熱砂の誓約








                                                          
※ここでの『』の言葉は外国語です






 細い腰を両手で掴み、アシュラフは自分が腰を突き入れるのと同時に引き寄せた。
悠真の滑らかな尻が自分の叢に当たっていて、これ以上奥には入り込めないと分かっているのに、もっと、もっとと気持ちが急い
て、悠真の中をペニスでかき回す。
 指で解し、オイルをたっぷりと垂らしこんだそこは既に熱く蕩けていて、それでいて強くアシュラフのペニスを締め付けてきて・・・・・
たまらなく、いい。
 「あっ」
 「ユ、マッ」
 「アッ、アシュッ、アシュラ、フッ」
 挿入時の痛みはどうやら消えたらしく、既に悠真の表情にはうっとりとした快楽の色しか浮かんでいない。
アシュラフはもっと身体を折り曲げると、急な体勢の変化に呻く悠真の唇にキスをした。

 クチャ クチュ

舌を絡め合う濡れた音と、

 グリュ グチャッ パンッ

肛孔とペニスが擦れ合う水音や身体がぶつかり合う音が響く。
(まだ、まだだ、ユーマ)
もっと深く、2つの身体が溶け合うほどに抱き合いたいと思ったアシュラフは、グッと悠真の腰を持ち上げると、お互いに向き合って
座る体勢になった。



 「・・・・・ひっ!」
 悠真は息を詰めた。
今までさえ一杯一杯だった腹の中に、更に奥へとペニスが入り込んできた。直ぐに腰を上げようにもアシュラフがしっかりと掴んでい
るし、悠真自身足に全く力が入らないので膝立ちをすることも出来ない。
 「ア、アシュラフ、これ、や・・・・・だっ」
 自分の体重で奥の奥までペニスを飲み込み、自身のペニスはアシュラフの硬い腹筋に擦り付ける体勢。少し下から顔を見上
げられるということも慣れなくて、悠真は恥ずかしくてたまらずに目を閉じようとした。
 「駄目だ」
 「あ・・・・・」
 「私を見ていろ」
 自分から目を逸らすなというアシュラフの言葉は、意味とは正反対に甘くて優しくて・・・・・胸に響く。
すると、その感情が直ぐに悠真の身体に連動してしまって、内壁がキュウッと中のペニスを締め付けてしまった。
 「・・・・・っ」
 アシュラフが、何かに耐えるように眉を顰めている様子に気付いた悠真は、なんだかアシュラフを可愛いと思ってしまう。
(俺の身体で・・・・・感じてくれているんだ・・・・・っ)
凶器のようなペニスで悠真の身体を刺し貫いているくせに、甘えるように自分に抱き付いてくるアシュラフが愛しくて。悠真は思わ
ずアシュラフの頭を抱きしめていた。
 「ユ・・・・・」
 「だ・・・・・すき」
 「・・・・・」
 「だい、すき・・・・・ア、シュラ・・・・・フ」
 口に出さなくても通じているはずの想い。それでも、口に出して伝えたらもっと嬉しいと思ってくれるはずだ。悠真自身がそう思う
から・・・・・。
 「好き、好き、アシュラフッ」
 「ユ・・・・・マッ」
 「あい、してる・・・・・っ」
 「・・・・・っ」
その瞬間、ズンッと身体が押し上げられた。



(そんな顔で、そんな言葉を言うなんて・・・・・卑怯だぞっ、ユーマ!)
 無意識のうちに自分のペニスを締め付けてくる内壁の快感に、アシュラフは必死で耐えているというのに、悠真は無邪気に愛の
告白をしてきてくれる。もちろん嬉しいが、このままでは情けなくイッてしまいそうだ。
 いや、もう、我慢が出来なかった。
 「・・・・・っ」
 もう一度悠真の身体を仰向けに押し倒したアシュラフは、そのまま片足を掴んで大きく広げ、躊躇い無く腰を打ちつけ、狭い内
壁をペニスで抉った。
 グチュグチュと音をたてながら、肛孔の中を思う存分味わうアシュラフは、
 「ひゃあ!」
 「・・・・・っ」
 思い切って奥に突き入れると精を吐き出した。
思った以上に長い射精をしながらも、アシュラフの腰は止まらない。精液を吐き出しながら、その精液を悠真の中でかき混ぜるよ
うにペニスを動かし、まだ少しも萎えない自身のペニスを更に鍛えていく。
 「ちょ、はっ、はや・・・・・っ」
揺さぶられ、泣きそうな顔になった悠真に、アシュラフは淫蕩な笑みを向けた。



・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・

 「んっ、はっ、も、も・・・・・とぉ」
 ねだるように言った悠真が、自分から唇を押し付けてきた。
アシュラフの与える快楽と、媚薬を含んだオイルの効果で、既に悠真の身体はグズグズに蕩けている。
 「ユ、マッ、どうした、誘うような顔を、してっ」
 2人の身体の下に敷いているシーツは、既に互いの吐き出した精液で色が変わるほどに濡れていた。
悠真の下半身は精液で濡れ、赤く腫れた胸元の飾りはアシュラフの唾液で濡れている。真珠色の肌に白い精液が飛び散って
いる様は淫靡で、アシュラフはペロッと唇を舐めた。
(もっと、もっと乱れさせる・・・・・)
 「ユーマっ、お前の中が私のもので溢れているのは、分かっているだろっ?」
 「や、だ・・・・・っ」
 「中が濡れて、私のペニスに絡み付いて・・・・・なんだ、ユーマ、私の全てを搾り取ろうとでもするつもりかっ?」
 「ア、アシュラフッ」
 「聞こえているだろう?この音は、お前の愛らしい蕾と私のペニスが醸し出している音だっ。ほらっ、聞くんだ・・・・・っ」

 グチャ グチュ グチュッ

擦られた精液が泡状になり、隙間などないようなペニスが入り込んでいる肛孔の縁から滲み出ている。それがペニスを伝って流れ
落ちて・・・・・その感触にアシュラフは腰を振るわせた。
 「も・・・・・っと、もっと、私を飲み込んでくれっ!」
 「あっ、あっ、あっ!」
 「ユーマ、ユーマ、愛している!」
 「ア、アシュ・・・・・ッ」
 「ユーマッ・・・・・!」
 アシュラフはバンッと強く悠真の腰を自分の腰へと引き寄せる。
 「!!」
 「・・・・・っ」
その瞬間、アシュラフの腹に擦られた悠真のペニスからもう勢いの無くなってしまった精が漏れ、、その熱さを感じたアシュラフも今ま
で以上に最奥にペニスを突き入れて、蕩けきった内壁に何度目かも分からない精液をたたきつけた。



                                   ◆



 優しく、身体に手が触れている。
悠真は重い瞼をうっすらと開いた。
 「あ・・・・・」
 自分の素肌にこうして触れることが出来る相手は1人で、目の前にはそう信じていた大好きな人が、優しい眼差しで自分を見
下ろしていた。
 「起きなくてもいい」
 「ア・・・・・」
 名前を呼ぼうとしても、声が嗄れてしまったのか名前を呼ぶことも出来ない。
そんな悠真の状態を十分分かっているらしいアシュラフは、笑いながら胸元まで手触りの良いシーツを掛けてくれた。
(こ、れ・・・・・濡れて、ない?)
 シーツも、そして自分の身体も、さらさらとした感触で、既に綺麗にされているのだということが虚ろな意識の中でも分かる。
目の前にいるアシュラフも既に部屋着に着替えていて、先程までの飢えた獣のような眼差しは鳴りを潜め、ただ、慈しむような優
しい目をしていた。
 「眠っていなさい」
 「で・・・・・も・・・・・」
 「さあ」
 ゆっくりと瞼を閉じるように手を触れられると、疲れ切った悠真は再び眠りに誘われてしまう。もっと、アシュラフと話したいと思うの
に、どうしても開いていることが出来ない。
(ごめんなさい・・・・・)
悠真は心の中で謝りながら、静かに眠りに落ちていった。



                                   ◆



 「・・・・・ユーマ?」
 名前を呼んでも、軽く身体を揺すっても起きない。どうやら完全に深い眠りに落ちたらしい。
 「おやすみ。私の夢を見てくれ、ユーマ」
アシュラフは軽く悠真の唇にキスを落とすと、そのままベッドから立ち上がって天幕を捲った。
そこには、アリーが控えている。
 『ユーマ様はお休みになられましたか?』
 『ああ、疲れたようだ』



 さんざんアシュラフに貪られた悠真は、ストンと気を失ってしまった。
さすがに眠っている悠真を犯すことは出来なかったアシュラフは、まだ欲望にさかる萎えないペニスを引き抜く。

 グチュ・・・・・コプ

 散々かき回した精液が、ペニスを引き出した途端にドロリと肛孔から流れ落ちてきた。細かな泡状になったそれが、まだアシュラ
フのペニスの形を覚えている僅かに開いたそこから零れ落ちるのは見ていて楽しい。
 「・・・・・」
 アシュラフは裸身のままベッドから立ち上がると、そのままの格好で外へと通じるドアを開けた。待っていた今回の初夜の見届け
人である男達が、アシュラフの姿を見て深く頭を下げる。
 『聞いていたな?』
 『確かに、アシュラフ様とユーマ様の婚儀を拝聴いたしました』
 『どうだった』
 『お2人が仲睦まじいご様子がよく分かりました』
 『下がれ』
 『はっ』
男達を一言で下がらせると、アシュラフはアリーの名前を呼ぶ。近くに控えていたのか、アリーは直ぐに姿を現せて膝を着いた。
 『アシュラフ様』
 『ユーマの後始末をする。湯と、布を』



 悠真の身体を自分以外に見せたくは無かったが、アリーは自分の手足となって働く有能な男で、悠真に対しても絶対に恋心
を抱くことがないと知っている(アリーには恋人がいる)アシュラフは、彼の手も借りた。
 もちろん、直接悠真の身体に触れさすことはせずに、精液で使い物にならなくなったシーツの交換などの細々としたことだ。
普通ならばセックス直後の姿を他人に見せることはしないだろうが、アシュラフはそれを自分の恥部とは思っていないし、悠真と出
会う前は、女を抱いている最中に酒を持ってこさせたり、イき過ぎて意識を無くした女の世話などもさせてきたくらいだった。
 『アシュラフ様は?』
 『ここでシャワーを浴びる』
 大きな湯殿の他に、この寝室にも軽く汗を流せるシャワールームを作っておいた。
アシュラフはそこで汚れた身体をさっぱりとさせると、ベッドに戻り、肌を拭いた悠真に静かに声を掛けた。
 「ユーマ?」



                                   ◆



 悠真が寝入ったことを確認したアシュラフは、簡単に身支度を整えて宴席に顔を出した。夜通し続いている酒宴は、夜が明け
ようとしている今もなお賑やかで華々しく続いている。
 『父上』
 『おお、アシュラフ』
 飲み過ぎて顔を赤くしていた父は、それでもしっかりとした口調で言葉を返してきた。
 『報告は受けた。おめでとう』
 『ありがとうございます』
悠真との初夜を無事終えたという報告は、既に見届け人から父のもとへと報告されている。それでも自分の言葉でも報告をしな
ければならなかったので、悠真の傍から離れてここまでやってきたのだ。
 『おめでとうございます、王子!』
 『祝福を!』
 夕べ、悠真と共に宴席を離れたアシュラフが、この時間にこうして1人で戻ってきたのを見た者達も、初夜がつつがなく終わったと
いうことを察して祝いの言葉を投げつけてくる。
 『ありがとう』
 アシュラフはにっこりと笑って答えたが、ここに悠真がいたら大変だと内心苦笑を零した。
(ユーマなら、羞恥で卒倒するかもしれない)
自分達がセックスをしたということを他人に知られると、あの奥ゆかしい新妻は恥ずかしがって顔も見せてくれず、悪くすればしばら
く身体も許してくれなくなるかもしれない。
(皆に口止めしなくてはならないな)
 悠真に悟られないように、セックスに関することを話すのは厳禁だ。
文化の違う相手だからこその苦労があるものの、愛する相手だからこそ曲げて合わすことも厭わなかった。






                                      






なが〜い初夜がようやく終わりました。
次回最終回です。