SUPER BOY
25
何度こういう場面を経験しても、恥ずかしいものは恥ずかしい。
自分の身体を、普段は人の目さえ届かないような場所を、こうして他人に晒すのだ。セックスという行為は愛情や信頼がなけれ
ばとても出来ないと思っていた。
「んっ、はっ」
上杉は太朗の足を高く抱え上げたまま、震える未熟な太朗のペニスに愛撫を加えている。
口で咥えて、唇で扱いて、舌でねっとりと舐めあげる。
直接的な愛撫は、堪え性のない若い欲望をたちまち高みへと上らせた。
「!!」
上杉の口の中にそのまま射精してしまった太朗は、はあはあと荒い息を付きながら目の前の上杉を見つめていた。
当然のように太朗の吐き出したものを飲み込んでしまう上杉を見ていると恥ずかしくてたまらないのに、目を逸らすことなどは出
来なかった。
(お、俺、も)
「ジ、ジロー、さ、俺・・・・・」
「ん?」
目線を上げて太朗を見つめる上杉の唇は濡れたように光っている。
それが何のせいなのかは怖くて聞けない。
「お、れ、も・・・・・」
「・・・・・その可愛い口でやってくれるのか?」
「う、上手くは、ない、と、思うけど・・・・・」
「お前がしてくれるってだけでいきそうだな」
くっと低く笑った上杉は、そのまま太朗の足をそっと下ろすと、今度は腕を掴んで身体を起こしてくれた。
1回イッたばかりで身体はだるくて仕方がないが、太朗も上杉に何かしたいと思っている。
口での愛撫はまだ数えるほど、それも我を忘れた時でしかしたことがなく、自分でも下手なのだろうということは分かっていた。
それでも他に練習相手などいるはずがないし、これはもう上杉相手の実技で鍛えるしかない。
太朗はノロノロと手を差し出した。
「・・・・・っ」
小さな手でペニスを握られ、上杉の下半身は戦慄いた。
太朗相手では自分が愛撫することが多く、またそれが楽しいのだが、最近ようやく慣れてきた太朗がこうして自分から上杉の
身体に触れてくると、免疫が少ないだけに柄にもなく欲望が高まるのが早い。
(他の奴には見せられねーな)
これまで抱いてきた女達は、皆遊び慣れた極上の相手ばかりだった。
上杉はお互いが楽しむことがセックスだと思っていたので当然女達が身を捩って泣き出すほどの濃厚な愛撫を施したが、反対
に女達も巧みな愛撫を上杉に与えた。
キスももちろん、フェラチオも。
普通の男相手なら数分でイカせることが出来るほどのそれも、上杉は身体の高まりとは別に十分視覚や心で楽しんだ。
情けなく直ぐ精を吐き出すことなど皆無で、絶倫で気持ちいいと女達に言われていたほどだったが・・・・・。
「んっ、んっぐ」
「・・・・・ふっ」
チュボ・・・・・クチュ
まるでアイスクリームを舐めるような、ただ舌で舐め上げられるだけで。
鮮やかな口紅の色などしない、小さな唇に咥えられるだけで。
喉の奥まで到底咥えこむ事など出来ず、余る部分を手で擦るだけで。
「・・・・・くっ」
上杉の欲望は浅ましいほど高まり、たちまち爆発寸前になった。
「タ・・・・・ロ、離せ」
このまま温かい太朗の口の中で精を吐き出してしまいたいと思う反面、そこまでしては可哀想だと思う気持ちも大きい。
まだ高校生の太朗に、その上男である太朗に、男とのセックスだけを教え込むことに罪悪感がないでもなかったが、この先太朗
に女を抱かせることはもちろん、自分以外の男に抱かせることもさせないので、諦めてもらうしかないだろう。
その代わりといってはおかしいが、太朗には出来うる限りの快感を教えてやるつもりだ。
「・・・・・っ」
かつっと、太朗の歯が上杉のペニスの先端にあたった。
不意のその刺激に、情けないが上杉はそのまま精を吐き出してしまった。
「我慢するな、吐き出せ」
そう言いながら太朗の口元にシーツを当ててくれる上杉。
太朗は口の中の精液を飲み込もうとしたがどうしても出来なくて、泣きながらシーツに吐き出してしまった。
「ご、ごめ・・・・・」
「気にするな、お前にはまだ無理だって」
「だ、だって、俺・・・・・っ」
ちゃんと上杉を気持ちよくしてやるつもりだった。
セックス初心者の自分がベテランの(言い方はおかしいが)上杉に敵うとは思わないが、今まで上杉がその腕に抱いてきた人間
の中で一番気持ちがいいと言わせてみたかった。
(俺なんか・・・・・ジローさんしか知らないのに・・・・・っ)
もちろん、年の差もあるだろうが、上杉がかなり経験豊富なことは抱かれていても良く分かった。
初めての時も、男の自分を気持ちよくしてくれた上杉。もしかしたら相手は女だけではなかったかもしれない。
そんな事を考えると胸が痛くて、自分のことを一番好きだと思って欲しくて、なんとか頑張ってみたのだが・・・・・結局上杉が何
時もしてくれているように精液を飲むことさえ出来なかった。
子供な自分が情けない。
「タロ?」
そのままシーツに顔を埋めていると、肩を抱かれて軽く揺すられた。
「どうした?気持ち悪いのか?」
「ち、ちが・・・・・っ」
「ん?」
確かに苦くて、変な味のそれは、とても飲めるものではないと思う。何時も自分にしてくれる上杉に、変なものを飲ませてごめん
なさいと謝りたい気分だった。
「お、俺、ちゃんと出来なくって・・・・・!」
「してくれたろ?この可愛い口で」
上杉は笑いながら濡れた太朗の口を親指で拭ってくれた。
優しいその仕草に、太朗はかえって泣きたくなる。
「ちゃんとっ、最後までしたかったんだよっ」
「最後って、飲むまでか?」
「そーだよ!他の人だって、ちゃんと出来てたんだろっ?」
「おい、待て、他って誰のことだ?」
「そ、そんなの、ジローさんの、い、今までの・・・・・」
「馬鹿か、お前は」
呆れたように溜め息をつかれ、太朗はとうとうベッドの上に座り込んで泣き出してしまった。
「ど、どーせ、俺、ば、馬鹿で、子供だし・・・・・!」
「・・・・・そういう意味じゃないって」
言葉と同時に、太朗の身体はあやされるように抱きしめられた。
(過去の女にライバル心持たれてもな)
可愛い恋人の可愛い嫉妬はくすぐったく思えるが、度を越して劣等感を抱かれては面白くなかった。
確かに女達の技巧は太朗とは比べ物にならないほど巧みだったが、そんな遊びと本気ではそもそも気持ちが違うのだ。
どんなにぎこちなくても、太朗に触れられていると思うだけで高まってくる。
何も知らなければ知らないだけ、自分しか知らない身体なのだと嬉しく思える。
今は太朗しか、いや、多分これからも太朗しか見えないという自分の気持ちが、まだ子供の太朗には伝わらないのだろうか。
「タロ」
「・・・・・」
「タ〜ロ」
ギュッと身体にしがみ付いている太朗の力は強い。
身体と神経、どちらも過敏になり過ぎて、今までになく赤裸々な自分の気持ちを告白しているのだろう。
(ビデオにでもとっときたかったな)
素面の太朗に見せた時、どんな反応をしたのだろうかと想像するだけで楽しいが、今はこの自信喪失中のお子様を宥めるの
が優先だ。
いや、そろそろ上杉の欲望も限界で、早く太朗の中に入りたいと訴えている。
「・・・・・しぃ・・・・・っ」
「なに・・・・・」
「ジローさんのは、初めてが、俺じゃなくっ、なくって、悔しい・・・・・っ」
「それは・・・・・」
(いくら何でも無理だろ)
この歳まで女を知らないことの方が怖いとは思うが、思い掛けない男としての太朗のその言葉に、さすがに上杉も照れくさくなっ
て笑ってしまった。
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