TOKEN OF LOVE
5
『』の中は日本語です。
(お、お湯が、入って・・・・・っ)
かきまわしてくる指の隙間から、温泉の湯が身体の中に直接入ってきた。
露天風呂なので少し熱い湯が、さらに身体の奥の奥まで熱く濡らしてくる気がする。
「ん・・・・・ふっ」
アレッシオに子供のように後ろから抱っこをされている形はやはり恥ずかしく、少し体勢を変えようと身体を捩ったが、
「トモ、そんなに待てないか?」
「・・・・・え?」
そう笑みを含んだ声がして、友春はその意味が分からすに思わず聞き返してしまった。
すると、アレッシオは言葉で教えてくれる代わりに、浮力を利用して柔らかく下から腰を突きあげてくる。尻の下で、アレッシオのペ
ニスが柔らかな双丘を押し上げてくるのが分かった。
「・・・・・っ」
さっき身じろいでしまった拍子に、どうやらアレッシオのペニスを刺激してしまったらしい。そんなつもりはなかったが、まるで友春の方
からねだったような態度に見えたのかと、恥ずかしくてとても顔が上げられなかった。
「トモ」
アレッシオの舌がうなじを舐め上げる。
そして、中に入り込んでいた指も、クニクニと動きが活発になった。
「私も早くお前の中にこれを押し込みたいが、まだもう少し解さなければな」
「ケ、ケイ」
「お前を傷付けたくはない」
「んっ」
言葉と同時に、ペニスを弄っていた手の動きも早くなる。
「こちらももう少し可愛がってやろう」
「あっ、ん、んっ」
尻の中をかき回す指と、ペニスを弄る指。
友春の意識はただ快感を受け止めることだけに集中してしまった。
可愛い友春の蕾は、こうして侵入を試みるたびに何時もバージンのように最初の侵入を拒む。
だが、アレッシオにとってはそこを解すことは面倒ではなかったし、さらには自分が日本にいない間の友春の貞淑な日々をも想像
出来て、これは意外にも楽しい作業になっていた。
「やっ、んっ、んんっ」
パシャパシャと湯を波立たせながら、友春の細身の身体が揺れている。先程少しからかったせいか、首筋から耳、そして背中と、
見事に赤く染まっているのが目に心地良かった。
友春の喘ぎ声や痴態で、彼の尻の下にある自身のペニスも鍛えなくてもいいほどに勃ち上がっている。
「トモ」
耳たぶを口に含み、舌で舐めながら中に入れていた指をゆっくりと引き抜いた。
もう少しじっくりと身体が蕩けてくるのを待とうと思ったが、これ以上湯の中でいたぶっていては友春の身体に障ってしまうだろうし、
なによりアレッシオ自身の我慢がきかなかった。
ヌチュ
片手で腹に手を回し、少しだけ腰を浮かせる。
出来た隙間にペニスの先端を押し当てたアレッシオは、指を引き抜いた蕾を徐々に押し広げるように友春の腰を下に引き落とし
ていった。
「あ・・・・・はぁ・・・・・っ」
苦しげな友春の声が聞こえる。
何度も抱いてきたものの、やはり最初の痛みは消せないようだ。
「あぁぁ・・・・・っ、は・・・・・ぁっ」
それでも、苦痛の声を漏らさずに友春はアレッシオのペニスを身体の中に受け入れていく。
ズリュズリュと湯の力を借りたペニスは友春の内壁を押し広げながら侵入していき、
「あはっ、はっ、はっ」
ようやく、友春の尻がアレッシオの腰にピッタリと密着した。
「入ったぞ」
「ケ・・・・・イ」
尻に感じるアレッシオの下生えの感触でそれを自覚したのか、友春はコクコクと小さく頷き、まだおさまりきらない荒い息を必死で
整えようとしている。
アレッシオは少し萎え掛けた友春のペニスに再び手を回し、クチュクチュと扱き始めた。
「やっ、ま、待って・・・・・っ」
中に入っているペニスの存在に慣れる前に、自身のそれに刺激を加えられ、友春は焦ったようにアレッシオの膝に手を置いて腰を
上げようとする。
もちろん逃がすつもりの無いアレッシオは、再び強引に友春の腰を引き寄せると同時に、自らも腰を突きあげてこれ以上無く結
合を深くした。
「あっ、あっ、はうっ」
アレッシオに下から突き上げられ、友春は抑えきれないままに声を上げていた。
ここがどこなのか、もちろん頭の片隅では分かっているつもりだ。野外の、それもこんな場所でセックスをしている声が聞かれてしまう
可能性は十分あるというのに、止めてくれと言うには友春の身体もアレッシオに飢えていた。
バシャッ バシャッ
2人の身体が激しく揺れるたびに湯が波打ち、
グチュ グチャ
内壁をこすり上げる音が脳内に響く感じがする。
指で中を解される時は湯が入ってきて、熱さと異和感に思わず泣きそうになったが、アレッシオのペニスは湯が中に入って来る僅か
な隙間も作らないほどに大きくて息苦しい。
「あぅっ、やっ、あんっ」
(こ、こんなに、おっき、かった?)
「はっ、ふぅっ、んんっ」
グリグリと敏感な内壁をかきまわされるだけでなく、あさましく勃ち上がった自身のペニスも、ジュクジュクと激しく擦り上げられる。
「あっ、んぁっ」
恥ずかしくてたまらないのに、何時しかアレッシオの突き上げに自分から腰を押し付けるようにして快感を貪り始めた友春の身体
は、一気に頂点を極めようとした。
「ト、モッ」
「もっ、もうっ」
(か、身体が、とまらな、いっ)
バシャッ バシャッ バシャッ
湯の音が更に大きくなる。
その時、不意にアレッシオが首筋に噛みついてきた。
「あぁ!」
痛みを感じた瞬間、友春は湯の中でアレッシオにペニスを扱かれたまま射精してしまう。
同時に、ギュウッと絞り込むように中のアレッシオのペニスを締め付けると、
「!」
強引に最奥へと侵入してきたペニスから熱い迸りがビシャッと大量に吐きだされるのを感じた。
「あ・・・・・あ・・・・・」
まだ大きいままのアレッシオのペニスは、熱く蕩けた内壁を何度も行き来をしながら吐きだした精を塗り込んでいく。ゾクゾクとする
その感覚に、友春はかたく目を閉じた。
射精したばかりの友春の身体はゆっくりと弛緩して、アレッシオの胸へと身体を預けてきた。
まだ自身の飢えを解消出来るほどには満足していないが、それでもこの甘い身体が自分のものであるのだという強い確信を抱き、
アレッシオはゆっくりと中からペニスを引き出した。
「・・・・・んぁっ」
その動きにも反応した友春の小さな喘ぎ声に、アレッシオはこのまま二回目をしてしまいたくなった自分に苦笑してしまう。
しかし、電車の中で友春が夕食も楽しみなのだと控えめな笑顔を浮かべながら言っていたことを思い出し、抱き潰すのは夜の楽
しみに取っておくことにした。
「トモ、大丈夫か?」
友春を抱き上げて湯の中から立ち上がったアレッシオは、そのまま脱衣所に向かう。
「・・・・・」
その時、アレッシオはふと顔を上げた。
部屋の中には、確かに第三者の気配がした。
しかし、部屋の鍵は閉めてあるし、何より自分に付いているガードが何のリアクションもしてこなかったということは敵対する組織の
者ではないということだろう。
「・・・・・」
「ケ、イ」
「どうした、トモ」
「か、身体、拭かない、と」
「別に構わないだろう」
この部屋は今夜は自分達のもので、その中では自由に行動していいのではないかと思ったが、生真面目な友春はこの旅館の
ことを考えてしまったようだ。
「畳、濡れま、す」
濡れたまま座敷の中に戻るのは、友春のその言葉で止めた。
力の抜けた身体を支えてやるようにして拭いてやり、そのまま自分の身体も素早く拭いて、全裸のまま堂々と部屋の中に入る。
「・・・・・」
(いない)
見た限りでは、先程自分がいた時と変わりない座敷だ。
「・・・・・」
しかし、やはりそこには他人の気配が残っていた。
「ケイ?どうしたんですか?」
何時まで経っても腕の中から友春の身体を離さないことに不信を抱いたらしい。
心配そうにキョロキョロと周りに視線を動かす友春に笑い掛け、アレッシオはバスタオルにくるんだ身体をそっと下に下した。
「このままトモを抱き続けようかと思っていた」
「え・・・・・」
「だが、止めておこう。まだ夜までは長いしな」
友春には余計な心配を掛けさせるつもりはなく、アレッシオはからかうようにそう言った。
たった今セックスをしたばかりなので、どうやらその冗談もかなり真実味があったらしく友春は焦っていたが、アレッシオは笑いながら
手を伸ばしてさっき教えられた浴衣を取ると、そっと友春の肩に掛けてやりながら囁いた。
「トモ、私に着せてくれるか?」
何の後始末もしないまま出てきた露天風呂のことが気になったが、あの湯は掛け流しということなのでしばらくすれば綺麗になっ
ているはずだ。
そう、無理矢理結論付けた友春は、だるくて仕方が無い身体を叱咤しながら先ず自分が浴衣を着ると、今度はアレッシオに着
せてやるために振り返った。
腰にタオルもまいていないアレッシオの身体を直視するのは恥ずかしい。
特に、彼のペニスはいまだ緩く勃ち上がったままで、もしかしたらこのまま抱かれてしまうのではないだろうかと、先程彼が口にした軽
口が頭の中に蘇る。
「ま、前に立ってもらってもいいですか」
少し震えてしまった言葉に、アレッシオは直ぐに従ってくれた。
「トモに着せてもらえるのは嬉しいな」
「で、でも、ケイだって着れますよね?」
「トモほど上手くない」
そうは言っても、まだ若く、そして外国人であるということを考えたら、アレッシオは驚くほど日本に対する見識は深いと思う。
それは主に日本人の母親の影響が強いのだろうが、今のアレッシオは友春のために日本を知ろうとしているということを隠さなかっ
た。
自分なんかのためにと戸惑う気持ちはあるものの、それでもそこまで考えてくれるのを今では素直に嬉しいと思う。
(僕も、ちゃんとイタリアのことを知らないと・・・・・)
言葉だけではなく、その生活も、アレッシオがそうしてくれているように勉強をしなければ。
「・・・・・はい。苦しくないですか?」
「いや、着心地はいい」
「この色、すごくケイに合ってます」
この旅館では男女共に浴衣を選ぶことが出来る。
もちろん女物の方が種類は多いが、男物も五種類ほどあって、さっき部屋の案内をしてくれた有重に言われ、友春はその中から
アレッシオにこの浴衣を選んだ。
鶯茶を基調とするそれは、アレッシオの容貌にとても似合っている。
「トモも似合っている」
「そ、そうですか?」
反対に、友春が着ているのは蘇芳色の浴衣だ。
アレッシオは最初女物の華やかな着物に視線を向けていたが友春が慌てて止めて、ようやく男物の中で一番派手な色にすると
いうことで落ち着いたのだ。
「ケイ、この後本館でレセプションがあるんです。僕、女将さんに挨拶だけはしないといけないから・・・・・」
本当はアレッシオに抱かれた直ぐ後に第三者に会いたくはなかったが、父の代わりとしてやってきた責任は果たさなければならな
い。その間、30分ほど部屋で待っていて欲しいと言ったが、アレッシオはあっさりと言い切った。
「私も行こう」
「ケ、ケイ」
「こんな色っぽいトモを1人で歩かせるわけには行かない」
耳元に唇を寄せられながら囁かれた甘い声に、友春はまた身体が熱くなるような気がして慌ててアレッシオから離れた。
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