指先の魔法










 可哀想だなと、海藤は涙を流し続ける真琴を見下ろしながら柄にもなく思う。
生き生きと表情を変える、自分とは違う世界にいる真琴を、本当は見ているだけで楽しいだろうと思っていた。
それが、身体に合わないダブダブの繋ぎ姿を見た時、自分以外の男の存在を真琴の後ろに見たのだ。
今自分が見逃しても、近い未来誰かが真琴を手に入れるかもしれないと思った時、海藤は真琴を手に入れることを決め
た。
 事務的な手付きで倉橋が繋ぎを脱がすと、真琴はTシャツと短パン姿になった。
見かけ通り痩せていて、剥き出しになった白い足も女のように細い。
 「準備はどうされますか?」
 女と違って濡れる事のない真琴が、このまま海藤を受け入れることはかなりきついはずだ。
真琴の苦痛より海藤の痛みを考慮して準備をしようという倉橋に、海藤はスラックスのベルトを外しながら短く言った。
 「そのままでいい」
 「・・・・・洗浄も、ですか?」
男同士のセックスでは常識であろうという行為も、海藤は事も無げに否定した。
 「そのままだ」
 今まで遊びで抱いてきた女達には、行為の前に必ずシャワーを浴びさせていた。潔癖というわけではないが、甘い香水
の匂いやべた付く汗が不快だったからだ。
しかし、真琴にはそんな思いは浮かばなかった。むしろ汗の匂いも誘う要因になっている。
 海藤は倉橋に視線を向けた。
意を汲み取った倉橋は、綾辻に合図をし、ソファの肘掛に真琴をうつ伏せにさせて押さえつけた。
まるで尻を突き出す格好になったが、真琴は小さく身じろぎする事しか出来ない。
 「女を抱いたことはあるか?」
 「・・・・・」
 「答えろ」
 「せ、せき・・・・・責任を、とれ・・・・・るよう、に、なるま・・・・・で、するな・・・・・て」
 「誰が言った?」
 「に・・・・・ちゃ・・・・・」
 泣きながら言うのでその言葉は聞き取りにくかったが、その内容に海藤は小さく笑った。
 「お前は・・・・・本当に面白い」
 露わになった白い項に唇を寄せると、真琴の体の震えは大きくなる。
海藤は服を脱がないまま真琴の後ろに立ち、ファスナーを下ろしてペニスを取り出した。
支える必要もなく立ち上がっているペニスは海藤の体格に似合うほど大きく、既に先走りで濡れている。
他に人間がいても気にすることはなく、子供の腕ほどもありそうなペニスは更に角度を上げた。
 「動くな」
 短パンの下の白いブリーフを一緒に下げると、痩せた身体とは反対の肉付きのいい尻が現れた。
柔らかなその尻タブを大きな手で押し開くと、中心に息づく淡い色の肛門が見えた。
普通ならば人に見られることなどないその場所は、しゃくりをあげる真琴の呼吸に合わせてヒクヒクと震えている。
 「毛などないな」
海藤が呟いたが、真琴はどこを見られているのか一瞬分からなかった。
 「男の尻など初めて見たが、女とそう変わらないな。穴も綺麗なものだ。むしろ・・・・・」
『そそられる』と耳元で囁かれ、真琴はやっとどこを見られているのか分かって、一瞬で身体を硬直させた。
体の向きを変えたくても倉橋や綾辻が押さえ込んでおり、海藤が尻を割り開く形で押さえている。
 「やめて・・・・・やめてよう・・・・・」
 唯一自由になる声も、喉に張り付いたようにかすれている。
倉橋も綾辻も、黙ったままこのレイプそのものの行為を見ていた。可哀想に思うが、海藤が一度始めた行為を止めることな
ど出来ない。
 「真琴」
 海藤は濡れたペニスの先を真琴の肛門に押し当てるが、全く知識のない真琴にそこを緩めるということが出来るはずはな
く、それでなくても標準より遥かに大きい海藤のペニスは1ミリも中に入らない。
 「力を抜け」
 慣らしも濡らしもしない行為は、海藤にとっても苦痛を伴うものだったが、自分という存在を真琴の心の中に深く植えつけ
る為にも止めるつもりはなかった。
 「責任はとってやる」
 そう言ったと同時に、海藤は力ずくで真琴の体の中に押し入る。
 「ひっ・・・・・っ!!!」
 ピッシ・・・・・
真琴は初めて体が裂ける音を聞いた。