正妃の条件



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※ここでの『』の言葉は日本語です






 軽々と有希を抱き上げたアルティウスは、そのままその身体を自分の寝台に横たえた。
 「・・・・・」
ボタンなど無く、紐で簡単に留めているだけの寝巻きは心細く、有希はじっとアルティウスの手を見つめていることしか出来
ない。
 「ア、アルティウス・・・・・」
 「止めよという言葉は聞かぬ」
 「違うよ、あの・・・・・あのね、分かってると思うけど・・・・・僕、男で・・・・・」
 「それは分かっている」
 「・・・・・女の人みたいな、む、胸もないし、その・・・・・受け入れる場所も違うけど・・・・・」
 「ユキ」
 「僕が嫌だって言っても、止めなくていいから。ちゃんと、男同士っていうこと、分かって・・・・・そう決めたから・・・・・」
 「・・・・・分かった」
 アルティウスの返事を聞いた有希はやっとホッとした。
多分、どんなに心が受け入れようと思っても、身体は前の痛みを覚えていて拒絶してしまうかもしれない。
暴君だが、有希に対しては出来るだけ誠実であろうとぎこちない優しさを向けてくれているアルティウスだ。もしかしてその時
点で手を止めようとするかもしれない。
しかし、そこでアルティウスの手が止まってしまうと、有希は自分の決心までもそこで止まってしまう気がするのだ。
 「ユキ・・・・・」
 アルティウスの手が紐を解く。
薄い寝巻きの下には、更に薄く頼りない自分の身体があるはずだ。
 「・・・・・ご、ごめんね、みっともない身体・・・・・」
 「綺麗だ」
 「う、嘘はいいよ。ガリガリで、青白い色で・・・・・」
 「私は嘘は言わぬ」
 ムッとしたように言葉を続けると、アルティウスはそのまま下着(短いトランクスのような形だが、生地は薄い)を脱がせ、有
希はたちまち全裸を晒すことになってしまった。



(白い花のようだ・・・・・)
 アルティウスは寝台に横たわる有希を見てそう思った。
浅黒い自分の、この国の人間とはまるで違うきめ細かな白い肌。少し強く押しただけでも痕が付きそうな薄い肌だ。
以前有希を抱いた時は感情が暴発したようになっていて、アルティウスは有希の身体をよく見ることは出来なかった。
とにかく有希を引き止める為に、自分のものだと知らしめる為に、ほとんど愛撫をしないまま有希の最奥を犯した。
 しかし、今日は違う。
今日、有希は正式にアルティウスの正妃となり、自分の意思でアルティウスに身体を開こうとしている。
 「・・・・・」
 今改めて目の前に晒されている透き通ってしまうかと思うほど白い身体は、本当に一度自分が汚してしまったのかと疑
いを持ってしまうほど穢れがなく、アルティウスの手は一瞬躊躇するように止まった。
 「触れるぞ」
有希の反応を確かめるように、そっと胸元から腰までを手で撫でてみる。
 「んっ」
途端に可愛らしい声が上がった。
 「ユキ・・・・・」
 続けて、アルティウスは有希の首筋に唇を寄せ、味わうように歯で噛み、舌で舐める。
ピクピクと反応する身体を確かめながら、アルティウスの愛撫は次第に大胆なものになっていった。
(私のものだ・・・・・っ)
有希の身体の隅々まで自分のものだと確信したいアルティウスは、そのまま舌を有希の体中に滑らせていく。
 「ふぁ、あん・・・・・っ」
本当に華奢な薄い身体はその分快感も敏感に伝わるらしく、アルティウスが触れ、舌を這わせるたびに、有希の身体は震
えて、可愛らしいペニスから涙を零し続ける。
 「ユキはどこもかしこも可愛らしいが、ここも・・・・・私と同じものとは思えぬな」
 からかっているのではなく、本当に不思議そうに言いながら、アルティウスはまだ子供の姿の有希のペニスを手に取った。
男に愛撫をするのは初めてだが、有希を喜ばせたいという気持ちは溢れるほどあるアルティウスは、全く躊躇をせずにそれを
口に含んだ。
 「ああ!!」
初めて施される口淫に、有希の身体が飛び跳ねた。
 「や、やめっ」
 「・・・・・」
 「やめてっ、アル・・・・・!」
 思わず洩れてしまう哀願の言葉を耳にし、アルティウスは有希のペニスの根元をしっかりと握ったまま口を離す。
 「どうした、ユキ」
 「き、きもち、わる・・・・・いっ」
 「そなたのここは、甘い蜜を流しているぞ。喜んでいるのだろう?」
 「ち、ちが・・・・・っ」
 「ならば、もう一度」
アルティウスは再び有希のペニスを口に含むと、先程よりももっと激しい愛撫を加えた。
歯で軽く噛み、先端を舌で突き、唇全体でペニスを扱く。
アルティウス自身も、かつて自分がされたことがある行為を思い浮かべてしている愛撫だったが、まだ無垢なままの有希の
身体にとっては相当な刺激になったようだ。
嫌だと言っていた身体が、どんどん快感の色に染められていった。



 「ユキは体中が甘いな」
 「あっ、んっ、やめ・・・・・っ」
 「それに、こんな場所まで綺麗だ」
 快感に喘ぐ有希の身体は、もうアルティウスの意のままになっていた。
グイッと大きく足を広げられても、もう弱々しく声を上げるしか出来なかった。
 「・・・・・ここで、私を受け入れてくれるのだな」
 「!」
 どこを見て言われているのか想像してしまい、有希はギュッと目を閉じる。
足を閉じてアルティウスの視線から逃れたいと思っても、逞しいその身体が足の間にあるので無理だった。
 「ひゃぁっ」
 大きな指先が、アルティウスを受け入れる場所・・・・・有希自身、自分でも改めて見たことがない尻の奥の部分を撫で
擦った。
生理的な嫌悪感と恐怖で有希の身体は瞬間的に冷たく、強張ってしまったが、拒絶の言葉は喉の奥に張り付いて出て
こなかった。
 「・・・・・指が入らぬ。力を抜け、ユキ」
あくまで尊大に王様らしく言い放ったアルティウスの言葉を聞いて、不意に有希は緊張が解けた。
そして、自分を抱こうとしているのは本当にアルティウスなのだと改めて実感し、その頬にまだ多少強張ってはいるが笑みを
浮かべる。