5
(ぼ、僕も、何か、しないと・・・・・っ)
恥ずかしくてたまらない胸への愛撫と、ペニスを直に触れられるという衝撃に耐えながら、和沙は何とか沢渡の背中から強
張った指先を放そうとした。
しかし、その手はなかなか思うように動かない。
「はっ・・・・・あんっ」
同じ男同士だからなのか、沢渡の手淫は巧みで、和沙のペニスはたちまち張り詰め、今にも精を吐き出しそうなほどに震
えてきた。
自慰をしたことがないとは言わないが、自分で触れるだけでも恥ずかしくてただ擦るといったことしか出来なかったのに、沢渡
は指先や爪、手のひら全体を使って、竿だけではなく敏感な先端部分までも丁寧でじれったい愛撫を加えてくる。
「は、放し・・・・・てっ」
「出そう?」
耳元で優しくそう聞かれ、声も出ない和沙はコクコクと頷く。そうすれば、沢渡は手を放してくれると思ったのだ。
しかし。
「あっ、はっ、なっ、で・・・・・っ」
沢渡の手淫は更に淫らになり、和沙はすぐさま絶頂へと導かれてしまった。
深い射精の気持ち良さと、他人の手に感じてしまったという羞恥と。快感は凄まじいものがあったが、沢渡の手を自分の精
液で汚してしまったという申し訳なさの方が更に上をいって、和沙の目からはポロポロと涙が零れてしまう。
「和沙?」
「・・・・・めな、さ・・・・・」
「どうして?」
「だ、だって、よ、汚し・・・・・て・・・・・」
「和沙の出したものなら汚いわけ無いだろ?ほら、泣かなくていいから」
そっと目元に唇を寄せ、涙を舐め取ってくれる沢渡に、和沙はしばらく声を出すことが出来なかった。
(泣かれたか・・・・・)
その涙が嫌悪感からではないことだけははっきりしていて、沢渡は内心深い安堵の溜め息をつくと、濡れてしまった手をし
ばらく見つめた。本当はこのまま舐めてみたかったが、そんなことをすれば和沙の羞恥はますます激しくなってしまうだろう。
そうすれば身体が硬くなってしまうだけなので、沢渡はその手でもう一度和沙のペニスに触れた。
「ひゃっ!」
「さっきよりは滑りが良くなっただろ?」
それが何のせいなのか、さすがに分かったのか和沙の顔は真っ赤になる。
その顔を堪能した沢渡は、もう一度深い口付けを与えながら、ペニスから根元の双球へと手を滑らせた。
片手でも十分な程の大きさしかないそれを、少しだけ激しく揉みしだく。細い腰がむずがるように揺れるが、それを片手で軽
く押さえながら、沢渡はゆっくりとその指を下にずらした。
「!」
「・・・・・嫌?」
「・・・・・ふ・・・・・」
「ふ?」
「ぼ・・・・・く、だけ、みっともな・・・・・い・・・・・」
「服、か?」
(自分だけ裸なのが嫌なのか?)
沢渡とすれば、自分が裸になったら和沙が怖がると思い、出来るだけギリギリまでパジャマを脱がない方がいいだろうと思っ
たのだが、和沙の方からすれば自分だけが裸というのも恥ずかしいのだろう。
沢渡は身体を起こすと、そのままパジャマを脱ぎ捨てた。
「・・・・・」
和沙の視線が自分の身体に向けられているのが分かり、少し気恥ずかしさがあったが、沢渡は思い切って下まで服を脱
ぎ、全裸となった。
「・・・・・っ」
和沙が目を見張り、少し怯えたような表情になったのはどういうわけか・・・・・さすがに自分の身体の変化なので沢渡も想
像が付く。今まで関係を持ってきた相手の誰にも大きくて立派だと言われてきたのは・・・・・さすがに自慢になってしまうかも
しれないが、標準よりは大き目の自分のペニスを見て和沙が怖がっているのは確かだろう。
(まあ、今更小さくは出来ないしな)
初めて見る和沙の綺麗な身体と初々しい反応に、沢渡のペニスも既に支えが要らないほど勃ち上がっている。これを和
沙の身体の最奥に沈める・・・・・沢渡は改めて和沙の身体の上に覆いかぶさった。
素肌と素肌が触れ合うのは、恥ずかしいのにほっと安心出来る。
和沙は自分よりも遥かに逞しい沢渡の身体に、少し緊張しながらも触れてみた。少しだけ汗ばんでいるのは、沢渡も多少
は興奮してくれているのだろうか?
(ぼ、僕、何も出来て・・・・・ない、けど・・・・・)
足に触れる、濡れて温かい感触のものが何なのか、さすがに和沙も分かっている。
先程ちらっと見た沢渡のペニスは、自分のものよりも遥かに大きくて、あれを自分が受け入れることが出来るとはとても自信
がないが・・・・・。
和沙は唇を噛み締めると、恐々と片手を伸ばした。
「・・・・・っ」
「かず、さ?」
和沙の指では回りきらない程大きな沢渡のペニス。触れると、硬くて、熱くて、少し・・・・・濡れていた。触ったはいいものの
どうすればいいのか分からない和沙は、ギュッと握り締めたまま縋るように沢渡を見上げる。
すると、沢渡は和沙の手の上から自分の手を重ねてくれた。
「擦るだけで十分感じるから」
「は、はい」
手を重ねたまま、和沙は沢渡のペニスを上下に擦った。本当に、ただ擦ることしか出来なかったが、それでも手のひらにペ
ニスが膨らんでくる感触が分かる。
その手はどんどん早くなっていって・・・・・、
「・・・・・っ」
「あ・・・・・っ」
和沙の腹に、熱い飛沫が掛かるのが分かった。
「・・・・・情けない」
「え・・・・・?」
「こんなに早く出るなんて、な」
そう言いながら唇を重ねてきた沢渡の頬が、僅かに赤くなっているような気がした。
何時もより随分早い射精にさすがに情けなくなってしまった沢渡だが、射精しても全く萎えない自分のペニスから和沙が
手を放さないことに気付くと、どうしたと聞いてみた。
「沢渡さんも・・・・・気持ち良く、なった?」
「・・・・・ああ、気持ち良かった。和沙が触ってくれたから、何時もより凄く感じた」
「・・・・・良かった」
「和沙」
「一緒に、気持ちが良くなって・・・・・嬉しい」
「・・・・・俺も、和沙が気持ちよくなってくれたら嬉しいよ。・・・・・出来るだけ優しくするつもりだが、痛かったら・・・・・」
初めて男を受け入れる和沙が感じる痛みがどれ程のものなのか想像も出来ないが、それでも本当に和沙が嫌だったらと沢
渡は言葉を継ごうとした。
だが、そんな沢渡の気遣いに、和沙は小さく首を横に振る。
「いい、です」
「・・・・・」
「痛くても・・・・・僕、沢渡さんの全部・・・・・欲しいから」
「和沙・・・・・」
「痛いの、怖がってたら・・・・・何時までも、沢渡さんを感じられない、し、僕・・・・・ちゃんと我慢、する」
沢渡は和沙の顔をじっと見つめる。その言葉に嘘が無いかどうか、出来るだけ用心深く顔色を探った。
(強がっているが・・・・・)
それでも、和沙はその言葉を本気で言ったと沢渡は分かった。
「・・・・・分かった。痛がっても止めないから」
「・・・・・はい」
ベッドヘッドから何かを取り出した沢渡の手が、和沙のペニスを再び弄り始めた。自分の吐き出した精液のせいだけでは
なく、更に濡れた指先が、
ヌチャ ニチャ
と、淫らな粘液の音を響かせて、ゆっくりと双球の後ろへと滑っていった。
硬く閉ざされた尻の奥が、まるで漏らしたように濡れているのを感じ、和沙は声をあげそうになるのを我慢して唇をギュッと噛
み締める。
「力を抜いて」
「で、でも・・・・・」
「いきなりは入れたりしないから」
「・・・・・」
(い、いきなりなんか・・・・・死んじゃう、よ)
チラッと見えたあの大きな沢渡のペニスをいきなり入れられたらそれこそ裂けてしまうだろう。
和沙は沢渡の言う通り力を抜こうと何度も何度も浅い呼吸を繰り返した。そのたびに、尻の奥に触れている沢渡の指が更
に強く撫で擦ってくるのを感じるが、和沙は黙ってその感触に耐える。
「・・・・・あぁっ!」
何度、同じことを繰り返していただろうか・・・・・いきなり、グッと身体の中に何かが入り込んできた。
「俺の指だから」
耳元で囁かれ、初めてああと確信する。丹念に指の感触に慣らされたせいか、激しい違和感は感じるものの、恐れるほど
の痛みは無かった。
「ん・・・・・っ」
「深呼吸して、ほら、吐いて・・・・・吸って・・・・・」
自分が何をしていいのか分からない和沙は、沢渡の言う通りに呼吸をする。
「はー・・・・・ぁっ」
その呼吸に合わせるように、二本目の指も中に滑り込んできた。
(ど、どう、なって・・・・・)
指を2本入れられた自分のそこがどうなっているのか和沙は気になって仕方が無いが、実際に見れるかと思えばそれもとても
無理だった。時折引き攣れるように感じてしまうそこは、沢渡にはどんな風に見えているのだろう。
(変じゃ、ない、かな)
「さ、沢渡さ・・・・・あ・・・・・あぁっ!」
爪が、内壁を掠った。
ゾワゾワとした感覚が背筋を走り、和沙は思わず高い声をあげてしまった。
それまでは、ゆっくりと中を広げるような動きをしていた指が、愛撫する意味深な動きになってきたのだ。
(な、何、これっ?)
身体がカッと熱くなる。そして、
「ひっ!」
ある箇所を指先で押され、擦られた瞬間、震えていたペニスからいきなり精液が飛んだ。
「なっ、ど、どうし、て?」
触られてもいないのにどうしてイってしまったのか分からなくて、和沙の顔が泣きそうに歪んでしまった。しかし、沢渡はそん
な和沙の汗ばんだ額にキスを落とし、射精の余韻で震えている和沙の身体を抱きしめて言う。
「おかしくないよ。今触れたとこは、前立腺だから。男なら誰でも感じる場所を探してたんだ。ここが、和沙の感じる場所な
んだな」
「あぅっ!」
再び同じ場所を同じ様に刺激され、和沙のペニスは浅ましくも再び力を持ってしまった。
![]()
![]()