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前立腺を刺激して二度目の射精を促した後、和沙はかなり疲れた様子でぐったりとシーツの狭間に横たわっていた。
「和沙」
「も・・・・・だ、め・・・・・」
よほどきつかったのだろう、和沙は途切れ途切れにそう言うと、少しだけ身体を動かして沢渡から自分の身体を隠そうとする
仕草を見せた。
とにかく身体から力が抜けてしまうまでと思っていたが、この刺激はかなり強いもののようだ。
(もう、そろそろか)
これ以上は、更に和沙の体力を奪ってしまうだろう。
沢渡は身体を起こすと、先走りの液で濡れている自分のペニスに、更にローションを垂らして軽く擦りあげた。
先程から見せ付けられている(本人はそのつもりは無いだろうが)為か、沢渡のペニスはかなり張り詰めて脈打っている。
その様を見せたら和沙は余計怖がると思い、沢渡は素早く片手で和沙の腰を抱き寄せると、蕾の中で自在に動かしてい
た指を3本一気に引き抜き、
「ぐ・・・・・ふぅっ」
「・・・・・っ」
少しだけ開いていたそこにペニスの先端を宛がうと、そのまま一気に先端を押し込んだ。
和沙の身体はビクッと振るえ、口は震えながら開き、目はギュウッと力を込めて閉じている。
先程までは、指の愛撫に感じてほの赤く染まっていた頬から一気に血の気が引いてしまい、今にも気を失うのではないかと
いうほどの顔色になった。
「・・・・・っ」
痛みに耐えるように強く掴まれた腕には和沙の爪が食い込んで痛いくらいだったが、この爪の痛さ以上の激痛を和沙に与
えているのだと分かっているので、沢渡は奥歯を噛んでその痛みに耐える。
見下ろした視界の中に、自分のペニスの先端を含んだ、目一杯広がった和沙の蕾が映った。
一瞬前まで感じていた、今まで経験したこともないような強烈な快感。
それを受け止めるだけで精一杯だった和沙は、いきなり内壁を愛撫していた指を引き抜かれ、
「ぐ・・・・・ふぅっ」
その代わりというように、その部分が裂けてしまいそうなほどの大きなものが入ってきたことが分かった。
(い、いたっ、痛い、いた・・・・・い・・・・・っ)
止めて欲しいと、今にも叫びたくてたまらないのに、沢渡のことを思うと、少しの否定の言葉も言うことが出来ない。
「和沙、和沙、力を入れるな」
「・・・・・っ」
(分かって・・・・・け、ど・・・・・っ)
とても収まりきることなど出来そうに無い大きさのものを、無意識のうちに身体が追い出そうとしている。これ以上、身体の奥
に入ってきてしまえば、身体が引き裂かれてしまいそうで・・・・・怖い。
「はっ、は・・・・・っ」
「痛いか?」
その問い掛けには、辛うじて首を横に振った。
今、自分が感じているこの痛みは、きっと受け入れなければならない痛みのはずで、もしも沢渡が自分を気遣って止めてし
まったら・・・・・それこそ、悲しくて、辛くて、胸が痛くなるはずだ。
「だ・・・・・じょ・・・・・ぶ」
「和沙」
「は、やく・・・・・っ」
早く、この痛みを終わらせて欲しい。
和沙は沢渡を促すように、僅かに腰を揺らした。
和沙の痛みを考えれば、いったい自分はどうすればいいだろうか。
蕾に先端だけを含まれたペニスは、あまりの締め付けの為に突き入れることも引き抜くことも容易には出来ない状態だった。
沢渡は一瞬迷ったものの、それでも和沙の腰を抱え直す。
「止めないぞ」
「・・・・・」
何の為に、和沙は震えて血の気を失うほどの痛みに耐えているのか・・・・・それはきっと沢渡の為だ。
沢渡の全てを受け入れるという決意を抱いてくれている和沙の思いに応える為にも、ここで沢渡は引くべきではないだろう。
「・・・・・っ」
沢渡は身体を折って、和沙の唇にキスを落とす。
舌を絡める淫らなキスを与え、少しだけ和沙の身体の力が抜けた瞬間を狙うと、
「・・・・・っ!!」
和沙が声無き悲鳴を上げると同時に、沢渡はペニスを根元まで一気に押し込んだ。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁっ」
荒い息を吐きながら、見開いた和沙の目からは涙が零れていた。
手も足も震え、薄い腹も波打つように揺れている様子を見ると可哀想でたまらなく思うが、一方でもっと泣かせたいという
暗い思いも生まれたのは確かだった。
(・・・・・少し、切れたか)
あれ程根気強く指で慣らしたつもりだったが、やはり和沙の蕾にとって自分のペニスは少々大きかったようだ。
それでも、蕾の小さな皺の全てが限界まで開き、下毛が和沙の尻に当たるほど一杯一杯押し込んだペニスは、確かに和
沙の中に全て納まっていた。
「・・・・・全部、入った」
「・・・・・ほ・・・・・と?」
「和沙、ちゃんと全部受け入れてくれた・・・・・ありがとう」
「・・・・・」
沢渡の言葉に、和沙はゆっくりと目を瞬かせる。そのたびに溜まった涙が頬を伝って流れたが、それでも白いその頬には小さ
な笑みが浮かんでいた。
ドクドクドク
沢渡のペニスの脈動が、身体の中から響いてくるような気がする。
あんなに大きなものが入るとは思わなかったが、どうにかそれは沢渡のおかげでなしえたようだ。
(・・・・・良かった・・・・・)
身体が結ばれなければ恋人と言えないとは思わないが、それでも好きな相手の全てが欲しいと思うのは確かだ。自分のよ
うな貧弱な身体を沢渡は貰ってくれて、ありがとうとさえ言ってくれたが、和沙こそ、こうして沢渡の全てを貰って・・・・・嬉し
くてしかたがなかった。
どちらか一方が欲しがり、奪うのではなく、こうしてお互いが願い、与え合うことが出来て、和沙はこんなにも長い間待って
くれた沢渡に申し訳ないと思う反面、これだけの時間があったからこそ嬉しく思えるのだと感じた。
「え・・・・・と」
「・・・・・?」
しばらくして、沢渡が苦笑を浮かべて言った。
「動いていい?」
「あ・・・・・」
「こうしているだけでも締め付けはきついし、和沙の中、うねって気持ちがいいんだけど・・・・・」
「・・・・・っ」
(な、何を言うんだろ・・・・・っ)
自分の身体のことだというのに自分は分からなくて、ペニスを差し込んでいる側の沢渡の方が分かっているというのも恥ずか
しく思ったが、確かにこのまま2人共じっとしていても仕方が無いだろう。
「・・・・・」
和沙は頷いた。
もっともっと、沢渡が気持ち良くなって欲しい・・・・・それが今の和沙の思いだった。
ズルッ
ゆっくりと先端近くまで引き抜いて、
ニュルッ
今度は、再び下毛が和沙の尻に当たるほど深く差し込む。
その出し入れをゆっくりと繰り返しながら、沢渡は和沙の表情の変化を見逃さないようにした。
始めは確かに苦しそうで、眉間にも皺が寄っていたし、唇から出てくる息も荒いままだった。
「あ・・・・・っ」
しかし、先程指で愛撫をした時に見付けた前立腺の辺りをペニスで擦った時、和沙の口から零れたのは甘い声だった。
指よりも太く、長いペニスで敏感な箇所を何度も擦られた和沙は、次第に揺れる腰の動きも大きくなり、ペニスに纏わり付
く内壁の動きも不規則に蠢き始める。
その無意識の動きに、攻めているはずの沢渡も追い詰められていった。
(・・・・・くそっ)
もう、ずっと、欲しくて欲しくてたまらなかった。大切にしたくて、泣かせたくて、こんなにも自分の心をかき乱す恋人の身体
は、想像していた以上に甘くて熱くて、優しく感じさせようと思っていた余裕さえ消していく。
「あっ、あっ・・・・・んっ」
「和沙っ」
「ああっ、はっ、やっ」
パンッ パンッ
沢渡は和沙の両足を大きく開き、更に激しく腰を打ちつけた。
生々しい肉体のぶつかる音も大きくなり、2人も声も熱くなる。
「もっ、もうっ・・・・・っ」
「・・・・・っ」
沢渡の腹に熱いものが掛かった瞬間、和沙の中を傍若無人に犯していた沢渡のペニスはギュウッと強く締め付けられた。
「くっ」
その締め付けに抵抗するようにぐっと最奥までペニスを突き入れた沢渡は、そこで熱い飛沫を吐き出した。
射精は直ぐには止まらず、沢渡は吐き出した精液をペニスでかき回すように動かし続ける。このまま・・・・・終わりたくなかっ
た。
「さ、沢渡、さ・・・・・っ?」
和沙も、沢渡が自分の中で射精したことを感じ取ったのだろうが、沢渡がペニスを引き出す気配が無いのに、身体を揺さ
ぶられながら名前を呼んで来る。
初めてのセックスだ。ここで終わってやるのが当然だとは思うが、いったん溢れて流れ出した沢渡の欲情はそれで済むことが
出来なかった。
「悪いっ・・・・・まだ・・・・・っ」
「まっ、待っ、て!」
「和沙っ」
「ああぅっ!」
自分が吐き出して濡れた内部はかなり滑りが良くなったもののきついままで、沢渡はうねる内壁を抉るように腰を動かし
た。
そのたびに中で吐き出した精液がほんの僅かずつ外に押し出され、シーツを濡らしていくが全く気にもならない。
「やっ、あっ!」
もっと、その甘い声を聞き、熱い身体を穿ちたい。どこもかしこも、全て自分のものにしてしまいたい。
「・・・・・っ」
沢渡は離れている箇所が少しでもないようにと、更に強く和沙の腰を抱き寄せる。
熱い夜は、まだ終わらなかった。
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