狼と7匹目の子ウサギ




10








 今まで数え切れないほど交尾をしてきた。
そのほとんどはレンが望まないもので、自分の身体と引き換えに、食べ物やお金を貰うという手段の一つだった。
その中でも、特に素晴らしい技巧と、淫乱な性を見せた兎族。キアの6人の兄弟達は誰もがレンを翻弄する直前まで楽しませ
てくれたが、レンの心の根底はどうしても冷めて高まることはなかった。
だが。
 「レンさ・・・・・っ」
 真っ白な身体を日の光に晒すキアを見るだけで、自分の欲望が高まってくるのか分かる。
今まで感じたことがなかった高揚した思い・・・・・欲しいと、強烈に思った。
 「キア、足を開け」
 「う、うんっ」
 「ほら、後ろ向いて、俺の顔の上に跨れ」
 「え?そ、そんなの、恥ずかしいよ!」
 「ちゃんとしないと気持ちよくしてやらないぞ」
 「・・・・・っ」
その脅し文句は結構効くらしく、キアは泣きそうな表情になりながらもレンの言う通りにした。
丁度お互いの性器が面前になる位置で、レンは健気に勃ち上がっているキアのペニスをパクッと口にする。
 「ひゃあ!」
 レンの口にすっぽりと入ってしまうほどに小さなキアのペニスは、レンの口の中でビクビクと震えて直ぐに爆発してしまった。
レンはそれを吐き出すことなく全て飲み込んでみせる。
雄相手にここまでしてやることは今までなかったが、キアのものは不思議と甘く感じていた。
 「気持ちいいか?」
 「ふぇ・・・・・ん」
 トロンとした目を見れば、キアがどれ程感じたのかは聞かなくても分かる。
レンは口元を笑みの形にして、そのまま頬に口付けた。
 「ぼ、僕も」
 「キア?」
 「レンさんにも気持ちよくなって欲しいから」
そう言ったキアは、ノロノロと顔を上げてそのままレンのペニスを頬張った。
 「・・・・・っ」
(こい・・・・・つっ)
 キアは今まで誰とも交尾はしたことがないはずだ。
コードとも寸前まではいっただろうが、その身体の中にペニスを受け入れてはいない。身体は無垢のままのはずだが・・・・・その技
巧は、今までの交尾の相手に勝るとも劣らなかった。
 「・・・・・っく」
思わず声が漏れてしまうほど、キアの口の中はペニスを受け入れる性器のようにレンを刺激した。
(本当に、天性の淫乱一族だな・・・・・っ)



(おいし・・・・・おいしいよぅ、レンさんのおちんちん・・・・・っ)
 初めての交尾。
相手のペニスをこうして口で愛撫するのは初めてだが、兄弟達の交尾を見たことがあるのでやり方は大体分かっていた。
兄弟達は、

 「すっごく美味しいんだよ、おちんちんって。お口で頬張るのも、下で受け入れるのも」
 「ふふ、私はやっぱり身体の中に入れてもらうのが好き」
 「僕は、口に出されるのも気持ちいいなあ」

楽しそうに話していたその会話を聞きながら、キアはレンのペニスはどんな味なのかなと胸をワクワクさせていた。
きっと、大好きな人のモノは美味しいに決まっている・・・・・そう想像していたが、思った以上にそれは甘美な味がした。
自分の手首ほどもあるのではと思うほどに大きいのには驚いたが、硬く熱いそれを握っただけで自分の身体も熱くなる。
(コードさんも大きかったし・・・・・肉食獣のおちんちんはみんな大きいのかな・・・・・)
 「ふぐっ、んぐっ」
 「・・・・・キ、キア・・・・・ッ」
 「ひほひひひ?」
 「く、咥えたまましゃべるなっ」
 もごもご動く舌と吐息が刺激したのか、口の中のペニスは更に一回り大きくなった気がする。感じてくれているのだと思うと嬉しく
て、キアはますます熱心に舌を動かした。
血管が浮き出ている裏筋を舐め上げ、先端を指先で刺激し、歯で軽く噛んで刺激する。
 「ふ・・・・・っ」
 「・・・・・・っ」
(早く、口に出して・・・・・っ)
 レンの精液はいったいどんな味がするんだろう?少しずつ漏れている液でさえこんなに甘く美味しいのに、実際の熱いものを飲
み込んだら・・・・・。
(それだけで、僕・・・・・僕・・・・・っ)
 「・・・・・!」
 いきなり、レンの手がキアの頭を鷲掴みにし、そのまま深くペニスを突き入れた。
 「んぐぅっ」
思わず咽てしまいそうになったが、キアは一生懸命レンの腰にしがみつくと、そのまま喉の奥に出された熱く甘い精液を全て飲み
干した。



 思った以上にキアの性的知識は成熟していたらしい。
レンは射精後の満足した溜め息を漏らしながらも、まだ美味しそうにペニスを咥えているキアを見つめた。
 「・・・・・兄弟の中で一番じゃないか・・・・・?」
これ程の淫乱な気質が、よくぞ今まで抑えられていたと思った。
その理由の一端は、間違いなく自分の存在のせいだろう。性的に開花する前にレンを知ったキアは、一途にレンだけを想って欲
望を押さえ込んでいた。
それが、今一気に爆発した形になった。
 「・・・・・あ・・・・・」
 その時、レンは自分の顔近くが熱く濡れたのにようやく気付いた。
レンを愛撫しているだけで、キアは感じて射精してしまったのだ。
 「キア・・・・・」
 「レンさん・・・・・きもち、よかった?」
 「・・・・・」
 「僕、下手だった?」
 「下手っていうか・・・・・」
(上手過ぎるって言うのも変だが・・・・・)
レンとしては、何も知らないキアに一つ一つ教えてやるつもりだった。それが、自分の方が押されているのだ、雄のプライドとしては
何も言えない。
 「レンさん?」
 不安そうに振り返って言うキア。
しかし、その手はまだレンのペニスを握っている。
レンは少しだけ眉を顰めながら手を離せとキアに言った。
 「ぼ、僕・・・・・やっぱり練習した方が・・・・・もっと、慣れてた方が良かっ・・・・・た?」
 「バカ」
 「バ、バカ?」
 レンはキアの身体を持ち上げると、そのまま向きを変えて自分と向かい合わせるようにした。
 「何の為に俺があいつを追い払ったと思うんだ?」
 「わ、分かんない」
 「俺以外の手がお前に触れるのが嫌だったからだろ」
 「レ、レンさん・・・・・」
 「本当に大事な奴を、他の雄に抱かせるわけないって・・・・・分からないか?」
 「・・・・・っ!」
ぶわっと、キアの目から涙が零れた。もちろんそれが悲しい涙ではないとレンは知っている。
 「これぐらいで泣くな、キア」
 「レ、レンさ・・・・・じゃ、じゃあ、一度抱いてもらっても・・・・・また、また僕と、会ってくれる、の?」
 「当たり前だ。俺のものを傍に置いていないでどうするんだ」
 「・・・・・!」
 キアの細い腕がレンの首に巻きついた。
直ぐ耳元で泣きじゃくる声と、密着した身体の熱さを感じ、レンもそのままその身体を抱きしめた。
同じ相手を二度抱くことはない・・・・・その主義は今だ変わったというわけではない。ただ、義務で抱く相手と、愛情を持って抱く
相手は全く別ものだ。
(俺が、こんな子供に本気になるなんてな)
無邪気で淫乱な愚かな子供・・・・・しかし、いつの間にかレンにとって大切な存在になっていた。
今のレンには、キアをこのまま手放すことなど考えられない。
 「・・・・・」
 レンは自嘲の笑みを漏らすと、意識を切り替えて柔らかなキアの尾をギュウっと握り締めた。
 「きゃあ!」
そこが感じるのか、キアは高い嬌声を上げる。レンは早くこの淫らな身体を全て自分のものにしようと思った。
 「キア、もっと気持ちよくさせてやるからな」