狼と7匹目の子ウサギ




12








 もう何度、キアの中に精を吐き出したか分からなかった。
その数が相当なものだというのは、ペニスを突き入れるたびに中に出された精液が押し出され、その量がおびただしいという所か
らも良く分かる。
どんな相手との交尾でも、今までその身体の中に精を出したことが無かったレンは、それがどんなに気持ちがよく、そして征服欲
を刺激するものかを初めて感じていた。
(いや、キアが相手だからだ)
 キアでなければ、これ程気持ちがいい交尾は出来ないはずだ。
淫乱な身体だって、自分に対してだけなら全然構わないくらい、この身体は抱く相手を虜にさせるもののようだった。
 「レ、レンさ・・・・・んっ」
 「き、持ち、いいか?」
 「と、溶けそ・・・・・ぅ・・・・・っ」
 今、キアは、横たわったレンの上で踊っていた。
眩しい日差しを背中にしたキアの身体は、下から見ているレンの瞳には眩しく輝いているように見える。
 「・・・・・っ」
キアの尻の蕾を抜き差ししている自分のペニスもよく見えて、視覚でもレンの欲情は刺激されていた。
 「あっ、あっ!」
 「キアッ」
 「レ、さ・・・・・、動かない、で!」
 「動いてるのはお前の方だ」
 「う、嘘だあ!」
 「嘘じゃない」
レンはグッと中にペニスを突き入れた。
その途端、キアの小さなペニスから、もう僅かな量になってしまった精液が零れた。



 甲高い声を上げて背を反らすキアは、目じりに涙を浮かべている。しかし、それは苦痛や恥ずかしさの為ではなかった。
気持ちが良くて良くて、過ぎる快感の為に涙が零れるのだ。
レンが言った通り、今の体勢ではキアの方が積極的に動いている。
自分の中の気持ちが良い場所をレンのペニスの太く硬い切っ先で擦ってもらうと痺れが来るほどの快感が襲い、更に自然と腰
が動いてしまうのだ。
 「ひゃっ、あっ、ふぁっ!」
 「・・・・・っ」
 「ぐふっ、ふぇっ、うわっ」
 多分、レンは下から自分の恥ずかしい姿をじっと見ているのだろう。
日に良く焼けたレンの肌の、キアのものとはまるで違う大人のペニスが、白いキアの尻の狭間に消えていく。限界まで開いた蕾の
中に、太いレンのペニスがずぶずぶ埋まっていく姿まで・・・・・既に何度も中に吐き出されたレンの精液が、摩擦で白く泡状になっ
て零れてくるところまで、全てを見られているはずだ。
だが・・・・・その羞恥心も気持ちが良いのだ。

 グチャッ ブチュ グチュ

(あ・・・・・あっ、レンさんのが・・・・・)
 身体の中の隅々まで、レンの精液が浸透していく気がする。
自分の身体が全て、レンのものになっていっているのだ。
 「ああっ、んあっ!」
 「キ、キアッ」
 「レ、レンさ・・・・・あん!」
無意識のうちに、キアが自分の中にあるレンのペニスを締め付けると、
 「・・・・・っ」
レンは眉を顰めてその刺激に耐え、そのまま上半身を起こして再び自分がキアの身体の上に圧し掛かる格好になった。
 「ちゅ、ちゅーしてっ」
必死に訴えかけると、レンはその願い通りに唇を重ねてくれた。

 クチュ ペチャ

 舌を絡め合い、お互いの唾液を交換する淫らな水音が耳に響き。
身体には、レンの突き上げるリズムを感じる。
自分の身体全てを、レンの身体全てで愛してもらい、キアはもう今この瞬間レンに食べられてもいいと思った。



 「・・・・・っ」
 そろそろ、限界が近付いてきた。
いや、レンの体力からすればまだ十分出来るし、淫乱なはずのキアの身体もまだまだレンを受け入れることは出来るかもしれな
い。
しかし、考えればキアは男に抱かれるのはこれが初めてで、気持ちが高まり過ぎて既に意識が飛びそうな感じだ。
(これっきりじゃ・・・・・ないんだからな)
一度きりの交尾ならまだしも、これから先もレンはキアを抱き続けるのだ。これまでの飢えを考えれば少し物足りないが、今日は
これで終いにした方が良いだろう。
 「・・・・・キア」
 そう決めると、レンの腰の動きは更に激しくなった。
キアの内壁全てに自分の精液を塗り付け、自分のペニスの形を覚えさせるかのように、突き入れるごとに深く深く中に入り込ん
でいく。
キアの目には涙が溢れ、それは目じりを辿って流れ落ちた。
(勿体無い・・・・・)
 キアの全てはもう自分のものだと、レンはその涙さえも自分の舌で舐め取った。
恍惚とした表情でレンが舐めてくれるのを受け入れていたキアは、レンが顔を離すと少し恥ずかしそうに笑って言う。
 「・・・・・嬉しい」
 「キア」
 「僕の全部・・・・・レンさんのものだよね」
 「・・・・・ああ」
愛しいと、強く思う。
これだけ想われて、愛さないわけが無いだろう。
 「キア、最後だ、上手に受け止めろ」
 「う、うんっ」
 最後の放出を前に、レンがキアと指を絡めて強く握った。
キアも、その手をギュッと握り返す。
レンの腰の突き入れと、キア自身の華奢であるが柔軟な腰の動き・・・・・身体がぶつかる音と、水音と、身体中がお互いの吐
き出した精液で汚れた姿で、2人は最後の放出をした。
 「きゃぅぅぅ!!」
 「・・・・・っ」
 キアのフワフワな耳を噛んだまま、ドクドクと、レンは今日何度目かの迸りをキアの最奥に打ち付けた。
その刺激にキアも精を吐き出したようで、レンの腹に熱く濡れた感触がした。
 「・・・・・っつ」
根元まで差し込んだペニスは、キアの内壁に絞られるように擦られて、レンは最後の一滴までキアの中に精液を出すことになって
しまった。



 クポッ

 恥ずかしい音をさせて、レンのペニスがキアの尻の穴の中から引き出された。
ずっと入れっぱなしだったせいか、出て行くと何だかとても物足りないような気がする。
(レンさんのおちんちん・・・・・ずっと入れておきたいくらい・・・・・)
 「きついか?」
レンが、キアの頬に手を触れながら聞いてくれた。何だか交尾よりも恥ずかしくなって、キアは顔を真っ赤にしながらううんと首を横
に振った。
 「だ、だいじょーぶ」
 「本当に?」
 「う、うん」
(少しは、あそこがジンジンしてるけど・・・・・でも・・・・・嬉しいもん)
身体も心も満たされているので、痛みなんか何とも思わなかった。いや、レンが与えてくれるのならば、痛みさえも受け入れられる
ような気がしていた。
 「・・・・・」
そんなキアの気持ちを感じ取ったのか、レンは苦笑しながらキアを抱きしめる。それは今までの艶っぽく淫らな雰囲気は欠片も無
い、優しい優しい抱擁だった。
 「大好き、レンさん」
 無性に自分の気持ちが伝えたくなって、キアはそう言った。
そんな言葉でしか自分の気持ちが表せられないのが悔しいと思った。
しかし。
 「・・・・・」
キアの耳元で、レンが囁く。
俺も・・・・・という短い言葉に、キアは再び涙が零れてしまった。