10
バシャッ
湯が大きな音を立てて揺れる。
「んっ」
楓は伊崎の腰を跨ぐように足を開き、僅かに目線が上になる位置から伊崎と唇を重ねていた。絡み合う舌の、艶かしい水音が、
ワンワンと耳に響いてくる。
恥ずかしくて仕方が無いのに、伊崎からも求められるのが嬉しくてたまらなくて、楓は伊崎の頭を抱え込むようにして抱きしめた。
「・・・・・ぁっ、きょ・・・・・すけっ」
「・・・・・っ」
「恭・・・・・!」
口付けを解いた伊崎は、そのまま唇を楓の頬から首筋へと移した。
ねっとりと、肌が舌をなぞる感触に身体が震え、楓は切ない溜め息を漏らす。
(もっと・・・・・っ!)
生真面目な伊崎は、普段はほとんど楓の身体に触れることは無い。
いや、腰や肩を優しく押して誘導してくれることはあるが、その手には恋人同士という意味は全く含まれず、楓はそのたびにどうし
てと叫びだしたいくらいだった。
組のこととか。
父、兄のこととか。
自分という存在と比べてどれ程大きいのかと伊崎に詰め寄ってやりたいが・・・・・反面、楓はそんな生真面目な伊崎の性格も愛
していた。
自由奔放で我が儘な子供の自分とは違う、しがらみを断ち切ることが出来ない大人の伊崎。
だからこそ、今2人はこうして抱き合えるのだと理屈では分かる。しかし、普段は寂しく思えてしまうほどの伊崎の手に飢えた自分
を、あの家から出た時くらいは壊れるほどに抱きしめて欲しかった。
「こ、ここじゃ、やっ」
湯の中では、身体に力が入らず、受け入れるのも怖い気がする。
「布団に、連れて・・・・・け」
伊崎の耳たぶを噛みながらねだると、伊崎の笑う気配がして、楓の身体はそのまま横抱きに抱き上げられた。
「あっ」
湯から身体が全て出てしまうと、自分が感じている証が伊崎の目にもはっきりと見て取れるだろう。
恥ずかしくてたまらなかったが、楓はわざと伊崎を挑発するように囁いた。
「早く、お前のもので・・・・・濡らしてくれ・・・・・っ」
自分の視線に、恥ずかしげに身体を震わす楓。
言葉も仕草も慣れた風を装うが、垣間見える羞恥や途惑いの表情が伊崎の胸を擽った。
(この綺麗な存在全てが・・・・・俺のものなのか・・・・・)
自分が楓と出会った瞬間に心を奪われたのは当然のことだが、楓が自分を選んでくれたことは奇跡だ。
年々美しく成長していく楓を眩しく見つめ、守り、そして・・・・・この手の中に入れた。
この幸運を離すことなど、絶対に・・・・・しない。
「あっ、はっ・・・・・んっ」
小さな胸の飾りを口に含んで軽く噛んでやると、楓は可愛らしい声を上げて更に胸を突き出す。伊崎が空いている方の飾りを
指先で摘んでやると、ビクビクッと腰を震わせて・・・・・楓は呆気なく精を吐き出してしまった。
「もう、イッたんですか?」
乳首を口に含んだまま言うと、その吐息にさえも感じるのか、楓は全身をほの赤く染めながら恥ずかしそうに叫んだ。
「だ、だってっ、ずっと我慢してたんだから!」
「何時から?」
「い、何時って、き、昨日、から・・・・・っ」
「俺は、何時だって我慢していますよ。楓さんの細い首筋を見るだけで噛み付きたくなるし、後ろ姿を見るだけでペニスを突き刺
したくなる」
「きょ、恭祐って、ムッツリスケベだ!」
「ええ、確かに、俺の頭の中では何時も楓さんは淫らに喘いでいる。早く、その姿を見せてください」
「ひゃっ!」
そう言った伊崎は、まだ精を吐き出したばかりで敏感な楓の形よいペニスを掴むとそのまま巧みに扱き始める。若い身体は貪欲
に快感を拾い、ペニスは時間を置くことも無く再び勃起してしまった。
「可愛い・・・・・」
身体をずらしてペニスを口に含むと、楓は声なき声を上げて喘いだ。
綺麗な形に、綺麗な色。楓はどこもかしこも綺麗に出来ている。
ペニスから滴り落ちる楓自身の先走りの液や伊崎の唾液が伝う先、伊崎を受け入れてくれる小さな蕾さえ、こんな場所さえ楓は
綺麗だ。
伊崎は腹に掛かった楓の精液で指先を濡らすと、そのまま目の前の小さな蕾をそっと撫でる。
「!」
指一本さえも入らないほどに固く閉じられたそこに、今からはちきれそうなほどに勃ち上がっている自分のペニスを突き刺す・・・・・
それは一刻の余裕も無いほどの渇望だったが、楓を傷付けるわけにはいかなかった。
名残惜しげに楓のペニスを口から開放すると、伊崎はそのまま蕾に舌を這わせた。
「ひゃあっ、あっ、ああっ!」
伊崎に抱かれるのは何時だって嬉しいが、羞恥心が全く無くなるという事は今のところ無い。
特に、こうして伊崎を受け入れる場所を伊崎自身の舌で舐め濡らされるのは今も恥ずかしくて仕方が無かった。
しかし、こんな旅先ではそれ用の道具を使うことは出来ないし、こうして解してもらわなければ伊崎はもちろん自分が相当なダメー
ジを負ってしまうだろう。
(で、でも、恭祐、何時も、楽しそ・・・・に、するし!)
「も、いっ・・・・・て!」
「まだ、ですよ、まだ、2本もきついくらいだ」
「だ、だって!」
「楓さんには快感しか感じて欲しくないんです。ほら、何も考えないで、気持ちいいことだけ感じていて」
「ふ・・・・・んっ」
普段は楓の言うことはどんなことでもきいてくれるはずなのに、こんな場面ではとても意地悪になってしまう伊崎。
余裕がある伊崎と、余裕が無い自分。こんな時だけ経験値の差を見せ付けられるようで腹が立つものの、今の伊崎には自分し
かいないことも分かっている。
それでも少し面白くなくて、楓は自分の中に埋め込まれた伊崎の指を意識して締め付けると、うっすらと笑みを浮かべて言った。
「はや・・・・・く、入れろっ」
真っ白な楓の白い足の狭間に、ゆっくりと出入りしているグロテスクな自分のペニス。
ヌチャヌチャと音をたてているのは、自分が既に楓の中に吐き出した精液を、自分のペニスが更に掻き回している卑猥な音だ。
指一本さえも入らなかった楓の蕾は、今は健気に伊崎のペニスを根元まで受け入れ、更に心地よく締め付けてくれる。
伊崎にだけ許された、伊崎だけの身体。
本当は昼夜、いや、場所さえも関係なく何時だってこの身体を抱いていたいのに、情けないが現実に縛られている自分はそんな
真似も出来ない。
そんな卑怯な自分なのに、楓は口では文句を言いながらも受け入れてくれるのだ。
優しく。
力強く。
どんな時でも、どんな自分でも、好きだと手を伸ばしてくれる。
「・・・・・っ」
「ぐ・・・・・ふっ」
細い腰を抱え直し、深くペニスを突き刺しながら、無理な体勢で楓の唇を奪った。どこもかしこも、自分のものでグチャグチャに
汚してしまいたい。
愛らしい口にも、下の蕾にも、自分の唾液や精液を注ぎ込みたい。
全て・・・・・。
「か・・・・・えでっ」
「きょ、すけ!」
「・・・・・愛してるっ」
「お、俺もっ、あ、あい、してる!」
言葉になんか力はないと思うのに、こう言えば楓も健気に言葉を返してくれるのが嬉しい。
伊崎は何度も言葉を繰り返し、楓も想いを返すように言葉を返して・・・・・伊崎の動きはどんどん早くなっていく。
「・・・・・くっ」
「!!」
何度も何度も楓の蕾の中を蹂躙した伊崎のペニスは、やがてこれ以上ないというほどの最奥を抉った。
その刺激に楓はもう薄くなってしまった精液を吐き出し、その刺激でギュッと伊崎のペニスを締め付けた楓の蕾の中に、伊崎は何
度目かの精液を吐き出す。
「・・・・・ふ・・・・・んぁっ」
それでも、伊崎のペニスは萎えることはなく。
伊崎はそのままペニスを抜くこともなく再び楓の身体を貪り始め、そのまま楓の声が嗄れるまで泣かせ続けた。
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