正妃の条件



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※ここでの『』の言葉は日本語です






 有希の身体を気遣ってくれているのか、アルティウスの動きはゆっくりで、その分生々しく身体の内側でアルティウスの存在を
感じてしまう。
有希は眉を顰め、溢れる涙を我慢しようとしたが、どうしても止められない幾筋かはそのまま零れ落ちてしまった。
いっそのこと、一気に入れてくれた方が、痛みも羞恥も一瞬で済むような気がする。
 「ユキ・・・・・」
 上から有希を見下ろしているアルティウスが、有希以上に痛みを感じているような表情をしていた。
男らしい端正な顔にも、汗が滲んでいる。
有希は違うと、微かに首を振ってみせた。
 「ちが・・・・・嫌じゃ・・・・・ない、よ」
 「止めろ」
 「・・・・・え?」
 「その涙を止めるのだ。ユキが泣く様な事はしたくないが・・・・・ここで止める事は出来ぬのだ・・・・・っ」
 「い・・・・・よ、アル・・・・・ちゃん・・・・・と、出来る・・・・・か・・・・・ら・・・・・あっつ!」
 その瞬間、やっと半分ほど入っていたアルティウスのペニスが更に大きくなった気がした。
 「止まらぬぞ、ユキッ」
 「ゆ、ゆっくり・・・・・」
 「出来ぬ!」
まだ半分以上入っていなかったペニスを、アルティウスは一気に全て中に突き刺した。



(熱い・・・・・っ)
 アルティウスは、自分を全て飲み込んでくれている2人の結合部分をじっと見つめた。
あんなに固く閉じられていた蕾がめいいっぱい広がり、、太いアルティウスを飲み込んでいる姿は感動するものがあった。
 「すごいぞ、ユキ、私を全部受け入れている」
 アルティウスの言葉に有希はクシャッと顔を歪め、恥ずかしそうに顔を逸らし、受け入れている部分もキュッとアルティウスのペニ
スを締め付ける。
 「痛いぞ、ユキ」
 「だ、だって・・・・・」
 押し入っている自分がこれ程痛いのだ。受け入れている側の有希の方はその何倍も苦痛を我慢しているのだろう。
このきついほど自分を包み込んでくれている有希の中からは出たくなかったが、受け入れることに慣れていない有希の身体の
負担を考えると、アルティウスは出来るだけ早く終わらせてやらなければと思った。
 しかし、アルティウスが頭の中でそう思わなくても、身体の限界は直ぐに来た。
熱く狭い有希の中の心地よさは、アルティウスが今まで抱いてきた女達の比ではなく、愛しい相手を抱くということがこれ程の
快感を感じるのかと改めて思い知らされ、長くは持たないと悟る。
 「ふっ、はっ、あっ、い、いたっ」
 「ユ、ユキッ」
 「はっ、はぁっ」
 「・・・・・くっ」
 今までの、単に生殖行為や欲望の処理の為の行為とはまるで違う、愛しい者と一体になることが出来る唯一の行為。
アルティウスは最後が近いのを感じると、有希の足を更に広げて持ち上げ、ペニスの根元まで突き刺し、また先端まで引き抜く
という行為を激しく繰り返した。
終わりはもう間近だった。



 生々しい粘膜の音と、身体がぶつかる音が部屋の中に響く。
有希は耳を塞ぎたかったが、両手はしっかりとアルティウスの腕を掴んで離れないままだ。
(あ、熱い・・・・・っ)
 痛みは既に痺れに変わってきていた。開かれたままの足にも力が入らない。
 「も、も・・・・・っ」
早く終わって欲しいという願いを込めて、有希は伸ばした手に力を込めた。
 「ユキッ」
 「は、はや・・・・・く・・・・・」
 「愛してるっ」
 「・・・・・っ」
(ぼ・・・・・くも・・・・・)
 まだ15歳という、本来ならまだまだ子供の自分が、セックスをするとは考えたことが無かった。しかも、相手は自分と同じ男で、
違う世界の人間だ。
それでも、好きだという気持ちがあれば受け入れることが出来るのだと、自分を激しく求めてくるアルティウスを見つめながら思っ
た。
 「はっ、あっ、あっ」
 本当は、まだ怖かった。
自分よりも一回りも二回りも大きい身体のアルティウスに圧し掛かられていると、以前の乱暴がどうしても蘇ってくる。
それを辛うじて我慢出来るのは、アルティウスの言葉と、しっかりと身体を抱いてくれる力強い腕の力だ。
求められ、愛されていると信じることが出来るから、有希も我慢が出来るのだ。
 「・・・・・っ」
 「く・・・・・ぅっ」
 一際奥を突かれた。
ビクッと痙攣した有希の内壁の刺激に、アルティウスもその最奥で精液を吐き出す。
随分長い間禁欲し、そしてやっと最愛の者を手にしたという達成感からか、吐き出される精液は有希が感じるほど大量で、
ギッチリと隙間の無い結合部分から僅かながら滲み出てくる。
 「お、終わった?」
 「ああ。疲れさせたな」
 アルティウスは有希の目じりをペロッと舐めた。
 「ア、アルティウス!」
 「ユキはどこもかしこも甘い」
 「・・・・・っ、ぬ、抜いて・・・・・」
 「駄目だ。全てをユキの中に注がねばならない」
 「ど・・・・・」
 「もしかすれば、御子が出来るかも知れぬではないか。そなたは異国の人間だ、そのような不思議があってもおかしくはない」
 「・・・・・本気で言ってる?」
 「もちろんだ。ああ、でも、御子が出来ればユキを取られてしまいかねないな。私は誰かにユキを分け与えるつもりは無い。そ
れがたとえ2人の御子だとしてもだ。ならば・・・・・そうならぬよう、ずっと、このまま2人でいることにしよう」
 「アル・・・・・」
 男同士だと気にしていた有希を慰めるつもりなのか、アルティウスは例え子供が出来るとしても、有希を独り占めしたいからい
らないと言ってくれた。
突拍子もない論理だが、その気持ちは嬉しかった。
 「・・・・・そうだね、僕もアルティウスで手いっぱいだよ」
 「なんだ、それは。私は面倒を見てもらわなければならぬ子供ではないぞ」
 ムッとしたように言うアルティウスを見て、有希は思わず笑ってしまった。
その拍子に、まだ自分の中にいる硬いままのペニスの存在に改めて気付き、有希は困ったように眉を顰めて言った。
 「アルティウス、もう出て行って?」