分で自分の責任が取れないうちは、不純異性交遊も・・・・・おまけに、同性交遊もしないように、いいわね? 」

(・・・・・言ってたな)
太朗の母、佐緒里の、口元は笑っていたが真剣な目で言われたあの言葉。
もちろん、上杉としては十分責任を取るつもりだったが、太朗本人はさすがに母親にバレルと大変だと思っているだろう。
なにしろ相手は同い年の可愛い少女ではなく、両親とほとんど同世代の、しかもヤクザという特殊な世界に暮らしている男な
のだ。
 「ジ、ジローさん・・・・・どうしよ・・・・・」
途端に頼りなく自分を見つめてくる太朗に、上杉は確信がないまま、ただ一言だけ言い切った。
 「大丈夫だ、全部俺に任せろ」