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恐る恐る這わされる舌がくすぐったい。
口で銜えるのが怖いのか、それともその大きさに舌で愛撫するのが精一杯なのか、どちらにせよ一生懸命な尚紀の様子に、佐
久間はなぜかずっと頬から笑みが消えなかった。
もちろん、この程度の愛撫ならばセックスに慣れた女を相手にする方がよほど気持ちがいいし、快感を得ることも出来る。
わざわざ自分と同じ性器を持つ相手を根気強く慣らしてまで抱くことなく、少し微笑みかければどんな女でも寄ってくるのに、どう
して今自分はこの男を・・・・・可愛いと思っているのだろうか。
(ナオだから、だよな)
相手が尚紀で無ければ、ここまで感じるはずがない。
周りに多くの女がいる自分が、自ら交際を申し込んだのだ。尚紀が特別な存在だということは疑うこともなかった。
ただし、尚紀が自身の唯一だとは思わないが。
「ナオ、それじゃなかなか感じないよ」
「ふぇ?」
からかうように声を掛けると、尚紀は顔を上げて戸惑ったような視線を向けてくる。
「ただ舐めてるだけじゃね」
「え、で、でも・・・・・」
尚紀の小さな唇が濡れ光っているのが分かる。これはきっと唾液だけでなく、自分のペニスから滲みでた先走りの液もついてい
るはずだ。
一見、セックスとは無縁の尚紀が、自分と同じ男のペニスを銜えた証。佐久間はクスクス笑いながら指を出してと告げる。
何時もは簡単に言うことなど聞かないはずなのに、この状況に理性が麻痺しているのか尚紀は素直に指を出す。佐久間はその
指を予告なく口に銜えた。
「!」
自分よりも細い、それでも女のそれとは違う少し骨ばった指を舌で絡めるようにしゃぶる。唾液を絡めるように舌を動かし、時
折唇や歯でも噛んで刺激してやる。
そのたびに、指がビクビクと震えるのが分かった。
「・・・・・」
「ぁ・・・・・っ」
たっぷりと舐めて、口から指を出す。滴る唾液に慌てて目を逸らす尚紀に、佐久間は駄目だよとからかうように注意した。
「今ので分かった?」
首を傾げると、戸惑った眼差しが返ってくる。
「い、今の?」
「ナオの指を俺のペニスに見立てたんだよ。あんなふうに舌を動かして」
当然予想がつくと思っていたが、尚紀は思った以上に奥手で、勘が鈍いらしい。言われて初めて気づいたのか、そうでなくても赤
かった全身がますますその赤みを濃くしていく。
「そっ、なっ、み、見立てた、って・・・・・っ」
「ほら、早く」
いい加減先に進んで欲しいと思い、つっと頬に触れた。
多分、尚紀はもっと自分を楽しませてくれるはずだと思った。
ジュク ピチャ
「・・・・・っ」
(み、耳っ、塞ぎたい!)
部屋の中に響く淫らな水音が恥ずかしくてたまらず、尚紀は懸命に今している行為に没頭しようとした。
本当は両耳を手で塞ぎたいが、思った以上に大きな佐久間のペニスは両手で支えるしか無く、その手も先走りと自身の唾液
で濡れた竿の部分を懸命に扱くように動かしている。
同性のペニスを銜えるということ自体が初めてで、どう感じさせていいのかも分からなかった。
佐久間だけに任せるのは悔しくて自分も何かしなければと思ったのだが、今更ながらこんな行為を言いだしてしまったことを後
悔してしまう。
(ど、どう、せっ、下手だって、思ってる・・・・・っ)
経験豊富な佐久間は、きっと何人もの女の子相手にこの行為をさせてきたに違いない。
そして、その女の子達は自分のように下手ではなく・・・・・いや、例え下手だったとしても、女の子ならばまだ可愛げがあるはず
だろう。
(む、無駄に、おっきいっ)
同じ男として羨ましいほど立派なペニスを、口と、手で愛撫をして。
何とか、佐久間の快感を高めるために懸命に奉仕を続ける。その大きさに何時までも慣れず、いい加減顎が疲れて来た時、
口の中に次第に苦味が広がってきた。
「んっ、んっ、ぁう」
「い、よっ」
髪を撫でていた佐久間の息が、僅かに上がったのが分かる。
ビクビクと跳ねるペニスがさらに大きくなったようだ。
(で、出る・・・・・っ?)
「・・・・・んっ」
「んぁっ?」
不意にジュルッとペニスが口から引き出されたかと思うと、顔面に熱い飛沫が掛かった。
「・・・・・な・・・・・」
「ごめん、気持ちが良くて出ちゃったよ」
「出・・・・・た?」
苦笑しながら言う佐久間をじっと見上げた尚紀はノロノロと手を上げて顔に掛かってしまった飛沫を拭い、それを目の前にかざし
てみた。
指先に付いているねばついた白い液体。それが精液だと認識するのに少し時間が掛かってしまい、分かった瞬間尚紀はカッと
全身が熱くなって、慌ててシーツで手と顔を拭った。
(か、顔に掛けられたんだ・・・・・っ)
本当に、女の子になった気がする。
佐久間の手で射精させられたのも恥ずかしかったが、佐久間の精液を顔で受けてしまったことはそれ以上の衝撃で、尚紀は佐
久間の顔が見れなかった。
「ナ〜オ」
「・・・・・っ」
「恥ずかしがることないのに」
「だ、だって・・・・・!」
(お前は何とも思わないのかよ!)
「セックスしてるんだよ?相手の一番恥ずかしい所見るのも当然だって」
そう言いながら、佐久間の手が顎に掛かり、少し強引とも思える強い力で顔を上げさせられる。反射的に目をギュッと閉じた
尚紀の耳元に、チュッと音を立ててキスをされた。
「!」
「これで終わりじゃないよね?」
「佐、佐久間」
「義仁」
笑いながら否定されても、尚紀は言い返す余裕はとてもなかった。
顔射をするつもりはなかったが、まだ幼さの残る尚紀の顔に白い精液が散った様はなかなか色っぽかった。
ただし、その後に慌ててシーツで拭われてしまい、それを堪能する時間が無かったのが少し残念にも思った。
「ほら、ナオ」
「ゃ・・・・・っ」
小さな拒絶の声は一切無視して、佐久間はまた尚紀の身体をベッドに押し倒す。
不安げな表情に嗜虐心を誘われ、わざとにっこりと笑いながら大きく足を広げた。
「うわぁっ!」
「ほらほら、暴れない」
何をされるのか分からないまま、それでも身体が逃げようとする尚紀をあやしながら、佐久間は素早くベッドヘッドの棚から小さ
なボトルを取り出す。
片手でその蓋を開けて、尚紀のペニスから双玉に掛けてたっぷりと垂らすと、その冷たさと感触に薄い腹がヒクヒクと波打った。
滑りを取ろうと手を伸ばそうとする尚紀に、佐久間はクチュクチュと再びペニスを弄りながら言う。
「大丈夫、ジェルだから」
「ジェ、ル?」
「こんなに感じやすい身体をしてるけど、ナオ、濡れないだろう?」
「・・・・・っ!」
「ナオの一番奥に入るために、準備が必要だから」
ここまで言えば、さすがに尚紀もこの後の行動が分かったようだ。みるみるうちに身体を強張らせるのが手の平の感触で分かり、
佐久間は宥めるために動物のようにペロッと唇を舐めてやった。
たっぷりと垂らしたジェルを双球のさらに奥、今から自分を深く埋め込む蕾にまで伸ばした。
指先でヒクヒクと息づく蕾を何度も撫でさすり、続いて爪先をツプッとめり込ませる。
「!」
「まだ、痛くはないよね?」
爪の部分を何度も出し入れしてさらにジェルを蕾の中まで塗りこめ、ある瞬間グッと奥まで突き入れた。
「うひゃあ!」
「はは、色気のない声」
「ぬ、抜け、よっ!」
「ダ〜メ。このくらいで弱音吐いてちゃ、俺のなんか入れたらどうなるんだよ」
男を受け入れるのが初めての尚紀の負担は想像は出来るものの、ここまで自分を受け入れてくれた責任は最後までとってもら
わなければ困る。尚紀も、先程口で愛撫している時に分かってくれたはずだ。
(男なら、ここで終われるはずはないって・・・・・)
「まだ1本だし、ナオが慣れるまでたっぷりと時間はかけるよ」
時間はまだまだあるんだしと言いながら笑うと、尚紀の尻がプルンと震えた。
「2本目」
「う・・・・・くっ」
「ほら、息をつめないで」
ちゃんと吐いたら楽だからと言われても、そんなに簡単にコントロールなんて出来なかった。
そうでなくても心臓はドキドキと早鐘を打ち、下半身はジンジンと熱く、引き攣るような感覚があって、尚紀は出来るならここまで
と言って逃げてしまいたかった。
佐久間のことをもっと知りたくて、仮とはいえ恋人同士ならばこのくらいのこと・・・・・覚悟をして佐久間に付いてきたつもりでい
ても、想像と現実はあまりにも違い過ぎる。
匂いも、味も、感触も。
経験しなければ、こんな生々しい感覚は想像も出来なかった。
ズリュ
「ひ・・・・・っ」
身体の中で、佐久間の指が自在に動き回る。
身体の中を触られるという未知の感覚に気持ちが追いつかないままでいると、佐久間は待ってくれるどころか混乱している間にと
いうように、さらにもう1本指を入れてきた。
「痛っ!」
さすがに、あんな場所に指が3本入った状態は痛い。
「ぬ、抜い、てっ」
「どこだろ・・・・・」
「さ、くま!」
「ここ?・・・・・もう少し、上か?」
自分の言葉を一切無視して指を動かし続ける佐久間に、半泣きになりながら手を伸ばしてその行為を止めようとした時だった。
「うわぁっ?」
「ナオ?」
「ひぃ・・・・・ぁっ」
いきなり、下半身が痺れる感覚に襲われ、尚紀はビクッと背中を反らしてしまう。
(な、なんだよっ?)
初めて感じるあまりにも大きな刺激にどうしていいのか分からず身を捩ろうとすれば、
「ここか」
なぜか楽しそうに言った佐久間が、先程と同じ内壁の場所を指で掻き撫でる。その瞬間、ピリピリと全身が痺れた。
「うぁっ、やっ、ひっ、こ、こわ、い、ひゃぁっ!」
ペニスを扱かれた時も大きな快感を感じたが、今はその比ではないほどの快感が・・・・・いや、快感を凌駕するほどの感覚が
尚紀を襲い、叫び続ける唇の端から零れる唾液の感触にさえ身が震えてしまった。
いったい、これは何なのか。
「ここがナオの前立腺だよ。ここを刺激されれば男なら皆気持ちが良くなる。怖いことなんてないから、ほら、この感覚にそのま
ま身を委ねていいから」
「ひゃぁっ、はぅぁっ、や、はぁっ」
佐久間が何か言っているが、尚紀はその言葉の意味を考える余裕さえまったくなかった。
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