正妃の条件
38
※ここでの『』の言葉は日本語です
アルティウスが私室に入ってきた時、目に見える場所に有希の姿はなかった。
「ユキ?」
そのまま奥に進み、寝台の前まで来ると、その真ん中が丸く盛り上がっているのが分かった。
「ユキ、何を遊んでおる?」
「・・・・・」
眠っているのかとも思ったが、ふくれた塊はアルティウスの声を聞くと僅かに動いた。
せっかく祝宴を抜け出してきたのにと思うと、アルティウスは少しムッとして強引に掛け布を取ってしまった。
「あっ」
思った通り、寝巻き姿の有希が寝台の真ん中で身体を丸めている。
「どういう了見だ?目覚めているのに私の言葉に答えないとは・・・・・」
「だ、だって・・・・・」
「言い訳は聞かぬぞ。今夜は寝かせてやろうと思っていたが・・・・・妻の務めをしてもらおうか」
「ア、アルティウスッ、ちょっ、やめ・・・・・っ」
暴れる有希の身体を押さえるのは簡単だった。
片手で有希の両手首を頭上で押さえ、片手でも回りそうな細い首筋にいきなり噛み付く。
驚いたのか、それとも感じたのか、ビクッと反射的に突き出された胸元。アルティウスは寝巻きを留めてある腰元の紐を素早く
解いて、有希の綺麗な身体を露わにさせた。
「アルティウスッ」
「しばらくは祝宴が続くゆえ、そなたを抱くのは我慢しようと思っていた。だが・・・・・そなたを見ていると我慢など出来るはず
がない」
「アル・・・・・」
「愛している、ユキ。この言葉は、そなた以外に言ったことはない」
「・・・・・嘘だ。あんなに奥さん・・・・・いっぱいいたくせに」
「数など関係ない。愛したのはそなただけだ」
確かに多くの妾妃は持っていたが、誰も自分から望んで入宮させたわけではなかった。回りからせっつかれ、跡継ぎをつくる
為、そして自分の肉体的な欲求を解消する為に集められた女達だった。
王であるアルティウスは、それが当たり前だと思っていた。
「人とは不思議なものだな。愛する者がいれば・・・・・たった1人でも十分だと思うとは・・・・・」
アルティウスの呟きは、有希の心を深く満たした。
ウンパの言葉によって気付かされた自分のアルティウスへの想いの深さに途惑い、今日だけはアルティウスの顔をまともに見れ
ないと思っていた。
その矢先にアルティウスが現われ、動揺してしまったが、こんなに真っ直ぐな想いをぶつけられて、有希も何時までも子供のよ
うに事実から目を逸らすことは出来ない。
「・・・・・」
「ユキ」
「手を、離して」
「駄目だ」
「このままだと、僕がアルティウスを抱きしめられないよ?」
「ユ・・・・・キ?」
驚いたように目を見張るアルティウスに、有希は恥ずかしそうに笑い掛けた。
「僕だって、アルティウス1人で十分だよ」
施される愛撫は、どんな些細なものでも恥ずかしくてたまらなかった。
それでも有希は自分の想いをアルティウスにきちんと伝える為に、服を脱がされる時も身体を浮かせて協力し、アルティウスが
両足に手をあて開こうとすれば、羞恥に全身を赤く染めながらも抵抗はしなかった。
「ユキ・・・・・」
少し酒臭いアルティウスの口付けを受け入れていると、有希自身もどこか酔ってしまったかのように頭の中がぼんやりとしてく
る。
(気持ちいい・・・・・)
頬に触れる大きな手が優しくて、有希は思わず自分から擦り寄り、クスクスと笑みを零した。
すっかり身体の力を抜いた有希の足を軽々と抱きかかえ、アルティウスは唯一自分を受け入れてくれる小さな尻の蕾に舌を
這わせる。
「ああっん・・・・・!」
甘く甲高い声。
普段の有希ならば、絶対に恥ずかしがって聞かせないような声に、アルティウスは自分の下半身が直ぐに反応したのが分かっ
た。
目の前で揺れている可憐なペニスを口に含みながら、アルティウスは器用に自分の服を脱いでいく。
やがて露わになったアルティウスの雄々しいペニスは、既に高く天を向いて、先走りの液を零していた。
ピチャ、ペチャ、ピチャ
わざと音を出してペニスを舐め、唇で扱くと、そう間を置かずして有希は射精してしまった。
その一滴さえ零れるのが惜しいと飲み込んだアルティウスは、白く汚れた唇を舌で舐め取るとそのまま有希に口付けする。
舌を絡める激しい口付けをすれば、今までとは違って口腔内に苦い味を感じ取ったのか、有希の眉が潜まってしまった。
「そなたの味だぞ」
「・・・・・っ」
「私にはまこと美味だが、自分ではどうだ?」
意地悪いアルティウスの言葉に有希は顔を背けるが、一度達したはずのペニスは再び力を取り戻してきている。
(愛おしい)
素直で敏感なこの身体を、全て自分の為にだけ作り変えてしまいたい。
アルティウスは今度は手でペニスに刺激を与えると、その舌はまだ硬く閉じられた蕾を解し始めた。
身体の中に誰かの舌が入ってくる異様な感覚。
恥ずかしさや痛みよりも、ゾワゾワと背筋を走る衝撃。
有希は自分の身体が何時の間にかアルティウスに協力して開いていっているのが分かった。
(も・・・・・い・・・・・のに・・・・・っ)
「アル・・・・・」
「・・・・・」
「も、いれ、て」
「ユキ」
「痛くても・・・・・い、から・・・・・っ」
この身体の疼きを早く沈めて欲しい。
涙で潤んだ目を向けると、不意に足を更に大きく開かされた。
「入れるぞっ」
言葉と共に入ってくる熱く大きなもの。唯一、有希が侵略を許すその存在が、一気に根元まで挿入された。
「!!」
最初に入ってくる衝撃と痛みで、有希の目からはポロポロと涙が零れてしまう。
きっと、男の身体である限り、最終的にどんな快感を得ようとも、この瞬間の痛みが無くなる事はないだろうと思った。
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