12
男にしては大きな目にいっぱい涙を溜め、閉じきれない唇からは飲み下せない唾液が糸を引いている。
頬は紅潮し、忙しなく息を継ぐその姿はお世辞にも美しいとは言えないが、佐久間にとっては今まで抱いてきたどんな女よりも
愛らしく、妖艶に見えた。
人間が快楽に溺れる姿・・・・・肉欲と言う言葉をまさに体現しているようで、それを見せてくれているのが尚紀だということが
なによりも意味があるのだ。
「んっ・・・・・あぅっ、ううぅっ!」
「ナオ、気持ちいい?」
「んはっ、あっ、あっ」
「ふふ、もう応えることも出来ないんだ?」
ずっと前立腺を刺激し続けているので、先程から尚紀はイきっぱなしだ。既に二回射精し、自身の腹だけでなく佐久間の胸
までも汚しているが、それに羞恥を感じる理性も蕩けてしまっているようだ。
佐久間は笑いながらさらに中に収めた手を動かす。熱い襞はすっかり佐久間の指に慣れ親しみ、更なる刺激を求めて絡みつ
いてきた。
「もういいかな」
「ひぁっ、あぁっ」
「ナオの中、入ってもいい?」
聞いても、意識が飛んでしまっている尚紀の答えが返って来ないことは分かっている。それでも佐久間はそう声をかけ、唾液
で濡れ光る唇の端に軽くキスをした。
「そのまま、可愛く啼いていてね」
ジュプッ
「あっ!」
中に入れていた指を一気に引き抜くと、粘ついた糸を引いているのが見える。
少しだけ口が開いたままの蕾の奥は赤く濡れ光っていて、ヒクヒクと動く入口が無意識なのか誘っていた。
(これだけ慣らせば痛みは少ないはずだけど)
もっともっと、尚紀の方からねだってくるまで焦らすことも考えたが、佐久間自身もう時間を掛ける余裕がなかった。
無意識のうちに誘ってくる尚紀の媚態に抵抗するよりも、早くこの熱く狭い中に押し入り、思い切り自分が満足するまで貪りつく
したいのだ。
「ナオ」
クチュ
名前を呼びながら、いきり立っている自身のペニスの先端を蕾の入口に押しあてる。
最初はゴムを着けるつもりだった。妊娠の心配は無いが、やはり後ろに入れるということを考えたらその方が絶対にいいはずだ。
それでも、佐久間は直に尚紀の中を味わいたいという思いの方が強くなっていた。ゴム越しでは、尚紀の中がどんなに熱いの
か分からない。
(それに、中に精液を掛けてやる方が俺のものだって感じがするし)
ヌチャヌチャと、自身の先走りの液と既に濡れている蕾の入口を何度も合わせて擦り付けた。
「んんっ、ふっ」
中を弄る指の刺激とは違う生温い動きにもどかしさを感じたのか、尚紀自ら腰を揺らし始める。そのせいで、時折先端が口を
開いた入口にあたり、そのたびに尚紀は声を上げた。
「ナオ、行くよ?」
「さ、くまっ、ぁっ」
「また、呼び方戻ってる。・・・・・お仕置きだから、少し強めにいくよ」
細い腰を掴み、先端部分をぐぐっと中に押し入れると、途端に待っていたかのように締め付けてくる。
「・・・・・っ」
(き、ついっ)
処女でも、こんなにきつく、狭いのは初めてかもしれない。これは、快感より先に痛みを感じそうだが、もちろんここで止めること
など出来なかった。
「ホント・・・・・ナオは楽しませてくれるね」
直ぐに征服させない所が、女と違って面白い。
佐久間にとって初めての《恋人》は、最高に楽しい玩具だった。
ズズッ
「ひゃぁあ!!」
それまで、佐久間の指で散々弄られていたそこが、さらに大きく押し開かれていく。
圧倒的な存在感が淫らな水音と熱さを纏ってどんどん中に押しいってくる感覚に、尚紀は呼吸さえままならない。
「はっ、はっ、はっ」
「ナオ、ナオ、呼吸をして」
「い・・・・・たいっ、いた・・・・・よ・・・・・っ」
苦しくて仕方がない。あれだけ慣らしてもらったはずなのに、やはり指とペニスでは質量がまったく違うのだ。
(お、お腹・・・・・、破け、そ・・・・・っ)
このまま狭い穴を引き裂かれ、腹まで突き破られてしまいそうだった。
痛みと、恐怖と、不安。初めて男を受け入れるという感覚に、心と身体が拒否している。しかし、一方では、既に蕩けてしまって
いる身体が更なる刺激を欲しがって、許容量以上のペニスをグイグイと引き込むような気がした。
「あっ、い、やだ・・・・・っ」
「逃げないで、ナオッ」
佐久間の胸を押しのけようと手を伸ばすと、その手を反対に掴まれてしまう。
「さ、くま!」
「まだ先端しか入ってないよ」
「・・・・・う、そっ」
(こんなに、苦しい、のに!)
もう、奥の奥まで入っていると思ったのに、まだ先端部分しか挿入されていないという。嘘だと顔が青褪める思いに焦る尚紀だ
が、その言葉を証明するかのように改めて腰を掴み直した佐久間が、グイッと下半身を押し付けてきた。
グチュ ズリュッ
どんどん、中が押し開かれていく。
内壁がそれを留めようとするが、佐久間はまったく動じずにドンドン身体を沈めて、尚紀の奥の奥まで侵して・・・・・。
「ナオの中、気持ちいい・・・・・」
真上にある整った顔が、快感にうっとりと浸っている。
「もっと、もっと奥まで俺を受け入れてよ・・・・・っ」
「む・・・・・りっ」
もう、身体が引き裂かれてしまう。
「お・・・・・ね、がいっ」
セックスと言うものは、もっと気持ち良い行為だと思っていた。
痛みを感じるなんて考えることも無く、お互いの想いを身体でも感じ合う行為だと思っていたのに、こんなにも身体に負担が掛
かるなんて考えてもいなかった。
男同士だからかも、しれない。
だが、もしかしたら想いを交わしてない同士だから、こんなにも辛いのか。
痛みから逃れるために様々な事を考えるが、結局は下半身の、あの大きなペニスを受け入れている場所のことを考えてし
まい、尚紀はもう、半泣きの状態だ。
「・・・・・入った」
このまま気を失った方が楽かもと考え始めた頃だ。
「あ・・・・・ぁ」
不意に、額に掛かる髪をかきあげられ、目元にキスをされる。
涙で霞む視界をなんとか開くと、目の前に嬉しそうに笑う佐久間の顔があった。
「ナオの中、俺の全部入ったよ」
「・・・・・!」
(嘘、だ!)
あんな大きさのものが入るわけがない。そう思った尚紀の気持ちが分かったのか、佐久間が大きく腰を回した。
「ふぁぁ!」
その途端、尻に感じるザワザワとした感触。それが何か、想像するより先に佐久間の腕を掴んでいた手を引き離され、そのま
ま下へと移動させられた。
「!」
持っていかれた先は、結合部分。触れた瞬間、ジンジンとした熱さと、佐久間の下生えの感触が手に伝わる。
(あ、あんなの、あんなのが、入った・・・・・っ?)
驚きと同時に、尚紀を襲ったショック。それがどうしてなのか、自分自身でも分からなかった。
尚紀が慣れるまでしばらく動かずに待ったが、ただ中に入っているだけでも締め付けてくる内壁の感覚に我慢は効かなくなる。
佐久間はゆっくりとペニスを引き抜くと先端部分を残して止まった。
「あ・・・・・っ!」
「大丈夫、抜かないよ」
名残惜しげな声を上げる尚紀に笑みを誘われ、今度は先程よりも早急にペニスを突き入れた。
途端に、ビクッと震える身体に構わず、またペニスを引き抜く。
そうして、徐々に動きを早くしていった。
「ナオ、ナオッ」
「あっ、はっ、はぅっ」
佐久間の動きに身体を揺さぶられながら、それでも必死にしがみついてくる手。
同じ男なのである程度の力もあり、痛いくらいだが・・・・・その痛みさえ、尚紀を感じさせているのだと思うと心地が良いような気
さえした。
(俺が、溺れてどうするっ)
経験値のある自分が尚紀をリードし、この快感を率先して楽しむつもりだったのに、尚紀の反応を見て、もっと感じさせてやり
たいという思いの方が強い。
グチュッ
クチュ
下半身は密着し、唇もしっかりと合わせる。止めることが出来ないらしい喘ぎ声をすべて飲み込み、舌を絡めて、まるで口腔
の中も舌で犯しているような錯覚をした。
腰を掴んでいた片手を胸元に移動させ、尖りきった乳首を摘んでこねてやると、
「・・・・・っ」
ギュウッと内壁がペニスを締め付けてきた。
「胸、感じるんだ」
「あっ、はぁっ、んんっ」
「俺の声、聞こえない?」
からかいながらも腰の動きを止めないので、尚紀は応える余裕などまったくないようだ。
佐久間も答えが返ってくることを期待しておらず、さらに尚紀の羞恥を煽るように大きく足を押し広げ、自分を受け入れている部
分を凝視した。
「ナオのここ、本当に美味しそうに俺を銜えこんでる」
「!」
衝撃を受けた尚紀の身体が強張る。その途端ペニスを締め付けられ、佐久間は漏れそうになる呻き声を噛み殺し、にっと笑
みを向けた。
「すごく、濡れてるし・・・・・ナオ、オンナノコになっちゃったね」
「や、だぁっ・・・・・!」
さすがに聞き逃せない言葉に、尚紀は本気で嫌がって泣き始めた。
黒い瞳を濡らす涙を舌ですくい取ると、塩辛いのにどこか甘い。快感に狂っているのは尚紀だけかと思っていたが、どうやら自
分もこのシチュエーションに常に無く興奮しているらしい。
「本当に、俺のものにしちゃうよっ」
「さ、佐久間ぁっ」
もう、呼び方が違うなどと言ってはいられない。佐久間は笑いながらドンドン抽送を速める。
「あっ、あぁっ、や、だぁっ!」
「・・・・・っ」
「うぁっ、あぁっ、ひ・・・・・!」
「ナ、オッ!」
グイッと腰を密着した瞬間、佐久間は尚紀の最奥に射精した。
「あ・・・・・ぁ・・・・・」
飢えていたつもりはないし、実際にごく最近も女とセックスをしたばかりだというのに、尚紀の中に吐きだした精は思ったよりも
多かったらしく、ピクピクと尚紀の細い腰が震えてもなかなか終わらない。
「ま・・・・・だ、これで終わりじゃないよ」
「・・・・・ぁ・・・・・」
自分の声は聞こえていないのかもしれない。それならそれで構わないと、佐久間は射精したばかりだというのに萎えないペニ
スで再び内壁を刺激し始める。
「う・・・・・あっ」
本当に、身体も自分の恋人になったのだ。満足するまで相手をしてもらおうと、佐久間はペロッと唇を舐めた。
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