SUPER BOY
24
「ス、スケベめ・・・・・」
太朗は風呂のせいだけではなく真っ赤になった自分の顔を脱衣所の鏡で見ながら、ううんと唸るように呟いた。
上杉に言われたわけではないが、確かに何時もよりは長湯だったのは・・・・・認める。
しかし、そこに上杉が乱入してくるとは全く想像していなかった。
「や、やめっ」
「ん?ちゃんと可愛いのが勃ってるくせに」
「そ、そんなの、触られたら仕方ないじゃんか!」
「ああ。感じてるお前は可愛いしな」
「うわあああああ!!」
太朗は顔ばかりか全身を赤く染めて、その場にしゃがみ込んでしまった。
風呂の中でのあんなことやこんなことを考えていると、恥ずかしくて叫びたくなってしまうが、それを文句を言いながらも自分が受
け入れていることも確かなので正面きって文句も言えない。
(ゼッタイ、確信犯だ!)
「タロ」
「!」
その時、風呂の中から上杉の声がした。
「何時までもそこにいるっていうのは、俺に身体を拭いて欲しいのか?」
「ち、違うって!」
だが、確かにこのままここにいては更にどんな悪戯をされるか分からない。
太朗は慌てて身体を拭くと、急いでパジャマを着て脱衣所から飛び出した。
少し手で弄って。
口で刺激を与えて。
湯の中で、自分を受け入れるその場所を慣らすように解しただけだった。
ただそれだけなのだが、上杉の手で開花させられた太朗の身体は素直に反応し、恥ずかしそうに目を閉じたままだったがきちん
と上杉の愛撫を受け入れた。
それでもさすがに風呂場で最後まではしなかったが。
「どこに行ってるか・・・・・」
あの状態で、普通の顔など出来ないだろうが、まさかベッドの上で待っているとも想像が出来ない。
それよりはキッチンで買出しの時に買ったプリンでも(無理にでも)食べている方が自然だろう。
「タロ?」
風呂からあがった上杉はバスローブ姿のままキッチンに行ったが、そこに想像していたような太朗の姿は無かった。
「おい、タロ」
(どこに行ったんだ?)
まさか怒って帰ったことは無いだろうが、念の為玄関に行ってみると太朗のスニーカーはちゃんとある。
「・・・・・帰ってない」
上杉は眉を顰めて、もう一度リビングに戻りかけた・・・・・が。
「ん・・・・・ぁ・・・・・」
微かな声が聞こえたような気がした。
それは寝室からだ。
(ここにいるのか?)
まさか風呂での悪戯のせいで気分が悪くなったのかと慌ててドアを開けた上杉は、ベッドの上で微かに動く影を見て足を止めた。
「タ・・・・・ロ」
太朗が、そこにいた。
最小に絞った明かりの中、身体を丸めた格好で、ベッドの上に伏せている太郎は、なぜかパジャマのズボンを穿いていなかった。
上も、肩がはだけるほどに乱れている。
そして・・・・・。
「ふ・・・・・んっ」
くぐもった艶かしい声がその唇から漏れ、その手が何をしているのか分かった時、上杉は迷うことなく中に入るとそのまま太朗の
身体の上に圧し掛かって囁いた。
「何1人で悪さしてるんだ?タロ」
慌てて脱衣所を飛び出した太朗は、リビングで引っ掛けただけのパジャマのボタンをはめようとした。
が・・・・・。
「・・・・・っ」
乳首にパジャマが擦れた時、まるで電流が走ったかのようにビクッと身体が震えてしまった。
「な、なに?何なんだ、俺?」
原因が分からなかった太朗は、そのまま自分の身体を見下ろしてみた。まだボタンもはめていない胸元はそのまま平らな胸が見
える。
そこにはほんの僅かな胸飾りがあるだけだったが、よく見るとその小さな乳首は赤く立っているようだ。
「・・・・・あ」
太朗はようやく、そこが風呂の中で上杉にしつこく愛撫された場所であることに気付いた。
(お、俺、1人でこんなになっちゃった・・・・・?)
舐めて、噛まれて、声を上げた。
男にとっては意味のない飾りのはずのそれは上杉にとっては立派な性感帯になっているという認識らしく、太朗がどんなに止めて
と懇願しても何時もしつこい愛撫を加えられていた。
「ど、どうしよ」
しかし、こんな風に恐ろしく敏感になったのは初めての気がする。
ベッドの中で抱き合っている時は受け入れることの出来る(かなり恥ずかしいが)その感覚も、こんなリビングという普通の場所で、
上杉がいない時に、自分だけがこんな風に感じている状態が居たたまれなくて・・・・・怖かった。
「ジ、ジローさ・・・・・」
もう直ぐ風呂から上がってくるはずの上杉がこんな状態の自分を見たらどう思うだろうかと不安で、太朗はとにかくベッドルーム
に走っていった。
ごく普通の日常を送っているリビングにいたらいけないと思ったのだ。
「ど、どうしよ、俺、どうしちゃったんだよ〜」
どうしてこんなに胸がドキドキするのか、身体が熱いのか分からない。
ただ、上杉が来るまでに、この熱を冷まさなければ恥ずかしくて死にそうだ。
「・・・・・ひ・・・・・くぅ・・・・・っ」
恐る恐る下着の中に手を入れると、ペニスはもう勃ち上がっている。
太朗は半泣きになりながら、そろそろと自分の起立に手を滑らせていった。
(あれのせいか・・・・・)
上杉は太朗の珍しい興奮状態の理由が思い当たっていた。
それは日中の八葉会での出来事のせいだ。
普通の生活を送っていれば、まず経験することがなかった出来事、銃を突きつけられた人間を見るという状態に、太朗の精神
は今もって興奮状態が続いているのだろう。
食事の時は何時もと変わらなかったが、風呂の中で性感を煽る愛撫を与えたことによって、燻っていた興奮がそのまま欲情へ
と変化していったのだろう。
「ジ、ジロ、さ・・・・・」
シーツに押し付けられていた顔が、ゆっくりと振り向いた。
自分でも分からない興奮状態にどうしていいのか分からなかったのだろう、その目からは涙が零れていたが、腫れぼったい目に
は明らかな欲情の光があり、漏れている吐息も熱いようだ。
「タロ・・・・・」
普段の太朗からはとても想像出来ない艶かしい顔。
上杉はコクッと喉を鳴らした。
「辛いか、タロ」
「う・・・・・んっ」
「大丈夫だ」
剥き出しの肩をペロッと舐めて軽く噛んでやると、ビクッと震えた身体が綺麗にしなる。
「俺が全部受け止めてやる」
「お、俺、こ、こんなっ、の・・・・・っ」
「いいじゃねえか、お前が俺に発情したって」
「だっ・・・・・てっ」
「俺なんか、何時もお前に欲情してるぞ」
そのまま、邪魔なパジャマを脱がせると、少年らしいしなやかな身体が現れた。
上杉はその身体を視線で犯す様にじっと見つめながら、自分も纏っていたバスローブの紐をするっと解く。
下着も着けていない上杉のペニスも、今のこの太朗の痴態を見つめるだけで半ば勃ち上がっているようだ。
(俺もまだ若いじゃねえか・・・・・)
ニヤッと笑う自分のその顔は、既に雄のものになっているはずだ。
今夜はかなり長く、そして楽しめそうだと、普段ならば消せ消せと煩い室内の照明を明々とつけると、上杉は愛しくてたまらない
その身体にゆっくりと覆い被さっていった。
![]()
![]()