竜の王様




第一章 
沈黙の王座








                                                             
※ここでの『』の言葉は日本語です






 荷物のように肩に担がれて昂也が運ばれたのはどこかの部屋だった。
ただ、昂也の頭の中にある部屋というものの概念とは、どこか違う感じがする部屋だった。
(ここ・・・・・日本じゃないみたいだ・・・・・)
 そもそも昂也の家は、いや、よく遊びに行く龍巳の家も畳が主なのだが、ここは硬い、ほのかに青く光っているような石の床だった。
もちろん裸足になるような場所ではなく、皆履物を履いたまま部屋の中に入っていく。
天井も床も同じ様な素材の石で、窓はあったが電器というものはないようだった。
(どうして光ってるんだ?)
 電灯の変わりに光っているのは、部屋のそこかしこに置かれている水晶のような玉だった。それが、まるで照明のように輝いていて、
十分明るく部屋の中を照らしていた。
 「そこに」
 「わざわざ紅蓮様の寝所を汚されなくても・・・・・」
 「他の者に見られても困るしな」
相変わらず全く分からない会話が交わされて、昂也の身体は部屋の奥・・・・・薄いカーテンのようなもので仕切られたベッドのような
場所の上に半ば乱暴に放り出された。
 『冷たっ』
大人の男4、5人はゆうに横になれそうな大きなベッドはなぜか冷たく、昂也は濡れている肌がますます冷たくなるような気がして思
わず声を上げた。
しかし、掛け布に潜り込みたくても、手足を縛られた状態では何も出来ない。
 『これっ、これ解いてくれよ!』
 昂也は赤い瞳の男に言った。
多分、この中で一番偉いのはこの男だと見当をつけたのだが、実際に動いたのは他の4人の男達だった。

 
ビリッ

 『ちょ、ちょっとっ、何するんだよ!』
ここまで昂也を運んできた目付きの鋭い男が手を縛っていたものを解いてくれたが、そのままいきなり昂也の着ていたシャツを引き裂い
てしまった。
まるで紙を破くように、それほど力を入れないままで裂けてしまったシャツを呆然と見下ろしている間に、他の3人の男達も淡々と行動
をしている。
破れたシャツを脱がせ、そのまま下着ごとズボンも脱がせられ、昂也はあっという間も無く全裸を男達の前に晒してしまった。
 『はっ、離せよ!見るな!』
 ここは風呂ではないし、目の前にいる5人の男達は初めて会う者ばかりで、こんな風に全裸を晒すことがどんなに恥ずかしくて惨め
か、昂也は必死で泣きそうになるのを我慢して叫んだ。
どう考えても、自分よりも遥かに体格のいいこの男達に力で勝るとは思えず、言葉も通じないので意志の疎通も出来ない。
(な、何をする気なんだ・・・・・っ)
 こういった場面は初めてだった。
喧嘩をして殴られたりすることはあったが、こんな風に服を脱がされたことなど無い。
昂也は目の前の男達を必死で睨んだが、傍目から見れば泣きそうな目になっていることに昂也は気付くことが出来なかった。



 「・・・・・」
(貧弱な身体だ)
 容姿は竜人と変わらないようだった。
ただ、こちらの世界は男も女も大柄であるのに対し、目の前の人間の少年は頼りないほどに細く小さい。下半身に付いている男の
証もまるでまだ子供のようで、今は恐怖の為かますます小さく縮んでいるようだった。
弟の碧香とほぼ変わらない体格だが、碧香に対してはもちろんこんな性的なことをしようと思ったことは全く無いので今まで感じなかっ
たが、こんなに小さな身体で自分を受け入れることなど出来るのだろうかと思う。
(男と女は・・・・・人間も同じ様に違うのか?)
 「紅蓮様」
 「・・・・・」
 掛けられた声にゆっくり頷くと、心得たように4人の部下達は人間の少年の四肢を拘束し、そのまま大きく両足を広げてしまった。
どうやらここも竜人と同じく、男が男を受け入れることが出来る穴が人間の少年にも1つあった。
 『や、やめろ!見るなよ!』
・・・・・何か、喚いている。
多分文句を言っているのだろうが、紅蓮はこの行為を止めようとは思わなかった。しかし、この煩さは耳に煩わしい。
 「黒蓉、口を塞げ」
 「は」
 右手を押さえていた黒蓉が、そのまま片手で人間の少年の小さな口を塞いだ。
途端に大きな声は聞こえなくなったものの、くぐもったような叫びは止むことは無かった。
(諦めの悪い。ここまできたならば素直に受け入れればよいものを)
 次期竜王となることが定められていた紅蓮。その紅蓮に一度でも抱かれたいという者は数えきれないほどにいた。
無茶な遊びはしなかったが、それなりに女は抱いてきたし、男も数人相手をした。誰もが紅蓮に抱かれることを喜び、素直にその身
体を開いたものだが・・・・・さすがに人間は違うのだろうか。
 紅蓮はゆっくりと上着を脱いだものの、他の衣は着たままで人間の少年の開いた両足の間に身体を入れた。
 『!』
 「言葉が分からぬだろうが・・・・・今から私はお前の身体を抱き、その精を身体の中に注ぐ。それでお前と意思の疎通が出来るかど
うかは分からぬが・・・・・」
 『ん〜!ん〜!!』
 「人間のお前を抱いてやるのだ、大人しく受け入れろ」
そう言うと、下穿きの紐を緩めて陰茎を取り出す。
意外なことに少し反応して勃ち上がっていたそれを何度か手で擦り上げ、そのまま少年の後ろの穴にあてがった。
体重を掛けてそのまま中に入れようとしたが、太い先端の部分は少しも潜り込まない。
 「硬いな」
 「紅蓮様、そのままではとても挿入は出来ないでしょう。これをその場所に」
 足を押さえていた紫苑が懐から塗り薬を取り出した。
細かな傷はたちまち治ってしまうという妙薬だが、確かにこれを塗れば滑りは良くなるだろう。
 「紅蓮様、私が」
紅蓮の手を煩わすことはないと、今度はもう片方の足を押さえていた白鳴が紫苑から薬を受け取り、そのまま指ですくうとたっぷりと人
間の少年の後ろの穴に塗りつけ始めた。



(い、いたっ、痛いって!!)
 『ん〜っ、んっ、ん〜!!』
 足を広げられ、見知らぬ男達にペニスから双玉、そして尻の穴まで見られているという屈辱に、とにかく昂也は逃れたくて必死で手
足を動かし、身体を捻ろうとした。
しかし、まるで大人と子供のように力の差はあるらしく、押さえつけられている身体はビクとも動かなかった。
 それから直ぐに、赤い瞳の男が身体の上に圧し掛かってくると、広げられた足が更に持ち上げられて尻が浮いてしまう格好にさせら
れる。そして・・・・・自分さえ滅多に触れることのない場所・・・・・尻の穴に濡れた熱い感触がした。
確かめるのが怖かったが、自然と視線は自分の下半身にいってしまい、昂也はそこで、ほとんど服を乱していない男の下半身部分の
衣がはだけ、そそり立つ男の証、ペニスが、今にも自分の尻に突き刺さろうとしているのを見てしまった。
(う、嘘だろっ?)
 自分は、男だ。
幾らまだ成長途中だといっても、いずれは好きな相手を自分のものにする・・・・・抱く側にいるはずだった。
それが、理由が分からないうちに、誰かも分からない相手に、何時の間にか犯されようとしている。
これが現実だとはとても信じたくなかった。
 『ん〜!!』
 とにかく、止めて欲しかった。
大きな手で塞がれている口からは文句も悲鳴も出すことが出来なかったが、それでも昂也は必死で目の前の男に訴えた。
 しかし、その男の赤い瞳には少しの動揺も憐れみも表れることは無く、次には尻の穴の中にいきなり細い濡れた何かが入って来る。
中をまるで確かめるようにグチュグチュと掻き回されていると、それがどうやら指であることが分かり、昂也はもう泣くのを我慢することが
出来なくなった。
(ど・・・・・して、こんなこと・・・・・)
何人もの男達の前で裸にされ、その上尻の中まで弄られている。恥ずかしくて悔しくてたまらなかった。



 「もう良いでしょう。まだかなりきついとは思いますが」
 丁寧に人間の少年の尻を解していた白鳴が指を抜きながら言った。
確かに、先程までの乾いたそこよりも、しっとりと濡れて淫らに呼吸をしているような感じがした。
(人間のくせに・・・・・っ)
こんな風に自分を誘うなど生意気だと思う反面、紅蓮の陰茎は先程までとは比べ物にならないほどに力を持ってそそり勃っていた。
 「しっかり押さえていろ、暴れるだろうからな」
 そう言うと、紅蓮は陰茎を再度尻の穴にあてがう。
 「・・・・・」
 『・・・・・っ』
一瞬、涙で濡れた黒い瞳と視線が合った。
(・・・・・美しいはずが無い・・・・・)
人間のどこか一部でも、美しいはずが無い。
紅蓮は一瞬頭の中に浮かんでしまった思いを苦く打ち消すと、そのまま強引に根元まで一気に陰茎を尻の穴の中に埋めた。
 『!!!』
 「・・・・・っ」
その瞬間、ビクッとしなった人間の少年の身体。
埋め込んだ紅蓮の陰茎は、まるで引き絞られるかのようにギュウッと強い圧迫感に襲われ、紅蓮は眉を顰めてその衝撃に堪えなけ
ればならなかった。